■2008年12月

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■有馬記念・復習

37年ぶりとなる牝馬のグランプリ制覇。
2008年の有馬記念はダイワスカーレットの優勝で幕を閉じた。
スタートから先頭に立つと、そのまま後続を寄せつけずに逃げ切り勝ち。“強い競馬”とは、まさにこのことだろう。他馬との力の差をまざまざと見せつける圧巻の走りでGⅠ4勝目を飾った。

ダイワスカーレットに勝負を挑んだ馬はすべて返り討ちにあった。
最初に仕掛けたのはカワカミプリンセス。
最内枠から絶妙のスタートを切ってダイワの出方を牽制した。横山典騎手によれば「ハナへ行こうと思った」とのこと。ダイワスカーレットより前で競馬をするというイチかバチかの作戦だったのだろう。結果的には2番手に控える形になり直線の手前で突き離されてしまったが、勝ち馬に果敢に挑んでいく姿には好感が持てた。

道中は中団で脚を溜め、4コーナーからダイワに迫ったスクリーンヒーロー。
馬体を合わせるように一瞬伸びかけた時には、直線で2頭のマッチレースになるかとも思われたが、坂の途中で力尽きた。とはいえ、脚色がいっぱいになりながらも掲示板に残ったことは評価すべきだろう。今年急成長した4歳馬。この先が楽しみと思わせてくれる走りだった。

そして、メイショウサムソン。
ダイワスカーレットの後ろで食らいつくかのような渾身の走り。力の衰えは隠せないものの、引退レースで再びこの馬の勝負根性を見ることができたのは、正直うれしかった。高橋成調教師も「ダイワを追いかけて負けたのだから本望」というコメントを残している。最後の花を咲かせることはできなかったが、立派に有終の美は飾ったと思う。

2番人気に支持されたマツリダゴッホは12着。
道中の位置取りは後ろ過ぎたし、常に外々を回る展開。これまでの勝ちパターンとはまったく違うレースをしていた。蛯名騎手は「内枠ならば結果が違ったはず」と語っていたが、凡走の原因ははたしてそれだけだろうか。
『有馬記念・予習』のブログにも書いたように、ジャパンカップの激走によって馬自身に目に見えない変調が起きていたのかもしれない。それくらい“らしくない”走りだった。
直線でダイワスカーレットを追い詰めるシーンを期待していたファンにとっては、不甲斐なく残念な結果だったに違いない。

2、3着には人気薄の差し・追込馬が入った。
アドマイヤモナークとエアシェイディ。
この2頭の共通点を見出すならば、どちらも中山芝実績があること。そして、自分の競馬に徹したということだろう(これは4着のドリームジャーニーにもあてはまる)。
強い逃げ馬がレースを作った場合、先行集団が逃げ馬のペースについていけず総崩れとなり、差し・追込馬が馬券に絡むケースもよくある。今回の有馬記念も同様の展開になったと見ることもできる。
「ダイワスカーレットを負かしに行かなかった馬が2、3着の順位を手にすることができた」と皮肉めいた言い方をした競馬評論家もいたが、たしかにその通りかもしれない。しかし、有馬記念という大舞台でその力を発揮できたのだから、両馬の走りに対しては素直に賞賛を送りたいと思う。

配当的には大荒れとなったが、昨年のように人気馬の総崩れによって起こった不可解な波乱とは意味がまったく違う。
強い競馬をして堂々と勝利を手にした馬と、それに挑んでいった馬たちとの攻防。レースの中で光った“勝負の輝き”を随所に見ることができたのだから、今年は納得のいく結果と呼べるものなのだ。
ダイワスカーレットはグランプリホースの称号にふさわしい強い馬だった。その一点だけでも、今年の有馬記念は素晴らしいレースだったと言い切ることができるだろう。

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■有馬記念・結果

2008年12月28日 5回中山8日10R
第53回 有馬記念(GⅠ)
芝・2500m 晴・良

 1着 ダイワスカーレット   安藤勝  2.31.5
 2着 アドマイヤモナーク   川田    1+3/4
 3着 エアシェイディ      後藤    3/4

単勝 13 260円(1番人気)
馬連 13-14 29490円  馬単 13→14 33490円
3連複 6-13-14 192500円  3連単 13→14→6 985580円
 

■有馬記念・予習 (2008.12.28 中山10R)

2008年の競馬を締めくくるグランプリ・有馬記念。
週中のスポーツ紙を見る限り、昨年の1・2着馬、マツリダゴッホダイワスカーレットが有力視されている。おそらく、当日になってもこの2頭が人気を分け合う形になるだろう。

マツリダゴッホは中山芝コースで10戦7勝2着1回(うち重賞5勝)という数字が示すとおり、“中山芝コースでの勝ち方”を知っている馬だ。
その勝ちパターンは、3コーナーからマクリ気味に進出して直線で先頭に立ちそのまま押し切るというもの。坂のある短い直線で後続馬よりも加速できる脚質がこの馬の最大の武器と言えよう。

ダイワスカーレットはこれまで11戦して7勝2着4回。連対を外したことが一度もない、抜群の安定感である。
この馬の強味は逃げ・先行の走りでありながら、差し馬並みの上がりの脚を使えること。マツリダゴッホと同じく、直線で前々に位置しながらさらに加速できる脚質と考えていいだろう。

マツリダゴッホとダイワスカーレットの“勝算”を考えた場合、データ的にも大きな裏付けがある。
それは、過去10年の有馬記念の勝ち馬を見ると、好位から直線で抜け出して1着になったケースが多いということだ。グラスワンダー、シンボリクリスエス、ゼンノロブロイ、そしてディープインパクトに土をつけたハーツクライ。いずれも4コーナーを2~6番手で通過している。
また、2001年の2着馬・アメリカンボス(13番人気)、2002年の2着馬・タップダンスシチー(13番人気)のように、先行してそのまま流れ込んだ人気薄の馬が馬券に絡むという結果も目立っている。昨年のマツリダゴッホ(9番人気)も同様だった。
有馬記念(=中山芝2500m)は、「直線で抜け出してからの加速力を持った馬」、そして、「前々で競馬ができる馬」が好走する確率が高い。マツリダとダイワにとって追い風となるデータである。

もっとも、この2頭で決まりかというと、必ずしもそうとは言い切れない。
マツリダゴッホの場合、不安点をあげるならば前走の反動だろう。『競馬のツボⅡ』の中でも述べたように、条件の合わないレースで激走した後ほど反動は生まれやすい。苦手とする東京コースのジャパンカップでの好走が、馬自身に目に見えないマイナスの影響をもたらしたとすれば、得意の中山で“原因不明の凡走”という結果も考えられなくはない。
一方のダイワスカーレットだが、この馬の気掛かりは今年2レースしか走っていないこと。言い方を換えれば、今年初の“叩き2走目”なのである。1年のうち10ヶ月半は走れない状態だったということを無視するわけにはいかない。天皇賞・秋の後、ジャパンカップをスキップして有馬を目標にしたローテーションは、陣営の「無理をさせない慎重な判断」と解釈できるが、同時に、この馬の脚元に対する不安の表れと見ることもできるだろう。
能力を発揮することができれば、マツリダとダイワの2頭が有力であることは間違いないが、そうでない場合は伏兵の台頭も十分に考えられる。

伏兵の一番手として考えられるのは、ジャパンカップを制したスクリーンヒーロー。この馬も好位を進んで直線で加速する“有馬向き”の脚質を備えている。前走に引き続いて鞍上がデムーロ騎手ということもプラス材料だ。
ただし、ジャパンカップの勝利は、超スローの展開が折り合い面に長けたこの馬の走りに味方した部分も大きい。実際、このレースが本当の意味での試金石と見るのが妥当という声も少なくない。

前々の競馬が有利という点では、アサクサキングスも候補に上がるだろう。前走・ジャパンカップはこの馬の持ち味を活かせない中団からの追走だったが、菊花賞を勝った時の四位騎手に戻って、本来の先行粘り込みの競馬が出来れば面白い。
しかし、アサクサキングスの場合、ジャパンカップの時点で陣営が「今年は秋天とJCの2走のみ」と発言していたことが気にかかる。仮に前走がピークの仕上げで今回がそれよりも出来落ちだとしたら、見せ場もなく終わってしまうかもしれない。

カワカミプリンセスはどうだろうか。
11ヶ月の骨折明けの金鯱賞で3着。さらに4ヶ月半の休みをとって、ここが叩き3走目。状態はかなり上がってきていると考えられる。初の中山コースになるが、この馬も“先行・好位抜け出し”を勝ちパターンにしているので、不向きとは思えない。
牝馬ながらダイワスカーレットとの初対戦というのも興味深い。鞍上は横山典騎手。ダイワに勝つための策を講じている可能性も大だ。

有馬記念とは直結しないローテーションだが、今年のステイヤーズS組も気になる。
1着馬のエアジパングは夏の札幌日経オープンでスクリーンヒーローと0.1秒差。今回はその時の1キロ差がなくなり同じ57キロで出走できる。もっとも、2走前のアルゼンチン共和国杯(15着)が負けすぎの感もあるが・・・・。
むしろ、期待がもてるのは2着のフローテーションの方だろう。菊花賞は4コーナー16番手からの追い込みで2着だったが、前走のステイヤーズSでは逃げて2着。脚質に自在性があるところを見せてくれた。この秋のGⅠで大活躍のルメール騎手がどのようなレースをするか楽しみだ。

今回の有馬記念が引退レースとなるメイショウサムソン。前走のジャパンカップを見る限りでは、往年の迫力がなくなったようにも思える。武豊騎手はこれまで有馬記念でオグリキャップとディープインパクトの2頭を「ラストランの勝利」に導いているが・・・。勝ち負けとなると少々厳しいかもしれない。

出馬表の中に天皇賞馬・ウオッカの名前はない。
ダービー馬のディープスカイも菊花賞馬のオウケンブルースリも出走していない。
残念ながら実力最強馬決定戦という意味合いは薄れてしまったが、それでも年末を飾る夢のレースであることに変わりはない。
「有馬記念は自分の好きな馬を買え」という言葉もある。
予想も大事だが、このレースに限っては、自分の好きな馬の馬券を買って応援したいと思っている。

■朝日杯フューチュリティステークス・復習

先週の阪神JFでは、ブエナビスタが母・ビワハイジとの同一GⅠ母娘制覇を成し遂げたが、今週の朝日杯FSは父子制覇という形の決着となった。
2歳王者に輝いたのは、平成9年にこのレースを制したグラスワンダーの子、セイウンワンダー。
当初出走を予定していた東京スポーツ杯2歳Sは蹄球炎を発症したために断念。新潟2歳S勝ちから3ヶ月半ぶりの実戦がGⅠということでブランクが不安視されたが、きっちりと仕上げられていたし、レースではこの馬の“素質の高さ”を再確認することができた。
岩田騎手の好騎乗も光っていた。中団のインにつけ、3コーナーから外目に出すと、直線では再びスペースの開いたインに突っ込む思い切りの良さ。道中で馬にストレスをかけなかったことが、最後の瞬発力を引き出すことにつながったと言えるだろう。これで未勝利戦から3連勝となるが、3戦連続でメンバー中最速の上がりを記録したことになる。

2着のフィフスペトルは1400mまでの距離経験がなかったため、マイルをこなせるかどうかという点に注目していたが、直線外から勝ち馬に迫った脚は見事だった。これで4戦4連対。崩れを見せない安定した走りは魅力である。現時点ではキングカメハメハ産駒の最高傑作と呼んでもいいかもしれない。

武豊騎手の復帰戦として話題になったブレイクランアウト(3着)は、まだまだ未完成の部分が多いように思える。行き場をなくして直線だけの競馬となった2走前のいちょうSにしても、ナカヤマフェスタとの叩き合いに敗れた前走・東スポ杯にしても、大器の片鱗らしきものは窺えるものの、評判になるほどの“強さ”には程遠い印象だった。このレースでも最後はセイウンワンダーとフィフスペトルに力負けした感がある。今後、馬がどのように変わっていくか、注目していきたい。

今後が楽しみという点では4着のホッコータキオン。逃げ・先行馬には不利な大外枠から折り合いをつけて好位を追走。3着馬とクビ差に留まったレースぶりは評価できる(先行して掲示板に載った馬はこの1頭だけ)。もともと逃げ一辺倒の馬ではなかったが、このレースを経験したことで脚質の幅が広がるようであれば、将来的に伸びる可能性がますます高まるはずだ。個人的には、年明けのシンザン記念に出走してくればおもしろいと思うのだが・・・。

3番人気に支持されたミッキーパンプキンは“最内枠の逃げ馬”ということで、ファンからの過剰な期待がかかり過ぎたたようにも思える。前年の1枠1番・ゴスホークケンのようにスピードにまかせて逃げるタイプではない以上、ツルマルジャパン、ゲットフルマークスがハナを切れば好位・インからの競馬からになることは予想できた。この馬の持ち味はスローペースでレースを引っ張ることで、今回のように前半のラップが速くなる展開には向いていない。荒削りな部分が残ってはいるが、距離が延びれば見直せる1頭だろう。

4番人気のシェーンヴァルトはまったく見せ場がなかった。内に包まれてポジションを下げたのが最後まで響いたようだ。鞍上の北村友一騎手は10レースで他馬を妨害して降着。まだ3年目の若手ジョッキーだけに、GⅠレースではより迷惑をかけてはいけないというプレッシャーがかかったのかもしれない。たしかに、馬を外に出そうとする時も必要以上に後ろを気にしていたようにも見えた。
これまでの戦績から、能力のある馬であることはわかっているので、流れが落ち着く広いコースのレース・・・例えば、きさらぎ賞あたりに出てきたら注目してみたい。

レースタイムは1分35秒1。ここ数年と比べるとかなり遅い時計である。
1、2着馬のセイウンワンダー、フィフスペトルには、個々の馬としての能力の高さを見ることができたが、レースそのものは2歳王者決定戦というレベルとしては正直物足りなかった。
ラジオNIKKEI杯2歳Sがどのようなレースになるのか。あるいは、年明けのクラシック前哨戦から頭角を現してくるような馬がいるのか。今後の展開を注意して見ていきたい。
春のクラシック戦線の中心となる馬、基準となる馬を探すこと。それがこれからの最も重要な課題になるだろう。

■朝日杯フューチュリティステークス・結果

2008年12月21日 5回中山6日11R
第60回 朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)
芝・1600m 晴・良

 1着 セイウンワンダー  岩田     1.35.1
 2着 フィフスペトル     ルメール   アタマ
 3着 ブレイクランアウト  武豊      1/2

単勝 3 540円(2番人気)
馬連 3-11 1960円  馬単 3→11 3680円
3連複 3-5-11 2580円  3連単 3→11→5 17230円
 

■朝日杯フューチュリティステークス・予習 (2008.12.21 中山11R)

2歳牡馬の頂点を競うGⅠでありながら、クラシックの登竜門的な色合いはかなり薄い。ここ数年の傾向として、芝・2000mのラジオNIKKEI杯2歳S(GⅢ)を走らせ、“距離経験”を積んだ上で、春のトライアルへ向かわせる使い方が主流となっているからだ。
今年もそれは同様で、現時点でクラシックの有力候補と言われているリーチザクラウン、アンライバルドの2頭は、次週のラジオNIKKEI杯2歳Sに出走する公算が高い。
考え方としては、クラシックの距離体系(2000m以上)よりもマイル戦線で今後活躍できるかどうかの試金石となる一戦という捉え方でいいだろう。アドマイヤコジーン、エイシンプレストン、スーパーホーネット、ローレルゲレイロ・・・。過去の連対馬はいずれもその後マイルでの実績を残している。
“マイラーの資質”の有無。それがこのレースのポイントになると思われる。

“マイラーの資質”とは、言い換えれば、スピードとスタミナ(持続力)を兼ね備えているということだ。
それに関しては、過去5年のこのレースにおける1~3着馬の4コーナー通過順位が参考になる。

 2003年  1着馬=3 2着馬=1 3着馬=2
 2004年  1着馬=2 2着馬=1 3着馬=15
 2005年  1着馬=2 2着馬=6 3着馬=3
 2006年  1着馬=12 2着馬=2 3着馬=1
 2007年  1着馬=1 2着馬=3 3着馬=2

15頭のうち実に12頭が4コーナーを3番手以内で通過してそのまま馬券に絡んでいる。つまり、スピードを活かして先行し、直線でも後続を寄せつけない持続力のある馬が好走しているのである。まずこのことをレースのひとつの特徴として頭に置いておきたい。

今年の出走メンバーを見てみよう。
人気になりそうな馬は、前走・東スポ杯2着で鞍上に武豊騎手を配したブレイクランアウト、デイリー杯をレコード勝ちしたシェーンヴァルト、函館2歳Sの勝ち馬で前走・京王杯2着のフィフスペトル、3ヶ月半の休み明けながら新潟2歳Sを脅威の末脚で制したセイウンワンダーあたりである。
しかし、これらの有力馬はいずれも、これまでのレースで差し・追込の脚質を使っている。つまり、先にあげたこのレースの好走馬とは反するタイプなのだ。

一方、逃げ・先行馬はどうだろうか。
前走、4コーナーを1位で通過した馬は5頭。2番手で通過した馬が3頭。なんと、出走馬の半数が前走で前々の競馬をしている。普通に考えればハイペースの流れになりそうだ。
さらに、有力視される先行馬が外枠に入ったこと(デイリー杯2着のホッコータキオンが8枠15番、京王杯を逃げ切り勝ちしたゲットフルマークスが6枠12番)も見逃せない。外と内の両方からハナの奪い合いが起こるような“乱戦”になった場合、前へ行った馬が総崩れという結果もあり得る。

過去のデータから見たレースの特徴は、スピードのある先行馬が有利だが、今年のレースはそう簡単におさまりそうもない。
ポイントは「脚質」と「展開」。(走りの完成されていない2歳馬のレースで「脚質」と「展開」を重視するのは危険であると承知の上で・・・)
先行激化で流れが速くなれば、人気の差し馬が力を発揮しやすくなる。反対に、ペースが落ち着くようであれば、力のある先行馬が有利になるはずだ。この場合、最内枠のミッキーパンプキン、1勝馬のトレノパズルあたりも一応はマークしておきたい。


■阪神ジュベナイルフィリーズ・復習

2歳牝馬GⅠの栄誉を手にしたのは、1番人気に支持されたブエナビスタ。2着馬・ダノンベルベールに2馬身半差をつける圧勝。1頭だけ次元が違っていたと言ってもいいだろう。正真正銘の“強い競馬”だった。

2着のダノンベルベールは「栗東滞在」がプラスに出たようだ。マイナス8キロの馬体重が示すとおりの究極の仕上げ。ロスのない立ち回りで直線でもしっかり伸びていた。現時点でのベストの走りができたのではないかと思われる。

3着はミクロコスモス。新馬勝ち→GⅠというキャリアを考えれば、最後に見せた追い込みは素晴らしいものだった。勝ち馬より後ろの位置でレースを進めていたが、仮にもっと前にポジションを取っていればどうだっただろうか・・・。来年のクラシックでは今回落馬負傷で騎乗できなかった武豊騎手に手綱が戻ると言われている。今後の成長という点では、ある程度完成された感のあるダノンベルベールよりもこの馬に注目してみたい。

4着のショウナンカッサイは直線で一旦は後退しかけたが再び差を詰めてきた。10番人気・単勝36.3倍と評価は低かったが、精神力の強いタフな馬という印象を受けた。ただし、父・ショウナンカンプという血統を考えると、短い距離の方が持ち味を活かせるかもしれない。

5着以降は勝ち馬から1秒以上離された。今現在の上位馬との力の差がはっきりと出たようだ。
2番人気のジェルミナルは6着。福永騎手のコメントによれば「外枠(17番)から好位のポジションを取りに行ったために厳しい競馬になり最後は苦しがっていた」ということ。藤原英調教師も「本質的には長い距離の方がいい」と言っている。ならば、このレースだけで見限るのは早計だろう。

結果としてはブエナビスタの強さだけが際立った一戦だった。すでに「クラシック当確」「3冠もほぼ手中」といった声も上がっている。
強い馬が強い競馬を見せてくれることはたしかに素晴らしい。しかし、同時に、ファンとしてはブエナビスタとしのぎを削り合うライバルの登場を心待ちにしている部分もある。
かつての“スティルインラヴvsアドマイヤグルーヴ”、そして“ウオッカvsダイワスカーレット”のような対決の構図があれば、さらに競馬は盛り上がるに違いないだろう。
この世代の戦いはまだまだ始まったばかりである。

■阪神ジュベナイルフィリーズ・結果

2008年12月14日 5回阪神4日11R
第60回 阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)
芝・1600m 晴・良

 1着 ブエナビスタ      安藤勝  1.35.2
 2着 ダノンベルベール   後藤    2+1/2
 3着 ミクロコスモス     鮫島    1+1/4

単勝 13 220円(1番人気)
馬連 2-13 1090円  馬単 13→2 1620円
3連複 2-9-13 3270円  3連単 13→2→9 11760円
 

■阪神ジュベナイルフィリーズ・予習 (2008.12.14 阪神11R)

2歳牝馬のGⅠ。出走馬の能力基準がはっきりと見えないため、比較・検討がなかなか容易ではない。
一般的なセオリー通りに考えれば、まず次の2点がポイントになるだろう。

 1. 1600m以上の距離実績があること
 2. 牡馬混合戦で好走実績があること

言うまでもなく、“経験値”というものを重視した考え方である。過去には、札幌2歳S(GⅢ・芝1800m)で好成績を残したテイエムオーシャン(2000年)、ヤマニンシュクル(2003年)。新潟2歳S(GⅢ・芝1600m)からデイリー杯2歳S(GⅡ・芝1600m)へと駒を進めたショウナンパンドル(2004年)がジュベナイルフィリーズを制している。

改装後の阪神外回りコースで開催された近2年の結果を見ると、いずれの勝ち馬(2006年=ウオッカ、2007年=トールポピー)も前走、黄菊賞で連対を果たしていた。このレースは京都・芝・外回り1800m・500万クラスの混合戦。黄菊賞での好走はそのまま上記・2項目の条件を満たすことになるわけだ。
今年、その条件にあてはまるのはジェルミナル(黄菊賞1着)。過去2年の結果だけではデータとしての説得力に欠けるものの、ひとつの傾向としてこの馬をマークしておきたい。

10月4日の中山・芙蓉ステークス(オープン・芝・1600m)で2着に入ったダノンベルベールも2つの条件を満たす1頭だ。関東馬だが、直前の長距離輸送による疲弊を考慮し、早めに栗東へ入厩して調整している陣営の“勝負気配”も見逃せない。もっとも、関東馬の栗東入厩は裏目に出るケースもあるので絶対的な信頼は置けないが・・・・。

前走で混合戦のオープン・ききょうステークスを勝ったショウナンカッサイ。距離はマイルより1F短い1400mだが、破った相手はエイシンタイガー(GⅡ・京王杯2歳S3着)、ピースピース(GⅡ・デイリー杯2歳S4着)といった骨っぽいメンバー。内回りではあるが阪神コースで勝ちを経験したことも大きい。同じくききょうステークス3着のレディルージュ。こちらはその次走の白菊賞(1着)でマイルの距離を経験している。両馬とも人気はそれほど高くないようだが、ヒモ候補として十分に魅力的だ。

“経験値”と同様に、このレースの特徴として注目したいのが、「1勝馬」「抽選で出走権を得た馬」の活躍だ。昨年の1・2着馬(トールポピー・レーヴダムール)もこれに該当する。
今年はブエナビスタが脚光を浴びている。父・スペシャルウィーク、母・ビワハイジ。アドマイヤオーラ・アドマイヤジャパンの下にあたる良血だ。前走の未勝利戦(京都・芝・1600m)は2着馬に0.5秒差をつける快勝。1分34秒9の時計は牝馬限定の未勝利戦としてはトップクラスの数字である。

新馬勝ちで抽選をクリアしたミクロコスモス。デビュー戦となった前走(東京・芝・1600m・牝馬限定)レでは、2番手追走で上がり3F・33秒4の脚を使った。これは東京マイルの新馬戦における史上最速に並ぶタイ記録。所属は角居厩舎。ウオッカ、トールポピーに続く3年連続制覇がかかっている。

ローテーションを考えた場合、GⅢ・ファンタジーSが前哨戦になるが、今年は芝・1400mのレースで1000m通過が61秒1の超スローペース。勝ち時計の1分23秒7は例年に比べるとかなり遅い(2006年は1分20秒3、2007年は1分21秒1)。それゆえ、新聞紙上ではファンタジーS組の評価がもうひとつのようだ。ただし、2着馬のワンカラットには注意を払いたい。その前走のデイリー杯2歳Sで牡馬相手に0.5秒差の6着。マイルの距離と牡馬混合戦を経験している強味が本番で活かされるかもしれない。

さらに付け加えるならば、デグラーティア。夏のGⅢ・小倉2歳Sを勝った後、このレースを目標にじっくり調整されている。1200mの距離経験しかない馬が勝ったことは過去に例がないが、センスのいい走りや1走ごとに馬体重が増えていく成長過程(走るフジキセキ産駒の特長と言われている)を見ると、買い目に入れておきたい1頭にも思える。

あとは、当日の天気(雨予報が出ているが・・・)と馬場状態のチェックが必要だろう。予想以上に馬場が悪化するようであれば、キレが勝負の人気馬(ダノンベルベール、ブエナビスタ)の評価も微妙になってくる。

2006年の勝ち馬・ウオッカは翌年のダービー馬、2007年の勝ち馬・トールポピーは翌年のオークスを制している。
このレース、阪神競馬場の改装後は、それ以前と違ってクラシックにつながる結果が生まれるようになった。
来年のクラシックというものを少なからず念頭に置いて、レースの勝ち負けだけではなく、どの馬がどのような競馬をするか、じっくりと見るようにしたい。

■ジャパンカップダート・復習

カネヒキリ復活!
何よりもまずその快挙を讃えたい。

二度の手術を必要とした屈腱炎を克服して再びGⅠの栄誉に輝いた馬自身の精神力。そして、2年4ヶ月という長い時間をかけて能力を最大限発揮できる状態にまで馬を立て直した角居厩舎の“信念”。ただただ敬服するばかりである。
“信念”とはすなわち、「カネヒキリにはまだGⅠを獲る力がある」「もう一度GⅠを獲らせてやりたい」という陣営の強い気持ち。それがこの大舞台で見事に結実した形となった。

このレースのポイントは、“自分のレースができたかどうか”ということだろう。

カネヒキリの一番の勝因はインコースをロスなく進んだこと。息が入り脚をためられたことが最後のひと伸びにつながった。好位から突き抜ける“勝ちパターン”。ルメール騎手の好騎乗がもたらした、カネヒキリにとってはまさにベストのレースだった。

ヴァーミリアンは道中の位置取りが後ろすぎた。岩田騎手は「1コーナーで他馬に寄られてポジションを下げてしまった」とコメントしているが、外々を回って直線だけで差す競馬はこの馬のスタイルには程遠い。カネヒキリと同じポジションでレースをしていれば結果も違ったはず。「申し訳ない・・・」という言葉からもわかるように、岩田騎手にしてみれば悔やまれる騎乗だったに違いない。

期待された3歳馬・サクセスブロッケンも自分のレースができたとは言い難い。スタートからハナを主張して自分のペースに持ち込んだのではなく、外国馬・ティンカップチャリスの出方を伺いながら途中から先頭に立つ形。他馬に絡まれることなく逃げた前走・JBCクラシックとはまったく異なる展開で、結果的にストレスを強いられるポジションを進むことになってしまった。

ヴァーミリアン、サクセスブロッケンとは対照的に、2着に入ったメイショウトウコンは実に理想的な競馬をした。4つのコーナーをうまく利用して少しずつマクリ気味に進出していく“自分のレース”。直線の伸びはヴァーミリアンを完全に凌いでいた。『予習』にも書いたように、東京・2100mから阪神・1800mへの条件変更がこの馬の走りに有利に働いたことは間違いないだろう(4着のサンライズバッカスも同様)。

カネヒキリの復活はたしかに感動的な幕切れではあった。
しかし、1~4着がすべて6歳馬(すなわちディープ世代)という“現状維持”の顔ぶれによる結果には物足りなさも残る。
来年のフェブラリーSを見据えた場合、期待はやはり3歳馬だろう。
このレースに出走したサクセスブロッケン、カジノドライヴはもちろんのこと、キクノサリーレ、エスポワールシチー、ユビキタスといった面々がどこまで成長し、どこまで上の世代に肉迫できるか。
「ヴァーミリアン対カネヒキリ」という“王者対立の構図”とは別に、新興勢力の台頭というものにも注目していきたい。

■ジャパンカップダート・結果

2008年12月7日 5回阪神2日11R
第9回 ジャパンカップダート(GⅠ)
ダート・1800m 晴・良

 1着 カネヒキリ       ルメール  1.49.2
 2着 メイショウトウコン   藤田     アタマ
 3着 ヴァーミリアン     岩田     クビ

単勝 10 980円(4番人気)
馬連 5-10 11710円  馬単 10→5 21570円
3連複 5-6-10 7090円  3連単 10→5→6 69460円
 

■ジャパンカップダート・予習 (2008.12.7 阪神11R)

中心はヴァーミリアンで間違いないだろう。
海外遠征帰りから7ヶ月ぶりの実戦となった前走JBCクラシックをレコード勝ち。これで国内でのGⅠは6連勝となった。武豊騎手から岩田騎手への乗り替わりがマイナス要素になるとも考えられず、馬券的にも“軸”として最も信頼できると思われる。

相手候補の1番手として人気になりそうな3歳馬のサクセスブロッケン
2001年のクロフネ、2005年のカネヒキリ、2006年のアロンダイトと、このレースは過去8回のうち3回、3歳馬が制している。成長力と勢いによって古馬を一蹴する場面が見られるかもしれない。
ただし、ジャパンカップダートというレースは、砂のスピード競馬を身上とする先行型の外国馬が参戦するため、前半からハイラップを刻む速いペースになる傾向が強い。逃げ・先行脚質のサクセスブロッケンにしてみれば、そうした流れの中で自分の競馬ができるかどうかがポイントになるだろう。
同じく3歳馬のカジノドライヴに関してもそれは同様だ。新馬戦で圧倒的な大差の逃げ切り勝ちを収めたことで、その素質を高く評価されているが、はたして自在性のあるレースができるかどうか・・・。

さらに、今年のレースを考える上で重要と思えるのが“東京・ダート・2100m”から“阪神・ダート・1800m”への条件変更。当然ながら、この変更が有利に働く馬についても一考が必要だろう。
メイショウトウコン、サンライズバッカス、ワイルドワンダー。
施行距離の短縮によって恩恵を受けた馬たちが連対圏に突入する可能性も十分ある。前述したように、先行激化のハイペースの流れになれば、この3頭の末脚はさらに脅威を増すはずだ。

出走メンバーの中で最も評価が難しいのがカネヒキリ
2年4ヶ月ぶりの前走・武蔵野Sは、直線で前が詰まったとはいえ見せ場もなく敗退した。過去の実績も認めるし上積みも見込めるだろう。しかし、成長過程における長期休養ならばまだしも、一度頂点を極めた馬の故障によるブランクである。慎重を期するがゆえに復活にはもう少し時間にかかるのではないかという見方もできる。
外国馬3頭については専門家の評価は低い。その理由として、日本と米国の砂質の違いがあげられるているが、それに加えて外国馬には右回りコースの経験がないことも減点材料だろう。

王者・ヴァーミリアンの連覇か。世代交代を告げる3歳馬の台頭か。
そして、本年度の条件変更によって、レースの形がどのように変わるのか。
見所満載の楽しみな一戦である。

■ジャパンカップ・復習

ダービー馬3頭、菊花賞馬2頭、そして昨年のグランプリホースと、超豪華メンバーが揃ったジャパンカップ。
この大一番を制したのは、9番人気・単勝41倍のスクリーンヒーローだった。
夏に1000万クラスを勝ち上がり、前走で重賞初勝利(GⅡ・アルゼンチン共和国杯)をあげたばかりの4歳馬の勝利は、やはり“波乱の結末”と言わざるを得ないだろう。

「1000m通過が61秒8の超スローな流れで有力馬のペースが狂った」
「鞍上・デムーロ騎手の好騎乗によって馬が120%の能力を発揮することができた」

翌日の新聞や競馬専門誌を見る限り、スクリーンヒーローの勝因は“展開のアヤ”と“騎手の技術”にあるという論評が目立っていた。(もちろん、直線の叩き合いでGⅠ馬を退けた、馬自身の走りも評価しているが・・・)
たしかに、「なぜスクリーンヒーローがレースに勝てたか?」という論点に立てば、さまざまな条件がこの馬に味方したという結論に落ち着くかもしれない。
しかし、ここで見落としてはいけないことがある。
「なぜGⅠ初挑戦のこの馬にジャパンカップを勝てるだけの力があったのか?」
実はこれこそがこのレースから学ぶべきポイントだと言ってもいいだろう。
答えのヒントはスクリーンヒーローを管理する鹿戸雄調教師のレースの使い方にある。

前走、スクリーンヒーローは、1600万条件からの格上挑戦でGⅡ・アルゼンチン共和国杯を勝った。その2走前の札幌日経オープン(2着)も同じく格上挑戦である。
それでは、なぜ自己条件のレースではなく、上のクラスに出走させたのか?
鹿戸雄調教師は自らのポリシーを次のような言葉で語っている。

「強い相手と戦って揉まれることによって、馬は強くなる」

つまり、スクリーンヒーローは、自分よりも強い相手と戦いながら、鍛えられ成長してきた馬なのだ。
ジャパンカップ出走馬の中で、この馬が最も格下であることは、馬柱表の戦績欄を見れば一目瞭然。しかし、その戦績には、常に格下の立場でありながら、格上の相手を打ち負かしてきた経歴がはっきりと記されている。
GⅠの大舞台で格負けすることなくその能力を如何なく発揮したスクリーンヒーローの走り。そして、この馬を“強くする”ためにあえて格上挑戦を続けた鹿戸雄調教師の手腕。
たとえ、勝利の要因が“展開のアヤ”や“騎手の技術”に負う部分が大きいとしても、最も高く評価すべきことは“馬が強くなった過程”ではないかと思う。

2着・ディープスカイ。3着・ウオッカ。
不向きなペースではあったが、ダービー馬の面目は一応保ったと言っていいだろう。特に、一度は馬群にのまれたかに見えたウオッカの差し返しは、一流馬の精神力というものを垣間見た思いがする。懸念されていた天皇賞・秋の反動もなかったようだ。(某競馬評論家によれば「時計の出る馬場状態におけるレコード決着ならばそれほどの反動はない」とのことである)
個人的に注目していたオウケンブルースリは、直線で詰まり加減になりながらも最後までしっかり伸びていた。パドックの歩き方などまだまだ若さを見せていたが、その分、この先も成長が期待できる馬であると考えたい。

レースタイムの2分25秒5。これは、重馬場で行われた2003年を除くと、東京競馬場改装後に行われたジャパンカップで最も遅い時計である。スクリーンヒーローの走りは見事ではあったが、残念ながらレベルの高い戦いだったとは言い難い。また、出走馬がすべての力を出し切ったかといえば、それも疑問である。
実際にレースを走ったジョッキーも同じ歯痒さを感じていたのかもしれない。ディープスカイに騎乗した四位騎手は次のようにコメントしている。

「期待の大きな馬だから、こういう遅い流れでもしっかり結果を出せるようになることが来年以降のテーマ」

ぜひそうあってほしい。我々競馬ファンは、強い馬がその能力を競い合う熱い戦いを常に望んでいる。

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プロフィール

安東裕章

Author:安東裕章
東京都出身。2007年11月に書籍『競馬のツボ』、2008年7月に『競馬のツボ2』、2009年7月に『競馬のツボ3』を発表(いずれも総和社刊)。

このたび、拙著『競馬のツボ』を刊行していただいた出版社・総和社様の勧めもあって、ブログを始めることにしました。
競馬における一番の楽しみは、レースについて考えること。つまり予想です。
このブログを書くことで、自分でも週末のレースに向けてイメージを膨らませる訓練になるかと思います。
競馬について考えることが好きな皆様。レース予想に疲れて気分転換をしたい時など、よろしければフラッと遊びに来てください。

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