■2009年02月

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■フェブラリーS・復習

4歳馬のワンツー! ダート戦線に世代交代が告げられた。
GⅠ・フェブラリーSを1分34秒6のレコードで制したのはサクセスブロッケン。ヴァーミリアン&カネヒキリの7歳馬の壁に阻まれ続けていた4歳馬が、中央GⅠの大舞台で初めてそれを乗り越えた。
勝因をひとつに絞るならば“距離短縮”。これまでの対戦はいずれも1800m以上のレース。好位から抜け出す正攻法の勝負を挑みながら最後の伸び脚の差で敗れていた。今回の1600mは言わばスピード勝負。最後まで速さを持続できるかどうかが勝負のポイントである。外枠からスムースに流れに乗れたことで、3歳春に見せたこの馬の圧倒的な“速さ”が甦り、最後の叩き合いでもうひと押しできる余力を残すことができた。
単勝オッズ20.6倍という数字だけを見れば“激走”のようにも見えるが、デビュー当時から潜在能力を高く評価されていた馬である。「素質が開花した」という表現が最もふさわしいのではないだろうか。

カジノドライヴ(2着)も素晴らしい走りだった。鞍上の安藤勝騎手は「最後は経験の差」というコメントを残したが、まさにその通りだろう。国内の強豪に揉まれながら成長したサクセスブロッケンと米国で名を上げて凱旋した“エリート”のカジノ。この2頭によるクビ差の決着は今後のダート路線の新しい戦いを予感させるものである。次走はドバイワールドC。どのような走りを見せてくれるのか大いに楽しみだ。

カネヒキリは直線で伸びないまま終わるかのようにも見えたが、カジノドライヴと馬体を合わせると自慢の“競り合いの強さ”を発揮してタイム差なしの3着に入った(上がりはメンバー中最速)。7歳にして自身の持ち時計を更新。GⅠ最多勝こそ成し遂げられなかったが、王者の貫禄と底力を十分に見せつけたレースと言っていいだろう。闘志あふれる走り。まだまだ第一線で頑張ってほしい。

4着は逃げた4歳馬・エスポワールシチー。仮にこのレースを“7歳vs4歳”という構図で捉えるならば、4歳馬勝利の立役者となったのは間違いなくこの馬だろう。ハイペースまではいかないまでも、一定のラップを刻み続けることで、カネヒキリ&ヴァーミリアンの瞬発力を封じ込める形になったからだ。前走の平安Sが重賞初挑戦というキャリアでこの結果ならば大健闘。この馬も今後が楽しみな1頭である。

今回がGⅠ初挑戦だったフェラーリピサも5着と好走。最後は脚が止まって前の4頭から離されたが、あるいは休養明けを好時計で勝った前走・根岸Sの反動があったのかもしれない。岩田騎手は「今後につながる競馬ができた」と語ったが、このメンバーの中でも戦っていけるだけの内容は残せたように思える。

2番人気のヴァーミリアンは6着。前残りのレコード決着はこの馬には向かない流れであったのはたしかだが、この結果にはやはり物足りなさを感じる。武豊騎手は「マイル向きの馬ではないし、34秒台の決着ではつらい」とコメントしているが、GⅠ6勝の実績を持つ馬に対しての言葉とは思えない。条件が変われば“強さ”を見せてくれるのかもしれないが、このレースに限って言えば、もはや全盛期の力はなくなったという印象が強く残った。手に汗を握る熱い戦い、息を飲むゴール前の叩き合いの中に、この馬の姿がなかったことは残念としか言いようがない。



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■フェブラリーS・結果

2009年2月22日 1回東京8日11R
第26回 フェブラリーS(GⅠ)
ダート・1600m 晴・やや重

 1着 サクセスブロッケン   内田博  1.34.6
 2着 カジノドライヴ       安藤勝  クビ
 3着 カネヒキリ        ルメール  アタマ

単勝 15 2060円(6番人気)
馬連 14-15 4710円  馬単 15→14 14070円
3連複 2-14-15 5730円  3連単 15→14→2 57720円

■フェブラリーS・予習

2009年のGⅠ第1弾、フェブラリーS。当初、出走予定だったダイワスカーレットが回避(引退)したために、カネヒキリとヴァーミリアンの“2強対決”という見方が強いようだ。

屈腱炎から奇跡的な復活を遂げたカネヒキリ。休養明け(2年4ヶ月)の武蔵野Sこそ9着に敗れたものの、その後はJCダート・東京大賞典・川崎記念とGⅠを3連勝。今回のフェブラリーSを勝てば史上最多となるGⅠ8勝の大記録を達成する。
馬群をこじ開けるように伸びたJCダート。ヴァーミリアンとの壮絶な叩き合いを制した東京大賞典。寸分の狂いもなくフリオーソを差し切った川崎記念。「競り合いで負けないこと」、それがカネヒキリの強さである。正攻法の競馬ならばこの馬の右で出るものはいないだろう。
問題は戦列復帰後の激走の反動。角居調教師はカネヒキリ復帰の際に「今後は目の前の1戦1戦が勝負」と語っていたが、仮にフェブラリーSを春の最大目標としてローテーションを組むのならば、暮れの東京大賞典の後に一息入れて調整する方法もあったはず。川崎記念を走らせたことがどう影響するか。脚元の不安はなくなったとはいえ、長期休養明けの馬にとっては負担の大きい使い方だったようにも思える。

対するヴァーミリアンもGⅠ6勝の実績の持ち主。カネヒキリには3戦3敗と対戦成績では分が悪いが、2007年のJCダートではカネヒキリの記録を1秒3上回る時計でレコード勝ち。能力は決して見劣らない。今年は春のドバイ遠征の予定もなく東京大賞典後はここを目標に調整。ローテーション的にも万全と言っていいだろう。
もっともこの馬にも不安要素はある。それは“衰え”。昨年のJCダートではカネヒキリを追い詰める体勢に入りながら、外からメイショウトウコンに差されて3着。スタートで後手を踏んで好位を取れなかったことが理由とされているが、以前のヴァーミリアンからは考えられない負け方だった。「すでにピークは過ぎた」という評論家の声も多く、国内GⅠを連勝して迎えた昨年のフェブラリーS当時の勢いは望めないかもしれない。

カネヒキリもヴァーミリアンも7歳馬。ゆえに、このレースでは“世代交代”もひとつのテーマになっている。
その筆頭として名前があげられているのが4歳馬のカジノドライヴ。アメリカでGⅡ勝ちを含む2勝を上げ、帰国初戦のJCダートでも0.5秒差の6着。前走の自己条件(1600万)では能力の違いを見せつけるかのような勝ちっぷりだった。
ただし、この馬に関してはまだまだ未知の部分が多い(それゆえ魅力的でもあるのだが・・・)。国内の強豪と対戦したレースはJCダート1戦のみ。能力を比較できる材料が乏しいというのが正直なところだ。前売りの段階ではヴァーミリアンの上をいく2番人気に支持されているが、はたして額面通りに受け取っていいものなのか・・・。馬券は押さえておくべきかもしれないが、“圧勝”“惨敗”の両方の可能性があるようにも思える。

ダイワスカーレットの回避によって、展開面で有利になったのがエスポワールシチー。こちらも勢いのある4歳馬だ。前走のGⅢ・平安Sは2着。連勝(500万から4連勝)は止まったが3着馬には3馬身差をつけた。東京・ダート・1600mは昨年秋に1分35秒3の好時計で勝っている。厳しい競馬を経験していない点が気掛かりではあるが、自分のペースで逃げることができれば十分に力を発揮できるだろう。

同じ4歳馬でも、カネヒキリやヴァーミリアンと何度も対戦し、一応の結果を残しているサクセスブロッケン。近走は最後に脚が止まるレースが続いているが、いずれも1800m以上の距離。1600mへ短縮されることによって、流れに乗りやすくなりスピードで押し切れるチャンスが出てくるかもしれない。
もっとも、これまではカネヒキリより2キロ~1キロ軽い斤量で出走できたが、今回は同斤量。その点を克服できるかどうかがカギになるだろう。

GⅢ・根岸Sを勝ったフェラーリピサ。この馬の持ち味は“センスの良さ”につきる。スタートが良いためにポジション取りがうまく、さらにどこからでも仕掛けることができる。GⅠ初挑戦だけに厳しい戦いになるとは思うが、元々素質を高く評価されていた逸材。本格化した今なら好勝負も期待できる。

同レースでフェラーリピサにクビ差まで迫ったヒシカツリーダー。1200m~1400mの距離で頭角を現わしてきたが、以前は中長距離のダートを走っていた馬。距離が延びるのは問題ないだろう。あとは、根岸Sで見せた末脚(上がり3F35秒0)を使える展開になるかどうか。嵌れば馬券圏内に飛び込んで来る可能性も十分にある。

穴馬として取り上げたいのはアドマイヤスバル。1400ダートを最も得意とする馬だが、近走は行き脚がつかず後方に置かれるため、本来の好位差しの競馬ができなくなっている。1F延長で序盤から流れに乗ることができれば巻き返しがあっても不思議はない。レースの格は落ちるものの東京ダート実績は<4・1・3・2>。前々でレースを運べればという条件付きだが、ヒモとして押さえたい1頭である。(土曜の京都でグリーンアラモード、ヴィクトリーといった人気薄を馬券に絡ませた川田騎手の勢いにも期待)


■ダイヤモンドS・復習

従来の記録を0.9秒上回る3分29秒4のレコード決着。3400mのマラソンレースを制したのは4歳馬のモンテクリスエスだった。
1マイル通過が例年よりも2秒近く速い1分37秒4。序盤の1200mで1F11秒台のラップが4度も刻まれる“乱ペース”。さらに他馬が早目に仕掛けたことで、追込脚質のモンテクリスエスにとって有利な展開になったことは間違いないが、それでも今後の長距離戦線での活躍を十分期待できるレース内容だった。
道中の折り合いも良く、仕掛けてからの反応も十分。底知れないスタミナを感じさせる530キロ超の迫力ある馬体。天皇賞・春に挑戦するプランもあるということだが、まだまだ成長が見込める4歳馬だけに、ステイヤーとしての資質にさらに磨きをかけてほしい。

2着は12番人気のブレーヴハート。嵌れば破壊力抜群の末脚を使うもののムラっ気でいつ走るかわからない狙いづらいタイプだったが、今回は後方でじっくりレースを進めて一度は先頭に立つ好走を見せた。長距離適性を試すために使った前走の万葉S(京都・芝・3000m)が0.1秒差の4着。2戦連続の好走によって、今後進むべき路線が見つかったと考えてもいいかもしれない。すでに7歳馬だが、兄のローエングリンは8歳でGⅡ・中山記念を勝っている。この先、遅咲きの花を咲かせても決して不思議ではない。

3着には軽量52キロのスノークラッシャーが入った。ステイヤーを輩出するサッカーボーイ産駒ということで距離が合ったという見方もできる。騎乗した松岡騎手は「2500mまでなら重賞を狙える器」とコメント。モンテクリスエスと同じく先々を期待できる4歳馬。まだ準オープンの身だが、今後の走りに注目していきたい。

1番人気のフローテーション(12着)は若干かかり気味で途中からハナに立つレースとなったが、現時点ではそこから押し切るまでの力はなかったようだ。重賞級の素質はあると評価されているのだから、今後厳しいレースに揉まれることで強くなっていくだろう。ただし、前々の競馬がこの馬に向いているかどうかについては正直疑問。好位で脚を溜めて直線で抜け出す形がベストのようにも思うのだが・・・。

エーシンダードマン(6着)は、淡々とした流れに乗って直線を向いてからジリジリと伸びてくるタイプだけに、早目に動かざるを得なかった展開では持ち味が殺された感がある。(9着・トウカイエリートも同様)

今回のレースは極端な展開だった。したがって、この一戦の結果だけでそれぞれの能力を比較することはできない。むしろ重要なのは、各馬が次走にどのようなレースを使い、どのような走りをするかということだろう。そこで初めて「ダイヤモンドSは展開が向いた」、あるいは「展開が向かなかった」という結論に達するものだと思う。



■ダイヤモンドS・結果

2009年2月15日 1回東京6日11R
第59回 ダイヤモンドS(GⅢ)
芝・3400m 晴・良

 1着 モンテクリスエス   北村宏  3.29.4
 2着 ブレーヴハート     小野    1+1/4
 3着 スノークラッシャー  松岡   1+1/4

単勝 9 690円(2番人気)
馬連 9-14 14890円  馬単 9→14 26950円
3連複 9-11-14 48790円  3連単 9→14→11 307420円

■ダイヤモンドS・予習

芝3400mのハンデ重賞・ダイヤモンドS。ハンデ頭の有力馬(08年・アドマイヤモナーク・57.5キロ)が勝つこともあれば、その一方で、1000万クラスの軽量馬が穴を開けるケース(08年・レーザーズエッジ・50キロ=3着、05年・ウイングランツ・51キロ=1着)もあり、狙いを絞りにくい難解なレースである。
特に今年の場合、トップハンデが56キロという斤量でもわかるように、抜けた馬のいない“波乱含みの一戦”。それゆえ、どの馬にもチャンスがあると見なされ、人気割れが予想される。

4歳馬のフローテーション(56キロ)は菊花賞2着の後、古馬初対戦となったGⅡ・ステイヤーズSでも2着。暮れのGⅠ・有馬記念は9着に敗れたが、道中ダイワスカーレットを追い詰めようとした結果と考えれば大健闘と言えるだろう。前走に続いてルメール騎手が騎乗。鞍上込みの東上で勝負気配も十分だ。
ただし、4歳馬に関して言えば、クラシック戦線での好走歴がそのまま実績として換算され実力以上に重い斤量を課せられる傾向があることも事実。05年には1番人気に支持された4歳馬・ハイアーゲームがハンデ57キロで4着に敗れている。
フローテーションについても、トップハンデに見合うだけの絶対的な信頼を置けるかといえば、現時点ではそこまでは言い切れない。このレースは、ステイヤーとしての強さと可能性をはっきりと示すことができるかどうかの“試金石”となるだろう。

07年のGⅠ・JCダートでは2番人気に支持されたドラゴンファイヤー。ダート戦線においては重賞で上位を賑わす実力の持ち主だ。実績を考えれば56キロのハンデは妥当だろう。
問題は芝適性。初芝のレースとなった前走・ステイヤーズSでは5着に入り、適性があることを示した形ではあるが、中山・3600mと東京・3400mは要求される走りの質が違ってくる。コーナーを8回通過し息を入れやすい中山に対して、東京は直線が長い分だけスタミナの持続力がモノを言うコース。さらに、最後の上がりにおける加速力も必要になってくる。この馬の評価は今回の走りによって決まる部分が多く、前走の結果だけでは安易な判断はできない。

フローテーションと同じく4歳馬のベンチャーナイン。ハンデは55キロ。東京コースにはプリンシパルS勝ちがあり、長い直線を利した末脚が魅力の1頭だ。
しかし、この馬もフローテーションと同様、過信は禁物だろう。常に能力を発揮できる信頼性が備わっていないし、追い込み一辺倒の脚質はどうしても不安定な印象が拭いきれない。

前2走で1000万、1600万を連勝してオープン入りを果たしたビービーファルコン。ここに来て長距離馬としての素質を開花させた感がある。ハンデも54キロで前走より3キロ減。
この馬の場合も、東京・3400mのスタミナ勝負に対応できる走りができるかどうかがポイントになるだろう。東京芝実績は<1・1・3・3>と悪くはないが、2連対はいずれも未勝利戦のもので距離も1800mと2000mだった。前2走は中山・2500mで勝っているが、少頭数で展開に恵まれたという声もある。

ビービーファルコンが勝った中山・迎春Sで2、3着に入ったのが、モンテクリスエスエーシンダードマン
4歳馬・モンテクリスエスはメンバー最速の上がりをマークしてハナ差の2着。先行有利のスローなレースだっただけに、ビービーファルコンよりも強い競馬をしたという評価もある。ハンデは軽量の53キロ。メジロトンキニーズ、トウカイトリック(06年)、エリモエクスパイア、アドバンテージ(07年)など、過去において軽ハンデの4歳馬が馬券に絡んだケースも少なくない。
3着のエーシンダードマンは昨年のこのレースの4着馬。07年の菊花賞4着以降、徹底して長距離路線を走り、ここにきてようやく安定した走りができるようになった。このレースで<2・2・1・4>という成績を残しているダンスインザダーク産駒。前年と変わらない53キロの斤量も恵まれたと見ていいだろう。

1000万を勝ったばかりのウォーゲーム(53キロ)も、鞍上が長距離レースに強い横山典騎手ということもあって、そこそこ人気になりそうだ。不安点をあげるとすれば、昨年暮れの最終週(12月27日)を使い、さらに年明けにすでに2戦を消化していること。過去10年で年明け2戦を走って連対した馬は2頭しかいない。

騎手という視点から見れば、同じく1000万勝ちから格上挑戦で出走してくるスノークラッシャー(52キロ)も面白い。鞍上の松岡騎手にとっては自身の重賞初勝利となったゲンのいいレース(05年・勝ち馬・ウイングランツ)で、07年にも10番人気のアドバンテージで3着という結果を残している。

その他にも、逃げを打てた時のドリームフライトや9歳馬ながら実績上位のトウカイエリートなど、名前をあげればキリがないが、あえてヒモの穴候補として取り上げてみたいのはブラックアルタイル。休養明け4走目で着実に調子を上げていることが期待できるし、昨年の別定GⅡ・AJCCでは3着の実績がある。東京コースは<0・3・1・2>と悪くない数字。斤量も昨年のこのレース出走時より1キロ減の54キロ。流れ次第では上位に食い込む可能性もあるだろう。


■共同通信杯・復習

レースレコード(1分47秒3)で2着馬に1+3/4馬身差をつける圧勝。ブレイクランアウトがこれまで勝ち切れなかった鬱憤を晴らすかのように、その“強さ”を見せつけた。
「すごい瞬発力だった」という武豊騎手の言葉通り、とにかく馬群を抜け出す時の反応が素早い。上がり3Fは、今開催の東京・芝のレースにおける最速の33秒6。“いつのまにか先頭に現れ、あっという間にゴールを駆け抜けていった”というのが正直な感想である。
武豊騎手の好騎乗も見逃せない。道中の折り合い、内が伸びる馬場状態を見抜いてインのすき間へ潜り込んだコース取り、仕掛けのタイミング、すべてが完璧と言えるものだった。
皐月賞は使わずにNHKマイルCからダービーへ進むプランが浮上しているとのことだが、いずれにしても、クラシック戦線の中心となる1頭であることは間違いないだろう。

トーセンジョーダンは直線で一度失速しながら再び盛り返して2着。非凡な能力と勝負根性を見せてくれた。陣営の思惑通り、馬込みの中で脚を溜める競馬ができたことも収穫だ。とはいえ、今回の競馬を見る限り、先行して押し切るスタイルの方がこの馬の強さを発揮できると思えたのも確かである。キレ味で勝るブレイクランアウトを“ダービー候補”と位置づけるならば、こちらは“皐月賞候補”という見方ができるかもしれない。

3着は9番人気のトップカミング。このレースまでに7レースを使っていたため、上がり目はないだろうと判断したのだが、逆に重賞を含めたOPクラスのレースで揉まれた豊富な経験がレースに活かされたようである。強さよりも上手さが光るタイプ。ヒモ候補から外せない、いわゆる“相手なりに走れる馬”という印象を受けた。

マッハヴェロシティは故障馬(ヒシポジション)の外を回らされるロスがあっての4着。しかし、ロスがなければ勝ち負けに加われたかというと、それは疑問である。直線では一旦外から伸びながら急失速。スピードにしろパワーにしろ、ある程度の持続性がなければ“クラシック候補”とは呼べない。安藤勝騎手が「馬がしっかりしてくれば楽しみ」とコメントしているように、現段階ではまだ力を付けている途上と考えた方がいいだろう。今後どのように成長していくか、注目していきたい。

5着はシェーンヴァルト。デイリー杯をレコード勝ちした馬だが、今回の結果で評価を大きく落としたようだ。ただし、ここで見限るのは早計ではないだろうか。イレ込み過ぎだった朝日杯のパドック。落ち着かせるために最後尾を周回した今回のパドック。いずれも関東遠征のレースである。仮に能力と気の悪さが同居しているタイプならば、輸送が苦手であっても不思議ではない。マッハヴェロシティ同様、いずれは馬が変わるキッカケとなるレースに出会えるはずだ。見逃さないように気をつけたい。

プロスアンドコンズ(3番人気9着)は、やはり過剰人気だった。新馬戦の結果(ロジユニヴァースに0.1秒差の2着)が注目を集めていたが、残念ながらまったく見所のないレースだった。頭角を現わすのはまだまだ先になるだろう。



■共同通信杯・結果

2009年2月8日 1回東京4日11R
第43回 共同通信杯(GⅢ)
芝・1800m 晴・良

 1着 ブレイクランアウト   武豊  1.47.3
 2着 トーセンジョーダン   松岡  1+3/4
 3着 トップカミング      蛯名   1/2

単勝 5 280円(1番人気)
馬連 3-5 610円  馬単 5→3 1240円
3連複 3-5-9 5670円  3連単 5→3→9 19920円

■共同通信杯・予習

クラシックの行方を占う3歳GⅢ・共同通信杯。「展開の紛れが少なく力量が試されるコース」として名高い東京・芝・1800mは、出走各馬の能力を判断する上で絶好の舞台と言えるだろう。
過去の傾向を見ると、99年の馬連10万馬券、昨年の3連単75万馬券のように大荒れとなった年もあるが、基本的には1番人気馬の連対率の高いレース(最近5年で4連対)で、上位人気同士の決着が目立つ。また、連対馬のほとんどが前走で重賞を走っており、500万を使った場合は1着でなければ馬券には絡めない。データ的には「高いレベルのレースを走った経験値と実績が必要」ということになる。

前走、GⅠ・朝日杯FS3着のブレイクランアウト。2走前のGⅢ・東スポ杯2歳S(2着)ですでにコース・距離は経験済み。鞍上は武豊騎手。朝日杯FSは右手骨折というケガをおしての騎乗だっただけに、自身の体調が万全となった今回は雪辱に燃えているはずだ。
ただし、この馬の場合、勝ち味に遅い印象が拭えない。東スポ杯ではナカヤマフェスタに競り負け、朝日杯ではフィフスペトルの外差しに屈している。“非凡な末脚のキレ”という高い評価を受けているが、勝ち切るだけの強さがあるかといえば、現時点ではまだまだ甘いように思える。2着馬に0.7秒差をつけた新馬戦の強烈な印象が、いまだにこの馬の評価の裏付けになっているのならば、過信は禁物だろう。

未勝利→500万→OPを3連勝してこのレースに臨むトーセンジョーダン。葉牡丹賞(500万)の2分0秒5、ホープフルS(OP)の2分0秒4は、この時期の2歳馬としては文句なしの時計である。父は01年にこのレースを優勝してダービーを制したジャングルポケット。言うまでもなく府中向きの血統だ。
気掛かりな点をあげるならば、陣営が「今回はためる競馬をさせてみたい」と明言していること。ここまでの3連勝は、いずれも先行して4コーナー先頭から後続を突き離す競馬。先々(特にダービー)を考えての思惑に違いないが、急な脚質転換で馬自身が戸惑うこともあり得る。
さらに、デビュー時に492キロあった馬体重が4戦で20キロ以上減り続けたことにも注意を払いたい。しっかりと間を空けたことで立て直しを図れたとは思うが、それでもまだ本調子ではないとしたら、前述した脚質転換も含めて今回は“試走”に徹する形になるかもしれない。

トーセンジョーダンと同じくジャングルポケット産駒のシェーンヴァルト。前走・朝日杯では内枠で窮屈な競馬を強いられ、見せ場もなく7着に終わった。広いコースに替わり距離が延びるのはこの馬にとって好材料。鞍上も内田博騎手に強化され今回は巻き返しが期待できる。ちなみに、内田博騎手はこの馬の感触を掴むために栗東まで調教に駆けつけている。

マッハヴェロシティもコース替わりがプラスに作用しそうな1頭だ。前々走の東スポ杯は直線で大きな不利(ブレイクランアウトと同じ33秒4の上がりをマークしながら6着)。前走のラジオNIKKEI杯2歳Sは荒れ馬場の上に4コーナーで他馬との接触があった。良馬場の広いコースで全力を発揮できた時にどんな走りを見せてくれるのか・・・。上位へ食い込む可能性も否定できない。

前走の500万・福寿草特別では4着に敗れたが、今回デムーロ騎手を帯同して参戦するプロスアンドコンスも不気味な存在。デビューから3戦連続で最速の上がりを記録。特に3戦目のOP・野路菊Sで勝ち馬ホッコータキオンを追い詰めたゴール前の伸びには目をみはるものがあった。キレ味勝負になればその末脚はひけをとらないだろう。ただし、ここはあくまで格上挑戦。過剰な人気を背負うかもしれないが、それに見合うだけの信頼性があるかどうかは疑問だ。

鮮度、あるいは成長力という点で注目したいのがショウナンアルディ。今回がデビュー3戦目だが、前走のOP・中京2歳Sでは前残りのレースで出遅れながらクビ差の2着まで詰め寄る脚を見せた。鞍上は土曜日の4RにJRA史上最速の100勝に到達して勢いに乗っている三浦皇成騎手。まだまだ未知数の部分が多い馬だが、ここで好走してクラシック戦線に名乗りを上げるかもしれない。

有力馬が末脚勝負を意識するのならば、逆に先行してスピードを持続できる馬を狙う手もある。
まず、ダイワプリベール。4ヶ月半の休み明けに加えて距離経験がマイルまでなので評価は下がるが、自分のペースで競馬ができれば複勝圏内に粘りこむ可能性もある。なにより、ここまで2戦2勝と、底を見せていない魅力がある。
大穴ならば、前走で中山・芝・2000mの新馬戦を逃げ切ったヒシポジション。新馬勝ちの後このレースに出走して馬券に絡んだ馬はここ10年で1頭もいないが、それはあくまでデータ上のこと。もし、横山典騎手が“決め打ち”的な乗り方に徹したら・・・。過去に例がないからこそ、気になる1頭でもある。



■根岸S・復習

根岸Sの勝ち馬・フェラーリピサを管理する白井調教師は、レース後に次のようにコメントしている。
「今回は半信半疑だった」
昨年秋、突然発症した原因不明の“顔面神経痛”のために、フェラーリピサは目標としていたJCダート出走を断念。今回のレースにあたっては、肉体的な立て直しこそ図れたものの、いざ実戦となった時にメンタル面でのダメージがどう影響するか、まったくわからない状態だったという。
しかし、そうした陣営の不安を拭い去るかのように、フェラーリピサは完璧な走りで快勝。OPクラスで5連続連対中という実績通りの強さを披露した。
道中3番手から直線で抜け出す理想的な競馬。勝ちタイムの1分22秒1は、自身の持つレコードと0.2秒差の速い決着。重馬場の時計勝負でこの馬のスピード能力が十分に発揮された形となった。

1番人気のバンブーエール(5着)は、やはり休み明けと59キロの斤量がこたえたようである。好位に控えることは作戦通りだったかもしれないが、直線を向いて追い出してからがサッパリ。前を行くセントラルコーストを射程圏に入れながらズルズルと後退し、最終的には勝ち馬に0.7秒差をつけられた。
次走はGⅠ・フェブラリーSを予定しているという。1走叩いたことと斤量減というプラス材料はあるものの、はたしてこの馬は距離が伸びていいタイプかどうか・・・。今回は勝ち負けにこだわらない叩き台だったと割り切って考えたとしても一抹の不安はある。

バンブーエールが直線で伸びなかったことで、そのあおりをもろに受けたのが6着のビクトリーテツニー。『根岸S・予習』で「インを突けるかどうかがカギ」と述べたが、最後までインが開かないままレースは終わった。「馬にかわいそうなことをした」という横山典騎手のコメントの通り、ジョッキーが追うことのできない不完全燃焼の走り。まったくの参考外として次走の巻き返しに期待したい。

行き場を失ったビクトリーテツニーとは反対に、巧妙に外に持ち出して直線勝負に賭けた、木幡騎手鞍上のヒシカツリーダー。最後は勝ち馬にクビ差まで迫る末脚を見せた。差し・追込タイプには不利な馬場状態だっただけに、大健闘と言っていいだろう。距離短縮を試みて4戦目のレースでこの内容。“自分の勝ちパターンを持った短距離ダートの差し馬”という評価を与えられるところまできたようだ。

3着のセントラルコーストも“番手でも競馬ができる”という大きな収穫があった。速い流れに乗ることができたし、最後まで脚色が鈍ることもなかった。まだまだ伸びしろのありそうな4歳馬。今後の短距離ダート戦線での活躍が楽しみである。

同じく4歳馬のナンヨーヒルトップ(7着)は行きっぷりが悪かった。藤田騎手は「前走で1800の競馬をしたせいかも」と語ったが、むしろ自分でペースの作れる1700~1800くらいの距離の方が向いているのかもしれない。近走のレースの使い方を見ると、陣営も試行錯誤を続けている様子。早く適性を見つけてダートの重賞戦線を賑わせる1頭になってほしい。

■根岸S・結果

2009年2月1日 1回東京2日11R
第23回 根岸S(GⅢ)
ダート・1400m 晴・重

 1着 フェラーリピサ     岩田   1.22.1
 2着 ヒシカツリーダー   木幡    クビ
 3着 セントラルコースト   内田博   3/4

単勝 11 700円(4番人気)
馬連 4-11 4150円  馬単 11→4 8150円
3連複 3-4-11 15980円  3連単 11→4→3 88500円

■根岸S・予習

GⅠ・フェブラリーSの前哨戦として位置付けられている根岸S。しかし、実際にはそれほど強い関連性があるわけではない。過去10年で根岸S→フェブラリーSを連勝した馬は、ノボトゥルーとメイショウボーラーの2頭のみ。スピードが優先される東京・ダート・1400mとスタミナを要求される同1600mの性質の違いが、そのまま結果につながっていると考えていいだろう。
関連性を重視するならば、むしろ近走使われている距離。根岸Sで馬券に絡んだ馬の多くは、前走GⅢ・ガーネットS(ダート・1200m・昨年まで1回中山開催で施行)での好走歴がある。逆に1600m以上からの距離短縮で結果を残した馬は数えるほどしかいない(しかもその多くは前走JCダート)。したがって、馬券攻略のカギはスピードタイプの短距離馬の取捨選択になりそうだ。

中心となるのは昨年秋の交流GⅠ・JBCスプリント(園田・ダート・1400m)を制したバンブーエール。逃げ・差し自在の脚質で現在4連勝中。3ヶ月の休み明けで別定59キロの斤量という課題はあるが、近走の“ブレのない”勝ちっぷりは強さの裏付けとして十分評価できる。
ひとつ気になるのは、陣営がすでにGⅠ・フェブラリーS出走を表明していること。賞金面では足りているだけに、このレースはあくまで“使い出し”という見方もできる。バンブーエールが本番を見据えて無理をしないレースをするようならば、先を考えずにここを目標にしている他の馬たちにもつけ入る余地がある。

上がり3F・34秒8の末脚で前走・カペラSをレコード勝ちしたビクトリーテツニー。オープン入りまでに時間はかかったが、ここにきてしっかり能力を発揮できるようになった。終いの切れ方を見る限り“府中の長い直線向き”という声が高いのもうなづける。
問題は馬場状態。当日のダートは不良もしくは重。差し脚が殺される馬場とまでは言いきれないが、土曜のレース(不良馬場)を見る限り先行馬が有利であることは間違いない。カペラS勝ちは重馬場ではあったものの、仮に今回大外後方一気の競馬になるようだとさすがに厳しい。最内の枠順を利して、直線で開いたインを突くことができるかどうか・・・。展開がポイントになるだろう。

短距離ダートへの路線変更を機に差し脚に磨きのかかったヒシカツリーダーについても同じことが言える。どのポジションからレースを運ぶか、どのように馬群をさばくか。職人・木幡騎手の手綱さばきに注目したい。

ダート路線の上がり馬と評されている4歳馬・ナンヨーヒルトップ。3走前の1600万下・秋嶺S(東京・ダート・1600m)では2着馬に1.1秒差をつける圧巻の走りを見せた。先行してさらに後続を突き離す競馬ができることはかなりの強調材料だろう。
不安点は短距離ダートの経験が少ないこと。スピード決着の“ガチンコ勝負”が予想されるだけに、自分の競馬をさせてもらえないケースも考えられる。

同じく4歳馬のセントラルコースト。ダート1400mでは<4・1・0・2>の実績を持ち、この距離のスペシャリストである。馬場を考えれば、逃げ・先行の脚質も有利に働くはずだ。
ただし、この馬の場合、今回がオープン初挑戦。1000万から2連勝と勢いは申し分ないが、クラスが上がれば当然ペースも変わる。ナンヨーヒルトップ同様、自分の競馬ができるかどうかがカギになる。鞍上が調子を上げてきた内田博騎手だけに軽視はできないが・・・。ちなみに、2005年にメイショウボーラーが勝利して以後、4歳馬はこのレースで1頭も馬券に絡んでいない。

東京・ダート・1400mの適性という点ではアドマイヤスバルも有力候補の1頭だ。この条件に限れば<3・1・2・0>と複勝圏内を外したことがない。昨年のこのレースでも他馬の故障という不利を受けながら3着の結果を残している。
この馬の取捨に関しては、近2走で芝を使ったことをどう考えるかだろう。陣営は「芝を使ったことで前半の行き脚が良くなるはず」とコメントしているが、穿った見方をすれば“ダートでは下降気味の状態だった”とも判断できる。好調時の走りができれば十分に戦えるのだが・・・。

フェラーリピサは東京・ダート・1400mのコースレコードホルダー。4ヶ月半の休養明けになるが、それ以前の5走はすべて連対という実績。
ただし、今回は中間に神経系統の病気を発症とのこと。割引が必要だろう。

勝ち切るまではいかないにしてもヒモとして面白そうなのは高齢馬の2頭。7歳馬のオフィサーと8歳馬のボードスウィーパー。いずれも東京・ダート・1400mに実績があり、年齢とともに脚質に自在性が出てきたところが“買い”の材料だ。
さらに、超伏兵として東京・ダートで3勝を上げているブイチャレンジ。ここではまだまだ敷居が高いとは思うし、追込一辺倒の脚質も信頼性に欠けるが、オープン初挑戦の前走・ギャクシーSでは出遅れながらもメンバー中最速の上がりで6着(7戦連続で2位以内の上がりをマーク)。中舘騎手のダンツキッスイが飛ばして流れが予想以上に速くなるようであれば、気楽な立場での“大駆け”もあるかもしれない。



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プロフィール

安東裕章

Author:安東裕章
東京都出身。2007年11月に書籍『競馬のツボ』、2008年7月に『競馬のツボ2』、2009年7月に『競馬のツボ3』を発表(いずれも総和社刊)。

このたび、拙著『競馬のツボ』を刊行していただいた出版社・総和社様の勧めもあって、ブログを始めることにしました。
競馬における一番の楽しみは、レースについて考えること。つまり予想です。
このブログを書くことで、自分でも週末のレースに向けてイメージを膨らませる訓練になるかと思います。
競馬について考えることが好きな皆様。レース予想に疲れて気分転換をしたい時など、よろしければフラッと遊びに来てください。

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