■2009年06月

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■宝塚記念・復習

本年度上半期を締めくくるGⅠ・宝塚記念は、2番人気のドリームジャーニーが2着馬に0.3秒差をつけて快勝。2歳時の朝日杯FS以来、2年半ぶりとなるGⅠ勝利を手中におさめた。
道中はディープスカイをマークする形のレース運び。4コーナーで外に持ち出すとキレのある末脚で一気に突き抜けた。「直線の短いコース+良馬場」という、この馬の決め手を活かすには絶好の条件が揃ったレース。加えて、大逃げのコスモバルクを除けば、全体的にスローな流れ。最終的に“瞬発力勝負”になった展開も大きく味方した。上がり34秒3は、言うまでもなく、メンバー最速である。
秋は中山のオールカマーから天皇賞・秋へ向かい、その後は香港遠征も視野に入れているという。中でも注目は天皇賞・秋。〈0.0.1.3〉という東京芝実績が示すように、同馬の“一瞬のキレ”は直線の長いコース向きとは言い難い。天皇賞・秋で結果を出せるかどうか。それによって、ドリームジャーニーの“GⅠ馬としての評価”が決定付けられるに違いない。

2着のサクラメガワンダーは完璧な競馬だったと言える。『予習』の中で不安材料として提示した「調教の反動」もなく、万全の仕上がりでレースに挑むことができたようだ。決め手勝負になれば、ディープスカイとドリームジャーニーに見劣りする以上、2頭よりも早めに動いたのは正解。福永騎手も「イメージ通りの競馬ができた」とコメントしている。GⅠの大舞台で“自分から動ける競馬”ができたことは何よりの収穫。6歳馬ではあるが、本格化が遅かった分、今後もGⅠ戦線での上位争いが期待できるだろう。

1番人気のディープスカイは3着。前をいくサクラメガワンダーをかわすこともできず、ドリームジャーニーには2走前の大阪杯と同じように外から差し切られた。鞍上の四位騎手も管理する昆調教師も「原因がわからない」とコメント。スポーツ紙の見解も「安田記念(1600m)からの距離延長に無理があった」「右回りが苦手」などさまざまだが、敗因はやはり、直線の短い阪神内回りコースにあったのではないかと思われる。
『予習』でも述べたように、ディープスカイの強さは<瞬発力+加速力>にある。直線が短いコースでは<加速力>が発揮される前にゴールになってしまう。エンジンが全開にならないまま終わってしまうわけだ。しかも、今回のレースのように、馬群が一斉に動き出すようなレースでは、最初の<瞬発力>でアドバンテージを得ることもできない。現時点では直線の長いコース向きの走りをする馬と考えていいだろう。
ウオッカの回避。その上、アグネスタキオンの急死によって強まった“弔いの一戦”という意味合い。単勝1.6倍という数字はファンの期待の表われに違いないが、この馬の走りと内回りコースとの適合性を考えれば、“人気の被り過ぎ”だった感がある。
ただし、まだまだ成長が見込める4歳馬。秋のGⅠで、得意の府中に舞台が移れば、当然巻き返しがあるはずだ。期待したい。

4着はカンパニー。8歳になるこの馬には本当に頭が下がる。2200mの距離は長すぎると思い、『予習』では取り上げなかったが、先行して最後まで止まることなく粘っていた。前走の安田記念でもハナ差の4着。常に持てる力を発揮してくれる馬。GⅠを勝ち抜くことは難しいかもしれないが、存在感のある伏兵として今後も頑張り続けてほしい。

5着のスクリーンヒーローも見せ場を作った。専門家のパドック解説によれば「本調子には戻っていない」とのことだったが、それでも本来の早め早めに動く好調時と同じレースをしてくれた。長い休養を挟んでいる馬だけに、5歳馬でもまだまだ伸びしろがあるはず。万全の状態に戻って、秋のGⅠ戦線を賑わす1頭になってもらいたい。

終わってみれば、今回のレースは「宝塚記念が春の最大目標」としていた馬の1~3着。目標のレースに合わせてローテーションを組むことの重要さを改めて認識する結果となった。
春3走目に照準を合わせていたディープスカイ、休み明けの金鯱賞を叩いてこのレースをピークに仕上げたサクラメガワンダー。ドリームジャーニーについては、昨年暮れの有馬記念から数えて6戦目というキツイ使われ方のように見えても、実は「長く休ませるとハードな調教が必要になるのでコンスタントに使った方が仕上げやすい」という陣営のコメントがある。(ちなみに、ドリームジャーニーの宝塚記念へ向けてのローテーションについては『競馬のツボ3』の中でも題材として取り上げている)
伏兵視されたアルナスライン(6着)とマイネルキッツ(7着)は、年明けの段階では重賞勝ちのなかった馬。当初から天皇賞・春を走った上で宝塚記念を目標に仕上げられてきたとは考えにくい。つまり、このレースでは余力がなかったということだ。
ウオッカがこのレースを回避した理由は、海外2戦とヴィクトリアマイル、安田記念は目標であっても、宝塚記念出走は予定に入っていなかったからである。それを考えれば、好走する馬(=宝塚記念を目標としてきた馬)はおのずと見抜くことができたはず。
当初から宝塚記念を目標としている馬と、春のGⅠで結果を出したことで出走可能となった馬。今後も、宝塚記念を予想する際は、“2つのタイプを見分けること”がポイントになるだろう。




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■コメントのお礼 (6.28)

さとさん、コメントありがとうございます。

「ツボを読んで競馬が楽しくなった」と言っていただいて、
大変うれしく思います!
競馬は本当に奥が深いですよね。

よろしかったら、また遊びに来てください。


安東 裕章


■宝塚記念・結果

2009年6月28日 3回阪神4日10R
第50回 宝塚記念(GⅠ)
芝・2200m 晴・良

 1着 ドリームジャーニー    池添   2.11.3
 2着 サクラメガワンダー   福永  1+3/4
 3着 ディープスカイ       四位   クビ

単勝 9  710円(2番人気)
馬連 8-9 2630円  馬単 9→8 5310円
3連複 8-9-11 720円  3連単 9→8→11 10630円

■宝塚記念・予習

2009年上半期最後のGⅠ・宝塚記念。
ファン投票1位のウオッカは回避となったが、それでもなかなかの好メンバーが揃った。

前売り1番人気は、単勝1.6倍の断然の支持を受けているディープスカイ。休み明け→大阪杯→安田記念→宝塚記念というローテーションは当初からの予定通り。前走の安田記念ではプラス14キロの余裕残しだったが、今回は調教後の計量時点でマイナス6キロの馬体重。このレースに照準を絞った万全の仕上がりと考えていいだろう。
もっとも、ディープスカイに不安要素がないわけではない。宝塚記念は阪神の内回りコースで行われるレースだからだ。阪神・内回りコースは外回りコースよりも直線が短いため、各馬が4コーナー手前から早めに動き出すことが多く、上がりのかかるレースになりやすい。これは、ディープスカイが得意とするレースの流れとは言い難い。府中の長い直線で見せるような<瞬発力+加速力>の勝負に持ち込みにくいからである。
実際、ディープスカイはこれまで京都と阪神の内回りコース(=直線の短いコース)における成績は〈0.2.0.2〉。阪神コースには〈2.1.1.0〉の実績があるが、この2勝(毎日杯、神戸新聞杯)はいずれも外回りコースで上げたもの。それゆえ、単勝オッズが1倍台であっても“頭鉄板”とまでは言い切れない部分がある。
もちろん、四位騎手もそのあたりは熟知しているはず。この馬のキレ味を最大限発揮させるために、四位騎手がどのようなタイミングで仕掛けるか。レースぶりに注目したい。

“阪神・内回り”の大阪杯でディープスカイに競り勝ったドリームジャーニー。この馬はディープスカイとは反対に内回りコースを得意としている。前年の朝日チャレンジC勝ちも阪神内回りコース。中山コースに実績があることからも、直線の短いコースでの瞬発力勝負を得意としていることがわかる。
2歳GⅠ馬の潜在能力がようやく開花したという評価の通り、近走では安定した結果を残している。前走の天皇賞・春は同馬にとって距離が長いにもかかわらず、勝ち馬から0.3秒差の3着。GⅠでも勝ち負けを期待できる存在になった。この馬にとっても、宝塚記念は目標のレース。前年の有馬記念の後は、逆算したローテーションを組んだと言われている。
ドリームジャーニーの場合、斤量がカギになるだろう。ステイゴールド産駒の特長とも言える420キロ台の小さな馬体に58キロの斤量。前走の天皇賞・春では3着に入ったが、これまで58キロで走ったレースは〈0.0.1.3〉。当日に雨が降って馬場が渋るようならば、斤量がさらに負担になることも考えに入れておいた方がいいかもしれない。

前走、金鯱賞を勝ったサクラメガワンダー。昨年のこのレースでは12番人気の低評価ながら0.3秒差の4着。それ以降、レコード決着となった天皇賞・秋でも0.3秒差の6着と健闘し、近3走は重賞で連対を続けている。特に、休み明けの前走(金鯱賞)は7~8分の出来で苦手の左回りコースを克服。早めに動き出す自在性のある走りを見せ、“本格化”“充実期”を強く印象づけるレース内容だった。休み明けを1走叩いたローテーションもプラス材料。GⅠで好勝負できる可能性は十分にある。
注意すべきは調教。25日に出した坂路4F・52.1秒はこの日の1番時計だった。当週にこれだけハードな調教を行うのはこの馬にとって「異例」のことで、陣営のコメントによれば「ここまで目イチに仕上げとのは初めて」とのこと。
これを額面通りに受け取れば“勝負気配”の表われと見なすこともできる。しかし、強い調教が逆効果になるケースも往々にしてある。「異例」な仕上げ方が馬自身の体調にどのような影響をもたらすか。サクラメガワンダーに関しては、当日の気配(テンション)に注意を払う必要があるだろう。

レース距離を延ばすことがプラスに作用し、その勢いのまま天皇賞・春を制したマイネルキッツ。早めに栗東に入厩しこのレースに向けて仕上げられている。天皇賞・春は12番人気での勝利だっただけに、フロック視されている部分もあるようだが、過去10年で天皇賞・春の勝ち馬が宝塚記念に出走してきた場合は〈3.3.0.0〉とすべて連対。こうしたデータを参考にするまでもなく、3200mのタフなレースを制した底力を侮るわけにはいかないはずだ。
今回のポイントは松岡騎手の乗り方。天皇賞・春では、道中インで我慢して、3コーナーの下り坂から前に取り付き抜け出すパターン。言うなれば、「京都コースの勝ち方」に見事にハマったレースだった。それも、アサクサキングスという目標になる先行馬がいたからこそ出来た乗り方である。今回は人気のディープスカイやドリームジャーニーよりも前で競馬をすることになるはず。下り坂のない阪神・内回りコースで、どの馬を目標にして、どのような騎乗を見せてくれるか。馬にとっても騎手にとっても真価が問われる一戦と言えるかもしれない。

アルナスラインは天皇賞・春でクビ差の2着。その差は、ロスのないインを通ったマイネルキッツと外目を上がってきたアルナスラインのコース取りの差と言われている。さらに、レース中には落鉄があったとのこと。専門紙の中にも「力量的にはアルナスラインの方が上」と評価する声が多く、距離に関しても、3200mより2200m向きと見られている。
この馬に関して気になる点。それは前走外したチークピーシーズを再び着用することだ。陣営は「集中力を上げるため」とコメントしているが、チーク着用の日経賞で見せた掛かり気味の走りを考えると、逆効果になるのでは?という不安もある。前で競馬をする馬なので、さほど問題ないのかもしれないが、鞍上とケンカをするようなギクシャクした走りになった場合、失速→惨敗という最悪のケースもあるかもしれない。

今回のレースは“逃げ馬不在”。したがって、どの馬がハナに立つかということも、展開を考える上で重要になるだろう。前残りで馬券圏内に食い込む可能性もあるからだ。
候補と見なされているのは、インティライミアドマイヤフジ
インティライミはここ最近のレースでは差しの競馬をしているが、もともとは逃げ・先行タイプ。2005年のダービーでディープインパクトの2着になった時も、前々で粘った結果だった。昨年の宝塚記念でも3・4番手を追走して3着。佐藤哲騎手+佐々木昌厩舎と言えば、あのタップダンスシチーと同じコンビ。思い切った逃げを打つ可能性もある。特に、馬場が渋った場合は要注意。重実績のある馬だけに残り目も十分考えられる。
アドマイヤフジも前々でレースのできる馬。前走の新潟大賞典ではトップハンデの58.5キロに泣かされた感もあるが、それ以上にコーナーが少なく直線の長いコースが合わなかったという見方ができる。この馬も他馬の出方によってはハナを切る可能性がある。勝ち負けまでは難しいかもしれないが、展開次第では複勝圏内に残れるかもしれない。

スクリーンヒーローはどうだろうか。前走の天皇賞・春14着は負け過ぎには違いないが、阪神大賞典の反動という敗因はわかっている。昨年のジャパンカップを制したGⅠ馬。あくまで、状態面が回復していればという条件付きになるが、見せ場以上の結果を残しても決して不思議ではない。あるいは、横山典騎手が大逃げの作戦に出ることも考えられる。評価はかなり下がっているようだが、能力を発揮できる状態であるならば怖い存在だ。

穴候補をもう1頭上げるならば、モンテクリスエス。この馬も天皇賞・春で12着に敗退、GⅠは敷居が高いと評された。ただし、陣営の説明によれば、スタートが悪く最後まで流れに乗れなかったことが敗因とのこと。天皇賞・春の場合は目標となる馬が先行するアサクサキングスだったために、後ろから競馬をする同馬にしてみれば射程圏に捕らえること自体が難しかったはず。今回はディープスカイを目標に進めることができるレース。安藤勝騎手が“ディープスカイ・マーク”に徹すれば、直線で連れて上がってくるケースもあり得るだろう。



■コメントのお礼 (6.27)

ぽあぽこさん、コメントありがとうございます。
これからもできる限りブログを続けられるようがんばります。
よろしくおねがいします。


安東 裕章


■コメントのお礼 (6.26)

Yoshiさん、Tさん、かなとさん。
コメントをいただきありがとうございます。

『競馬のツボ』の3作目を書くにあたって、
そして、このブログを続けるにあたって、
皆さまからいただいた応援メッセージが
とても大きな励みになりました。
心より感謝しています。
本当にありがとうございました。

今日、手元に本(『ツボ3』)が届きました。
読み返してみると、反省点が数多く見つかります。
まだまだ勉強不足だし、
うまく伝えることができなかった部分もあります。
そして、校正の時に見落とした誤記や誤植。
読んでくださる方に対して失礼ですし、
本当に申し訳なく思っています。

今後、また本を執筆する機会がありましたら、
できる限り万全なもの作れるよう
努力していきたいと思います。


安東 裕章




■お知らせ (6.23)

いつもお世話になっております。

おかげさまで、『競馬のツボ Ⅲ』の発売が正式に決定いたしました。
詳細は出版元の総和社のホームページに掲載されています。
最初の部分の“立ち読み”もできるようになっています。
もしよろしければ、ご覧になってください。

総和社へは、このブログの左下にあるリンクから入れます。
もしくは、下記アドレスまで。


  http://www.sowa.ne.jp/


1週お休みをいただきましたが、今週末よりブログにも復帰しますので、
よろしくお願いします。


追伸

アグネスタキオンの急死、ショックでした。
まだまだ良駒を輩出してくれると思っていただけに、とても残念です。
ご冥福をお祈りいたします。


安東 裕章


■お詫びとお知らせ(6.18)

まずは、お詫びから。

今週末(6月21日)は、都合によりブログを休ませていただきます。
申し訳ありません。
毎週休まず続けてきただけに残念なのですが、やむを得ない事情がありまして・・・。
次週のGⅠ・宝塚記念には復帰いたしますので、よろしくお願いします。

今週はマーメイドSが組まれていますが、出走馬も枠順も決まっていない現段階でポイントを考えてみますと・・・。

●リトルアマポーラは斤量差と好位で流れに乗れるかどうかがカギ。
●ザレマは久々の2000mが若干不安。
●ベッラレイアは開幕週で差し脚を活かせるかどうか。重馬場はマイナス。
●ムードインディゴは岩田騎手のポジション取りに要注意。
●定石通りに考えれば、狙い目は軽量の先行馬。
 3連勝中のニシノブルームーン、ウェディングフジコ、
 あとは、出走してきたら、ヴィクトリアアイとフライングメリッサあたり。

というような感じでしょうか。
おそらく当日は馬券も買えないと思いますので、皆さま、がんばってください。


続いて、お知らせです。

このたび、『競馬のツボ』の第3弾を書き終えました。
7月の初旬に書店に並ぶ予定です。
来週には、出版社・総和社のホームページに詳細が載り、パソコン上で本の一部の“立ち読み”ができるようになるとのこと。それについては、改めて、ご報告差し上げます。

梅雨に入り、不順な天候が続いています。
皆さま、体調には気をつけてお過ごしください。


安東 裕章



■エプソムC・復習

春の東京開催最後の重賞・エプソムカップは、2番人気のシンゲンが2着のヒカルオオゾラに0.2秒差をつけて快勝。着差以上の強さを印象づける“豪快な差し切り勝ち”で、秋の重賞戦線での活躍を期待させる走りを見せてくれた。直線でヒカルオオゾラを射程圏に捉えた後は一気に加速。上がりはメンバー最速の34秒2。すでに6歳馬だが、長い休養を何度か挟んでいるため、このレースが14戦目。今後もまだまだ上積みが見込めるだろう。
陣営の話によれば、札幌記念を使って最大目標の天皇賞・秋を目指すとのこと。GⅠともなれば相手は一気に強くなるが、東京コース6勝の適性を活かして、本番では大いに見せ場を作ってほしい。

2着のヒカルオオゾラは昨年と同じように折り合いを欠いた掛かり気味の走り。武豊騎手が馬群の外々を回ってなだめるように乗っていたが、4コーナー先頭から抜け出したものの最後はシンゲンの差し脚に屈した。池江寿調教師は「左回りが合わないのかもしれない」とコメントしたが、それよりも原因は気性面の若さにあるのではないかと思われる。今回がまだ11戦目のキャリア。行きたがる面が解消されて鞍上の意のままに走れるようになれば、重賞戦線でも十分に戦える力の持ち主だと思う。

ヒカルオオゾラから2馬身離された3着にはキャプテンベガ。この馬については「横山典騎手の好騎乗」に尽きるだろう。道中は4~5番手を追走。シンゲンよりも前で競馬をするとは予想できなかった。直線に入りシンゲンが後ろから迫ったところで、横山典騎手は見計らったように“併せ馬”の体勢に持っていく。これによってキャプテンベガはシンゲンに連れられるように直線で伸びることができた。『予習』の中で述べたように、キャプテンベガは長くいい脚を使えるタイプではない。これまでのレースのように後方からの競馬では、掲示板に載ることもできなかったのではないだろうか。とにかく見事な乗り方だった。

4着は逃げ粘ったショウナンラノビア。内の荒れた馬場とベストよりも1F長い距離。そうしたハンデがありながら最後まで踏ん張ることができたのは、目下の充実ぶりの表れと見ていいだろう。前走のGⅠ3着が必ずしもフロックではないことを証明してみせたとも思える。すでに6歳になるが、牝馬限定戦ならば重賞制覇できる可能性も高いだろう。

5着は東京巧者のトウショウウェイヴ。馬体重が戻っていなかったことからもわかるように、決して万全の状態ではなかった(吉田豊騎手談)。それでも大外から差してこれたのは、このコースとの相性の良さがすべて。得手・不得手がはっきりしている馬だけにどのレースでも狙えるタイプではないが、ベストの状態で府中を走る時はマークが必要であることは確認できた。

その他では、6着に終わったマストビートゥルーも一応の評価ができるかもしれない。好位で逃げ馬をマークするこの馬にとっては理想的な競馬。最後は伸び脚を欠いてしまったが、もう少し溜めるような走り方ができて末脚のキレを使えるようになれば、重賞クラスでも上位争いに加われるだろう。
逆にアーネストリーはマストビートゥルーと同じポジションにつけながら早々と後退。騎乗した佐藤哲騎手が「馬が幼くてオンとオフの使い分けができていない」と言うように、力みながら走っている感があった。とはいえ、まだ4歳馬。今後の成長に期待したい。

終わってみれば、上位2頭の実力が抜けていた一戦。3着馬を含めても1~3番人気での決着だった。
レースの勝ち時計は1分45秒5。これは、東京競馬場がリニューアルされてから行われたエプソムCにおいては最速の時計である。加えて、1000m通過が58秒5という厳しい流れ。こういうレースになると、能力の高い馬同士の“力勝負”になるのが「競馬の常」。強い馬が勝つという納得の結果と言っていいだろう。


■エプソムC・結果

2009年6月14日 3回東京8日11R
第26回 エプソムカップ(GⅢ)
芝・1800m 曇・良

 1着 シンゲン       藤田   1.45.5
 2着 ヒカルオオゾラ   武豊    1+1/4
 3着 キャプテンベガ   横山典   2

単勝 8  330円(2番人気)
馬連 8-12 320円  馬単 8→12 660円
3連複 8-11-12 890円  3連単 8→12→11 2720円

■エプソムC・予習

春の東京開催最終週を締めるGⅢ・エプソムカップ。秋の重賞戦線を睨んで出走する馬や、ここを使ってサマーシリーズに弾みをつけたい馬など、多種多彩な18頭の顔ぶれが揃った。
前売りの段階で人気は2頭に集中している。
単勝2.3倍の1番人気はヒカルオオゾラ。前年の2着馬で、準オープンへ降級後、再び勝ち上がっての出走となる。前走はGⅡ・マイラーズC。重賞戦線のトップクラスとの初対戦だったためさすがに敷居が高かったようだが、それでも勝ち馬のスーパーホーネットから0.4秒差ならば上々の内容だろう。デビュー以来10戦して5勝、連対率70%という走りの安定感は馬券の中心には最適と考えていいかもしれない。
凡走があるとすれば、馬場が渋り上がりのかかるレースになった場合。この馬が連対を外したのは3レース。前走の6着に関してはスローの瞬発力勝負で差がついたものだが、その他の2レースは38秒台(2000m)と36秒台(2400m)の上がりで完敗している。1600~1800m戦に限っても、自身の上がりが35秒台だった2レースはいずれも2着(共に1番人気)に敗れている。重馬場の経験がないことも不安材料のひとつ。当日は午後から雨の予報だが、馬場状態によっては人気に応えられない走りになるケースも考えられる。

前走、GⅢ・新潟大賞典で2着馬に0.5秒差をつけて快勝したシンゲン。勝ち時計も1分56秒9と優秀だった。前売りではヒカルオオゾラに次ぐ2番人気で単勝2.7倍。東京芝コースは7戦5勝の好相性で、陣営はすでに秋の天皇賞を視野に入れているとのこと。きっちりと勝って賞金を加算したい一戦だ。
この馬の連対率も61.5%と高い。ただし、ヒカルオオゾラに比べると安定感に大きな差がある。未勝利戦の2着以外は1着か着外という両極端の戦績。その理由について、陣営は「テンションの調整が難しい馬」とコメントしている。このレースでも調整の順調度がカギになるだろう(専門紙の追い切りの評価は高いが・・・)。ちなみに、シンゲンが1着になったレースのローテーションを見てみると、中1~2週か1ヶ月半以上の休み明け。近走では中6週以上の使われ方になっている。今回の中4週の間隔がどう影響するか。念のため、当日の気配に注意したい。

サンデーサイレンス×ベガの良血馬・キャプテンベガ。近走では重賞でも堅実な走りを見せているが、あとひと押しがなく勝ち切れないレースが目立つ。
この馬に関しては、素質は認めても評価は下げて考えた方がいいかもしれない。一瞬のキレで勝負する走りのスタイルが東京コース向きとは思えないからだ。4走前にGⅢ・東京新聞杯の2着があるが、これは不良馬場で他馬が苦労する展開に恵まれたもの。道悪を苦にしない差し馬ならば、むしろ、重馬場になった場合に狙ってみたい。
ただし、今回の鞍上は横山典騎手。その馬の特性を最大限活かす騎乗はお手のもの。“鞍上込み”という考え方をすればノーマークにはできないが・・・。

東京芝実績〈4.4.0.0〉のトウショウウェイヴ。前走のGⅢ・新潟大賞典12着は2週前追い切りでトモを痛めたことが原因。コース適性を重視すれば、巻き返しが期待できる今回は狙ってみたくなる。
もっとも、“東京は走る”という理由だけで飛びつくのは少々危険。1800mの距離実績〈0.2.0.1〉と2000mの距離実績〈3.2.0.3〉の数字の比較からもわかるように、ベストの条件には1F短い。加えて、心配なのは、ここ2走で10キロ減った馬体。昨秋からの使い詰めで調子落ちの状態かもしれない。絶好の舞台ではあるが過信は禁物だ。

アーネストリーのオープン昇格後の2戦は4着、5着、重賞ではクラスの壁があるようにも見える。ただし、準オープンでも人気になりながら勝ち上がりまで3走を要したように、実際はクラス慣れに時間がかかるタイプ。3走目となる今回は前進を期待してもいいだろう。デビュー以来、掲示板を外したことがない堅実派。距離の1800mはこの馬には短いが、好位でレースを運べるだけに、複勝圏候補として押さえておきたい。

その他の伏兵(前売り単勝30倍以降)についてもふれておこう。

1000万、1600万を連勝して前走のGⅠ・ヴィクトリアマイルでもウオッカの3着に粘ったショウナンラノビア。翌週の牝馬GⅢ・マーメイドSではなくこのレースを狙ってきた勝負気配は“買い”の要素だ(仮にマーメイドSに出走してもそれほどの斤量は背負わされないはず)。ベストの距離はマイルだが、馬場が渋って前が有利な展開になれば、残り目もある。
内田博騎手が騎乗するホッコーパドゥシャも雨馬場歓迎の重巧者。ただし、重賞クラスでは格下の印象が否めない。陣営は「結果次第では宝塚記念も」とコメントしているが、本当の狙いはサマーシリーズのハンデGⅢ・七夕賞あたりとも推測できる。
同じ重馬場巧者でも、面白そうなのはマストビートゥルー。昨年暮れの1000万勝ちを境に頭角をあらわし、3走前ではオープン勝ち。2走前にはGⅡ・大阪杯に出走している。1800mで4勝の距離実績はメンバー1の勝ち数。内枠と先行できる脚質を味方につければGⅡ出走の経験値が活かせるかもしれない。
そのGⅡ・大阪杯で5着に入ったダイシングロウ。昨年夏に小倉で好走したように暑くなって良くなるタイプ。1800mは3勝。近走は馬券に絡んでいないが、掛かり気味の先行馬に差しのレースを覚えさせる途上の成績。スムーズに折り合える走りができれば、ここでの一変の可能性はないとまでは言い切れない。
もう1頭上げるならば、ニルヴァーナ。前走のGⅡ・金鯱賞では久々に行き脚のついた逃げを見せた。結果は7着でも0.5秒差。この馬も暑い時期が得意。最終目標はサマーシリーズかもしれないが、叩き3走目の今回は前走以上の走りが期待できそうだ(ショウナンラノビアとの兼ね合いがカギになるが・・・)。

エプソムカップというレースは“このレースが目標”という馬が揃うわけではないので、なかなか狙いを絞りにくい。今回もヒカルオオゾラとシンゲンの2頭が人気になっているが、仮にこの2頭で決着したとしても、3着には人気薄が飛び込んでくる可能性もある。馬場状態を確認して、ある程度の展開を読んだ上で、人気薄も拾えるような馬券の買い方が正解だろう。



■コメントへの御礼

かなとさん、いつも応援ありがとうございます。
春のGⅠ連戦もアッという間に終わってしまいましたね。
これからは夏競馬。
2歳馬の動向からも目が離せません。

今後もできる限りがんばって
ブログを続けていきたいと思ってます。
よろしくおねがいします。


安東 裕章


■安田記念・復習

2009年春の最強マイラーの称号を手にしたのは、断然の1番人気に支持されたウオッカだった。
これでGⅠ6勝目、獲得賞金は10億を突破。塗り替えられる数々の記録。まさに歴史に名を残す“名馬”の輝かしい勝利となった。
レースについては今さら言うまでもないだろう。直線では再三前が詰まる状態になりながら、馬群をこじあけてからはこの馬の独壇場。ゴールまでわずか100mの間で前を行くディープスカイをとらえて差し切った。
「まともなら(ウオッカに)5~6馬身離されていた」というのはディープスカイに騎乗した四位騎手のコメント。オークスのブエナビスタもそうだったように、不利な状況を乗り越えた時ほど、その馬の強さは際立って見える。今年の安田記念はウオッカの“強さ”を再認識するためのレースだったと言えるかもしれない。

2着のディープスカイは完璧な走りだった。宝塚記念という目標が控えているために、目イチの仕上げではなくプラス14キロの余裕残し。それでも、マイルの流れに乗り遅れることもなく、“ダービー馬対決”の相手役をしっかりと演じてくれた。能力の高さが十分に証明されたことは間違いない。元来、マイル戦よりも中長距離向きの走りをする馬。次走の宝塚記念に大きな期待が持てる内容だった。

3着には10番人気の伏兵・ファリダット。名牝ビリーヴを母にもつ良血で常に人気を集めていた馬である。メンバー中最速の上がりでディープスカイに1馬身差。非凡な才能の持ち主であることを垣間見ることができた。
もっとも、この結果は安藤勝騎手の好騎乗に因るところが大きい。最後方に控えて直線勝負にかけたレース運び。この馬のキレ味を最大限活かした乗り方だった。
マイルは長いと言われていた馬だが、実際のところはエンジンの掛かりが遅いタイプのようにも見える。1200mの高松宮記念の“届かず”の競馬を見て、「もう少し距離があれば差し切りもあったかな」と思ったファンも多かったはず。ならば、今回の安田記念では伏兵の1頭として注目すべきだったかもしれない。

ファリダットとクビ差の4着だったカンパニー。1頭だけ大外を回ったため、他馬と馬体を合わせられずに伸びが止まったが、それでも8歳馬の健在ぶりを強くアピールした。ファリダットとのクビ差は言うなればコース取りの差。1・2着馬には力負けした感もあるが、他の出走馬に対しては格の違いを見せつけた結果になったと言っていいだろう。

7着に終わったスーパーホーネット。この馬の場合、レースで求められる能力と自身の能力の違いがはっきり出てしまったようだ。1000m通過が57秒4のハイペース。レースの上がりが36秒1。瞬発力よりもスピードの持続力と底力が試される、スーパーホーネットにとっては不向きな展開だった。
秋の京都・マイルCSは府中の安田記念よりも“軽い走り”が通用する舞台。この馬にとってのチャンスはそこかもしれない。雪辱に期待したい。

結果は順当だった。配当的には面白くないレースだったという声も聞こえてくるが、強い馬が強い勝ち方をすれば、すべてが納得できる。




■安田記念・結果

2009年6月7日 3回東京6日11R
第59回 安田記念(GⅠ)
芝・1600m 晴・良

 1着 ウオッカ       武豊   1.33.5
 2着 ディープスカイ   四位    3/4
 3着 ファリダット      安藤勝   1

単勝 3  180円(1番人気)
馬連 3-6 290円  馬単 3→6 460円
3連複 3-4-6 4100円  3連単 3→6→4 10000円

■安田記念・予習

春のマイル王を決定する第59回・安田記念。外国馬2頭を含むフルゲート18頭が顔を揃えた。
実績で抜けているのは、一昨年と昨年のダービー馬、ウオッカとディープスカイである。
ウオッカは前走のGⅠ・ヴィクトリアマイルで後続に7馬身差をつける圧勝。改めてその強さを見せつけた。「年内の引退まで強いウオッカを見続けていたい」というファンの心理も反映されてか、前売りの段階では単勝1.9倍の支持を得た。東京芝のマイル戦はこの馬にとってベストの条件。当然、GⅠ連勝、そして安田記念連覇への期待がかかる。
もっとも、ウオッカにとって、このレースは前走ほど楽な展開にはならないだろう。格下の逃げ馬がペースを作ったヴィクトリアマイルは、ゴーサインを出すだけで勝てたレース。牡馬の強豪が揃った今回、流れは当然厳しいものになる。後続を一気に突きはなす競馬ができれば問題はないが、混戦の追い比べになった場合はクビ差・ハナ差で届かないというようなケースもあるかもしれない。
さらに、不安点を上げるならば、前走でも問題になったドバイ遠征帰りの反動。前走が楽勝だったために見逃されがちだが、反動というものは2走目まで持ち越されることもある。いらぬ心配で終わればそれに越したことはないが、当日の気配には一応注意した方がいいかもしれない。

ディープスカイの前走はGⅡ・大阪杯。休み明けで斤量59キロの影響もあって、ドリームジャーニーにクビ差の2着に敗れたが、最後は内から差し返す底力を見せた。前走後はここを目標に調整。安田記念→宝塚記念を連勝して秋には凱旋門賞を目指すのが陣営の青写真。ここは落とせない一戦だろう。
凡走があるとすれば、レースの流れに乗れず、走りが崩れた時だろう。芝1600mを走るのは昨年のNHKマイルC以来。中長距離のレースが続いたためにこの馬の走りのスタイルがマイルに適応できるかがポイントになる。もちろん、陣営もそれは承知のこと。坂路での調教量を増やしてマイル戦向きのスピードを強化したという。それが結果に結びつけば、人気では差をつけられたウオッカを逆転するシーンも十分考えられる。

競馬ファンの3番手評価はスーパーホーネット。GⅡではトップクラスの馬だが、GⅠではあと1歩届かず2着止まり。6歳春の安田記念。ぜひともGⅠ勝ちの栄誉を手にしたいところだ。
この馬の場合、精神力に課題があり、特に、輸送が苦手という大きな弱点があった。そのため、昨年の安田記念では早めに美浦に入厩してレースに備えたが、結果は8着に終わった。
ところが、今年は香港遠征を経験。さらに、遠征後の休み明けとなったGⅡ・マイラーズCを快勝。はっきりと成長が見られるようになった。昨年のGⅡ・毎日王冠ではウオッカに先着した実績もある。この馬自身の走りができて、瞬発力勝負になるような展開になれば、ここでも好勝負になるだろう。
ただし、スーパーホーネットに関しても、ウオッカと同様に、2走目の遠征の反動という不安材料がある。今回は栗東からの輸送。大幅な馬体減などには注意したい。

昨年秋の天皇賞で、ウオッカ、ディープスカイと着差なしの接戦をしたカンパニー。東京芝実績は〈0.0.1.8〉と数字的には悪いものの、内容自体は決して見劣りするものではない。前でも後ろでも競馬ができる強味。前走のマイラーズCではスーパーホーネットにクビ差まで詰め寄る末脚を見せた。すでに8歳馬。陣営も「安田記念はこれがラストチャンス」とコメント。昨年は目に外傷を負ったために出走を断念したが、今年は万全の状態でレースに臨める。前評判では上位3頭に水を開けられたが、ゴール前が接戦の展開になれば、その争いの中に加わってくる可能性もある。

高松宮記念を制したローレルゲレイロ。差し脚で勝負する有力馬が牽制し合うような形になれば、前へ行けるこの馬に有利な展開になる。
その場合、自分のペースで行けるかどうかがカギになるだろう。同型のコンゴウリキリオーとの兼ね合いももちろんだが、1200m戦で求められるスピードはマイル戦のそれとは違う。後続をどれだけ引きつけるか、あるいは差をつけるか。“自在な逃げ”ができれば残り目も出てくる。鞍上の藤田騎手の手綱さばきに注目したい。

スマイルジャックは昨年のダービー2着馬。前走の京王杯SCでは、道中でジョッキーが立ち上がるほどの不利があった。したがって、7着という結果は参考外と見てもいいだろう。東京芝実績はここまで〈0.2.2.1〉。勝ち鞍はないが、安定した成績を残している。相手なりに走れるタイプ。馬自身が本格化するのはまだ先と言われているが、このレースでも複勝圏内の候補として押さえておいた方がいいかもしれない。

前哨戦の京王杯SCを勝ったスズカコーズウェイ。東京芝実績も〈2.0.2.0〉と高く、伏兵の1頭という見方がされているようだ。もっとも、京王杯SCはメンバー的に高いレースだったとは言い難い。ハンデ重賞を勝ったばかりのタケミカヅチや近走結果の出ていないステキシンスケクンが“実績上位”に位置付けられるレベルだった。馬自身に勢いがあることは認めるが、いきなりGⅠで好勝負を期待するのは酷かもしれない。今年に入って7戦目になる使い詰めも気になる。

毎年注目される香港馬だが、今年の2頭に関する専門紙の評価は低い。輸送後に大幅な体重減があり、馬なりの調整しかできていないという記事もあった。昨年の2着馬・アルマダもそれ以降は馬券に絡むこともできていない。見送りが妥当かもしれない。

先週のダービーは不良馬場で、出走した馬たちにはかわいそうなレースになった。今週の安田記念はなんとか良馬場で行えそうである。ベストマイラーの戦いと呼ぶにふさわしい白熱したレースを期待したい。



■ダービー・復習

1番人気・14着という“まさかの惨敗”から1ヶ月。ロジユニヴァースは皐月賞のリベンジを果たし、ダービー馬の栄誉を手に入れた。
ロジユニヴァースの勝因は、さまざまな条件を味方につけたことだろう。展開、枠順、馬場状態。データでは割り出せないこうした不確定要素が、ロジユニヴァースの能力を発揮させるプラス作用になり勝利への後押しとなった。
離れた2番手(実質1番手)で競馬をするリーチザクラウンを目標に楽な形で追走できたこと。最内枠を引いたことでロスのない経済コースを通れたこと。そして、不良となった馬場状態は、外枠の有力差し馬に不利な要素を与えると同時に、パワフルな先行力を武器とするロジユニヴァースにとっては大きなアドバンテージとなった。
横山典騎手はレース後に「まさか勝つとは思えなかった。自信がなかった」とコメントしたが、結果的にはそうした一歩引いた気持ちが、馬に負担をかけない丁寧な乗り方につながったようにも思える。もちろん、プラス体重に戻して万全の状態に仕上げた陣営の努力も見逃せない。
ダービーを勝って3歳馬の頂点に立つのは並大抵のことではない。しかも、ロジユニヴァースの場合は、当初原因不明と言われた敗戦からの巻き返しである。この結果については、素直に賞賛の拍手を送りたい。

2着のリーチザクラウンも皐月賞13着からの巻き返し。この馬も自身の能力を発揮できたと言っていいだろう。ジョーカプチーノが大逃げを打ったために、実質上のペースメーカー。こういう形になれば自分の走りができる。皐月賞よりも距離が延びながら折り合い面に進歩が見られたのも大きな収穫に違いない。

3着にはアタマ差でアントニオバローズが入った。まだまだ荒削りな印象のある馬だが、好位から抜け出して詰め寄る正攻法のレースは立派である。ぶっつけで皐月賞を使い、中2週続きのローテーションが心配だったが、むしろ“皐月賞を使って叩き3走目”という素直な考え方をした方が正解だったようだ。春のクラシックは“3強”だけが話題の中心にいたが、秋にはこの馬の名前も加える必要があるだろう。

アントニオバローズ同様、ダービーを目標に仕上げられたナカヤマフェスタが4着。最後の直線で見せた上がりの脚は光っていた。後方グループの中では最先着。この馬もまた秋の活躍が楽しみな1頭である。

1番人気のアンライバルドは見せ場もなく12着。敗因は馬場に尽きるだろう。他馬に被されることがなく有利と思われた大外枠も不良馬場ではまったく逆。力を必要とする馬場で外々を回らされては、道中での消耗度が増すだけである。岩田騎手が言うように「直線を向いた時にはもうヘロヘロ」。瞬発力の持続どころか使うことさえもできなかった。

不良馬場でのレースは底力の差が出ると言われている。ロジユニヴァースはデビューから4連勝を飾った馬。底力がなければこうした成績は残せない。それに対してアンライバルドは力よりもキレで勝負するタイプ。レースによって必要とされる能力の違い。それをを痛感させられる結果だった。
思い出すのは昨年暮れのGⅢ・ラジオNIKKEI杯。良馬場発表ながら重い馬場で行われたレースは消耗戦でもあった。直線半ばまで楽々と逃げていたのがリーチザクラウン。差して突き離したのがロジユニヴァース。着差は今回と同じ4馬身だった。この時からすでに、力を必要とする馬場への適性は示されていたのである。

不良馬場で行われたダービーは実に40年ぶりだという。我々競馬ファンにも、そしてそれぞれの陣営にも、「もし良馬場だったら・・・」という疑問がつきまとう。
だからこそ、新聞各紙の見出しには次のような言葉が踊る。

 「真の決着は秋」

ロジユニヴァースのダービー馬としての価値、アンライバルドの皐月賞馬としての価値。
それを証明する舞台の幕が上がるのを、今から心待ちにしている。


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安東裕章

Author:安東裕章
東京都出身。2007年11月に書籍『競馬のツボ』、2008年7月に『競馬のツボ2』、2009年7月に『競馬のツボ3』を発表(いずれも総和社刊)。

このたび、拙著『競馬のツボ』を刊行していただいた出版社・総和社様の勧めもあって、ブログを始めることにしました。
競馬における一番の楽しみは、レースについて考えること。つまり予想です。
このブログを書くことで、自分でも週末のレースに向けてイメージを膨らませる訓練になるかと思います。
競馬について考えることが好きな皆様。レース予想に疲れて気分転換をしたい時など、よろしければフラッと遊びに来てください。

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