■2009年04月

■スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

■フローラS・復習

1着・ディアジーナ、2着・ワイドサファイア、3着・ハシッテホシーノ。
早くからオークスに目標を絞った2頭と桜花賞2着馬との接戦経験を持つ1頭。トライアル・フローラSは、終わってみれば順当な結果だった。

ディアジーナは好位の外め3番手で折り合いをつけ直線で抜け出すと、最後は後続に2馬身差をつける快勝。流れに強弱のない平均的なペースがこの馬の走りに味方したようにも思えるが、このメンバーの中ではやはり能力が一枚も二枚も上。唯一の重賞勝ち馬がきっちりと結果を出したということだろう。本番まで力を温存するために、仕上がり途上の状態で出走するのではないかという懸念も、どうやら余計な憶測だったようだ。
ゴール前の余力を残した脚色を見る限り、距離が延びることへの不安は見当たらない。とりあえず、オークスの有力候補の1頭とみなしてもいいかもしれない。瞬発力勝負ではブエナビスタには及ばないが、スピードのある先行力が武器の馬だけに、本番当日の馬場状態やレース展開を味方につけることができれば、好勝負に持ち込める可能性もある。

ワイドサファイアはキレる脚を使うタイプという印象があっただけに、最後の伸びに関しては若干不満が残る。しかし、馬群を抜け出す時の速さなど、非凡なセンスを感じさせる一面もあった。課題であった初コース、初の輸送もクリア。本番のオークスはともかく今後を期待できる1頭である。

ハシッテホシーノは今回もマイナス体重。それでも3着に残ったということは気にする要素ではないということだろうか・・・。いずれにしても、2着馬と並んでからの勝負根性は評価できるだろう。キャリア4戦ながらすでに2400mでの勝ち鞍があるだけに、持久力勝負になれば本番でもこの馬の出番はありそうだ。

4着のアイアムネオは直線半ばまで見せ場を作ったが、最後は失速。おそらく距離が長かったのだろう。騎乗した戸崎圭騎手は「一生懸命走り過ぎる馬」とコメント。現時点ではマイルまでの速い流れの方が向いているように思えた。

1番人気(単勝3.9倍)の支持を受けたミクロコスモスは、大外に持ち出すこの馬の正攻法で勝負に挑んだが14着と大敗。『予習』でも述べたように、好走できる条件が限られているため、今回のような馬場で緩いペースになってしまっては、まったく能力を発揮することができない。また、2000mの距離も長かったようだ。この馬に関しては、適条件に出走した時に限って狙うのが正解だろう。

出番のなかった伏兵陣。レース後のコメントは「これからの馬」「完成途上」といったものがほとんどだった。ということは、現時点で最も完成度の高いディアジーナが勝って当然だったわけである。
勝ちタイムの2分2秒2は、この日の8Rに行われた500万条件の時計よりも0.7秒遅い。各馬が折り合いに専念することを優先したためだと思われるが、レースレベルを考えると「高かった」とは言い難い(上位馬の走りを高く評価できないのもそのためである)。
2着に2馬身差をつけたディアジーナの能力は認めるが、同じ先行タイプならば、外差しが有利な馬場を前々で押し切った、阪神・忘れな草賞の勝ち馬・デリキットピースの方が面白い存在のようにも思える。残念ながら、今回のフローラSからは、これまでの勢力図を塗り替えるような新星は現れなかった。




スポンサーサイト

■フローラS・結果

2009年4月26日 2回東京2日11R
第44回 フローラS(GⅡ)
芝・2000m 晴・良

 1着 ディアジーナ      内田博  2.02.2
 2着 ワイドサファイア    岩田     2
 3着 ハシッテホシーノ    松岡    ハナ

単勝 16 420円(2番人気)
馬連 12-16 1010円  馬単 16→12 2170円
3連複 12-15-16 2320円  3連単 16→12→15 10790円

■フローラS・予習

3着までにオークスへの優先出走権が与えられるトライアル・フローラS。“ブエナビスタ1強”と言われている今年の3歳牝馬戦線だが、府中の芝・2400mでブエナビスタに挑戦状を叩きつける馬が現れるかどうか、興味深い一戦だ。

GⅢ・クイーンCを勝った後、桜花賞へは向かわず目標をオークス1本に絞ったディアジーナ。フラワーC→フローラSというローテーションは陣営が当初発表した通り。1600m勝ちから、1800、2000と徐々に距離を延ばして本番の2400mを走らせる使い方には、「オークスで勝つ」という強い意志も感じとれる。
メンバー中唯一の重賞勝ち馬であり、常に堅実な走りを見せて安定した成績を残しているディアジーナだが、馬券的に絶対の信頼が置けるかというと、そこまでは言い切れない。
例えば、逃げ馬を捕まえられなかった前走・フラワーCの走りは、内田博騎手が折り合いに専念したとはいえ“詰めの甘さ”が印象に残った。また、関東圏でのレースだけを使っていることで、関西の有力馬(桜花賞好走馬)との対戦がないため、“強さ”を裏付ける材料に乏しい(実際、ディアジーナと好勝負をしていた関東馬のダノンベルベールは桜花賞で結果を出せなかった)。
勝負気配に関しても疑える部分がある。目標はあくまで次走のオークス。出走賞金は足りているだけに、ここで目イチの仕上げをしてくるとは限らないだろう。実際、前走を使った後は、1週前まで初時計を出していない。
仮に、このレースをオークスの試走と考え、前走同様に折り合い重視の競馬をするようであれば、優先権獲得を第一目標とする馬たちの後塵を拝す結果となるかもしれない。

関西馬のワイドサファイアは2走前のOP・エルフィンSで、桜花賞2着のレッドディザイアに着差なしの2着。前走のGⅢ・毎日杯でも牡馬に混ざって0.3秒差の7着。潜在能力の高さを示した。逃げ.差し自在の脚質が使えるため、どんなレースにも対応できる強味がある。
不安材料をあげるとすれば、「2000mの距離経験がないこと」「デビューから馬体重が減り続けていること」「初の関東への輸送」の3点。このうち距離に関しては、母父.ノーザンテーストという血統からこなせるという見方もできるが、残る2点は状態面に直接影響するものだけに、当日の馬体重やパドックの気配にも注意が必要だろう。

ハシッテホシーノはデビュー当時から陣営がオークスを目標と明言していた。休養を挟みながら東京開催を選んで出走し、年明けの500万条件では不良馬場の芝・2400mというタフなレースで1着。牡馬相手に価値のある連勝を飾った。当然ながらここは目標のレース。オークスへ向かうためには何としても権利を取りたいところだ。
この馬の一番の不安点は、ワイドサファイアと同様に馬体重が減り続けていること。しかも、休養しながらの馬体減だけに成長力そのものに疑問符が付く。持ち前の勝負強さでそれなりの結果は残せるかもしれないが、やはり当日の状態には注意すべきである。

賞金不足で桜花賞を断念したミクロコスモス。目標をオークスに切り替えての仕切り直しとなる。
課題となるのはやはり脚質。本ブログのフィリーズレヴューの項でも述べたが、外差し一辺倒の走りでは好走パターンが限られてしまう。今回は開幕週で、しかも土曜の雨が残れば先行有利の馬場になることは免れない。だからといって、前目のポジションでレースをすれば、クイーンCの時のようにキレる末脚が不発に終わる危険性もある。マイルまでの距離経験しかないことも減点材料。武豊騎手がどのような騎乗をするかがポイントになるだろう。

2走前のGⅢ・フェアリーSでジェルミナル(桜花賞3着)の0.2秒差の2着と健闘したアイアムネオ。前走のOP・アネモネSでは3番人気に支持されながら10着に沈んだ。もっとも、敗因は“休み明けで10キロの馬体減”と“道悪”にあることははっきりしている。立て直しがうまく行われていれば、馬券圏内の候補の1頭として浮上してくるはずだ。ただし、この馬に関しても距離の経験不足が気になるところ。ミクロコスモスの武豊騎手同様、鞍上(大井・戸崎圭騎手)の乗り方に注目だ。

フローラSの過去の傾向を見ると、前走で1800~2000mを経験している馬の好走率が高い。となれば、中山・芝・2000mのミモザ賞で連対したラークキャロルピースエンブレムも侮れない存在と言えるだろう。
1着のラークキャロルは4コーナー10番手からの直線一気(上がりは34秒9)。広い東京コースに変わればさらに末脚がキレる可能性を秘めている。2000mの距離に〈2.1.0.1〉の実績があるのもプラス材料だ。ただし、先にも述べたように今回は先行有利の馬場。瞬発力が決め手となる展開になるかどうかは微妙である。また、この馬もデビュー以来馬体重が減り続けている。ステイゴールド産駒特有の小柄な体(前走の馬体重は400キロ)と言ってしまえばそれまでかもしれないが、不安要素であることには変わりはない。
馬場状態を脚質を考え合わせた場合、むしろ先行型のピースエンブレムの方が狙いやすいかもしれない。2000mの実績は〈0.1.1.0〉。昨年のフラワーC1着・オークス4着・秋華賞1着のブラックエンブレムの全妹という血統もここでは魅力的だ。

新聞各紙を見る限りでは、穴馬候補としてマイティスルー、リュシオル、テーオーティアラの名前が目立っている。しかし、いずれも距離経験という視点からは強調しづらい部分がある(テーオーティアラに関してはデビュー戦で1800mを使っているが・・・)。ならば、あくまで距離というものにこだわって、たとえ人気薄でも2000mの経験のある馬を狙ってみる手もあるだろう。
例えば、2000mで〈1.1.0.1〉の実績を持つピースオブラック。前走のミモザ賞では出遅れ→後方ままで11着に敗れたが(蹄鉄が合わなかったというコメントもある)、3走前の寒竹賞(中山・芝・2000m)では、皐月賞で5着に入ったベストメンバーに0.3秒差の2着。タイムは2分1秒0でミモザ賞のラークキャロルの勝ち時計と同じである。もっとも、この馬にもデビューから馬体重が減り続けているという不安要素があるが・・・。
デビュー3戦目で重賞格上挑戦となるリコリス。前走はハシッテホシーノが勝った芝・2400m戦で5着。0.6秒差をつけられただけに逆転は難しいようにも見えるが、今回の3ヶ月休養の間に成長力によって差を詰めたかもしれない。仮にハシッテホシーノに逆転できなくても複勝圏内に飛び込んでくる可能性もある。
もう1頭あげるならば、前走・OP忘れな草賞(阪神・芝・2000m)6着のマイファーストラヴ。戦績的には強く推せる馬ではないが、距離経験がありながら人気にならない関西馬は、6年前のシンコールビー(14番人気1着)や3年前のヤマトマリオン(10番人気1着)のように大駆けすることがある。一応の注意は払っておきたい。

展開面に関しては、レースの時間帯までの馬場の回復状態によって変わってくるだろう(天気予報は晴れとなっているが・・・)。基本的には先行有利という見方ができるが、馬場を意識して多くの馬が前々で競り合うような形になれば、決め手のある差し馬に有利な流れになるかもしれない。
また、脚質の定まらない3歳牝馬による一戦だけに、これまでとは違った走りに転じる可能性もある。例えば、リュシオルやアイアムネオあたりが内枠を利して逃げるケースなども考えられる。したがって、単純に“先行=有利、差し=不利”という競馬にはならないだろう。
いずれにしても、3着までに入る馬には、ブエナビスタとの戦いを期待できるような“強さ”を感じさせる走りを見せてほしい。新たなオークス馬候補の登場を期待するばかりである。



■皐月賞・復習

“3強対決”と評された皐月賞を制したのはアンライバルド。直線で先行集団に取りつくと一瞬にして馬群から抜け出し後続を突き離した。1分58秒7の好タイム。桁違いの末脚のキレ。多くのスポーツ紙が「終わってみれば“1強”」という見出しで、その強さを讃えた。
何より驚かされたのは、走りの成長である。課題とされていた折り合いもまったく心配がいらないほどスムーズで、3コーナーを過ぎて鞍上がゴーサインを出すと一気に加速。目を見張るような反応の鋭さだった。直線を向いてから後は他馬とは別次元のフットワーク。最後は楽な手応えでゴールを駆け抜けた。
ダービーでは一体どんな走りを見せてくれるのか。そんな期待が膨らむような勝ち方を見せてくれたことに感謝したい。

2着に入ったのは人気薄(8番人気・単勝51.3倍)のトライアンフマーチ。父・スペシャルウィーク、母・キョウエイマーチという良血である。年明けデビューのため、まだまだ未熟な面が残っていると思い、『予習』では名前をあげなかったが、メンバー最速の34秒4の上がりを駆使してアンライバルドに迫ったシーンでは底知れぬ可能性を垣間見せた。
もっとも、今回は展開が向いたという声も多い。向正面では最後尾。直線の末脚勝負に賭ける作戦が見事にハマった感がある。とはいえ、キャリアを考えればこれからが楽しみの馬であることは間違いない。父が制したダービーの舞台でさらに成長した姿を見せてほしい。

3着は2歳王者のセイウンワンダー。マイナス10キロの馬体重が示すように、しっかりと太めを絞って状態を立て直してきた。速い流れが向いたようにも思えるが、万全の仕上がりであればこの世代のトップクラスであることを証明したことも事実。2400mのダービーについては距離の不安が言われているが、折り合いのつく馬だけに有力候補の1頭という見方ができるだろう。

4着はシェーンヴァルト。共同通信杯の0.8秒差5着という結果から、“底が見えたかな?”という感じもあったが、今回は渋太い競馬を見せてくれた。ただし、上位3頭と比較すると残念ながらキレ味では多少見劣る。むしろ評価したいのは、鞍上の若手・北村友一騎手の成長。内に包まれて動くに動けなかった朝日杯FSの敗戦を糧にして今回はしっかりとした競馬をしてくれた。最終レースでも10番人気のショウナンラノビアで1着。今後のさらなる活躍に期待したい。

2番人気のリーチザクラウンは13着。レース後、武豊騎手は「逃げなくては駄目な馬」とコメントしたが、単騎で行かなければ折り合いを欠くためここまで逃げだけのレースしかできなかった馬にとって、やはり大外枠はかなりの不利だったようだ。3コーナー手前からマクリ気味に進出した時には、新しい脚質の可能性が見えたかに思ったが、先頭に並ぶこともできずにそのまま馬群に沈んだ。しかし、展開面での課題が明確となったことは今後のためにはプラスと考えることもできる。強い逃げ馬というスタイルを目指すのか、脚質に幅を持たせるようにするのか。管理する橋口調教師の腕の見せ所になるだろう。

問題は、圧倒的な1番人気に支持されながら14着に敗れたロジユニヴァースだ。道中は5~6番手の好位のインを進み、向正面で外に出す。ベストのポジションを進みながら、いざ勝負どころになるとまったく反応を見せずに後退。そのままレースを終えた。10キロ減の馬体重、厳しいラップの連続となったペースの問題、弥生賞を勝った後の短期放牧の影響など、さまざまな原因が取りざたされているが、実際のところは不明のまま。騎乗した横山典騎手でさえ「敗因がまったくわからない」と語っている。
デビューから4連勝は並の馬ではできない偉業である。ロジユニヴァースにはそれだけの素質と力量があったことは間違いない。ダービーは当然、今回の雪辱戦になるわけだが、萩原調教師の言う通り「まずは敗因を突き止める」のが先決。何より、故障でないことを祈りたい。戦って負けたのではなく戦えなくて負けた今回のレース。次回はアンライバルドとの“真剣勝負”を見せてほしいものだ。

終わってみれば、1着から7着まですべて末脚で勝負する差し馬の名前が並んだ今回の皐月賞。1000m通過が59秒1というハイペースが先行馬総崩れ(ロジユニヴァースに関しては不明だが)という結果を招いたことは確かである。しかし、そうした有利・不利を差し引いても、アンライバルドの走りは別格だった。ファンから最も期待された馬が能力を発揮できずに終わったことは残念だが、ダービーの有力候補となり得る“スターホース”の誕生には拍手を送りたい。
今回の上位馬や有力馬に加えて、青葉賞や京都新聞杯からの別路線組も参加する。5月31日のダービーの舞台で栄冠に輝く馬には、今回の皐月賞と同じように、比類なき強さというものを見せてもらいたい。



■皐月賞・結果

2009年4月19日 3回中山8日11R
第69回 皐月賞(GⅠ)
芝・2000m 晴・良

 1着 アンライバルド      岩田   1.58.7
 2着 トライアンフマーチ    武幸   1+1/2
 3着 セイウンワンダー     内田博    1/2

単勝 16 610円(3番人気)
馬連 4-16 11940円  馬単 16→4 18390円
3連複 4-15-16 67600円  3連単 16→4→15 390930円

■皐月賞・予習

単勝1.2倍の1番人気・ブエナビスタの快勝に終わった先週の桜花賞。今週の皐月賞も中心となる有力馬の存在があり人気が集中している。最初の一冠に輝くのははたして・・・。今後のクラシック戦線を考える上で、しっかりと見届けたい一戦である。

4戦4勝で皐月賞を迎えるロジユニヴァース。ここを勝てば05年のディープインパクト以来の無敗の皐月賞馬となる。新聞紙上では“3強対決”と評されている今年の皐月賞だが、前日売りの段階ではこの馬が抜けた1番人気(単勝1.8倍)。ファンの間では“一強”という見方がされているようだ。
昨年夏の札幌2歳Sでは差しの競馬、暮れのラジオNIKKEI杯2歳Sではリーチザクラウンを番手でマークする競馬、そして前走の弥生賞では逃げ切り勝ちと、どんなポジションからでもレースができる自在性が武器。特に、弥生賞の逃げ切りは、他陣営に対して「スローペースならば逃げて勝つこともできる」「どんな流れになっても対応できる」という強力なアピールになっただろう。
中山コースも2000mの距離も経験済み。最内枠に入ったことで揉まれた時にどうかという声もあるが、自在性のある脚質だけにそれほどの不利とは思えない。レースを経験するたびに新しい可能性と完成度の高さを見せてくれる馬だけに、その走りに期待感は高まる。
あえて不安点をあげるとすれば、ハイペースで前残りの展開になり、しかもロジユニヴァースが後方の位置取りになった場合だろう(かなり限定されたシチュエーションではあるが)。一瞬のキレではなく長くいい脚を使うタイプだけに、追い出しの遅れが取りこぼしにつながるかもしれない。

スローペースで先行馬有利の流れだったトライアルのスプリングSを、上がり3F・34.5秒の末脚で差し切り、一躍皐月賞の有力候補に名乗りを上げたアンライバルド。当初、懸念されていた関東への輸送も無事にクリア、レースでは掛かるところもほとんどなく気性面での成長を見せた。新馬戦ではリーチザクラウンを退けているが、ロジユニヴァースとは今回が初対決。2頭の力差を比べるだけでもこのレースは興味深い。
アンライバルドに関しては「展開面で有利」という声が多い。リーチザクラウンとロジユニヴァースを前に見ながらレースを進めることができるからだ。そういう意味では外枠に入ったこともプラスだろう。直線の追い比べに持ち込めばこの馬のキレ味は活かされるはず。当然、勝機を見出せる可能性も十分にある。
この馬の課題は“折り合い”。陣営も「まだ若干の不安がある」とコメントし、勝ち負けについても「折り合えば・・・」という但し書きが付いている。スプリングSではイレ込みは解消されていたものの、調教VTRでは若干力の入りすぎた走りをしていた。当日は競馬場全体がGⅠ独特の雰囲気になる。できるだけ落ち着いた状態でレースに臨んでほしい。

前走・きさらぎ賞で2着馬に0.6秒差をつけて逃げ切ったリーチザクラウン。この馬の最大の武器は、その非凡なスピード。大外枠に入ったことで、これまで通りの“逃げ”に出るかどうかはわからないが、持ち味である先行力を活かしたレースをするだろう。
きさらぎ賞から皐月賞へ向かうローテーションは、必ずしもベストとは思えないが、前走(きさらぎ賞)の武豊騎手は馬場の外々を回りながら逃げるという、皐月賞本番を想定した乗り方をしていたようにも思える。
暮れのラジオNIKKEI杯2歳Sではロジユニヴァースに0.7秒差をつけられているが、この敗北については「その前走でマイル戦を使ったために馬が掛かった」「武豊騎手が骨折明けだった」などの理由が確認されている。陣営も武豊騎手も、今回はその雪辱を期して挑んでくることは間違いない。
この馬の場合は自分のペースでレースを作れるかどうかがカギ。仮に他馬から目標にされても、直線まで余力を持たした上で、後続を突きはなす競馬ができれば好勝負になるはずだ。あとは、状態面の問題。デビュー以来減り続けている体と初の関東遠征となる今回のレース。この馬に関しては、当日の馬体重もチェックして、万全の体調であるかどうかの判断が必要かもしれない。

単勝人気では上位3頭から大きく水を開けられた伏兵陣だが、“3強”の一角を崩す可能性のある馬はいるだろうか。3つのタイプに分けて考えてみたい。

まず、トライアル惨敗から巻き返しを図るタイプ。
2歳王者・セイウンワンダーの場合、前走・弥生賞8着は休み明け・太め残り(プラス12キロ)・道悪という敗因がはっきりしている。中間の攻め馬を強化した今回、調教後に発表した馬体重はマイナス14キロ。立て直しを図ったことがわかる。岩田騎手がアンライバルドに騎乗するため、内田博騎手への乗り替わりとなったが、“追える鞍上”であることに変わりはない。マイル以外の距離では実績を残していないので、距離については微妙だが、前走の結果だけで見限るのは早計かもしれない。
アーリーロブスト(弥生賞6着)は道悪馬場で控える競馬をしたことが裏目となった。本来、先行して粘り込むのがこの馬の走り。道中うまく立ち回って早めに進出するレースができれば、巻き返しの可能性も十分にあるだろう。
スプリングSで7着に敗れたリクエストソングは、アーリーロブストとは逆に、スローペースを見越して無理に前目の競馬をしたため、折り合いがつかず末脚を使うことができなかった。自分の走りに徹することができるかどうかが巻き返しのポイントになる。
もう1頭、このタイプに入れるとすればイグゼキュティヴ。前走のスプリングSでは殿負けを喫したが、中央への転厩初戦で手探り状態の仕上げだったことが敗因。今回は調整段階からまったく違うという。札幌2歳Sではロジユニヴァースに0.2秒差の2着、京都2歳Sではアンライバルドに0.2秒差をつけての1着。実績を残している馬だけに、一変すれば人気薄でも侮れない存在だ。

次に、トライアルを使わずにぶっつけで皐月賞本番に出走してくるタイプ。
東スポ杯2歳Sの勝ち馬・ナカヤマフェスタは、1月のGⅢ・京成杯(中山芝2000m)から3ヶ月の休み明けとなる。好位から抜け出す競馬が身上で、どちらかといえばロジユニヴァースに近い走りかもしれない。陣営は「休ませたことで馬が成長して良くなった」とコメント。実際、美浦のポリトラック調教では素軽い動きを披露していた。
シンザン記念の勝ち馬・アントニオバローズは、弥生賞を使う予定だったが直前に取消。ナカヤマフェスタとは反対に、陣営は「順調さを欠いた影響が心配」と弱気の姿勢だ。
状態面と勝負気配に関しては、ナカヤマフェスタの方を上にとるが、休み明けで好走できるほどGⅠは甘くない。やはり割り引きは必要だろう。

最後に、トライアルで上位の結果を残しながら人気にならないタイプ。
弥生賞2着のミッキーペトラと3着モエレエキスパート。この2頭に関しては、道悪=先行有利という展開の恩恵があったという評価が妥当だろう。ただし、ミッキーペトラに関しては、休み明け2戦目の上積みとデビュー以来連対を外していない安定感から多少の注意は払っておきたい。
スプリングS3着のフィフスペトルは距離が課題。前走の1800mでも“マイル向き”という評価を受けていた馬だけに、さらに1F伸びた場合の不安は拭えない。もっとも、相手なり走れて脚を使える強味があり、今回は安藤勝騎手の騎乗。まったくの軽視というわけにはいかないかもしれない。
若葉Sで権利を獲ったベストメンバーは、2走前のきさらぎ賞で馬券に絡めずミソをつけてしまった感もあるが、坂のある2000mで2勝の実績と中山コースの経験が評価できる。特に、3走前の中山・寒竹賞の2000m・2分0秒7というタイムは優秀で、同距離の持ち時計では出走メンバー中トップのタイムだ。
時計にこだわるのには理由がある。先週から今週にかけての中山芝のレースが速い時計で決着しているからだ。4月11日に行われた芝1600mの未勝利戦のタイムが1分34秒2。同日の3歳GⅡ・ニュージーランドTでは1分33秒8の勝ち時計が出ている。さらに、土曜日に行われた3歳500万クラスの山藤賞(芝2000m)も2分2秒1の決着。皐月賞もおそらく速い時計になることが予想される。となれば、スピード決着を経験していることは大きなアドバンテージとなるはず。実績面では他の伏兵馬より一枚落ちるが、ベストメンバーには独自の“買い”の材料があるという見方もできるだろう。(実際にベストメンバーは上位3頭に次ぐ4番人気に支持されている)

無敗の皐月賞馬の誕生か? 3強による熾烈な戦いになるか? 伏兵馬の台頭はあるか?
なかなか見応えのある皐月賞になりそうである。
胸が熱くなりような好レースを期待したい。


■コメントの御礼

Tさん、いつも心温まるコメントを残してくださって
本当にありがとうございます。
これからもブログを更新できるよう頑張りますので、
よろしくおねがいします。

今週の皐月賞も楽しみですね!
いいレースが見れることを期待しています。


安東裕章


■桜花賞・復習

牝馬クラシックの最初の一冠を手にしたのは、圧倒的な支持を受けた1番人気のブエナビスタだった。
2着馬・レッドディザイアとはわずか0.1秒の差だったが、見ている者の目に焼き付いたのは“着差以上の強さ”。まさに“次元の違う走り”を見せてくれた。
向正面では後方2番手。4コーナーを回って一瞬行き場がなくなったようにも見えたが、大外に持ち出してからはこの馬の独壇場。上がり3F・33秒3の末脚で前を行く15頭を見事に差し切った。
安藤勝騎手は勝利コメントの中で「直線で前とはかなり離れていたが、どれだけの脚を使えるか分かっていた」と語った。たしかに馬の力を信じていなければできない乗り方と言えるだろう。
思えば、昨年のダービーでディープスカイの鞍上・四位騎手も同じ乗り方をしていた。直線で外に持ち出すことができれば、あとは能力の違いで勝つことができる。ジョッキーにそういった自信を持たせることができる馬というのは、本当の意味で“強い馬”であるに違いない。
松田博調教師は「この馬には距離が延びた方がいいだろう」と、すでに次走のオークス(一部ではまだダービー参戦の噂もあるが)を見据えた発言をしている。次はどのような走りを見せてくれるのか。今よりもさらに強さを増したブエナビスタに期待したい。

2着に入ったレッドディザイアは、前評判以上の走りを披露してくれた。わずか2戦のキャリアという点を考えれば、今回のレース内容は、この馬がクラシック戦線で勝負のできる“本物”であることを証明したと言っていいだろう。ある意味、ブエナビスタ以上に今後が楽しみな1頭だ。
一部の競馬評論家からは「桜花賞よりもオークス向き」と言われていた馬だけに、府中でのブエナビスタとの再戦には注目だ。

3着はジェルミナル。枠順決定前の段階では、「好位から差すレースをさせたい」と語っていた陣営だが、7枠15番に入ったことで後方からの競馬に作戦を変更したようだ。そして、結果的にはそれが正解だった。直線ではブエナと併せる形で伸びて複勝圏を確保。前走・チューリップ賞の時よりも攻めを強化してピークの状態で出走できたことも好走の一因と考えられる。

距離が不安視されていたワンカラットは4着と健闘。キレ味では及ばなかったものの、一戦ごとに走りに成長が見られることは評価できる。5着のルージュバンブーも同様。先に仕掛けた分だけ最後は甘くなってしまったが、十分に見せ場のある内容だったと言えるはずだ。

終わってみれば、外を回った馬が上位を占めた今回の桜花賞。馬場状態がレースに及ぼす影響というものを改めて考えさせられる一戦でもあった。3番人気に支持されたダノンベルベール(8着)に騎乗した後藤騎手は「馬体減の影響もあったが、外が伸びる馬場での最内枠がこたえた」と敗因を語っている。もっとも、1・2着馬の走りについては、馬場の有利・不利を差し引いても「素晴らしかった」と言えるものだったが・・・。

最後に、このレースの上位3頭に共通する項目をあげておこう。
それは“1800mのレースで複勝圏内に入った実績がある”ということ(5着のルージュバンブーは2000mの新馬戦で3着)。
『競馬のツボ』の中で「内が不利で外が有利な馬場ではレース距離プラス1ハロンの経験がある馬を狙え」というセオリーを提起したが、実は今回の桜花賞はそれがあてはまるレースだったのである。




■桜花賞・結果

2009年4月12日 2回阪神6日11R
第69回 桜花賞(GⅠ)
芝・1600m 晴・良

 1着 ブエナビスタ      安藤勝    1.34.0
 2着 レッドディザイア     四位      1/2
 3着 ジェルミナル       福永    1+1/2

単勝 9 120円(1番人気)
馬連 9-18 640円  馬単 9→18 780円
3連複 9-15-18 2480円  3連単 9→18→15 5680円

■桜花賞・予習

2009年のクラシック第1弾となるGⅠ・桜花賞。
前日売りの段階で断然の1番人気に支持されているのは2歳女王のブエナビスタ(単勝1.2倍)。先行有利の馬場でスローペースとなった前走のGⅢ・チューリップ賞でも、最後は驚異の末脚を発揮して完勝、その強さを如何なくアピールした。
松田博調教師と安藤勝騎手が唯一心配していた枠順(できれば最内枠は避けたいという程度のものだが)も5枠9番に落ち着き、調教の動きからも順調な仕上がり具合がうかがえる。現段階で死角らしきものが見当たらない以上、新聞紙上に“1強”“頭鉄板”といった見出しが並ぶのは当然のこと。馬券的にも“ブエナビスタの相手探し”という考え方が妥当だろう。

ブエナビスタを中心にレースを考えた場合、その相手には3種類のタイプが想定できる。
ひとつめのタイプは、前々で粘り込む逃げ・先行馬。強力な差し馬が本命視されるレースでは、それとは反対の脚質の馬に注目するのが予想をする上での定石。ここでは3頭の候補を挙げておきたい。
チューリップ賞でブエナ相手に大健闘の逃げ(2着)を見せたサクラミモザ、中山のGⅢ・フラワーCで逃げ切り勝ちをおさめ、今回「大逃げ宣言」をしているヴィーヴァヴォドカ、前走のGⅡ・フィリーズレビューでは控える競馬を試して失敗し、今回再び先行策に打って出るショウナンカッサイ。いずれも先行力を活かせる内枠に入ることができた。
このタイプが好走するためには、直線でブエナをはじめとする後続にどれだけの差をつけているかがポイントになる。ただし、主導権を争うようなハイペースになってしまうと差し馬有利の展開になり、場合によっては“逃げ・先行馬総崩れ”の危険性もはらんでいる。

ふたつめのタイプは、好位からの抜け出しを図る馬。ブエナより前にポジションを取り、先に仕掛けて“出し抜け”を狙うタイプである(一昨年の桜花賞でダイワスカーレットがウオッカを封じた戦法もこれにあたる)。
その筆頭として挙げられるのがダノンベルベール。前走のGⅢ・クイーンC(2着)では、それまでの“後方→マクリ”の競馬から“好位→差し”へ脚質転換を見せた。陣営のコメントによれば、これは桜花賞本番(=対ブエナビスタ)を意識しての騎乗だという。今回は最内枠に入ったが、逃げ・先行馬の後ろに位置するためには絶好の枠という見方もできる。
フィリーズレビューを勝ったワンカラットも候補の1頭。1600mに距離が伸びた今回、前走と同じようなキレのあるレースができるかどうかという懸念もあるが、『フィリーズレビュー・復習』の中でも述べたように、トライアルで別馬の走りを見せてくれた“成長力”に期待したい。
それ以外では、ジェルミナルもこのタイプに入る。ただし、レース序盤で好位置を取るには、今回の7枠15番は少なからず不利な枠順。スタート後の位置取り次第では、後方からの瞬発力勝負に賭けるレースになるかもしれない。福永騎手がどういう乗り方をするかがカギになりそうだ。

最後は、ブエナビスタと“併せ馬”の形で外から差し込んでくるタイプ。
土曜日に行われたレースを見る限り、阪神の芝コースは外が伸びて差しが決まりやすい馬場になっている。大阪-ハンブルグCを勝ったゼンノグッドウッド、2着のニホンピロレガーロ、そして、GⅡ・阪神牝馬Sを勝ったジョリーダンス。いずれも大外から差し脚を伸ばした競馬だった。
ブエナビスタも外から一気に差す競馬をすることが予想できる。となれば、ブエナをマークしながらレースを運び、直線で外目の伸びる馬場を通れる馬には注意が必要だろう。“馬場状態”に重点を置いた考え方にこだわれば、「内で粘る逃げ・先行型」や「馬群を抜け出す好位差しのタイプ」よりも展開的に有利なことは間違いない。
ここではまずレッドディザイアの名前が挙がる。前走のOP・エルフィンSでは、届かないと思われた位置から馬の間をこじ開けるように抜けて1着。今回の大外枠は不利のようにも思えるが、ブエナをマークする競馬をするならば、むしろ好都合のはずだ。ブエナとの直接対決をしていない分だけファンの期待度も高いようだが(重賞出走経験のない馬でありながら2番人気)、直線の追い比べに持ち込むレースができれば“あわや!”の場面もあるかもしれない。ただし、過信は禁物。レースキャリアの少ない馬だけに、大外枠から発走によってロスが生まれたり、あるいは、前に馬を置けないために掛かる心配もある。
外差しのタイプにはレッドディザイア以外にも、決め打ちの名手・横山典騎手のアンプレショニスト、追えるジョッキー・小牧騎手のルージュバンブー、無欲の穴男・大庭騎手のカツヨトワイニングなど、人馬共に“大駆けの魅力”のある馬が揃っている。重馬場のアネモネSで外差しを決めた1枠2番のツーデイズノーチスも、直線でうまく外に持ち出すことができれば、ブエナとの叩き合いの形に持ち込むことができるかもしれない。


いずれにしても、最大の注目はブエナビスタが“どういう勝ち方をするか”という点になるだろう。気の早い専門紙は「ここを勝って次はダービー」といった記事も載せている。
昨年のような混戦のクラシックも面白いが、やはりその世代を担う強い馬がいるクラシックの方がファンのボルテージは上がるはずだ。ディープインパクトの最大の功績は競馬人気を沸騰させたことだと言われている。ブエナビスタへの期待はひとつ。今後の競馬界の中心になることを予感させるような“強い勝ち方”を見せてほしい。



■大阪杯・復習

手に汗を握るゴール前の競り合いを制したのは、昨年のダービー馬・ディープスカイではなく、“先輩GⅠ馬”のトリームジャーニーだった。
勝因をひとつに絞るならば、「池添騎手の馬の能力を信じた騎乗法」ではないだろうか。
池江寿調教師は「AJCC(2走前・8着)の後から攻め馬を強化したことで状態が良くなり今回の結果につながった」と語ったが、馬の状態が良くなれば騎手の乗り方もおのずと変わってくる。この日の池添騎手は、前を行くディープスカイ1頭に照準を合わせたレースをしてみせた。それは“追い比べになれば勝てる”という自信があったからに他ならない。
展開に左右されることの多かった差し馬が、相手をマークして勝ちにいく競馬ができるのようになったことは格段の進歩と言える。今回のレースを見て、2歳GⅠ馬がここにきていよいよ本格化したという印象を強く受けた。
今後の課題としては、どのような条件でも“自分の競馬”ができるようになること。次走の予定は中京・芝・2000mのGⅡ・金鯱賞とのことだが、苦手の左回りコースを克服することができるかどうかがポイントになるだろう。

2着に敗れたディープスカイだが、内容的には決して悲観するものではない。最後はドリームジャーニーを差し返してクビ差の接戦に持ち込んだように、馬自身の能力の高さをはっきりと示すことができた。休み明けで59キロの斤量は厳しい条件ではあったが、それよりも、短い直線を意識して早目にスパートをかけたために、勝ち馬の“目標”にされてしまったことが一番の敗因に違いない。四位騎手も「負けるとしたらこういう形(有力馬を見ながらレースを進める馬に差されること)だと思っていた」とコメントしている。次走の予定はGⅠ・安田記念。1走使った上積みと他馬との斤量差がなくなることを考えれば、条件は大きく好転する。今回の負けで評価を落とす必要はないはずだ。

3着にはカワカミプリンセスが入ったが、これは鞍上・横山典騎手の好騎乗によるものだろう。瞬発力勝負になると判断し、好位からの競馬ではなく後ろに控えて直線の追込に賭ける作戦。1・2着馬には離されたものの、メンバー中最速の上がり(3F・33秒8)を駆使してキッチリと3着を確保した。馬自身の状態もかなり良くなっていたようだ。ここ数戦見られなかった気迫に満ちた走り。今後の目標はGⅠ・ヴィクトリアマイルということだが、復活を期待するファンの声にぜひとも応えてほしい。

最後の最後でカワカミプリンセスにハナ差かわされたのが4着・アドマイヤフジ。『予習』の中でも述べた“瞬発力勝負になると分が悪い”というパターンが、今回はそのままあてはまってしまった。とはいえ、この馬なりにレースで力を出せたことも確か。川田騎手は「大崩れすることもなく頑張って走っている」と同馬を讃えている。厳しい言い方にも聞こえるが、1~3着のGⅠ馬との力差を考えれば、大健闘の4着という評価になるのかもしれない。

2番人気に支持されたマツリダゴッホは、まったく見せ場のないまま7着に沈んだ。道中掛かり気味の悪い癖が出ているようにも見えたが、武豊騎手は「走らない理由がよくわからない」とコメントしている。
『予習』でもふれたように、今回は多くの不安材料(もしくは疑問点)を抱えての出走。それらがどのように影響したのかは定かではないが、結局のところ、この馬の“勝ちパターンに持ち込めない時の脆さ”がすべてレースに出てしまったように思える。有馬記念に続いての惨敗だけに、馬自身の精神的なダメージも心配だ。案外、立て直しに時間がかかるかもしれない。


■大阪杯・結果

2009年4月5日 2回阪神4日11R
第53回 大阪杯(GⅡ)
芝・2000m 晴・良

 1着 ドリームジャーニー   池添    1.59.7
 2着 ディープスカイ       四位     クビ
 3着 カワカミプリンセス    横山典     2

単勝 8 690円(3番人気)
馬連 8-11 520円  馬単 8→11 1600円
3連複 2-8-11 1540円  3連単 8→11→2 8640円

■大阪杯・予習

出走12頭中6頭がGⅠ馬(海外GⅠを含む)。GⅡ・大阪杯にはなかなかの好メンバーが揃った。
このレースは“有力なGⅠ馬が春初戦に使って結果を出す”という傾向が強く、一昨年、昨年の勝ち馬(メイショウサムソン、ダイワスカーレット)は、いずれも前走・有馬記念から3ケ月の休み明けでこの大阪杯を制している。1番人気の信頼度も高く、過去10年で勝率は7割。データ的には“堅く収まるレース”と言えるだろう。

前日売りの段階で1番人気の支持を集めているのは、昨年のダービー馬・ディープスカイ(単勝1.7倍)。3歳秋の競馬で古馬相手に天皇賞・秋3着、ジャパンカップ2着という堂々たる実績を残し、じっくり休養をとってここを目標に仕上げられた。春の最大目標はGⅠ・安田記念(秋には凱旋門賞)とのことだが、陣営は「ここは落とせない一戦」と強気のコメントをしている。
ディープスカイに死角はあるだろうか?
専門紙上では、4ケ月半の休み明けと59キロの斤量を不安材料として取り上げられているが、仮に休み明けと斤量の影響で反応が鈍くなるようであれば、わずかではあるが心配な部分はある。なぜなら、今回のレースが「阪神・芝・内回り」という条件で行われるからだ。
ディープスカイのこれまでの阪神実績<2.0.1.0>はすべて「阪神・芝・外回り」のコースのもの。東京コースでの好走歴を考え合わせれば、この馬の末脚がより発揮できるのは直線の長いコースであることは間違いない。つまり、「内回りコースで直線が短くなる」「休み明けと斤量の影響で仕掛けに対しての反応が鈍くなる」という2つの要素が重なった場合、末脚を100%発揮できないままゴール板まで来てしまうケースも考えられるわけだ。
とはいえ、この馬の実績を考えれば、そのような心配も無用かもしれない。馬券を組み立てる上では、中心として考えるべき存在だろう。

一昨年のグランプリホース・マツリダゴッホは評価が難しい。全9勝中7勝を上げている“自分の庭・中山”の日経賞(昨年1着)をパスしてここに参戦。しかし、今回のローテーションの組み方にどのような意図があるのかがはっきり見えてこない(春天を想定した関西遠征という意見もあるが・・・)。
さらに、この馬の勝ちパターンは、3~4コーナーからまくって4角先頭から押し切るもので、2コーナーから除々に下りになる中山コースだからこそ“ハマる戦法”。初の阪神コース、馬の脚質を知り尽くした主戦の蛯名騎手からテン乗りの武豊騎手への乗り替わり、栗東での滞在調教など「初ものづくし」の条件下で、はたしてこの馬が自分の走りをできるかどうか。あるいは、これまでとはまったく違った競馬を見せてくれるのか・・・。馬券的な信頼度には「?」が付くが、走りに注目という意味では最上位の馬である。

ドリームジャーニーの前走のGⅡ・中山記念は、内から抜け出す競馬で2着。それまでの外差し一辺倒の走りから脚質的な進境を見せた。これまでは“2歳GⅠ馬”の称号だけが先行していた感もあったが、ここにきて充実期を迎えたようにも思える。阪神芝・内回りの2000mは昨年朝日CCを制した舞台。レースの流れに乗って自在性のある競馬ができれば好勝負になるだろう。
問題は極端な道悪になった場合。ピッチ走法なので馬場を苦にするタイプではないとは思うが、瞬発力勝負を身上とするだけに、位置取り次第では“差して届かず”のケースもあるかもしれない。

カワカミプリンセスは牡馬との混合重賞で健闘は見せているものの、実際に馬券に絡んだのは昨年の金鯱賞の3着のみ(牝馬限定重賞は除く)。骨折休養以後は、あと一歩足りないレースが続いている。前走のGⅡ・京都記念では勝ち馬のアサクサキングスに0.3秒差という結果だったが、完全に力負けという印象を受けた。今回もメンバー的に勝ち負けまでは難しく、せいぜい複勝圏までという考え方が妥当ではないだろうか。3歳時の強いカワカミプリンセスの走りが強烈だっただけに、復活を期待したい1頭ではあるが・・・。

復活といえば、近走その兆しが見えてきたのが、一昨年の皐月賞馬・ヴィクトリー。前々走のGⅡ・京都記念(3着)では、久々にこの馬らしい先行力と持続力を見せたくれた。あるいは、チークピーシズの効果があったのかもしれない。前走のGⅢ・中京記念でも58キロのハンデを背負いながら0.4秒差の4着。今回は単騎逃げの見込めるメンバーだけに、マイペースでレースを運べれば残り目も十分にあるはずだ。テン乗りの和田騎手がどのようなペースで流れを作るかがカギになる。

アドマイヤフジは昨年までの長距離路線から1800~2000mの中距離を主戦場に変更、今年に入って中山金杯1着、中山記念3着と続けて馬券に絡んでいる。GⅠでは足りないがGⅡ以下なら好勝負ができるタイプらしく(カンパニーやエアシェイディも同じ)、昨年の年明けからのGⅡ・GⅢ戦は6戦して<2.1.2.1>と安定した結果を残している。
この馬の場合、決め手勝負になると分が悪い。前々でのレースから直線で抜け出す競馬をして、後続の差し馬をどれだけ凌げるかがポイントになるだろう。

サンライズマックスは前走のハンデGⅢ・小倉大賞典を57キロで1着。一昨年の暮れに勝ったGⅢ・中日新聞杯の時のハンデが53キロだったことを考えれば、順調に力を付けてきたことがわかる。ただし、中央の重賞では今ひとつ結果が出ず(出走馬が弱かったエプソムC勝ちはあるが)、今回のメンバーの中に入ると格下感は否めない。
もっとも、前走の小倉大賞典は、それまでの追込みではなく好位からの差し脚での勝利。したがって、乗り方ひとつで上位に食い込んでくる可能性があることも確かだ。今回の鞍上は名手・岩田騎手だけに、「GⅡではまだ敷居が高いだろう」という判断だけで買い目から外すのは危険だろう。いずれにしても、この馬にとっては、今後重賞戦線の常連になれるかどうかの試金石となる一戦に違いない。


カレンダー

03 | 2009/04 | 05
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

カテゴリ

プロフィール

安東裕章

Author:安東裕章
東京都出身。2007年11月に書籍『競馬のツボ』、2008年7月に『競馬のツボ2』、2009年7月に『競馬のツボ3』を発表(いずれも総和社刊)。

このたび、拙著『競馬のツボ』を刊行していただいた出版社・総和社様の勧めもあって、ブログを始めることにしました。
競馬における一番の楽しみは、レースについて考えること。つまり予想です。
このブログを書くことで、自分でも週末のレースに向けてイメージを膨らませる訓練になるかと思います。
競馬について考えることが好きな皆様。レース予想に疲れて気分転換をしたい時など、よろしければフラッと遊びに来てください。

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。