■2009年03月

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■高松宮記念・復習

スプリントGⅠ・高松宮記念を制したのは3番人気のローレルゲレイロ。スタート直後こそ大外枠のジョイフルハートにハナを奪われたものの、道中内から先頭に立ってからはマイペースに持ち込み、最後は競りかけるスリープレスナイトに半馬身差をつけてGⅠの栄誉を手にした。

それにしても、“枠順”の明暗がはっきりと出たレースだった。
掲示板に載ったのは、自分でレースを作った逃げ馬と内枠の馬のみ。今開催の中京芝コースにおける“有利・不利”がそのまま着順につながった。好走した馬にケチをつけるつもりはないが、GⅠレースとしてのレベルを考えた場合、「ここまで馬場状態に左右されていいものだろうか・・・」というのが正直な感想だ。たしかに1・2着馬のゴール前の攻防には見応えがあった。しかし、手に汗を握るような大激戦を期待したファンにとっては消化不良の一戦だったのではないだろうか。

ローレルゲレイロの勝因は、言うまでもなく“自分の競馬”が出来たことだろう。昆調教師が「今年は自信を持ってレースに送り出せる」と言ったように、状態そのものも絶好調だったようだ。先行馬に有利な馬場だったことは確かだが、この勝利は“馬自身の力によって手に入れたもの”として評価したい。

1番人気のスリープレスナイトは2着。専門紙をはじめ、ファンの間からも多くの不安材料が指摘されていたが、これだけの走りが出来たということは、自身の力を示すことはできたと言っていいだろう。もっとも、直線半ばで一旦は先頭に立ちながら、ローレルゲレイロに差し返されたのは、体調が完全ではなかったことが原因かもしれない。

3・4・5着には内枠の馬の名前が並んだ。いずれも15番人気、10番人気、12番人気という人気薄。『予習』の中でも述べた通り、これについては想定できた結果ではあるが、1・2着馬に突き離さた集団の中から馬場のいい所を走れた馬が上位に来たという印象が強い。

2番人気に支持されたファリダット(6着)は、現時点ではまだまだ“人気先行型”なのかもしれない。ここ数戦の内容にも言えることだが、レースの大勢が決まってから差し込んでくるパターンが目につく。もう少し自在性を備えて、ジョッキーの指示にすぐに反応できる柔らかい走りができるようになれば、結果につながると思うのだが・・・。

ビービ-ガルダン(4番人気)は外々を回される競馬になって、まったく見せ場がないまま終わった。初の左回りのレースに戸惑いもあったようだ。もっとも、今回に限っては参考外と考えてもいいだろう。阪急杯の時のように、スンナリと好位置を取れるような展開になれば、持ち前の渋太さを発揮できると思う。

キンシャサノキセキも馬群に沈んだ1頭。岩田騎手によれば「走りに力みがあった」とのことだが、初ブリンカーも少なからず影響したのかもしれない。実際、当日のパドックを解説していた競馬評論家は「落ち着きがなく神経質になっている」という意見を述べていた。

いずれにしても、今年の高松宮記念は例年とはまったく条件の異なる一戦だったことは確かである。冒頭でも述べたように、GⅠレースの結果が枠順の“運・不運”で決まってしまうのは残念でならない。公平な馬場状態を望んでいるわけではない。外が伸びない馬場でも一気に差しきれるような“強い馬”の登場を願っているのである。


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■高松宮記念・結果

2009年3月29日 2回中京6日11R
第39回 高松宮記念(GⅠ)
芝・1200m 晴・良

 1着 ローレルゲレイロ     藤田    1.08.0
 2着 スリープレスナイト    上村     1/2
 3着 ソルジャーズソング   北村友   1+1/2

単勝 13 760円(3番人気)
馬連 4-13 1750円  馬単 13→4 4410円
3連複 2-4-13 35840円  3連単 13→4→2 191140円



■高松宮記念・予習

春のスプリント王を争うGⅠ・高松宮記念。今年は例年以上の混戦模様で、前日売りの時点で3連複の1番人気は30.7倍、3連単では112倍がつくほどの人気の割れ方になっている。出走馬の取捨選択・買い目の決定に関しても、さまざまな角度からの検討が必要だろう。

昨年秋のGⅠ・スプリンターズSの優勝馬で、実績面で最も高く評価できるのがスリープレスナイト。1200mの距離では現在8連勝中。ダートから芝へ路線変更を行った昨年の6月以後は、GⅢ・CBC賞→GⅢ・北九州記念→GⅠ・スプリンターズSと重賞を3連勝し、一躍スプリント界のトップへ駆け上がった。前売りの単勝オッズは3.5倍(1番人気)。競馬ファンは“レースの中心はこの馬”という見方をしているようだ。
マイナス材料は言うまでもなく6ヶ月の休み明けでGⅠを使うこと。しかも、外傷やじん麻疹といったアクシデントが原因であるため、ローテーション的にはかなりの誤算が生じている(予定していた香港遠征やドバイ遠征を自重)。実力通りの走りができればアッサリ勝っても不思議ではないが、状態面での不安がある以上、やはり全幅の信頼は寄せづらい。

スリープレスナイトが勝ったGⅠ・スプリンターズSで2着に入ったキンシャサノキセキ。昨年のこのレースの2着馬でもある。この馬の場合、前哨戦として使った前走・オーシャンSの10着をどのように評価するかがポイントになるだろう。たしかに、休み明けで余裕残し(10キロ増)の馬体、差し脚を活かせない道悪馬場といった不利な条件が重なったことは事実。しかし、たとえ叩き台のレースでもそれなりの結果を出せないようでは、GⅠで勝ち負けを期待できる馬としては物足りない。
今回はブリンカーを着用するとのことだが、これについても2通りの考え方ができる。「勝つためにさらに集中力を高めるための作戦」なのか、「調子が上がらないことを補うための窮余の策」なのか。普通に考えれば、休み明けを1戦使ったことで上積みが見込め、前走以上の走りを期待できるはずなのだが・・・。

一方、休み明け初戦でキッチリ結果(GⅢ・阪急杯1着)を出したのがビービーガルダン。昨年夏の北海道シリーズから頭角を現わし、秋のスプリンターズSでは3着という結果を残している。前走でそれまで苦手としていた阪神コースを克服できたことは、馬自身に脚質や精神面での上がり目があることを証明したと見なすこともできる。
3月に施行時期が移ってからの高松宮記念の傾向のひとつとして、“前走、阪急杯で5着以内に好走した馬が9年連続連対”があげられるが、その点からもビービーガルダンに期待する声は大きい。
問題は騎手の乗り替わり。主戦の安藤勝騎手がドバイ遠征のため騎乗ができないため、今回は代役として武幸騎手のテン乗りとなる。お手馬度が高かっただけにGⅠの大一番での乗り替わりには一抹の不安がある。さらに、8枠16番という枠順も先行するこの馬にとってベストとは言えない。スタートで好位置を取るためには多少なりとも脚を使わなければならない。仮に、外々を回らされ続けるようなレース展開になった場合、この馬の力を発揮できないまま終わることも考えられる。

阪急杯でビービーガルダンから0.2秒差の2着だったローレルゲレイロ(昨年の4着馬)。同型のサープラスシンガーが除外になった時点で“逃げ宣言”を発した。陣営のコメントによれば、「昨年は阪急杯で結果が出たのでその勢いで高松宮記念を使ったが、今年は最初からここが目標」とのこと。つまり、調整過程が違うということだ。鞍上は藤田騎手。外寄りの13番ゲートではあるが、強引にハナを奪い、この馬のペースでレースを進めることは容易に想像がつく。現在の中京の馬場は前が残りやすく外差しが決まりにくいだけに、買い目としては押さえておくべきかもしれない。

実績馬として名前をあげるならば、昨年のこのレースを制したファイングレインもその1頭だ。前走の阪急杯は休み明けで59キロを背負って11着。本来ならば、ここで変わり身を・・・と期待したいところだが、前年の高松宮記念を勝って以降は一度も連対がなく、残念ながら以前の勢いは感じられない。昨秋のGⅠ・マイルCSでは3着に入ったが、これは“1200m戦のスピードでは追走できなくなった馬が、距離延長の緩いペースがプラスに作用して差し脚が決まる”というパターンの典型だろう。一変の可能性はゼロとは言えないが、スプリンターとしてのピークは過ぎた感がある。

中京芝<3.0.2.2>の実績を持つアーバンストリート。前走のシルクロードSでは、54キロのハンデとはいえ、大外から末脚を繰り出して重賞初制覇を成し遂げた。今回、57キロに斤量は増えるが、得意のコースで戦えることは間違いなくプラス材料だ。
もっとも、一線級が顔を揃えるレースへの出走は今回が初。揉まれる競馬になった時にスムースに抜け出してくることができれば好勝負になっても不思議はない。このGⅠはアーバンストリートがスプリント路線の主役クラスになれるかどうかの試金石と呼んでもいいだろう。

重賞勝ち馬がその都度変わり、中心馬が不在と言われるスプリント路線。となれば、先にあげたアーバンストリートも含めて新勢力にも注目したい。
中でも競馬ファンから最も期待されているのがファリダット。母はスプリント女王のビリーヴで、デビュー時から常に人気を背負ってきた馬である。ただし、近走の成績が示す通り、この馬のウイークポイントは“勝ち切れない”こと。末脚で勝負するタイプだけに、どうしても展開に左右されてしまう。
京都金杯(1600m)→阪急杯(1400m)→今回(1200m)と、徐々に使うレースの距離を縮めていくローテーションには工夫が見られるが(昨年のキンシャサノキセキもこのローテ)、ローカルの小回りコースでこの馬の能力が発揮できるかというと、多少なりとも疑問である。今後のスプリント戦線の主役候補として名乗りを上げてもらいたい1頭ではあるが・・・。

それまで得意としていた芝1600m・1400mから、1200mに距離を短縮して2連勝の結果を残したアーバニティは、一気にGⅠの舞台に上がるまでに至った。スタートダッシュに難はあるものの、直線で抜け出してからの“ひと伸び”には非凡なものがある。
前走のオーシャンSでキンシャサノキセキを下しているとはいえ、目イチ仕上げの一線級と対戦するのは今回が初。GⅠのタフで速い流れの中でこの馬の競馬ができるかがポイントになる。
さらに、連闘後、中2週という使い方がどうなのか・・・。勢いがあり、昨年のファイングレインをイメージさせるものもあるだけに、狙ってみたくなる1頭には違いないが、過信は禁物かもしれない。

デビューから9戦して<4.3.1.1>という安定した成績を残しているドラゴンファング。本来、1400mがベスト距離だが、先行力と抜け出してからさらに後続を引き離す加速力は、1200mでも通用する可能性がある。前走の阪急杯は3着だったが、1・2着馬にはかなり離されていた。矢作調教師は「東京遠征の疲れが残っていたためで、今回は万全」とコメントしている。スプリントGⅠの流れにスムーズに乗れればという条件はつくが、脚質的には前述の2頭(ファリダット、アーバニティ)よりもこのレースに向いているのではないだろうか。

穴馬を絞ることは難しいが、今開催の中京・芝1200mの人気薄激走のパターンをひとつあげておきたい。それは、ラチ沿いのインから抜け出してくる差し馬である。例としては、3月22日に行われた、1600万下・トリトンSで、最内を突いて2着に入った11番人気のエネルマオー。
条件は内枠に入っていること。つまり、外に持ち出さずに内を突く位置で競馬ができるタイプである。今回の高松宮記念では、ソルジャーズソング、アポロドルチェ、トウショウカレッジがその候補になりそうだ。また、差し馬ではないが、1枠1番に入ったコスモベルも、立ち回り方ひとつで内から抜け出してくる可能性がある(同じ1枠1番に入ったオーシャンSと同じ走り)。

最後に、『競馬のツボⅡ』に書いた、“東京芝1600mで好走した馬は、相似コースの中京芝1200mでも好走の可能性が高い”の項目にあてはまる馬を列挙しておこう。

 アポロドルチェ  OP・いちょうS3着
 トウショウカレッジ  GⅢ・冨士S3着
 キンシャサノキセキ  GⅠ・NHKマイルC3着、OP・キャピタルS勝ち
 ファイングレイン  GⅠ・NHKマイルC2着
 アイルラヴァゲイン  GⅠ・NHKマイルC3着
 ローレルゲレイロ  GⅠ・NHKマイルC2着、GⅢ・東京新聞杯勝ち
 ドラゴンファング  500万下勝ち (東京芝1400mでは2勝2着3回)
 アーバニティ  1600万下・紅葉S3着

このうち、キンシャサノキセキ、ローレルゲレイロ、ドラゴンファング、アーバニティの4頭の芝1600mの持ち時計は、東京コースで記録されたものである。


■スプリングS・復習

皐月賞最終トライアルのスプリングSは、アンライバルドが前評判通りの“強さ”を発揮して快勝した。
特筆すべきは瞬発力。雨で湿った馬場と1000m通過が62秒6という超スローペース。差し馬には不利な条件をものともせず、外々を回って差し切った脚は見事だった。
『予習』の中で取り上げた不安材料も、この結果を見せつけられては、いらぬ心配だったとしか言いようがない。輸送も中山の坂も無事にクリア。向正面まではいくぶん折り合いに欠いたものの、3コーナーから加速した後はこの馬の独壇場。レースを経験するごとに走りから“幼さ”が消えていくのは、見ていて実に頼もしい。
本番の皐月賞では、先行型のロジユニヴァース、リーチザクラウンを目標にしてレースを進めることだろう。今からその対決が楽しみである。

2着には8番人気のレッドスパーダが入った。前に行った馬で掲示板を確保できたのはこの馬だけ。つまり、スピードの持続力が卓越しているということである。レース後、藤沢和雄調教師は皐月賞には出走せずマイル路線へ向かうことを表明したが、この馬のスピードを活かすためには賢明な判断に違いない。アンライバルドのキレの良さが際立つ一方で、この馬のセンスの良さも戦前の評価通りのものだった。

3着はフィフスペトル。弥生賞を回避したローテーションの“乱れ”と1800mの距離が不安視されていたが、しっかりと馬券圏内に入ってきた(ただし、末脚に関していえば、マイル以下の方がよりキレるように思えるのだが・・・)。アンライバルドとの力差がはっきりしたという声も多いが、反面、休み明けの初距離で3着という結果は、この馬の能力が非凡なものであることの証明でもあった。適性に幅があり、コースや距離が変わっても確実に上位に食い込んでくるタイプ・・・例えるならば、3歳時のドリームパスポートのような馬なのかもしれない。そういう意味では、今後どのような走りを見せてくれるのか楽しみな1頭である。

4着はサンカルロ、5着にはセイクリッドバレー。先行有利の展開を前提としていたため、『予習』では名前を上げなかった2頭だが、直線勝負になった場合には力を出せることがわかった。もっとも、良馬場で速い流れになった時、さらに末脚を発揮できるかというと、この一戦だけでは正直何とも言えないところ。やはり、最後の最後で後ろからなだれ込んできたという印象が拭えない。

「意識的に前のポジションを取りに行った」(後藤騎手)というリクエストソング(3番人気・7着)は、結果的に作戦が裏目に出てしまった。超スローペースで前へ行こうとしたため、道中は掛かりっぱなし。まったく力を出せずにレース終わった感がある。賞金的にどうかだが、皐月賞に出走できた場合には、巻き返しに期待したい。今回とは違うレースの流れになるはずだ。

いずれにしても、アンライバルドが強い勝ち方をしたことで、皐月賞への興味がさらに高まったことは確かである。


■スプリングS・結果

2009年3月22日 2回中山8日11R
第58回 スプリングS(GⅡ)
芝・1800m 雨・良

 1着 アンライバルド   岩田     1.50.8
 2着 レッドスパーダ   北村宏     1/2
 3着 フィフスペトル    武豊       3/4

単勝 12 230円(1番人気)
馬連 7-12 3090円  馬単 12→7 4130円
3連複 2-7-12 5410円  3連単 12→7→2 24710円

■スプリングS・予習

皐月賞への最終トライアルとなるスプリングS。今年の3歳牡馬戦線はロジユニヴァース(2週前に弥生賞を完勝)を中心に動いているが、このレースも“本番の皐月賞でロジユニヴァースと好勝負できる馬が現れるか?”がテーマになるだろう。アントニオバローズやナカヤマフェスタの名前はないが、出走メンバーはなかなかの顔ぶれ。もっとも、予想に関しては難解な一戦である。

1番人気が予想されるアンライバルド。前走のOP・若駒Sでは2着馬に0.6秒差をつける圧勝。直線半ばで先頭に立つと、後続を一気に突き離す走りを見せ、素質(兄にフサイチコンコルドを持つ良血)と能力の高さを強くアピールした。デビュー戦でリーチザクラウン、ブエナビスタを破り、早くからクラシック候補として期待されていた馬だけに、今回の前哨戦をあっさりクリアしても不思議ではない。
ただし、不安点もいくつかある。そして、それはこの馬の“経験の浅さ”に関係している。
アンライバルドにとってこのレースは重賞初挑戦となるわけだが、過去10年のスプリングSのデータでは、重賞初挑戦で連対した馬は20頭中わずかに2頭しかいない。また、これまでの3戦はいずれも少頭数だったことから、フルゲートのレースでスムーズに立ち回れるかどうかという懸念もある。
気性の幼さも問題だ。3着に敗れた2走前の京都2歳Sはイレ込みが激しく道中折り合いを欠いて行きたがっていた。精神的に未熟な部分を残しているならば、初の関東遠征がマイナスの影響を及ぼすかもしれない。
京都コースでしかレースをしていないことも不安要素のひとつに数えられる。今回の舞台となる中山芝1800mはスタートから第1コーナーを迎えるまでの短い距離の間に好位置を取れるかどうかが勝負のポイント。はたしてそういう競馬ができるかどうか・・・。さらに、幅が狭く直線に坂のあるコースもこの馬にとっては初体験となる。
アンライバルドに対する各専門紙の評価はいずれも高い。しかし、そこに“ロジユニオヴァースのライバル”という期待値が上乗せされているのならば、先週(フィリーズレビュー)のミクロコスモスと同じように、力を発揮できずに終わるケースもあるかもしれない。

武豊騎手を鞍上に迎えたフィフスペトル。GⅠ・朝日杯FS2着を含む4戦4連対の成績は、出走メンバーの中でもトップと言っていいだろう。
しかし、今回に限っては半信半疑である。弥生賞を回避した後に“皐月賞をパスしてNHKマイルCを目標にする”というプランが浮上したことを考えると、今回は自身の距離を試すことが目的ではないかという見方もできる。つまり、優先出走権を取れた場合には、皐月賞を経由してNHKマイルCへ向かうローテーションも選択肢に加えようという陣営の計算があるのではないだろうか・・・。
実際、この馬にはマイルまでの経験しかなく、朝日杯の仕掛けを見る限り、一瞬の脚で勝負するタイプのようにも思える。1800mへの距離延長でキレ味勝負に持ち込めるかどうか。まして、今回は朝日杯以来の休み明け。折り合いをつけながらレースを運べるかという不安もある。能力の高さは認めるが、今回はベストの条件とは思えない。

きさらぎ賞2着のリクエストソング。この馬も4戦4連対と安定した成績を残している。アンライバルド同様、関西からの初輸送となるが、坂のある阪神コースを経験している強味はある。関西馬ながら、デビュー戦から騎乗を続けているのは関東の後藤騎手。中山コースを知り尽くしているジョッキーが乗ることは間違いなくプラスだろう。
ポイントとなるのは道中の位置取り。土曜日に行われた芝の特別戦では、前に行って内を進んだ馬が馬券に絡んでいた。したがって、きさらぎ賞のような後方からの追い込みでは届かないだろう。1枠1番の枠順を利して好位からの競馬ができれば、結果がついてくる可能性も高いはずだ。

札幌2歳Sでロジユニヴァースの2着に入り、京都2歳Sではアンライバルドを破っているイグゼキュティヴ。実績面を考えると上位人気に支持されそうな1頭だ。長く脚を使えるタイプだけに、立ち回りひとつで馬券圏内に入ってくる可能性はある。
問題は仕上がり具合。3ヶ月の休み明け、しかも、共同通信杯を使うはずだった予定を熱発で回避した経緯がある。中間の乗り込みが少ないのも不安材料だ。

先行有利の馬場を考えると、中京2歳Sを逃げ切り勝ちしたメイショウドンタクも候補の1頭。さらに、アーリントンC(レベルの低かったレースと言われているが)で先行して2着に粘ったマイネルエルフも面白い存在だ。共に、芝の1800mは<2.0.0.2><1.0.1.0>と経験が豊富であり、特にマイネルエルフは、札幌で好走・東京で大敗という結果が示すように、瞬発力勝負にならない時計のかかる馬場を得意としている。勝ち切るまでは難しいとしても、ヒモには押さえておきたいタイプだ。

穴馬としては、前走500万を勝って重賞に挑戦してしてくる2頭に少なからず魅力を感じる。
まず、レッドスパーダ。東京コースでしか結果が出ていないが、スタートが良く好位を確保できるセンスの良さが評価されている。
もう1頭はサイオン。ダートで勝ち上がってきたので芝に関しては未知数だが、フサイチリシャール(3年前のこのレースの2着馬)の弟という血統。調教もこれまでの坂路からコース追いに変更するなど、「芝で勝負したい」という陣営の勝負気配が伝わってくる。


■コメントへの御礼・2

Yoshiさん、KANATOさん。
コメントをいただき、ありがとうございます。
さらに、拙著を読まれているということで、
ただただ恐縮です。

競馬とは楽しむものだと思っています。
予想を楽しんで、レースを楽しんで、
そして、時々馬券が当たって・・・(笑)

そのためにも、いろいろな見方ができるようになりたい、
楽しさの幅を広げたい、と思っています。
これからもがんばります。
よろしかったら、また遊びに来てください。


安東 裕章

■コメントへの御礼

当ブログにコメントをいただいた、ひひんさん(09/03/08)、Tさん(09/03/19)。
読んでくださる方がいると知って、とても励みになりました。
この場を借りて御礼申し上げます。
ありがとうございました。

週末のレースに向けて思ったままを書き連ねているだけなので、
役に立つ内容とは言えないでしょうが、
時間がありましたら、また遊びに来てください。


安東 裕章



■フィリーズレビュー・復習

桜花賞への切符を手にしたのは、6番人気・ワンカラット、3番人気・アイアムカミノマゴ、15番人気・レディルージュの3頭。3連単配当が66万にもおよぶ波乱の決着となった。

勝ち馬のワンカラットについては、『予習』の中で述べたように休みの間にどれだけ成長しているかがポイントだったが、2歳時とは別馬のような素晴らしい走りを見せてくれた。騎乗した藤岡佑騎手も「勝因は精神面での成長に尽きる」と語っている。スタートから好位のポジションを取るまでの無駄のなさ、阪神JFでの“掛かりっぱなし”が嘘のような道中の折り合い、そして、最内を抜け出してくる時の反応の良さ。最後は2着馬に1+1/4馬身差をつける快勝だった。
思えば、新馬戦勝ちの後は、すべて重賞レースを使われてきた馬である。実戦で揉まれてきた経験値が自身の成長に伴って“強さ”という形として表れたのかもしれない。
ブエナビスタより前で競馬ができることがこの馬の強味。桜花賞本番でも期待したい1頭である。

2着に入ったアイアムカミノマゴは、2走前の追込でも前走の逃げでもなく、中団の前でレースを進めた。おそらく、この位置取りがこの馬にとってのベストポジションだろうし、実際、馬群を抜け出してからの伸びには見所があった。ただし、ワンカラットに比べると、現時点ではキレの良さで見劣りする感もある。桜花賞で結果を出せるかというと少々疑問だが、早めに抜け出して後続を突き放すような競馬が身についてくれば、今後の牝馬戦線で上位争いができるようになるだろう。

波乱を演出したレディルージュ(15番人気・3着)は、『予習』の中でも触れた通り、馬場状態を味方につけたことが好走につながった。やはり、穴馬の資格はあったわけである。
直線を向いてから手ごたえが怪しくなった阪神JFの走りと比較してみると、この馬にとって1400mはベストの距離なのかもしれない。今回の結果がフロックだとは思わないが、マイル戦の桜花賞でさらに良馬場になった場合には、苦しい走りを強いられるかもしれない。

単勝オッズ1.6倍の支持を受けたミクロコスモスは勝ち馬から1秒差の4着。鞍上の武豊騎手は「この馬らしさがなかった。よくわからない・・・」とコメントしているが、敗因は“外を回る差し馬には不利な馬場状態”と“ローテーションの変更による調整の狂い”に違いないだろう。
阪神JFで見せた強烈な末脚の幻影・・・。『競馬のツボ 2』の中でも書いたことだが、「強い走りのイメージ」が予想を狂わせることがある(本の中ではサダムイダテンとフサイチホウオーを例にあげた)。展開が向かないことはわかっていたし、体調面での不安要素を考えれば、ここまで人気を背負うことはなかったはず。裏を返せば、本番でのブエナビスタとの対決を期待するファンがいかに多かったかということだろう。
桜花賞出走は賞金が足らないために絶望的と言われている。仮に、このレースで権利が取れていたとしても、本番では今回無理をさせたツケがまわってきたかもしれない。今後のために、しっかりと立て直してほしい。

2番人気のショウナンカッサイ(7着)は控える競馬を試みたが、結果的に馬自身の持ち味を出せないまま終わってしまった。現状では前々で自分のペースで走るのがベスト。幸騎手も「前で粘りこむ形の方がいい」とコメントしている。桜花賞出走に足りる賞金をすでに収得している以上、揉まれる経験をすることは必要かもしれないが・・・。少なくとも、休養中にどれくらい成長したかを判断できる内容ではなかった。

権利は取れなかったが今後につながる走りを見せた馬もいる。
まず、メンバー1の上がりで5着に入ったアイレンベルク。差し脚が活かせて外が伸びる馬場になれば、さらにキレ味を増すだろう。
もう1頭はハナを切ったラヴェリータ(6着)。大外枠からのスタートで脚を使ったために最後は止まったが、スピードの乗り方はなかなかのものだった。ダートを勝ち上がってきた馬だが、芝でも短距離ならば通用する素地を持っているように思う。




■フィリーズレビュー・結果

2009年3月15日 1回阪神6日11R
第43回 フィリーズレビュー(GⅡ)
芝・1400m 晴・良

 1着 ワンカラット       藤岡佑  1.22.4
 2着 アイアムカミノマゴ   福永    1+1/4
 3着 レディルージュ     鮫島    1+ 1/2

単勝 7 1850円(6番人気)
馬連 6-7 5820円  馬単 7→6 14640円
3連複 6-7-13 109610円  3連単 7→6→13 668740円

■フィリーズレビュー・予習

桜花賞トライアルとなるGⅡ・フィリーズレビュー。1週前のチューリップ賞は2歳女王・ブエナビスタ(単勝1.1倍)が能力の違いを見せつけて完勝したものの、2、3着には人気薄が食い込み、「ブエナビスタ以外は混戦」という3歳牝馬戦線の現状勢力図を露呈する結果となった。このレースも伏兵の台頭を頭に置いて考えた方がいいかもしれない。

1番人気が予想されるのはミクロコスモス。前走のGⅢ・クイーンCでは好位を追走しながら、直線で前が塞がり脚を余しての4着。今回は阪神JF(3着)と500万下(1着)で持ち前の末脚を発揮した阪神コースに戻る。ブエナビスタと同じ舞台に上がるためにもここは落とせない一戦だ。
ただし、当初、陣営が考えていたローテーションは、クイーンCで賞金を加算してそのまま桜花賞へ直行するというもの。いわば、ここは予定外のレースで、調整の狂いが生じることも十分考えられる。さらに、阪神コースでの好走はいずれも外回りのマイル戦で、今回内回りの1400mに条件が変わることは“外差し”と“キレ”で勝負するこの馬にとって、マイナス材料であることは明らかだ。単勝支持率がどれくらいになるかはわからないが(予想では2倍台)、人気に比例するだけの信頼性があるとまでは言い切れないだろう。

アイアムカミノマゴは、前2走とも馬券には絡めなかったが、レース内容そのものの評価は高い。2走前の紅梅Sはスローペースを外から追い込んでの4着。前走のエルフィンSはハナに押し出される形でそのまま粘って4着。脚質に自在性があることを証明した。
もっとも、新馬と500万はともにダート戦を勝ち上がったもの。どんなに内容の濃いレースであっても、結果として勝ちきれなかったこともまた事実である。人気の1頭になりそうだが、過信は禁物だ。

年明けデビューから2連勝して重賞に挑むスイリンカ。上昇度という点では魅力の1頭である。先行力とパワー型の走りが“売り”とされていて、今の阪神の馬場に合うという声も多い。
不安点は2つ。ひとつは、レースで揉まれた経験がないこと。もうひとつは、馬体重である。初戦は422キロの小柄な体だったが、2走目はさらにマイナス8キロ。この馬の取捨選択については、馬体が維持されているかどうかの確認が必要かもしれない。

阪神JFでは先行して4着(3着のミクロコスモスとは0.2秒差)に粘ったショウナンカッサイ。3ヶ月の休み明けになるが、このレースでの復帰は予定通りとのこと。芝1400mは2戦2勝で、阪神ではOP・いちょうSの勝ち鞍がある。直線最後で脚色が鈍った阪神JFの走りを見れば、今回距離が1F短縮されることはこの馬にとって好材料。あとは、テンションの問題。休み明けでも落ち着きがあれば、力を発揮できるはずだ。

同じく休み明けとなるワンカラット。牡馬相手のデイリー杯2歳Sで0.5秒差の6着に健闘した実績が光るが、続くファンタジーS2着は超スローの展開に恵まれた感がある。もう一押し足りないタイプだっただけに、今回の放牧でどのくらい成長したかがポイントになるだろう。

阪神JF(13着)を除けば、常に馬券に絡んで安定した成績を残しているチャームポット。好位でも後ろからでも競馬ができるタイプでセンスの良さを感じさせる馬である。
ただし、<1.2.1.0>の実績はすべて京都コースでの結果。穿った見方をすれば、阪神JFの惨敗の要因は直線の坂にあるのではないかとも推測できる。今回はその点に注目してみたい。

桜花賞の優先出走権とは関係なく、“1600mでは距離が長いが1400mならば・・・”という理由から、このレースに目イチの勝負をかけてくるタイプもいる。
例えば、コウエイハート。芝1200mの小倉2歳Sでは2着。対して芝1600mの阪神JFではしんがり負け。先行して押し切るスタイルにはスプリンターとしての資質が強く出ている。前走・紅梅S(1着)では1400mを克服。陣営も「先のことはともかくこのレースが目標」と表明しているだけに、ここは勝負駆けだろう。

1400mの距離にこだわるならば、<2.2.1.1>の実績を持つアディアフォーンと、<2.1.0.1>のアイレンベルグが面白い。共に1600mになると<0.0.0.2>と結果を出せていない。付け加えれば、芝1400mの持ち時計の1位、2位はこの2頭である。適性という意味では侮れない存在だ。

今開催の阪神の芝状態についても考慮が必要かもしれない。阪急杯をビービーガルダンで制した安藤勝騎手は、芝コースの状態について「重くてパワーを要求される馬場」と評している。それゆえ、阪急杯の勝因として、札幌の重い芝で好走歴のあったビービーガルダンに合う馬場だったという意見もあった。
今回、馬場状態に言及して「ウチの馬に合う」とコメントした陣営があった。レディルージュスペシャルクイン。どちらも先行型である。週末の雨の影響で良馬場発表でも緩さが残ることは間違いない。馬場状態を味方につけた思わぬ伏兵の台頭があっても不思議ではない。


■弥生賞・復習

単勝1.3倍。断然の1番人気に支持されたロジユニヴァースが、無傷の4連勝で弥生賞を制した。
これまでの先行抜け出しの競馬から一転してハナを切っての逃げ切り勝ち。横山典騎手は「他に行く馬もいなかったし、テンションが高めだったので最初から逃げる作戦も考えていた」とコメントしているが、結果的にロジユニヴァースは、自分でペースを作ったことで有利な展開に持ち込めることができた。つまり、ハナを切ることによって他の有力馬の決め手を封じ込める形になったのである。
逃げるかと思われていたアーリーロブストは無理に競りかけることができず控えるレースになり、セイウンワンダーはロジユニヴァースのペースに合わせる走りしかできなくなり仕掛けのポイントを定められなかった。もちろん、脚質を変えても“強い競馬”ができたことは、ロジユニヴァース自身の能力の高さの裏付けであることは言うまでもない。終わってみれば完勝。皐月賞本番でどのような走りを見せてくれるのか楽しみだ。

2着には『予習』で穴として推奨したミッキーペトラが入った。やや重の馬場で内を通った先行策が結果に結びついた形だが勝ち馬との力差は歴然。トライアル2着とはいえ皐月賞の有力候補に急浮上したかといえば疑問である。これは3着のモエレエキスパートについても同じ。外を回ったケイアイライジン(5着)と伸び脚を比較すれば、ポジションとコース取りの差がそのまま着順の差になったように思える。少なくとも、本番でロジユニヴァースとの逆転を予感させるほどの見所はなかった。

2番人気に支持されたセイウンワンダーは8着。プラス12キロの馬体重が示すように、完調には遠い余裕残しのままの出走だったようだ。もっとも、今回の負け方は、キレ味勝負の馬が緩い馬場でスローペースに泣かされる典型的なパターン。仮に本番が良馬場で違う馬が流れを作るような展開になれば結果も変わってくるはず。専門家の評価は大きく下がったようだが、この一戦で見限るのは早いのではないだろうか。まったく競馬をしていない分、逆に変わり身が期待できるようにも思えるのだが・・・。

「緩い馬場に脚を取られてリズムに乗れなかった」(福永騎手)というコメント通りならば、アーリーロブスト(3番人気・6着)も馬場が合わなかったことになる。たしかに自分のスタイルに持ち込むことができないまま見せ場もなく終わった。ただし、皐月賞にこだわらず先を見据えて考えた場合、今回控えるレースをしたことは脚質の幅を広げる意味では大きな経験になったかもしれない。

いずれにしても、ロジユニヴァースの“強さ”だけが光った一戦だった。しかも、今回はこれまでと違う作戦での勝利。“どんな競馬でも勝てる馬”というイメージが強く刻まれた。
本番の皐月賞で対抗できる馬は現れるのか。残り少なくなったトライアル(スプリングS,若葉S)の結果、特に今回の弥生賞を回避したアントニオバローズ、ナカヤマフェスタ、フィフスペトル(ニュージーランドTからNHKマイルCへ向かうというプランも出ているが)の走りに注目したい。



■弥生賞・結果

2009年3月8日 2回中山4日11R
第46回 弥生賞(GⅡ)
芝・2000m 曇・やや重

 1着 ロジユニヴァース    横山典  2.03.5
 2着 ミッキーペトラ     田中勝  2+1/2
 3着 モエレエキスパート  松岡     1/2

単勝 10 130円(1番人気)
馬連 2-10 1930円  馬単 10→2 2180円
3連複 2-5-10 8620円  3連単 10→2→5 26930円

■弥生賞・予習

3着までに皐月賞の優先出走権が与えられる、トライアルレース・弥生賞。
出馬登録の時点では、重賞ウイナー6頭が出走するということで激戦が予想されたが、ナカヤマフェスタ、フィフスペトル、アントニオバローズが相次いで回避。最終的に出走頭数もわずか10頭となり、残念ながら当初ほどの盛り上がりは望めないようだ。

専門紙やスポーツ紙の多くは“3強対決”という見方をしているが、その中でも最も有力視されているのがロジユニヴァース
デビューから無傷の3連勝。前走・ラジオNIKKEI杯2歳Sはリーチザクラウンに4馬身差をつける圧勝だった。負けたリーチザクラウンが次走・きさらぎ賞で2着馬に3馬身半差をつけて勝っていることを尺度にすれば、この馬の現時点での能力が卓越していることがわかる。
先行抜け出しタイプだけに、決め手勝負になった場合にどうかという懸念もあるが、週中の雨(当日も雨予報)の影響で先行有利の馬場になる公算が高い。戦前の評価を覆すほどの“道悪下手”でなければ、馬券圏外に消えることはないだろう。

2歳GⅠ・朝日杯FSを制したセイウンワンダー。新潟2歳Sでは大外から34秒4(不良馬場)の末脚を繰り出し、朝日杯では内から馬群を割るように伸びて接戦をモノにするなど、どのような展開になっても自在にレース運びができる強味がある。“凄さ”や“器の大きさ”という点ではロジユニヴァースに一歩譲るとしても、“完成度の高さ”ではこの馬も負けていない。
不安点を上げるならば、デビューからの4戦がすべて芝1600mのレースであること。つまり、2000mの距離経験がないことだ。これまでの競馬を見る限りでは、折り合い面での心配はないように思えるが、一方で陣営のコメントの中には「けいこでは折り合いが難しい」という言葉も含まれている。すでに皐月賞出走の賞金面では足りている馬。岩田騎手が本番に向けて距離を試すような乗り方をした場合、持ち前の瞬発力を発揮できないまま思わぬ取りこぼしがあるかもしれない。

距離経験に関して言うならば、すでに芝2000mで2勝を上げているアーリーロブストが一歩リードしている。特に前走の京成杯で今回と同じ中山芝2000mを勝っていることは大きなアドバンテージと言えるだろう。
あえて“対ロジユニヴァース”という視点で見れば、この馬がどのようなポジションで競馬をするかがポイントになる。これまでの勝ち鞍は逃げ・先行。ロジユニヴァースの前に位置すれば、ラジオNIKKEI賞のリーチザクラウンのように直線半ばで差される危険性があるし、かと言って、後ろからキレる脚を使えるタイプでもない。自分でペースを作ってこその馬なので、福永騎手がどのような作戦をとるかに注目したい。

伏兵の中で人気を集めそうなのがケイアイライジン。デビュー時から素質を高く評価されていた馬で、中山芝実績は<2.0.0.0>と優秀な数字を残している。
ただし、前走の若竹賞勝ち(中山芝1800m)はハイペースの展開に恵まれた感があるし、当日の雨で馬場が悪化した場合には差し脚不発で終わる懸念もある。

その他、専門紙では、連下候補として札幌2歳S3着のモエレエキスパートや唯一新馬戦で2000mを勝ったキタサンアミーゴ、京成杯5着のハイローラーに△マークが付けられているが、穴で面白そうなのはミッキーペトラ(近親にディープインパクト)。6ヶ月の休養明けとなるが、それまでの3戦はいずれも連対で、しかもソエを抱えた状態でのものだった(今回の放牧もソエを治すため)。今回はベストの状態での出走。馬場の違いを無視した上で時計の比較をすれば、芝1800mの時計は出走メンバー中、ロジユニヴァースに次ぐ2位、1600mでは1位のタイムを持っている。
波乱の要素は少ないレースのように思えるが、優先出走権がかかっているだけに、人気薄の食い込みにも一応の注意を払っておきたい。


■中山記念・復習

堂々の連覇達成。伝統のGⅡ戦・中山記念は2年連続でカンパニーが制した。
昨年のレースを再現するかのように、先行して番手から抜け出す強い競馬。開幕週で、しかもやや重という“前有利”の馬場を、完全に読み切った横山典騎手の好騎乗が光った。
8歳、休み明け、58キロ。戦前には不安材料もあったが、終わってみれば貫禄勝ち。春の大目標はGⅠ・安田記念に向けて最高のスタートが切れたと言っていいだろう。

2着はドリームジャーニー。『予習』の中で「池添騎手がどのような乗り方をするかがポイント」と書いたが、今回は外へ回さずに中を突く“正攻法”。この馬には不向きな緩い馬場ではあったが、道中を馬混みの中で我慢させたことが直線の伸び脚(最速の上がり・34秒2)につながった。こういう競馬ができればGⅡはもちろんGⅠ戦線でも確実に上位争いに加われるはずだ。大きな収穫のあったレースだったのではないだろうか。

3着に入ったアドマイヤフジには金杯で見せたような“走りの勢い”がなかった。ベストの2000mより1F短い距離とスローペースが原因かもしれないが、それ以上に道中のポジションが理想的ではなかった。番手で逃げ馬をマークする形をとれずにカンパニーの後ろにつく3番手。こうなると、カンパニーのペースに合わせるしかない。これについて川田騎手は「勝ち馬の鞍上と僕の腕の差」とコメントを残して潔く敗因を認めている。それでも渋太く伸びて3着を確保できたことは、馬自身の底力の証明という見方もできるだろう。

4着は逃げたキングストレイル。ゴール前まで粘って、結果として3着馬にクビ差と健闘したが、今回も“番手に食われる逃げ馬”の域を脱することができなかった。今後も逃げにこだわるのであれば、もう少しメリハリのある走りができないと苦しいだろう。

エアシェイディはまったく見せ場もなく5着。これまでの中山コースでの走りがウソのような負け方だった。緩い馬場が原因という声もあるが、調子落ちだったようにも思える。昨年このレースに出走した時は、GⅢ・富士S→OP・キャピタルS→GⅢ・中山金杯→GⅡ・AJCCというローテーションを使ってきたが、今年の場合は、GⅡ・オールカマー→GⅠ・天皇賞(秋)→GⅠ・有馬記念→GⅡ・AJCCという流れ。明らかに昨年より厳しいレースを戦ってきている。疲労の蓄積があったとしても不思議ではない。この馬もすでに8歳馬。衰えの兆候でなければいいのだが・・・。

重賞初制覇が期待されたトウショウシロッコは9着。終始外々を回らされる厳しい展開だったが、一番の敗因はスタートで好位をとれなかったこと。どのような条件でも自分の勝ちパターンに持ち込めるようにならなければ重賞のタイトル争いには加われない。今回はやはり力負けだろう。
同じくキャプテンベガも物足りなさだけが印象に残った。内田博騎手は「この馬にはペースが遅すぎた」と敗因を述べているが、どんな流れにも対応できるようにならなければ“トップクラスの馬”とは呼べない。
この2頭に関してはまだまだ伸びる余地があると思うので、あえて厳しい意見を述べてみた。


■中山記念・結果

2009年3月1日 2回中山2日11R
第83回 中山記念(GⅡ)
芝・1800m 小雨・やや重

 1着 カンパニー        横山典  1.49.2
 2着 ドリームジャーニー  池添   クビ
 3着 アドマイヤフジ     川田   クビ

単勝 2 360円(1番人気)
馬連 2-5 1600円  馬単 2→5 2960円
3連複 2-5-6 2110円  3連単 2→5→6 13200円

■中山記念・予習

出走馬10頭。しかしながら、“GⅠでは足りないがGⅡならばチャンスあり”といったメンバーが揃ったため、少頭数でありながらレースは混戦模様である。

昨年のこのレースを制したカンパニー。芝・1800m戦は<4・3・0・5>で、中でも中山芝・1800mは<2・1・0・1>と相性が良い。中山記念はリピーターが多く活躍するレースでもあり、連覇の可能性も十分にある。本来は差し・追込の脚質だが、昨年のレースでは先行有利の馬場を読んだ横山典騎手の好判断により番手のポジションから直線で抜け出す競馬で勝利をモノにしている。この馬に関しては、脚質の有利・不利は不問だろう。
気になる点は、昨年のローテーションがGⅢ・東京新聞杯を使った“叩き2走目”であったのに対して、今回は昨秋のGⅠ・マイルCSからのぶっつけであること。そして、昨年よりも1キロ増の斤量・58キロを背負うこと。明け8歳馬のカンパニーにとって、この条件の変化がどのように影響するか・・・。

前走、GⅢ・中山金杯をトップハンデの58キロで勝ったアドマイヤフジ。昨年は天皇賞・春を目標とするローテーションを組み、京都記念→阪神大賞典という長距離路線へ進んだが、今年は一転して中距離のレースに狙いを絞ってきた。芝・2000mの実績<3・1・1・4>に対して1800mは<0・0・3・0>。数字だけ見れば、この馬には1F短い距離のようにも見えるが、昨年のGⅡ・毎日王冠では1、2着馬のスーパーホーネット、ウオッカから0.3秒差の3着。前述のカンパニーにも先着している。斤量も金杯から1キロ減の57キロと有利だ。
この馬の弱点は、続けて結果残せないこと。06年の日経新春杯を勝った後、次に連対したのは08年の中山金杯(06年はほとんど休養していたが)。08年の金杯の後は、続く京都記念で2着に入ったものの、その後は前走の中山金杯勝ちまで連対なし。GⅠレースの出走が多いだけに、この結果は仕方がないのかもしれないが、仮に調子のピークを持続できないタイプだとしたら、前走の強さをそのまま信頼するのは危険かもしれない。

中山芝の中長距離戦で安定した成績を上げているエアシェイディ。このレースは一昨年が2着で昨年は3着。勝ち切るまでにはあと一歩足りない馬だが、近走は有馬記念3着、AJCC2着と確実に馬券に絡んできている。アドマイヤフジと同様に前走よりも1キロ減の57キロで出走できる。
この馬の場合、自分よりも前にいる馬を捕らえることができるかどうかが勝負のカギになるだろう。そういう意味では、少頭数でスローペースに落ち着きそうなメンバー構成の今回のレースは、展開面に関して必ずしも有利とは言えない。昨年のAJCC(1着)のように直線の入り口で前に取り付き、そこからの追い比べになれば、重賞2勝目を手中におさめることもできるのだが・・・。

前走AJCCで3着と健闘したトウショウシロッコ。ここにきての充実ぶりが目立つ。脚質は先行型で好位から抜け出す競馬は開幕週の馬場に向いている。1800mはこの馬にとって1F短いが、2走前のOP・ディセンバーSの時のように折り合えば十分にこなせるはずだ。今回のメンバーでは“若手”にあたる6歳馬。近走の勢いで重賞初制覇を成し遂げても不思議ではない。
不安点は昨年の夏の函館・巴賞から休みなしで使われていること(8ヶ月で9戦)。ハードな調教をこなして状態面は最高潮という声も多いが、それゆえ目に見えない疲労の影響が気がかりでもある。

出走馬中唯一のGⅠ馬・ドリームジャーニー。この馬の評価は微妙である。昨年の小倉記念や朝日CCで見せた4角で先行集団をとらえる競馬こそ中山コース向きだと思えるのだが、有馬記念もAJCCも直線を向いてからスパートする走りしか見せていない。今回は少頭数なので無理に大外に持ち出す必要もないし、開幕週の馬場で末脚の決め手だけに賭ける作戦に出れば不発に終わる公算が強い。池添騎手が今回どのような乗り方をするかが最大のポイントと言っていいだろう。

展開を考えた場合、単騎逃げが見込めるキングストレイルにも注意を払いたい。適距離を模索している印象は否めないが、一時は短距離路線で結果を出した実績もあるので、前走(AJCC)の2200mから1800mへの距離短縮はこの馬に有利に働く可能性もある。ただし、アドマイヤフジや先行策に転じたカンパニーが番手に位置を取り、この馬を目標にレースを進める形になってしまうと、4コーナー過ぎで馬群に吸収されることも予想できる。今回の鞍上は騎乗実績<1・2・0・5>の北村宏騎手。どのような逃げ方をするか、あるいは他の馬に行かせて控えるか、そのあたりに注目だ。

最後にキャプテンベガ。前走のGⅢ・東京新聞杯は15番人気で2着だったが、それについては「前崩れの展開に助けられた」という見方が強い。ただし、前走はフロックという理由だけで“消し”と判断するのは危険だろう。父・サンデーサイレンス、母・ベガという良血だけに、ひとつのきっかけで素質が開花することもあり得るし、陣営も「前走の前からハードな調教をしてもカイ食いが落ちず体質が変わった」とコメントしている。相手関係は一気に強化されるが、初対戦であるからこそ、逆に“どのような走りを見せてくれるのか”という期待感も生まれてくる。


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プロフィール

安東裕章

Author:安東裕章
東京都出身。2007年11月に書籍『競馬のツボ』、2008年7月に『競馬のツボ2』、2009年7月に『競馬のツボ3』を発表(いずれも総和社刊)。

このたび、拙著『競馬のツボ』を刊行していただいた出版社・総和社様の勧めもあって、ブログを始めることにしました。
競馬における一番の楽しみは、レースについて考えること。つまり予想です。
このブログを書くことで、自分でも週末のレースに向けてイメージを膨らませる訓練になるかと思います。
競馬について考えることが好きな皆様。レース予想に疲れて気分転換をしたい時など、よろしければフラッと遊びに来てください。

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