■2009年09月

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■神戸新聞杯・復習

神戸新聞杯を制したのは、7番人気(単勝24.0倍)の伏兵・イコピコ。
勝ち時計は2分24秒2のレコードタイム。上がり3F・33秒7の驚異的な末脚で、2着のリーチザクラウンに2馬身差をつける快勝だった。
イコピコについては、『予習』の中で、「春の実績馬を相手にどれくらいわたりあえるか注目」と書いたが、まさかこのような“強い勝ち方”を見せてくれるとは思わなかった。
勝因として考えられることは二つ。
まず第一に“折り合い”。道中、中団の後ろでじっくりと脚を溜める競馬に専念できたことが直線の伸び脚につながったことは言うまでもない。もともと33秒台の上がりの脚を使える馬。ゆったりとした流れから直線勝負になった展開が向いたこともプラス。今回は自身の能力を存分に発揮できたということだろう。
勝因の二つ目は“四位騎手の騎乗”。言い換えれば、イコピコの能力を最大限に引き出す乗り方だったということ。なかでも、特筆すべきは、直線の追い出しのタイミング。他馬が一斉に動いた時、仕掛けをワンテンポ遅らせて、インコースからアンランバルドの外側(芝の良い部分+ゴチャつかないライン)へ持ち出したわけだが、VTRでその自然な動きを見るたびに、何度となく「巧いなあ」と声を洩らしてしまった。見方によっては“決めうち”とも思える乗り方だったが、騎乗馬の持ち味をフルに発揮させる力量は、さすがトップクラスの騎手である。
今回の勝利によって、イコピコは菊花賞の有力馬の1頭となった。本番では、さらに距離が伸びる上での“折り合い”が求められるだろうが、それ以上に、今回と違う展開でも同じ走りができるかという課題もある。直線だけの競馬となった今回の阪神・外回り2400mに対して、3コーナーからの下り坂が走りを大きく左右する京都・外回り3000m。菊花賞の予想では、そのあたりがこの馬の取捨についてのポイントになるかもしれない。

リーチザクラウン(2着)は、本番へ向けて好スタートを切れたと見ていいだろう。マイペースでの渋太い逃げは健在だったし、向こう正面でレッドシャガーラが迫ってきた時も落ち着いた走りに徹していた。直線では3着のセイウンワンダーに差を縮められることもなく、自身の上がりも34秒8にまとめたのだから、この馬の走りはできたと考えられる。今回のような自分でペースを作れるレースができれば、本番でも好走が可能だろう。
不安点をあげるならば、今回のマイナス18キロの馬体重。トライアルにしては仕上り過ぎのような気もする。はたして上積みを見込めるかどうか。

距離に不安があると思われたセイウンワンダーは、好位から流れに乗る競馬で3着に入った。この馬の勝因もやはり“折り合い”がついたこと。加えて、抜群のスタートでポジションを取れたことが大きかった。2歳時の走りやこれまで騎乗したジョッキーのコメントなどから、「中団から差してくるマイラー」のイメージが強かったが、実は思った以上に距離やコースに対応できる万能型なのかもしれない(サクラメガワンダーとタイプがかぶるようにも思える)。
3000mの距離に対応できるかは未知数だが、少なくとも、世代のトップクラスの能力を持った馬であることは確認できた。本番でもマークが必要だろう。

1番人気のアンライバルドは4着。3コーナーまで掛かり気味に行きたがる走り。懸念されたいた“折り合い”に不安を残す結果になった(『予習』で指摘した通りになってしまった)。休み明けのイレ込みという要素もあったかもしれないが、最後の止まり方があまりにも呆気ない。直線で突き抜けてもおかしくない展開だったと思うのだが・・・。
このレースだけで「長距離は不向き」という結論は出せないものの、菊花賞で春と同じようなパフォーマンスを期待できるかどうか。岩田騎手は「スタート直後に外から何頭か来たために気負ってしまった。スムーズなら折り合いはつく」とコメント。ならば、本番での雪辱に期待したい。

夏を越しての成長が期待されていたアントニオバローズ(2番人気)は見せ場もなく11着。スタートで後ろ目のポジションになったこともあり、向こう正面で押し上げていったが、結果的にはその分直線での脚をなくしたようにも思える。さらに、この馬にとって不得手な上がりの勝負になったことも大きな敗因に違いない。
今回の負け方を見る限り、この馬の評価は下げざるを得ない。いくら上がりの競馬が苦手といっても、3F・36秒1は出走馬中下から2番目の数字。わずかでも“強さ”の片鱗を見せてくれれば先に期待がつながったとは思うのだが・・・。陣営のコメントは体調面の不調を示唆しているが、本番での巻き返しを図るのは容易ではないはずだ。

本番での変わり身を期待するならば、アプレザンレーヴ(4番人気・9着)だろう。プラス24キロの馬体重は、成長分があったとはいえ、やはりトライアル向きの仕上げ。もともと520キロ台の大型馬だけに、1走叩いた上積みは見込めるに違いない。

さらにもう1頭あげるならば、シェーンヴァルト。出遅れた上に後方で掛かり気味。しかも、直線では内に進路をとったために前が塞がるレースだった。それでも、最後は上がり34秒3(イコピコに次ぐ2位の数字)で差を詰めてきている。秋山騎手は「ハミを強く噛んで気負っていた」とコメント。スムーズな競馬ができればという条件付きにはなるが、本番での巻き返しがあるかもしれない。



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■神戸新聞杯・結果

2009年9月27日 4回阪神6日10R
第57回 神戸新聞杯(GⅡ)
芝・2400m 晴・良

 1着 イコピコ           四位   2.24.2
 2着 リーチザクラウン      武豊    2
 3着 セイウンワンダー      福永   3/4

単勝 4  2400円(7番人気)
馬連 4-15 3790円  馬単 4→15 11750円
3連複 4-11-15 15610円  3連単 4→15→11 132480円


■神戸新聞杯・予習

菊花賞トライアル・神戸新聞杯。フルゲートに満たない14頭立てではあるが、本番へ向けて興味深いメンバーが顔を揃えた。
このレースのポイントは、先週行われたトライアル(ローズS、セントライト記念)と同様、「春の実績馬の成長」と「夏の上がり馬の能力」の見極めになるだろう。
ちなみに、データ的には「春の実績馬(皐月賞・ダービーの上位馬)が人気通りの結果を出すレース」。1番人気馬が強く、過去10年で馬券の対象外となったのは、2007年のフサイチホウオー1頭のみである。前売り段階では、三つ巴の人気になっているが、各馬がどのような走りを見せてくれるかが楽しみだ。

前売り1番人気は皐月賞馬のアンライバルド。2週にわたってハードな調教をこなし、馬体の仕上がりも上々とのこと。「しっかりと結果を出して本番につなげたい」という陣営のコメントの通り、道悪に泣いたダービーの雪辱を果たすためにも、ここは負けられない一戦。直線の長い阪神・外回りコースも、差し脚を存分に発揮できる条件と言える。
この馬の場合、“ダービーの敗因をどう読むか”がポイントかもしれない。
キレ味勝負のアンライバルドにとって、当日の不良馬場が走りに大きな影響を与えたことは間違いない。加えて、外々を回らされる大外枠の不利もあった。しかし、ナカヤマフェスタ(4着)のように、最後に差し込んできた馬がいたことも確か。つまり、穿った見方かもしれないが、アンライバルドが後方ままで惨敗を喫したことに関して、“本当に馬場状態だげが原因だったのか”という疑問を持つこともできるわけだ。
馬場状態以外に考えられる敗因、それは、距離。
元来、折り合いに難があると言われていたアンライバルド。皐月賞で見せた3~4コーナーのマクリも“掛かり気味”の走りだった。ダービーはジョーカプチーノが玉砕覚悟の逃げを打ったために、記録上はハイペースになっているが、2番手以降の馬群はゆったりとした流れ。つまり、皐月賞よりも距離が伸びた2400mのレースの流れ(ペース)そのものが、アンライバルドに向かなかったのでは?と考えることもできる。
今回のレース(芝・2400m)での課題もそのあたりになるだろう。世代トップクラスとしての“磐石の走り”ができるかどうか。距離がさらに伸びる菊花賞本番を考える上でも、アンライバルドに関しては、道中の折り合いというものに注目してみたい。

リーチザクラウンは皐月賞で大敗したものの、ダービーでは2着。2つのレースを比較すればわかるように、自分のリズムで走れた時には強さを発揮するタイプである。春の時点から「菊花賞向き」との評価をされていたが、要するに、距離が伸びるほどマイペースでレースを運ぶことができるからだ。“3強”のうちの2頭が皐月賞とダービーを勝った以上、残る一冠は何としてでも手に入れたいはず。たとえトライアルであっても、本番を期待できる結果を残したいところだろう。
この馬がどれくらい成長したかについては、走りの柔軟性に注目してみたい。
これまでのレースは、いわば、スピードの違いだけで、若干“掛かり気味”に逃げ切っていた部分が多い。それゆえ、前述したように、自分のリズムが崩れると脆さを露呈してしまう。本当に強い逃げ馬と呼ばれるのは、逃げながら自身も脚を溜め、直線でさらに後続を突き放すような走りをするもの。リーチザクラウンには、そういった緩急をつけられる自在性を期待したい。

ダービー3着のアントニオバローズ。春のクラシック戦線では、「弥生賞取消→ぶっつけで皐月賞」「皐月賞出走→トライアル→ダービー」というように、順調な調整過程を踏んでレースに臨むことができなかった。そのような状態でありながらも、ダービーで3着に入ったことによって、この馬の潜在能力の高さを評価する声もある。春の一連のレースと比べれば、今回は状態面(調整過程)における信頼度も高い。アンライバルド、リーチザクラウンを相手に“春の序列”の逆転があっても不思議ではないだろう。
もっとも、この馬が本格化するのは、まだまだ先ではないかという見方もある。シンザン記念やプリンシパルSの走りには、たしかに粗削りな面が目についていたし、実際、今回の調教では折り合いを欠いたため、専門紙の採点も今イチ。加えて、好位差しの脚質のため、上がりの競馬=キレ味勝負では分が悪い。血統的には長距離仕様と言われているだけに、トライアルも本番も期待したい1頭ではあるが、まずは「どれくらい大人の走りができるようになったか」「どのような“強さ”を見せてくれるか」に注目したい。

人気3頭の全成績を見てみると、アンライバルド〈4.0.1.1〉、リーチザクラウン〈3.3.0.1〉、アントニオバローズ〈2.2.1.1〉というように、3頭とも馬券に絡まなかったレースは1レースしかない。実績面からも、やはり、今回のレースはこの3頭を中心に考えるのが正解かもしれない。

4番人気以降の馬が一角を崩すケースがあるだろうか。

ダービー5着馬のアプレザンレーヴ。芝2400mの青葉賞勝ちもあり、距離適性に関してはメンバー1という見方もできる。ただし、今回は「使って良くなれば」と陣営自らが認める“叩き台”。調教に関しても「重苦しい」という評価が大多数を占めている。先週のブロードストリートのように、厩舎情報や調教がマイナス材料になっても勝ってしまうケースもあるので軽視はできないが、すでに本番出走への賞金は足りているだけに、勝ち負けまで期待できるかどうか・・・。

皐月賞2着のトライアンフマーチ。この馬の場合は、どのようなポジションで競馬をするかに注目したい。皐月賞では後方一気の走りを見せたが、これは出遅れが原因。それ以前のレースでは好位からの競馬で結果を残している(阪神・外回りコースの形態を考えると、後方から直線での勝負に賭ける競馬になるかもしれないが)。スペシャルウィーク×キョウエイマーチという良血。夏を越して素質が開花するようであれば、侮れない1頭だ。

朝日杯FSを制した2歳王者のセイウンワンダー。春のクラシックでは脇役に追いやられた感があるが、ここで復活してくれば、本番への興味はより一層高まる。中山での勝ち鞍に加えて、阪神実績も〈1.1.0.0〉。坂のあるコースを得意としていることに関してはプラス材料だ。
問題は距離。ダービー13着について、陣営は「距離ではなく道悪が原因」とコメントしているが、それ以前も含めて騎乗したジョッキーは「距離はマイルくらいがベスト」と分析している。今回は、この馬の適性が試されるレースという見方もできるだろう。

皐月賞4着、ダービー6着と、春には善戦と呼べる一応の結果を残したシェーンヴァルト。実績上位馬に比べると、能力的に見劣りするところもあるが、休み明けを1走使って上積みを期待できるのはこの馬だけ。しかも、レースは古馬相手のGⅡ・札幌記念。状態面でのアドバンテージ、そして、古馬に揉まれた経験値は、“買い”の材料と考えることもできる。

シェーンヴァルト以上に“善戦マン”のイメージが強いトップカミング。この馬の強味は競り合いになった時の勝負根性だろう。人気以上の着順を確保するタイプだけに、ゴール前が混戦になるような展開になれば、複勝圏内への食い込みもあるかもしれない。

春のクラシックには参戦できなかったが、専門紙では潜在能力を評価されているイコピコ。前走のラジオNIKKEI賞ではトップハンデの57キロでも0.2秒差の4着に踏ん張った。馬券的にはどうかも、人気上位3頭とどれくらいわたりあえるかに注目してみたい。
夏の上がり馬では、札幌で古馬相手に好走してきたレッドシャガーラ。1000万クラスからの格上挑戦になるが、ほとんどの馬が休み明けとなる中で、使われてきた強味と勢いが魅力の1頭だ。


中山ではGⅡ・オールカマーが行われる。注目点は以下の通り。

●馬体が420キロ台のドリームジャーニーに59キロの斤量はどうなのか
●マツリダゴッホは得意のコースで自分の走りを取り戻せるか
●左回りに良績が集中しているシンゲンは中山コースを克服できるか

有力馬がそれぞれ不安点を抱えているだけに、波乱の要素もある。伏兵の台頭にも注意をした方がいいかもしれない。コース&距離適性ならば、マイネルチャールズ、トウショウシロッコ、ダイワワイルドボア。穴馬ならば、叩き2走目の上積みが見込めるスノークラッシャー(東京向きとは思うが)と、テン乗り・後藤騎手の剛腕がプラスに作用しそうなダイシングロウあたりが気になる。




■ロースS・復習

ローズSを制したのは、藤原英厩舎の3頭の中で最も人気の低かった、5番人気(単勝28.2倍)のブロードストリート。断然の1番人気・レッドディザイアをクビ差退けた。1分44秒7のレコードタイム。春先から高く評価されていた素質を、実戦で開花させた結果と言っていいだろう。

ブロードストリートの最大の勝因は藤田騎手の好騎乗。スタートを決めた後は、馬込みの中で好位追走。直線半ばまで我慢させて、前が開くと同時に一気の伸び脚を見せた。特筆すべきはそのタイミング。外を回って追い出したミクロコスモス、レッドディザイアよりもワンテンポ仕掛けを遅らせ、一瞬の脚を引き出した乗り方は、馬の能力(瞬発力)の見極めがあってこそのもの。馬群に包まれるリスクがありながら、あえてインを進んだのも、枠順を考えたことと同時に、直線で最も伸びるラインへのこだわりがあったからだろう。藤田騎手ならではの“見ていて鳥肌が立つような”乗り方だった。
『予習』の中で「狙い時はむしろ本番の方かもしれない」と書いたが、それは「秋華賞が行われる京都・内回りコース(=直線の短いコース)の方が一瞬の脚を使いやすいだろう」と考えたため。まさか、今回、こうした競馬を見せてくれるとは予想できなかった。
それにしても、戦前に聞かれた陣営の弱気なコメントは一体何だったのだろうか(苦笑)。藤原英調教師自身、レース後に「成長面での物足りなさがあったから・・・。あんなに強いとは思わなかった」と正直に驚きを語っていたが、“調教の状態や厩舎情報と実際のレース結果は必ずしも一致しない”ということを改めて学んだ感がある。
本番に向けての一番の課題は、体調の維持だろう。休み明けで2キロ増の馬体は、仕上がってはいたものの、大きな成長分があったとまでは言い切れない。レコード決着の反動も気になる。脚質を考えた場合、ブエナビスタやレッドディザイアよりも京都・内回りコース向きと思えるだけに、今回よりもチャンスは広がるはず。2頭の好敵手としてぜひともベストの状態で本番に臨んでもらいたい。

2着のレッドディザイアは、圧勝を期待していたファンには物足りないレースだったかもしれないが、本番へのステップという意味では十分な内容だった。プラス10キロは言うなればトライアル仕様。追ってからの反応が今イチ鈍く見えたのも、先を見据えた仕上がりだったからに違いない。実際、四位騎手も無理をせず外へ持ち出して脚を測るようなレースをしたように思える(結果的にはコース取りの差によってブロードストリートに先着を許したわけだが)。
それでも、メンバー最速の34秒0の上がりでクビ差の2着。100%の力で勝ったブロードストリートを70%程度の力で追い詰めたような印象もあり、底力だけで結果を残せたのだから、本番に向けての上積みも期待できるはずだ。
秋華賞本番でのポイントは乗り方。京都・内回りコースの短い直線を考えた場合、4コーナーである程度前の位置にいなければ届かないケースもある。今回、レッドディザイアは、4コーナー手前からロングスパートをかける競馬を見せたが、本番ではどのような走りになるか。“打倒・ブエナビスタ”も大きなテーマではあるが、この馬自身がどのようにコースを克服するかにも注目したい。

3着には『予習』の中で穴馬の1頭として取り上げたクーデグレイス。前々で流れに乗れたことが好走の理由だろう。有力馬の脚質が差し・追込だったために、展開のアヤという見方も多いようだが、レコード決着となったこのレースで4コーナー5番手以内で掲示板に載ったのはこの馬だけ。粘りのある走りは評価できるものだ。夏場を使ってきた馬だけに、上積みは期待できないが、本番も今回のように速い流れが続くレースになれば、この馬にも出番があるかもしれない。

2番人気に支持されたミクロコスモスは4着。折り合い面での成長はうかがえたものの、春先のリベンジを果たせるだけの力を付けたかどうかは疑問。レッドディザイアよりも早めに動いたとはいえ、最後の止まり方はいただけない。結果的にレッドディザイアから0.5秒差。これは、現時点での両馬の力の差と見てもいいかもしれない。武豊騎手は「本番では乗り方を工夫する」とコメントしているため、見限れない部分もあるが、今回も外を回る競馬しかできなかったことを考えると、本番で一変する要素はそれほど期待できないかもしれない。

藤原英調教師が3頭出しの中で最も期待してたというワイドサファイアは9着。勝ち馬のブロードストリートと同様、道中はインで脚を溜める競馬をしていたが、直線で馬群を割って抜け出してくる走りはできなかった。岩田騎手は「スッと動けなかった分、最後はゴチャついた」とコメント。同じような位置から瞬時に反応できたブロードストリートと比較すると、実戦で力を発揮しづらいタイプなのかもしれない。少なくとも、今回のレースでこの馬に期待していた“キレ味”を見ることができなかった。秋華賞出走は未定のようだが、出てきた場合は、もっと前の位置での競馬をした方がいいようにも思える。

「敗因がよくわからない」(福永騎手)というジェルミナル(11着)は、本番に不安を残すレースになった。道中は好位のインを楽に追走しているように見えたが、直線に向くとそのまま失速。まったく見所がなかった。休み明けで仕上がり途上だったのかもしれないが、春の実績馬はいずれも同じ条件。道中の不利や展開・枠順の不向きがはっきりしていれば、次走の立て直しも見込めるのだが・・・(位置取りが前過ぎて速い流れに脚を使い過ぎたような気もするが)。陣営が今回の敗因をどのように分析するか、次走のコメントには注意したい。

今後、注目できそうな馬を挙げるならば、5着に入ったボンバルリーナ。このメンバーの中で大健闘の走りだった。自己条件の500万クラスに戻れば、アッサリ勝ち上がってくるかもしれない。
もう1頭は、休み明け32キロ増だったヒカルアマランサス。着順こそ16着だったが、春に減った馬体が戻り、最内枠の不利がありながら、直線まではしっかりと流れに乗れていた。巻き返しに期待したい。




■ローズS・結果

2009年9月20日 4回阪神3日10R
第27回 ローズS(GⅡ)
芝・1800m 晴・良

 1着 ブロードストリート      藤田    1.44.7
 2着 レッドディザイア       四位    クビ
 3着 クーデグレイス       川田     1

単勝 4  2820円(5番人気)
馬連 4-11 1180円  馬単 4→11 4930円
3連複 4-11-13 10990円  3連単 4→11→13 98420円


■ローズS・予習

秋華賞トライアル・ローズS。
3歳秋のGⅠトライアルのポイントは、「春の実績馬の成長」と「夏の上がり馬の能力」を見極めることだが、特に今年の3歳牝馬戦線の場合、ブエナビスタという世代の中心馬が存在するため、「本番の秋華賞でブエナビスタと好勝負できるのはどの馬か」という着眼点も必要になるだろう。

前売り段階で単勝1.3倍の1番人気に支持されているレッドディザイア。過去4戦、ブエナビスタ以外に先着されたことはなく(桜花賞では0.1秒差、オークスではハナ差)、当然ながら、ブエナ不在のこのレースではナンバー1の評価が与えられる。
専門紙の記者、そして我々競馬ファンの注目は、「春よりどれくらい強くなっているか」の一点。調教の評価も高く、また、陣営も「ここを勝って本番で(ブエナビスタと)再戦」とコメントしているように、先を見据えた上での半端な仕上げではないようだ。配当的な妙味は薄いが、やはり、この馬を軸候補と考えるのが正解に違いない。

相手候補として名前が挙げられているのは、栗東・藤原英厩舎の3頭。

ジェルミナルは桜花賞・オークスでともに3着。そうした実績から、ブエナビスタ、レッドディザイアに次ぐ“3番手の馬”という見方が強い。もっとも、オークスでは2頭に0.5秒差をつけられていることから、必ずしも“強い3番手”とは言い切れず、成長の差、あるいは仕上がりの差によって、今回、他馬との逆転があってもおかしくない。
特に、仕上がりに関しては、1週前の追い切りを外傷のために自重したことは気になるし、「今回のレースで試してみたいこともある」という陣営のコメントにしても、どこか“試走”を匂わす部分がある。競馬センスの非凡な馬だけに、レースになれば、そこそこの走りを見せてくれるとは思うが・・・。

オークス4着馬のブロードストリート。春先は素質だけで走っていたという評価もあり、今回のレースでは、その成長度に注目したい1頭。伸びしろに関しては、ジェルミナル以上の魅力がある。
ただし、「春の疲れが抜け切れず追い切りの本数が足りない」という陣営のコメントもあるため、狙い時はむしろ本番の方かもしれない(今回は軽視とまでは言い切れないが)。今後に期待をつなげる走りができるかどうかが、この馬を見るポイントになるだろう。

藤原英厩舎の3頭の中で、専門紙の評価が最も高いのがワイドサファイア。オークスでは放馬のために除外となり、ブエナビスタとの力の差を測ることができなかったが、遡れば、エルフィンSでレッドディザイアに着差なしの2着の実績を持っている。「春は体質が弱かったが今では併せ馬もできるようになった」と陣営もかなりの勝負モード。実際、同厩の3頭の中では、最も早く放牧先から戻り、このレースに向けての調整が続けられていた。成長を裏付ける要素があるとなれば、“本番でブエナビスタの好敵手になれば”という期待感も高まる。
もっとも、エルフィンSの結果だけで、今回もレッドディザイアと好勝負ができるという考え方には無理があるし、実際、春のフローラSの走りを見た限りでは、思っていた以上に“キレない”印象が強かった。はたして、どこまで馬が変わっているか。注目してみたい。

昨年暮れの阪神JFの走りから、ブエナビスタのライバルとまで呼ばれたミクロコスモス(前売り2番人気)。その後は、桜花賞にもオークスにも出走できずに終わったが、休み明けの前走・1000万条件で復帰を飾り、再びクラシック戦線に駒を進めてきた。鞍上の武豊騎手ともども、この秋は仕切り直しといきたいところだろう。
この馬の場合、折り合いと展開に左右される脚質がネックだった。今回はそれがどこまで改善されているかが注目点になる。人気の理由としては、前走の大倉山特別の優秀な勝ち時計(札幌芝・1800mで1分47秒4、上がり3F・33秒8)が取り上げられているが、13頭立て(少頭数)の大外13番に入ったことで、折り合いをつける競馬をしやすかった部分もかなり大きい。今回はフルゲート18頭の9番枠。馬群に包まれた時に同じレースができるかどうか。阪神の外回りコースはこの馬の脚質にとって有利であるには違いないが・・・。

“レッドディザイア・一本かぶり”のレース、複勝圏に人気薄が入ってくる可能性はあるだろうか。
いずれも、好走には「たら・れば」の付く馬になるが、何頭か挙げておきたい。

牡馬混合のGⅠ・NHKマイルCで5着に入ったワンカラット。この馬の場合、“距離をこなせれば”という条件が付くが、さらに2F長くなる本番の秋華賞よりも、このレースが勝負になるはず。先行しても、後方からの競馬でも、それなりの脚を使える馬なので、ヒモの候補として考えておいてもいいかもしれない。
同じく、“距離をこなせれば”の仮定の上で、気になるのがアイアムカミノマゴ。桜花賞以来の実戦となるが、春のクラシック戦線を賑わしていた馬だけに、ひと夏を越した今回の走りには注目してみたい。
桜花賞と同日に行われたOP・忘れな草賞以来となるヒカルアマランサスは、デビュー3戦で26キロ減った“体が戻っていれば”という条件付き。新馬・500万を連勝した時の走りが高い評価を受けていただけに、潜在的な能力が発揮できれば、激走もあるかもしれない。
夏の上がり馬の中では、まず、小倉で未勝利・500万を連勝したイタリアンレッド。格上挑戦になるが、勢いを重視した場合、侮れない1頭だ。調教も自己ベストをマーク。大外枠が若干不利のようにも思えるが、“実績馬との力関係に差がなければ”面白い存在だ。
もう1頭あげれば、関東馬のクーデグレイス。ここ3走はいずれも芝・1800mで連対。時計の比較(芝・1800m)に限れば、2番人気のミクロコスモスに次ぐタイムを持っている。イタリアンレッド同様、相手関係がカギになるが、3着ならばまったく可能性がないとは言えないだろう。


この日、中山では、菊花賞トライアルのセントライト記念が行われるが、このレースもローズS同様、「春の実績馬の成長」と「夏の上がり馬の能力」に注目してみたい。
ダービー4着のナカヤマフェスタの仕上がり。連勝中のアドマイヤメジャーの走り。夏の新潟で古馬相手に好走した、セイクリッドバレーとトウショウデザート。新潟で1走して得意の中山コースで勝負をかけるヒカルマイステージ。さらに、良血のフォゲッタブルあたりにも注目だ。
穴っぽいところでは、美浦に入厩し、独自の調整をしてきた関西馬のミッキーペトラ。16キロ増だった前走を除けば、長距離戦では〈2.0.2.0〉の実績を持つロードパンサーあたりが面白いかもしれない。




■セントウルS・復習

セントウルSを制したのは、5歳牝馬のアルティマトゥーレ。2着のスリープレスナイトに2馬身半差をつける快勝。デビュー10戦目にして重賞初制覇を成し遂げた。

『予習』にも書いたように、アルティマトゥーレの持ち味は“非凡なスピード”。今回のレースでは、それに加えて“緩急をつける自在性”を身につけたようにも思える。逃げ馬・ローレルゲレイロを先に行かせて、自身は3番手で折り合いをつける競馬。道中で抑えた分だけ最後の直線の伸びにつながったのは明らかで、言い換えれば、レースにおいてスピードの配分ができるようになったということだ。2走前の準OP(=逃げ切り勝ち)の走りと比べれば、大きな進歩と言っていいだろう。
大外枠も今回は有利に働いたようだ。序盤から脚を使わされることが懸念されたが、結果的には、内の先行馬を見ながらレースを運べる理想的なポジションに付けることができた。松岡騎手は「今後のためにもハナを切る競馬はしたくなかった」とコメント。思惑通りのレースだったに違いない。
次走はGⅠ・スプリンターズSが濃厚とのことだが、不安点を上げるならば、相手関係よりもこの馬自身の体調の問題。5歳にして10戦しか走っていない理由は、股関節に弱点があり疲れが残りやすい体質をカバーするために大事に使われてきたからである。セントウルSの激走の後、中2週で挑むGⅠは、この馬にとってこれまで以上に高いハードルとなるはずだ。もちろん、スプリント路線の新星として、できることなら超えてほしいハードルではあるが・・・。

2着のスリープレスナイトは、プラス22キロの馬体重での出走。太目感こそなかったものの、次走を考えた上での仕上げだったことは間違いない。とはいえ、スッと好位に付けるダッシュ力、直線で抜け出す瞬発力は「さすがGⅠ馬」という走り。休み明け+57キロの斤量という条件を考えれば、GⅠ・スプリンターズSへ向けてのステップとして及第点を与えられる内容だろう。
定量戦となるスプリンターズSでは、当然、今回以上の走りが期待できる。57キロでの好走による反動が若干心配ではあるが、万全の状態での本番の走りに期待したい。
それに対して、もう1頭のGⅠ馬・ローレルゲレイロは走りにキレがなく14着に惨敗。戦前の評判通り、何とかこのレースに間に合わせたといった印象だ。マイナス6キロの馬体重は直前の追い切りで負荷をかけたためだろう。スプリンターズS出走ということならば、中2週でどれだけ本調子に戻せるかが課題になりそうだ。

3着には11番人気のコスモベルが入った。出走メンバーの中では格下感が否めなかったが、単純に持ちタイムだけを比較すれば、実はメンバー1の時計(1分7秒2)の持ち主。開幕週の高速馬場がこの馬に向いていたという考え方もできるかもしれない。
この馬の場合、オーシャンS2着の時のような、内の好位から抜け出してくる競馬が身上。前走の北九州記念のように外枠(8枠15番)に入ると、好位を取れないため走りの良さが発揮できないことが多い。今回、『予習』でこの馬を取り上げなかったのも、“外枠=コスモベルには不利”が一番の理由だった。
ところが、いざレースがスタートすると、ハナを奪うかの勢いでポジションを取りにいく競馬。これは、北九州記念で前に行けなかったことを踏まえた上での佐藤哲騎手の好判断と言えるだろう。もちろん、最後まで粘り込めたのは馬自身の実力。思った以上に力を付けているのかもしれない。

サマースプリントシリーズ連覇を達成したカノヤザクラは4着。小牧騎手は「3~4コーナーでもう少し前に動けばよかったかもしれない」とコメントしているが、馬群が密集していたこともあって、追い出しのタイミングがワンテンポ遅れたようにも見えた。結果的には脚を余した形で、前が開くポジションにいれば2~3着もあったかもしれない。
アイビスSDの走りと比較すると、馬群が一団になるレースよりもバラけた方がノビノビと走っている印象が強い。上位3頭よりも力が劣るとは思わないが、展開に左右される面があるのは確かだろう。
橋口調教師はスプリンターズS出走も考えているようだが、夏の激走が続いた上でこのレースが目イチの仕上げだったとすれば、これ以上の上積みは見込めないはず。となれば、本番での評価は微妙である。

レースのラップを確認すると、前半33秒8→後半34秒0という、いわば平均ペース。開幕週の芝の状態を加味すれば、先行馬に有利な展開になったことは間違いない。4コーナーで後方集団にいたマルカフェニックス(5着)、サンダルフォン(7着)、ソルジャーズソング(10着)にとっては不向きの流れ。差し脚が不発に終わった馬については、条件次第で見直せる部分も大いにあると思える。

最後に今後の参考になりそうなジョッキーコメントを2つ紹介しておきたい。
●スズカコーズウェイ・後藤騎手
「このメンバーでもハナを切れるくらいのスピードがある。スプリンターとしての素質は非凡」
●サンダルフォン・四位騎手
「テンにもたつくタイプなので、もう少し距離があってもいいかもしれない」
次走、この2頭がどのような条件(距離)を使ってくるか、注目したい。




■セントウルS・結果

2009年9月13日 4回阪神2日10R
第23回 セントウルS(GⅡ)
芝・1200m 晴・良

 1着 アルティマトゥーレ    松岡      1.07.5
 2着 スリープレスナイト    上村      2+1/2
 3着 コスモベル        佐藤哲     3/4

単勝 16  1060円(5番人気)
馬連 8-16 1430円  馬単 16→8 3820円
3連複 8-15-16 20130円  3連単 16→8→15 103580円


■セントウルS・予習

サマースプリントシリーズの最終戦、と同時に、GⅠ・スプリンターズSのステップレースとして重要な位置付けとなるセントウルS(別定GⅡ)。各馬の“出走理由”に関しても、「シリーズチャンピオンを狙ってこのレースを目標とする馬」「先のGⅠを見据えた上で出走してきた馬(主に休み明け)」「夏に力を付けて重賞まで駒を進めてきた馬」というように、はっきりと色分けがされているようだ。
データ的には、サマースプリントシリーズを使った馬の方が、春以来の休み明けとなる実績馬よりも好成績を残している。ただし、サマースプリントシリーズを使った馬でも、前走が1~3着の場合、このレースでは〈2.0.2.8〉、着外に消えるケースも目立っている。
さらに、スプリンターズSの前哨戦となった過去9年で「牝馬が7勝」というのも大きな特長。今回は6頭の牝馬が出走するが、うち3頭(スリープレスナイト、カノヤザクラ、アルティマトゥーレ)が前売りの時点で単勝1~3番人気に支持されている。
はたして、今年はこうした傾向に沿った結果になるのかどうか。主要なメンバーについて考えてみたい。

アイビスSD1着、北九州記念3着とポイントを重ね、サマースプリントシリーズ連覇を狙うカノヤザクラ。「カノヤザクラにとってはこのレースがGⅠ」という橋口調教師のコメントからもわかるように、ここが目標のレース。当然、次(スプリンターズS)を考えず、目イチの仕上げで臨んでくるだろう。セントウルSは一昨年2着、昨年1着と相性のいいレース。“勝負気配”を重視するならば、きっちりと結果を出す可能性は高い。
気になる点はローテーション。昨年はアイビスSDを制した後、1カ月近くの間隔を取ってセントウルSを勝ったが、今年はその間に北九州記念を1走挟んでいる。「昨年も順調ならば北九州記念を使う予定だった」(橋口調教師)とのことだが、夏に2レースを走ったことによる反動も少なからず懸念される材料だ。調教を見る限りは好調を維持しているようだが、念のためレース直前の状態にも注意を払った方がいいかもしれない。

北九州記念を勝ったサンダルフォンにも、シリーズチャンピオンの可能性が残されている。平坦小回りの実績が光るため、「坂のある阪神コースではどうか?」という見方がされているようだが、北九州記念では以前の差し・追込一辺倒ではなくマクリ気味に好位に進出する走り。脚質の幅を広げてみせた。松永幹調教師も「前走のような競馬ができれば楽しみ」とコメント。立ち回り次第では馬券圏内に入ってきてもおかしくない。
とはいえ、今回は別定のGⅡ戦。斤量も前走より3キロ増となり、メンバーも数段強化される。ここでも結果を残せるようであれば、“遅咲きの本格化”と呼んでもいいかもしれないが・・・。

アイビスSDで2着に入ったアポロドルチェにも、他力本願ながらチャンスは残されている。昨年のGⅠ・スプリンターズSでは5着。潜在能力そのものは評価してもいいだろう。
ただし、この馬の場合、“遠征で結果を出せない関東馬”というイメージが強い。しかも、この夏は新潟と札幌を走り、中1週で阪神という使い方。ローテーション的にもかなり厳しいように思える。

GⅠ・スプリンターズSを目標にしている馬はどうか。

スリープレスナイト(前売り時点で単勝1番人気)は春の高松宮記念以来の出走。その高松宮記念は、“体調不良(ジンマジン)のぶっつけ本番”でありながら、2着という結果を残した。今回も休み明けになるが、春とは違って調整過程は順調そのものとのこと。「結果を出してGⅠへ向かいたい」(橋口調教師)と陣営からも強気の発言が目立っている(同厩のカノヤザクラとワンツーフィニッシュを狙っているというコメントもある)。
問題点を上げるならば、やはり斤量だろう。GⅠ馬とはいえ牝馬の57キロ。加えて、5カ月の休み明けとなれば、たとえ体調がベストであっても実戦でそれなりの影響があるに違いない。
6カ月の休み明けだった前走の高松宮記念の結果を受けて、「GⅠ馬の底力」を高く評価する声も多いが、当ブログ(『高松宮記念・復習』)でも書いたように、あのレースは先行馬と内枠の馬だけで決まったある意味“特殊なレース”。能力通りの結果という見方ができない部分もある。スリープレスナイト自身の高い能力は認めるものの、不利な条件が重なった今回、絶対的な信頼を置けるとまで言い切れるかどうか。

スリープレスナイトに先着して高松宮記念を制したローレルゲレイロ。この馬についての専門紙の評価は一様に低い。休み明けで59キロの斤量。さらに、調整過程も“今イチ”ということで、実際、陣営も「次につながる競馬ができれば」とトーンは低い。となれば、今回は様子見が妥当かもしれない。
もっとも、開幕週の馬場は間違いなくこの馬向きだし、阪神芝も〈1.2.0.1〉と得意にしている。戦前の評判だけで“消し”と決めつけるのは、危険なような気もするが・・・。

高松宮記念3着のソルジャーズソング。この馬も一見すると“次走狙い”のようにも思えるが、鞍上の安藤勝騎手には、サマージョッキーシリーズチャンピオン争いがかかっている。陣営も「GⅠのために賞金を加算したい」とコメント。このレースに対しての“勝負気配”だけを見れば、次走のGⅠを睨んでいる上記2頭よりも上と考えてもいいだろう。
もっとも、良績は京都・中京などの平坦コースに集中。高松宮記念3着についても、前述したように内枠が有利に働いた感がある。7歳馬ゆえに大きな上積みも見込めない。大駆けの魅力もあるが、ヒモの1頭という扱いが無難かもしれない。

近走、力を付けて重賞に挑戦してくる馬にもふれておこう。

前売り段階で3番人気に支持されているアルティマトゥーレ。前走はアイビスSD3着。重馬場ではあったが、持ち前のスピードを活かした競馬だった。キャプテントゥーレの姉でフシキセキ×エアトゥーレという良血。今年に入って一気に才能を開花させて印象がある。3走前の阪神牝馬Sでは10着に敗れているが、これは距離の問題(1400m)という指摘も多い。1200m戦に限れば〈3.1.0.0〉とすべて連対。上がり馬としての魅力は十分だろう。
あとは、相手関係。GⅠ級のスプリンターに対してどこまで食い下がれるかだろう。不利を否めない大外枠、中央でのレースなど課題は多いが、それでも結果を残せるようであれば、今後のスプリント戦線において非常に楽しみな存在になる。

もう1頭、上がり馬として注目されているのがメリッサ。前走、重賞初挑戦となった北九州記念では3番人気に支持された。
ただし、この馬に関しては、まだまだ未知数の部分が多い。現段階では“夏の小倉で好走した馬”という評価しかできないからだ。馬券的には難しいが、どのような走りをするかという点には注目してみたい。

専門紙の印は少なめだが、上位争いをしても不思議ではない馬もいる。
まず、マルカフェニックス。GⅡ勝ちがあるために58キロを背負うが、阪神芝実績〈2.0.3.5〉に加えて、2カ月ぶりの北九州記念を叩いた上積みも見込める。近走は結果が出ていないが、もともと成績にムラのある馬。実績を考えれば、馬券に絡んできてもおかしくはない。
初の1200m戦となるスズカコーズウェイも不気味な存在だ。最終目標はマイルCSで、ここはあくまで“使い出し”かもしれないが、GⅡ・京王杯SC勝ちのある実績馬だけに、距離短縮の効果で激走する可能性もゼロとは言えないだろう。



■今週末のブログについて

いつも「競馬のツボ<ブログ版>」にご来訪いただき、
ありがとうございます。

大変申し訳ありませんが、
急用のため、今週末(9/6)のブログは休ませていただきます。
(やむを得ぬ事情により、土曜の朝から遠出をしなければならなくなりました。)

秋競馬の始まる9月13日には再開いたします。
すみませんが、よろしくお願い申し上げます。


安東 裕章




■新潟記念・復習

新潟記念を制したのはホッコーパドゥシャ。この勝利によってサマー2000シリーズチャンピオンの座も手中におさめた。
レースは1000mの通過が61秒8という超スローペース。出走全馬が3F・32秒7~34秒0の脚を使う“上がりの競馬”で、最後はまさに横一線の攻防。0.3秒差に10頭がひしめき合う、いかにもハンデ戦らしい決着になった。

勝ったホッコーパドゥシャはいつもよりも前目の位置でのレース。直線はエンジンの掛かりが悪いようにも見えたが、馬場のいい外へ持ち出すと最後のひと伸びで内で先行するサンライズベガを差し切った。
当日になって石橋脩騎手から江田照騎手への乗り替わりとなったが、遅いペースを読んだ上でのポジション取りや直線でのコース取りについて、多くの評論家が「好騎乗」と讃えている。たしかに、急な乗り替わり(しかもテン乗り)で馬の能力を引き出した騎乗は、37歳のベテラン騎手ならではのものと言えるだろう。
サマーシリーズ3戦目で懸念された体調面については、陣営の努力がしっかりと結果に結びついたようだ。管理する村山調教師は「体調をキープすることを一番に考えた」とコメント。前走の小倉記念後には体の張りが戻らなかったそうだが、坂路調教をそれまでの2本から1本に減らすなどして、何よりも“体調維持”を念頭に置いた調整に徹したという。それに加えて、適性の悪さ(左回り実績〈1.0.0.8〉)をクリアできたように、ホッコーパドゥシャ自身が以前より確実に力を付けたことも勝因に違いない。
予想にあたって“夏3戦目は大きなマイナス材料”と決め付けて考えていたことは今回の一番の反省点。今後は“どのような調整がされているか”というポイントを重視して、調教の内容などにも注意を払うようにしたい。
今後のローテーションについては天皇賞・秋も視野に入れているとのこと。GⅠ戦線で活躍できるかどうかは別として、同じ“遅咲き”の7歳馬・サクラオリオン同様、まずは無事に、そして見ごたえのある走りを期待したい。

2着のサンライズベガと3着のメイショウレガーロは、スローな展開を味方につけた好走と見ていいだろう。逃げ・先行でありながら、上がりはともに33秒台。差し馬の追撃を封じることができた。
サンライズベガは番手からの競馬。直線で抜け出した時は勝ったかのように見えたが、もう一歩のところだった。「抜け出した後にフワッと気を抜いた」と池添騎手は語ったが、ペースが速くなっても今回のように好位から抜け出す競馬ができれば、重賞勝ちもそう遠くはないかもしれない。
メイショウレガーロは村田騎手の絶妙なペース配分があったとはいえ、直線の長いコースで最後まで粘り込めたことは収穫だった。あとは同型馬が出走した場合にどうかだろう。ハナにこだわらずに番手に控える競馬もできるようになれば、走りの幅も広がるに違いない。

4着は実績馬のエアシェイディ。上がり32秒7はメンバー最速。しかも、後藤騎手のコメントによると「絶好調時には遠く手前も変えずに走っていた」とのこと。地力の高さがモノを言ったということだろう。8歳馬、休み明け、58キロを考えれば上出来の結果。1戦使って次走は良化するはず。昨年同様、秋のGⅠ戦線での好走を期待できそうだ。

最終的に1番人気に支持されたアルコセニョーラは5着。「もう少し流れが速ければ」と武士沢騎手は悔やんだが、それよりも残念だったのは、昨年のように直線で外に持ち出せなかったことだろう。それでもこの馬なりの走りは見せてくれたように思えるが・・・。

シリーズチャンピオンの可能性があったダンスアジョイは、やはり内枠が災いしたようだ。最後は内から伸びてはいるものの、前が有利な展開で馬場の荒れた内から差すのは厳しい。角田騎手は「一瞬の脚しか使えないタイプなので小回り向き」とコメント。長くいい脚を使えるタイプかと思っていただけに、このジョッキーコメントは今後の参考にしたい。

新潟芝実績〈3.1.0.0〉が評価されたこともあって、2番人気に支持されたデストラメンテ。しかし、結果は14着。直線でヨーイドンになった時に反応できなかったことが敗因のようだが、さらに突き詰めて考えれば、オープンでの“揉まれる競馬”の経験が足りないということかもしれない。重賞戦線でしっかりと能力を発揮することができて、クラス慣れが見込めた時点で改めて見直したい。

4番人気のダイシンプランは好位での競馬。ポジション的には良かったとは思うが、差し脚のキレを発揮できない展開(脚を溜められない流れ)になったために直線で失速した(15着)。福永騎手は「距離は1600~1800mくらいがいい」とコメント。2走続けてジョッキーから同じコメントが出たということは、2000mはこの馬には長いということなのだろう。ちなみに、「距離が長い」というコメントは、マルクシェンク(9着)の柴山騎手も口にしている。

今回は、展開の向き・不向きがはっきりと出たレース。条件が変われば好走を期待できる馬もいるはずだ(例えば、上がりの競馬に対応できなかったトウショウシロッコ)。各馬の次走については、このレースの結果だけにこだわらず、条件・展開などをしっかりと検討するようにしたい。


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安東裕章

Author:安東裕章
東京都出身。2007年11月に書籍『競馬のツボ』、2008年7月に『競馬のツボ2』、2009年7月に『競馬のツボ3』を発表(いずれも総和社刊)。

このたび、拙著『競馬のツボ』を刊行していただいた出版社・総和社様の勧めもあって、ブログを始めることにしました。
競馬における一番の楽しみは、レースについて考えること。つまり予想です。
このブログを書くことで、自分でも週末のレースに向けてイメージを膨らませる訓練になるかと思います。
競馬について考えることが好きな皆様。レース予想に疲れて気分転換をしたい時など、よろしければフラッと遊びに来てください。

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