■2010年02月

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■中山記念・結果

2010年2月28日 2回中山2日11R
第84回 中山記念(GⅡ)
芝・1800m 晴・不良

 1着 トーセンクラウン      江田照   1.51.7
 2着 テイエムアンコール     浜中      5
 3着 ショウワモダン         後藤     クビ

単勝 3  3640円(13番人気)
馬連 3-5 18080円  馬単 3→5 40810円
3連複 3-5-10 66160円  3連単 3→5→10 534940円

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■中山記念・予習

今年で施行84回目となる伝統のGⅡ・中山記念。
このレースは、近年の結果から、いくつかの傾向が表われている。
まず、「実績重視」。
ここ数年の主な連対馬の名前を挙げると、カンパニー、ドリームジャーニー、エアシェイディ、ローエングリン、ダイワメジャー、バランスオブゲーム。近2走以内に天皇賞・秋、マイルCS、有馬記念といったレースを使われている馬が目立ち、“マイル・中距離のGⅠ戦線における実績馬が力通りの結果を残す”という色合いが強い。データ的にも、過去10年の連対馬20頭のうち19頭に芝1800m~2000mの重賞連対実績ありという傾向が示されている。
次に、「先行有利」。
過去5年の勝ち馬の4コーナー通過順位は、3、1、1、2、2。それまで追い込み一辺倒だったカンパニーが番手の競馬から勝利をものにした2年前のレースは記憶に新しい。開幕週の馬場状態が内を通る先行馬に有利に働くことが一番の理由だが、GⅡクラスでは条件戦と違って無理に競り合いもなく、流れが落ち着きやすくなるのも一因と考えられる。
最後に、「中山・芝・1800mの適性」。
このレースの大きな特徴は“リピーターが馬券に絡むこと”。先に名前を挙げた、カンパニー、ローエングリン、バランスオブゲームはこのレースを2回制している。当然、「中山・芝・1800mの適性」は重視されるべきポイント。近年このレースで好走している馬にもマークが必要だろう。

ただし、今年に限っては、ここまで述べてきた傾向通りにはいきそうもない。例年と比べて、出走メンバーの“質”が異なるからである。
例えば、“近2走以内のGⅠ出走経験”という条件を物差しにしてみても、該当するのはアブソリュートとシャドウゲイトの2頭のみ。GⅢ勝ちのある馬は何頭か出走するものの、GⅠの舞台を主戦場としている実績上位の馬は見当たらない。出走馬のレベルが低いとまでは言わないが、実績だけでは判断できないというのが正直なところ。そもそも、条件戦を勝ったばかりの昇級馬(キングストリート)が1番人気に支持されていることも、従来の中山記念ではあり得ないことである。
「先行有利」に関しても、例年よりも前へ行きたい馬がかなり揃った。GⅡクラスでは流れが落ち着きやすいと書いたが、実績の裏づけが乏しい今回のメンバーではハナの奪い合いが起きても不思議ではない。もとより、中山・芝・1800mは1コーナーまでの距離が短いコース。基本的には“内枠の先行馬”が有利ではあるが、外から被せられたり出入りの激しい競馬になるとペースも乱れやすい。差し・追込馬の台頭も十分考えられる。
いずれにしても、今年の中山記念は一筋縄ではいかないと思われるレース。データに表われている傾向よりも、“中山コース向きの立ち回りの巧さ”と“ペースやポジションに左右されない自在性”を重視すべきかもしれない。

先にもふれたように、前日売りの段階で1番人気に支持されているのは、武豊騎手鞍上のキングストリート
1000万、1600万を連勝しての重賞初挑戦となるが、前走の節分Sの勝ち方は見事で、番手から直線で抜け出すとアッという間に後続を突きはなす強い競馬だった。1000万よりもクラスが上がったレースで、より強さを見せたことから、オープンでも通用する器と評価する声も多い。
これまで4勝をあげているが、いずれも違う競馬場での勝ち鞍というのも注目に値する。これについては、“競馬の巧さ”“器用さ”の証明という判断にもつながる。となれば、初の中山コースをこなせる確率も高いはずだ。最内枠に入ったことで、先行勢の後ろでロスなく立ち回ることができるのも好材料。勢いのある4歳馬だけに、どのような走りを見せてくれるか楽しみだ。
もっとも、だからと言って、オープン初戦で重賞勝ちを手にすることができるかというと、そこまでの信頼は寄せられないだろう。デビューから8戦しか走っていないこの馬には、経験値という部分に不安材料があるからだ。相手関係が楽とはいえ別定のGⅡ戦。これまでとはレースの流れが違う。
思い出されるのが、2008年のヒカルオオゾラ。他馬との力の違いを見せつけるように、条件戦を勝ち上がり、オープン初戦でGⅢ・エプソムCに挑戦したものの2着に敗退。それまで7戦しか走っていなかったことから“経験不足”を指摘された。ちなみに、ヒカルオオゾラは現在に至ってもOP勝ちを達成していない。
キングストリートがこのレースで勝ちを収めれば、それはそれで今後に大きな期待ができることになるが、現時点で“確勝級”と言えるかとなると、少なからず疑問である。

前走、GⅡ・AJCCで2着に入ったシャドウゲイト
海外GⅠを制した経験もあり、有馬記念→AJCCという近走の使われ方からみても、実績面ではメンバー1と考えていいだろう。中山芝実績も〈3.3.0.6〉と高く、1800mは久々の距離にはなるが、〈2.1.0.3〉の数字を残している(中山に限らなければ、1800mの距離実績は〈4.1.0.4〉)。
8歳馬ではあるが、近走の復調ぶりを考えれば、軽視できない1頭。3年連続して中山記念で連対を果たし、現在絶好調の横山典騎手が鞍上というのも心強い材料だ。
この馬の場合、どのポジションで競馬ができるかがポイントになるだろう。言い換えれば、自分の競馬ができるかどうかである。
前走はスローペースを見越して途中からハナに立った田中勝騎手の好騎乗が光ったが、今回は先行馬が揃った一戦。しかも、7枠14番は好位をキープするには不利な外枠だ(もっとも、この馬は外枠に入った方が気分良く行けるという陣営のコメントもあるが)。横山典騎手がどのような乗り方を見せてくれるか、注目したい。

秋のGⅠ・マイルCSで5着と健闘したアブソリュート
昨年は他にも東京新聞杯と富士Sを制しており、重賞実績という点では格上の存在と見なすことができる。前走の東京新聞杯は連覇のかかった一戦だったが、前残りの展開とレース間隔が空いた分の馬体増の影響があったために6着に敗退。ただし、自身の持ち時計は更新しており、決して悲観する内容ではなかった。1走叩いた今回は、より以上の走りが期待できるはずだ。
とはいうものの、この馬にとってのベスト条件は“東京のマイル戦”。右回りが苦手というわけでもないし、1800mでも〈2.1.2.2〉の数字を残してはいるが、一昨年の3月以来となる中山・芝・1800mのレース(この時は7着)で、“東京のマイル戦”と同じパフォーマンスを期待できるかどうか。陣営も「大目標は春の安田記念」「このレースの結果次第で今後の選択肢も広がる」とコメント。勝負気配もイマイチの印象がある。
先行激化で差し脚が活かせる展開になる可能性もあるが、条件的には割り引きの材料も目につく。

昨年の福島記念を制したサニーサンデー
前走の中山金杯はハナを切るレースになったが、他馬のマクリにあって6着。それでも、ゴール前まで粘って0.1秒差に踏みとどまったのだから、一応の評価は与えていいかもしれない。
『中山金杯・復習』でも書いた通り、この馬の場合、先頭に立つよりも好位から抜け出す競馬の方が力が発揮できるように思える。となれば、今回、他にハナを主張したい馬が出走するのは好都合。デビューからここまでの3勝はいずれもハイペースのレースだったことから、逃げ馬が速いペースで引っ張る形になれば、さらに持ち味がいきてくるだろう。
この馬に関しても、自分の形に持ち込むことができるかどうかがカギ。先行馬が集団を形成して互いに競りかけるような展開になると、道中での消耗が激しくなる。揉まれないポジションが理想だろう。
もう一点、不安材料をあげるならば、斤量。
未勝利と500万を勝った時は、今回と同じ56キロを背負っているが、近3走はハンデ戦ということもあって軽量でレースをしている。4歳馬でありながら、昨年から馬体重が増えていない現状を考えると、今回の斤量増が微妙に影響するかもしれない。

500万クラスから3連勝を成し遂げてオープン入りしたモエレビクトリー
前走の小倉大賞典は感冒のために取り消しとなったが、その影響もなく順調に乗り込まれているとのこと。ならば、間隔が若干空いたとはいえ、連勝中の勢いを軽視するわけにはいかないだろう。
中山芝実績は〈2.1.1.0〉で、うち1800mは1勝。コース適性は高い。地方から中央に転厩してきた馬だが、中央所属になってからの8戦のうち馬券圏外となったのは1戦のみ。その1戦を除けばすべてハナに立つ競馬をしている。したがって、今回の1枠2番はこの馬にとって先手を取れる絶好枠と言えるはずだ。
問題は、やはり展開。
直線半ばまで単騎先頭という形になれば、残り目も十分にあるだろうが、他馬にしてみれば、この馬にみすみす逃げ切りを許すわけにはいかない。当然、道中でプレッシャーを与えてくる馬もいれば、3~4コーナーからマクって直線勝負に出る馬もいるに違いない。目標とされながら、どれだけ粘ることができるか。レースのカギを握る逃げ馬だけに、「モエレビクトリーが馬券に絡む場合」と「馬群に飲み込まれる場合」の両方のケースを検討しておきたい。

モエレビクトリーと同じくハナを主張したいのがドリームサンデー
前走の小倉大賞典はゲートの誤作動があったことも手伝って、本来の競馬ができないまま終わったが、2走前のGⅢ・中日新聞杯は時計・内容ともに優秀な走りで2着に入った。中山実績の高さはモエレビクトリーに譲るものの、1800mの実績(〈4.4.6.3〉)と重賞経験という点ではこの馬に軍配が上がる。
もっとも、今回、モエレビクトリーが内枠に入ったことで、この馬の好走パターンに持ち込みづらくなったのは事実。函館記念では、後方からの競馬を試して掲示板に載ったが、やはりハナを切ってこその馬。戸崎圭騎手がどのような騎乗するかが見所だろう。
もうひとつ気になる点をあげるならば、初となる中山コースへの適性。小回りでは結果を出しているが、急坂を克服できるかどうか。というのも、この2年間でこの馬が連対を果たした7つのレースはすべて直線が平坦なコースだったからである。昨年夏あたりから地力強化の著しい馬ではあるが、今回はクリアしなければならない条件が多いことも確かだ。

年明けの京都金杯を勝ったライブコンサート
前走の東京新聞杯は13着と大敗したが、前残りの展開の上、大外枠から外々を回らされるレースになったことが原因。陣営いわく「内を突いて伸びるのがこの馬の勝ちパターン」。とすれば、前走は参考外であり、今回のレースで差し馬向きの展開になれば、外に持ち出さずに中を割ってくる脚が見れるかもしれない。
この馬に関しては、アブソリュートと同様、1800mの距離がカギになるだろう。全8勝のうち6勝がマイル戦。道中、いかに脚を溜めることができるか。このあたりは、内田博騎手の手綱さばきに注目したい。

2走前の中山金杯で3着に入り波乱を演出したトウショウウェイヴ
金杯では中舘騎手を鞍上に配して先行策の競馬を見せたが、前走の白富士Sでは主戦の吉田豊騎手に戻り、従来の末脚を発揮して勝利を手に入れた。今回は再び中舘騎手の手綱。額面通りに受け取るならば、前々でレースをすることが予想される。
だとすれば、今回の大外枠は大きなマイナス。先にも述べたように、中山・芝・1800mは1コーナーまでの直線が短く、外枠の先行馬は好位をキープするのが容易ではない。仮に、トウショウウェイヴが本来の差しの競馬に徹したとしても、ゴールまでの直線の短い中山コースで府中と同じ脚を使えるとは限らない。はたして、中舘騎手がどのような作戦を立ててくるか。なかなか興味深い。

人気的にはキングストリートが一応の主役なのかもしれないが、確固たる中心馬が不在と思える今回のレース。伏兵陣にも注意を払う必要があるかもしれない。

「中山・芝・1800mの適性」という観点から見れば、スプリングS勝ちがあり3年前にこのレースで3着に入ったダンスインザモアも候補の1頭。中山・芝・1800mの実績は〈2.0.1.3〉。冒頭にもふれた“リピーター”の資格も十分ある。
ただし、近走復調の兆しが見えるという意見はあるものの、年齢的な理由からか、追走に手間取り直線だけで差を縮めているレースが目立っているも事実。一変の要素につながる強調材料は乏しいように思える。

1800mには実績はないが、中山芝は〈1.2.1.3〉のセイクリッドバレー。昨年の春のスプリングSではアンライバルドに0.3秒差の5着。4ヶ月の休養明けとなるが、4歳馬だけに心身の成長が見込めるかもしれない。休養前は後方から直線一気の競馬が多かったが、マクリ気味にポジションを上げていくような競馬ができれば面白いだろう。

中山実績〈3.4.1.4〉、うち1800mで1勝をあげているトーセンクラウン。展開に左右される部分も多いが、福島記念3着と2走前のニューイヤーS3着で見せたマクリ気味の走りは中山向き。あとは、相手関係がどうか。

もう1頭あげるならば、テイエムアンコール
前走は休み明けでプラス18キロ。しかも小回りの中京コースで外々を回らされる競馬だった。叩き2走目の今回は上積みも見込めるはず。注目したいのは、1000万・1600万をそれぞれ2着馬に0.3秒差をつけて連勝していること。さらに、道中でポジションを上げていく走りも目立つ。初の中山コースがカギとなるが、うまく流れに乗ることができれば好走を期待できるかもしれない。

今回の中山記念のポイントは展開になりそうだが、その意味でも馬場状態には気をつけた方がいいだろう。
レース直前までに回復するのかどうか。重馬場だから先行馬が有利になるというのではなく、ペースが厳しくなるか、あるいは緩くなるかによって、各馬の走りに影響が出ることを考えなくてはならない。
「先行激化のレースだから差し馬が狙い目」という予想を立てている競馬記者もいるが、それほど単純ではないはず。いくつかの結果を想定しながら買い目を組み立てていく必要があるように思える。


阪神で行われる阪急杯も、開幕週ということで基本的には“前が有利”。
ここを目標に仕上げられたビービーガルダンが中心のように思えるが、近走メキメキと力をつけ好位をキープできるエーシンフォワードも有力候補だろう。
トライアンフマーチは初の1400mだけに、スタート後のダッシュでポジションを取れるかどうかがカギ。
サンカルロは前走が展開にハマった感もあるので、ここが試金石となりそうだ。
ラインブラッドは1200mからの距離延長で追走が楽になり、決め手を活かせるようであれば面白い。
人気薄で気になるのは、近走で前目の位置が取れるようになったテイエムアタックと、最内枠のヘッドライナーの逃げ粘り。
こちらも高松宮記念の前哨戦という意味で、注目の一戦である。



■フェブラリーS・復習

まさに最強ダート馬の走り!
GⅠ・フェブラリーSは断然の1番人気(単勝1.7倍)に支持されたエスポワールシチーが圧勝。地方交流を含めるGⅠ4連勝(トータル5連勝)を達成した。

能力的にトップであることは疑いようのなかったエスポワールシチー。唯一の不安点は“前を行く馬をさばけるかどうか”だったが、そうした心配はレース序盤でまったく無用のものになった。
スタートこそわずかに後手に回ったものの、芝の部分からダートへ入るとすぐにスピードに乗り、向正面ではローレルゲレイロを目標にできる2番手という絶好のポジションをキープ。手応え十分のまま直線を向くと、馬なりのまま先頭に立ち、一気に後続を突きはなした。余力を残したままで、猛追するテスタマッタに2馬身半差をつける完勝。圧倒的な“強さ”を見せつける走りだった。
それにしても、この馬の成長力には頭が下がる。1年前は“飛ばし屋”のイメージが強かったが、心身ともに大人になり、控える競馬を覚え、番手からでもレースを作れる走りを身につけた。もちろん、佐藤哲騎手をはじめ、厩舎スタッフの熱心な努力があったからこそのものだろう。
今後の選択肢として、ドバイ参戦も視野に入っているという。世界という舞台でどれだけの走りを見せてくれるのか。まだまだ奥がありそうなこの馬の可能性に注目していきたい。

2着には4歳馬のテスタマッタ。
スタート後、後方のインに位置しているのを見た時は、「うまく外に出すことができるのかな?」と思ったが、予想に反して直線では馬群の内をこじ開けるように伸びてきた。
勝ったエスポワールシチーの“強さ”にも驚かされたが、それ以上に目を奪われたのがこの馬の末脚。上がり3F35秒5。ロスのない最内のコースを選んだ岩田騎手の騎乗も見事だが、鞍上の指示にひるまずに応えたこの馬の勝負根性も素晴らしかった。“次元が違う”と評されたJDダービーの走りが完全復活したと見てもいいだろう。
『予習』では「今回の条件は適距離とはいえない」と書いたが、今回のレースを見ると、距離に関してはかなりの融通性が利くタイプのように思える。いずれにしても、レベルの高い4歳世代から、また1頭有力馬が現われたことは頼もしいかぎり。フェブラリーSには出走しなかったシルクメビウスやワンダーアキュートも含めて、層の厚い4歳世代がこの先どのような活躍を見せてくれるか、本当に楽しみだ。

3着のサクセスブロッケンは、今回もまたエスポワールシチーに敗れた(1.0秒差)。
レース中に不利があったわけでもなく、また、内田博騎手も「この馬の力は出せたと思う」とコメントしていることから、現時点での両馬の力の差がそのまま結果につながったと考えていいかもしれない。言うなれば、昨年からの1年間における成長力の差だろう。
「キレるタイプではなく、ジワジワと脚を使う馬」(内田博騎手)。となれば、今後のレースでも、よりスピードのある先行馬やよりキレる差し馬が相手だと、少々分が悪いかもしれない。堅実なレースぶりで安定した結果を残せる馬かもしれないが、エスポワールシチーのような“負けない強さ”があるかといえば、もう一歩足りないような気がする。

上位3頭からさらに大きく離された4着にはケイアイテンジンが入った。
戦前はこの馬もハナ争いに加わるのではないかと思われたが、四位騎手は最初から控える競馬を考えたいたとのこと。着差が着差だけに、高い評価は与えられないかもしれないが、ベストとは言えないマイル戦(しかもGⅠレース)で控える競馬で掲示板に載ったことは今後につながるかもしれない。次走の走りには要注目だろう。

根岸Sを勝ったグロリアスノアは5着。
さすがにGⅠは敷居が高かったという感もあるが、レースそのものが先行する有力馬(エスポワールシチー・サクセスブロッケン)が能力を発揮できる流れ。外差しにかけたこの馬には展開も向かなかったと言えるだろう(その意味でもテスタマッタの走りが光るのだが)。
ただし、この馬もまだまだ上積みが見込める4歳馬。現状では条件によって走りが左右される部分もあるが、この先脚質に幅が出てくるようであればさらに楽しみだ。経験を糧にしてほしい。

注目された芝から参戦組は全滅だった。
3番人気のレッドスパーダは、直線まで理想的なポジションにいながら失速。
4番人気のリーチザクラウンは、「極端な距離短縮に馬が戸惑った」(武豊騎手)らしく、先行争いにも加われずに、まったく見せ場もなく終わった。
そんな中で、唯一“芝並み”のレースを見せてくれたのがローレルゲレイロ。距離が長い分、直線で止まってしまったが、この馬らしさは存分に発揮できたように思える。
今回の結果では、各馬のダート適性について、「ある」とも「ない」とも判断できない。ただ、ひとつだけ言えるのは、「初のダートでGⅠを勝てるほど今のダート戦線は甘くない」ということ。あのクロフネでさえ、最初のダート戦はGⅢの武蔵野Sだったのだ。
「ドバイへの前哨戦」という位置付けで、今後も芝馬の参戦が増えるという意見もある。しかし、個人的には、それよりも「繰り上がり待ちで出走できないダート馬にGⅠの経験を積ませてあげたい」というのが正直な気持ちだ。今回、ただ1頭でも“芝からの刺客”のような馬がいたのならば、あるいは違った考え方になったかもしれないが、エスポワールシチーとテスタマッタが素晴らしい走りを見せてくれただけに、“芝からの安易な参戦”そのものが残念に思えてならない。



■フェブラリーS・結果

2010年2月21日 1回東京8日11R
第27回 フェブラリーS(GⅠ)
ダート・1600m 晴・良

 1着 エスポワールシチー    佐藤哲     1.34.9
 2着 テスタマッタ          岩田       2+1/2
 3着 サクセスブロッケン      内田博      3+1/2

単勝 4  170円(1番人気)
馬連 3-4 890円  馬単 4→3 1190円
3連複 3-4-6 1160円  3連単 4→3→6 4190円


■フェブラリーS・予習

2010年最初のGⅠ、ダートのマイル戦・フェブラリーS。

前日売りの段階で断然の1番人気に支持されているのは、昨年の最優秀ダート馬・エスポワールシチー
1年前のフェブラリーSはレコード決着に0.2秒差の4着だったが、明け4歳で初の57キロ、初のGⅠという条件を考えれば堂々の内容。それ以降は休養を挟んで4連勝中。特に、前走のJCダートは2着馬に0.6秒差をつける圧勝で、昨年よりも確実に力をつけていることは間違いない。20キロ増えた馬体重も成長の証しと判断していいだろう。
JCダートを制してからは、重要なステップとなる東京大賞典や川崎記念を見送って、このレースを目標に調整。能力を発揮できる状態にあるのならば、素直に“勝ち負け”の対象と考えることができる。
問題は展開。
今回は7枠の2頭(ローレルゲレイロ、リーチザクラウン)が、スタート後の芝の部分で行き脚をつけてハナを争うことが予想される(さらにケイアイテンジンが加わる可能性も大)。エスポワールシチーは好位からでも競馬ができる馬ではあるが、前を行く馬を深追いしすぎると、抜け出しのタイミングを逸する危険性もある。要するに、「うまくさばけるかどうか」がポイントということだ。
東京・ダート・1600mは外枠が有利と言われる理由のひとつは、内に入ると前が詰まりやすく行き場を失うリスクがあるため。今回の2枠4番も決して“いい枠順”ではない。競馬では、他馬から受ける不利によって、力がありながらも自分の走りができないケースもある。エスポワールシチーに絶大の信頼を寄せている佐藤哲騎手の手綱さばきに期待したい。

単勝人気ではエスポワールシチーに水を開けられた、昨年の覇者・サクセスブロッケン
おそらく、南部杯とJCダートでエスポワールシチーに大きく負けている(0.7秒差と0.8秒差)ことがその理由だろう。もっとも、今回の舞台である東京・ダート・1600mの適性を考えた場合、エスポワールシチーよりもサクセスブロッケンの方が上という意見もある。
実際、この馬の東京・ダート・1600mの戦績は〈2.0.0.1〉(着外となったのは、59キロを背負った昨年の武蔵野S)。コーナーを2回しか通過しないこのコースで、一気のスピード勝負になれば、この馬の持ち味が勝る可能性も十分あるはずだ。
何人かの評論家が不安点としてあげているのは、馬ではなく騎手について。骨折で休養していた内田博騎手の復帰戦がいきなりGⅠというのはどうかという見解である。
もっとも、これに関しては、さほど心配する必要はないようにも思えるが、先週復帰する予定が回復の遅れから延びた点は少々気になる。
しかし、それよりも問題と思えるのは、エスポワールシチーと同じく展開面だろう。
デビューからこれまで、この馬の4コーナー通過はすべて5番手以内。昨年は外枠からスムーズに先行するレースができたが、今回のメンバーで理想的なポジションを取れるかどうか。そのあたりがカギになりそうだ。

根岸Sを勝って、ここに駒を進めてきた4歳馬のグロリアスノア
東京・ダート・1600mは〈2.1.0.0〉で、この馬にとっては絶好の舞台と言っていいだろう。前走の根岸Sは、どちらかといえば緩めのペースで、必ずしも差し馬有利の展開ではなかったが、それでも上がり35秒5の脚でキッチリと差し切り勝ち。かなりの能力を感じさせる内容だった。
今回は先行激化になるというのが大方の予想。展開を味方につければ、さらにこの馬の能力が発揮できるはずだ。
気になる点をあげれば、休み明けを激走して中2週で関西から遠征してくること。陣営は「状態は前走以上」とコメントしているが、体調面での反動が見られなくても精神的な疲労があれば、パフォーマンスが落ちることも考えられる。

昨年のJDダービーを制したテスタマッタ
2走前の浦和記念の後にノドの手術を行い、前走は川崎記念で3着。状態面は上がってきているとみてもいいかもしれない。
もともとは、レベルの高い4歳世代の中でも“トップ”と言われていた馬。昨秋のダート重賞戦線に参加していなかったために印象が薄れた感もあるが、潜在能力は決して侮れない。
もっとも、短距離での勝ち鞍があるとはいえ、戦績からみるとこの馬にはマイルの距離は短いようにも思える(陣営も「2000mがベスト」とコメント)。特に、時計勝負になった場合、レースの流れにうまく乗れるかどうか。ノーマークにはできないが、条件的にはこの馬向きのレースとは言い難い。

4歳のダート馬では、もう1頭、スーニが出走。
前走の根岸Sでは58キロを背負って0.3秒差の4着。斤量面では1キロ減の今回の方が有利だ。加えて、『根岸S・予習』の中でも書いたように、今回のレースに出走できる賞金が足りているため前走は叩き台の意味合いもあったはず。ならば、仕上げという点に関しても、今回の方が上だと判断できる。
この馬の課題は折り合い。
根岸Sは大外枠で前に馬が置けなかったとはいえ、最後まで掛かりっぱなしの競馬。さらに1F距離が伸びる今回は“どこまで我慢できるか”がポイントになりそうだ。
ただし、展開はこの馬向きになる可能性もある。先行激化でペースが速くなれば折り合いもつきやすい。うまく脚を溜める競馬ができれば、好走が期待できるだろう。

根岸S3着のオーロマイスター
勝ち馬のグロリアスノアと同じく35秒5の差し脚で馬券圏内に食い込んできた。5歳馬ではあるが、ダートに関してはまだまだ伸びしろがありそうな印象。前走からの距離延長に関しても、1700m~1800mで実績を残しているので、さほど苦にはならないだろう。東京ダート実績も〈1.0.1.0〉と悪くない。グロリアスノア同様、展開もこの馬向きになるかもしれない。初のGⅠだけに相手関係がどうかだが、力を発揮できれば食い込む余地も十分にあるはずだ。
ただし、レースの流れに関係なく、はじめから後方一気の競馬に徹すると“不発”に終わる危険性もある。たしかに、前走は4コーナー12番手から見事な末脚を発揮できたが、ダート転向後は好位から中団につけるレースが持ち味だったはず。吉田豊騎手には、レースの流れを判断して、この馬の決め手を活かせるような乗り方を期待したい。

前走の根岸Sでは大きく出遅れて9着に敗れたワイルドワンダー
直線の伸びもイマイチで見どころのない競馬だったが、この馬についてもスーニと同じく本番出走への賞金面で足りているため、あくまで“叩き台”だったと見なすことができる。実際、根岸Sの時は、放牧から帰厩したのが2週間前。馬自身が臨戦体勢に入っていなかったのだろう。
となれば、今回、変わり身が期待できる要素も十分。なにより、東京・ダート・1600mは〈1.1.2.0〉と複勝圏内を外したことがないベストの条件(一昨年のこのレースでは3着)。8歳馬の衰えをいう部分は多少気にはなるが、人気薄でも一応のマークは必要かもしれない。

今回のレースの最も大きな特徴は、芝馬が大挙参戦してきたことだろう。しかも、いずれも芝のレースで実績のある馬たち。このあたりの取捨選択は、予想の上でも重要な検討材料になるだろう。

血統的に「ダートでも走れる」と評されているのが、前走で東京新聞杯を勝ったレッドスパーダ
父・タイキシャトルにはダート3戦3勝の戦績があり、同じ配合には、2005年のフェブラリーSを制したメイショウボーラーがいる。騎乗する横山典騎手は「このレースを使うのは大賛成」「すでに展開も見えている」とコメント。“勝ち負け”へのこだわりも見せている。マイル戦4勝という距離適性もプラス材料だろう。
ただし、仮にレッドスパーダにダート適性があったとしても、初レースがいきなりGⅠというのはどうなのだろうか。
例えば、この馬がマイラーとしての資質の高さが評価された一因として、前走の東京新聞杯で先行しながら上がり3F33秒5の脚を使った点があげられる。前半3Fが35秒1であったから明らかに上がりの速い競馬だ。
ここで考えておきたいのは、ダート戦で先行した場合には、このような“レースの形”にはなりづらいということ。基本的に、ダートの先行馬は前半3Fの方が速く上がりは時計がかかる。つまり、極端な言い方をすれば、レッドスパーダの“強さ”は、芝のレースだからこそ形になって表われるという考え方もできるわけだ。はたして、ダートで同じような競馬ができるだろうか。
血統の後押しもあり、ダートの走りも期待できる要素も大いにあるが、“レースの形”そのものに馬自身が戸惑うかもしれない。藤沢和調教師が初ダートでGⅠを使う以上、なんらかの勝算があってのことだとは思うが、人気ほどの信頼性があるかといえば、正直、半信半疑である。

昨年のダービー2着馬のリーチザクラウン
ワンペースの逃げ馬が初ダートで好走した例として、2001年に3着に入ったトゥザヴィクトリーを思い浮かべることができる。走りに緩急をつけられないリーチザクラウンには、芝のレースよりも一本調子で流れやすいダート戦への転向がプラスに働くかもしれない。
なにより、距離がマイルに短縮されることは、折り合いに難があるこの馬にとって好材料。この馬に重い印を打つ記者の数も決して少なくない。
もっとも、今回のダートへの挑戦について、武豊騎手は「距離短縮はいいと思うが、マイラーズCあたりを使うのかと思っていた」と若干困惑気味。橋口調教師も「坂路調教の走りを見るかぎりダートもこなせるはず」としながらも、「でも、大跳びの馬だからどうなのかな」と本音のコメントを残している。
この馬に限らず、“今後の選択肢を広げる意味”でダートを使うのであれば、まったく競馬ができずに惨敗するケースも考えられる。まずは、どのような走りを見せてくれるのか、注目してみたい。

昨年の高松宮記念とスプリンターズSを制したローレルゲレイロ
スピードという点に限れば、この馬が出走馬中トップとみなしてもいいかもしれない。それゆえ、テンの速さを活かしてレースの主導権を握れるようであれば、初ダートといえでも自分の競馬に持ち込むことはできそうだ。
もっとも、近走の成績からもわかるように、現時点のこの馬にはマイルは長い。最後まで息が持つかどうかという不安点がある。
さらに、今回の出走に関しては、昆調教師が気になるコメントを残している。「ドバイへの出走が決まった場合、メイダン競馬場のオールウェザーコースへの対応が必要。そのためにもダートを経験させておきたい」というものだ。
先々の目標のために使うのであれば、ここはあくまで“試走”。勝負モードという部分では評価を下げざるを得ないだろう。ちなみに、リーチザクラウン、スーパーホーネットもドバイのレースに登録している。

8ヶ月半の休み明けとなるスーパーホーネット
この馬の場合は、マイル適性の高さは認めるとしても、休み明けのレースが初のダートGⅠとなれば割引が必要だろう。脚部不安による休養だっただけに、まずは負担のかからないダートからというのが陣営の本音かもしれない。

芝から参戦する馬に関しては、ダートをこなせるかどうかは実際に走ってみなければわからないというのが正直なところだ。さらに、仮に適性があったとしても、即GⅠで通用するのかという疑問もある。
リーチザクラウン、レッドスパーダあたりが上位人気に支持されているが、能力よりも期待値が数字に反映されていることは間違いない。言うなれば、“危険な人気馬”の要素を備えているということ。芝馬を重視すべきか、軽視すべきか。買い目の検討には相当の決断力が必要になりそうだ。



■ダイヤモンドS・復習

まさに完勝!
GⅢ・ダイヤモンドSは、1番人気のフォゲッタブルが力の違いを見せつける走りで勝利。大目標の天皇賞・春へ向けて力強い一歩を踏み出した。

馬場状態は“良”の発表だったが、前日の雨の影響もあっていくぶん重めの印象。加えて、スローペースの上がり勝負になったために、条件的には内を走る先行馬に有利な展開だった(実際、2・3着は1枠の先行2頭)。
そんな中、フォゲッタブルは道中後方でじっくりと折り合い、直線でゴーサインが出るとそこから加速。馬群の外を一気に突き抜けた。
菊花賞では好位からの競馬、中山の2戦ではマクリの競馬、そして今回は外差しの競馬(武豊騎手は「外枠の不利で後方からの競馬になった」とコメント)。どのポジションからでも勝ちにいける自在の脚があり、折り合いにも注文がつかない。もはや、本格派のステイヤーとして認めざるを得ないだろう。
『予習』の中で、「府中の直線で長くいい脚が使えるかどうか」という問題提起をしたが、それに対する答えも“完璧”。しかも、鞍上の武豊騎手の動きを見ると、「追う」というよりも「脚を測る」といった感じの乗り方のようにも思えた。仮に7~8分の力でこれだけの走りの差が出てしまうのならば、「ここでは役者が違った」としか言いようがない。
いずれにしても、今回の結果によって、天皇賞・春への期待が大きく膨らんだことは事実。阪神大賞典を1走使うプランが濃厚だが、故障もなく万全の状態で本番に臨んでほしい。

2着には軽量52キロのベルウッドローツェ。
1000万勝ちからの格上挑戦ではあったが、思っていた以上の走りを見せてくれた。最内枠を利して好位を取れたことも勝因だが、序盤から行きたがる馬をなだめて最後まで保たせた松岡騎手の騎乗も光った。このあたりは、このレースを得意としているジョッキーの技術に因るものかもしれない。
長距離戦はこれで3戦連続連対。松岡騎手も「長い距離向き」と評価している。まだまだ伸びしろのある4歳馬だけに、この先の成長が楽しみだ。今後の課題は折り合いだろうが、斤量を背負った時に同じような走りができるかどうかにも注目したい。
『予習』では、過去に馬券に絡んだ軽量馬との違いを“過去6年のデータ”と比較して取り上げてみたが、いずれも無用の心配だったようだ。やはり、“データはあくまでデータ”ということだろう。

3着にはドリームフライトが逃げ粘った。
50キロのハンデ、単騎逃げが見込める展開の利といった“買い”の材料もあったが、近走の成績や東京実績〈0.0.0.3〉という点から狙いづらい馬だった。
しかし、冷静に検証してみると、「押さえておくべきだった」という反省点も見えてくる。というのも、“自分の競馬ができるかどうか”というのが、好走を見抜く上での最重要ポイントだからである。
ドリームフライトの場合、前2走は自分の競馬ができなかった。2走前の万葉Sはマサライトと競り合う形、前走の日経新春杯はインティライミとキングトップガンに終始突つかれる展開。今回、単騎逃げが可能になったことは大きなプラスだったことはわかる。
そしてなにより、考えなければならなかったことは、3400mという距離。
これだけのマラソンレースになると、他馬が道中で逃げ馬を交わしにくる可能性は低い。それゆえ、より自分のペースでレースを作ることができるわけだ。仮に新春杯と同じ2400m戦であったならば、後続の馬群も早めに動いていたに違いない。
「単騎逃げが見込める軽量馬は注意」は予想における定石のひとつだが、同時に、レース距離というものにも注意を払う必要があるだろう。

4着はメインストリーム。
ゴール前はフォゲッタブルと同じ最速の上がり(34秒9)で追い込んできたが、3着馬にはアタマ差届かなかった。「道中の位置取りが悪くなった」という幸騎手の通り、今回は展開の不向きで負けた部分が大きい。
とはいえ、長くいい脚を使って見せ場も十分。2400~2500mあたりの距離で、もう少し速い流れになれば、勝ち負けできる力を持っているという印象を受けた。

トップハンデ57.5キロのトウカイトリックは5着。
距離は長ければ長いほどいいタイプと言われるだけあって、今回も安定した走りを見せてくれた。
残念だったのは、直線で前が開かなかったこと。最内に突っ込む作戦は正解のように思えたが(外よりも内が伸びる馬場だったので)、ベルウッドローツェとドリームフライトが壁になり、完全に脚を余していた。

2番人気のヒカルカザブエは8着。
この馬に関しては、横山典騎手が道中で走りに違和感を感じたため無理をさせなかったとのことなので、今回は参考外。まずは、故障でないことを祈りたい。

昨年の覇者・モンテクリスエスは12着に大敗。
得意の舞台でどのような走りを見せてくれるか期待していただけに、この結果はどうしたものか。
一部の評論家からは、「体型が変わって長い距離が向かなくなっている」といった意見も出ているが、それ以上に、昨年のレースは斤量や展開に恵まれた結果だったという見方も多い。いずれにしても、難しい馬。好走が続かないタイプなのかもしれない。


■ダイヤモンドS・結果

2010年2月14日 1回東京6日11R
第60回 ダイヤモンドS(GⅢ)
芝・3400m 曇・良

 1着 フォゲッタブル       武豊   3.32.6
 2着 ベルウッドローツェ     松岡   1+1/4
 3着 ドリームフライト       酒井   クビ

単勝 13  220円(1番人気)
馬連 1-13 2060円  馬単 13→1 2760円
3連複 1-2-13 39540円  3連単 13→1→2 151370円

■ダイヤモンドS・予習

東京・芝・3400mで争われる長距離GⅢ・ダイヤモンドS。過去5年の3連複の平均配当は約3万8千円、3連単は約23万円。荒れるハンデ重賞として有名である。
名目上は天皇賞・春へ向けての始動のレースと言われているが、本来、GⅠを目指す有力馬が前哨戦として使うのは、阪神大賞典、大阪杯、中山・日経賞が主流であり、ダイヤモンドSに出走してくるメンバーは、どちらかといえば“ワンランク下”の実績馬が目立つ。にもかかわらず、ある程度の実績があるがゆえに斤量を背負うことになるため、近走の内容が良く勢いのある“軽ハンデ馬”が上位にくるという結果につながっている。
実際、東京・芝・3400mの条件で行われるようになった2004年以降の6年間を参考にしてみると、3着までに入った18頭のうち、前走で重賞を走った馬はわずかに3頭(いずれも日経新春杯)。データ的には「実績不問」「格よりも勢い重視」といった見方が強い。
もっとも、今年の場合は、例年よりもメンバーに厚みがある印象。ジャガーメイルの取消は残念だが、春天でも有力候補と目される馬や、このレースのステップと言われる万葉Sの上位5頭も揃って参戦している。実力そのものを問われる一戦になる要素もあり、面白いレースが期待できそうだ。

前日売りの段階で単勝1番人気に支持されているのは、明け4歳のフォゲッタブル
近3走は、菊花賞2着→ステイヤーズS1着→有馬記念4着という堂々の戦績。暮れの時点では「天皇賞・春の有力候補」と言われるまでに至った。
超スローのステイヤーズSでは掛かることもなく好位から差し切り、逆にハイペースの有馬記念では後方で脚を溜めながら自分から動く競馬。長距離戦において、展開に左右されず自分のレースをして結果を残せるというのは、ステイヤーとしての高い資質を備えていることの証明とも言えるだろう。
フォゲッタブルに関しての不安点は2つ。
ひとつは、昨年秋からのローテーションの影響だ。
菊花賞、ステイヤーズS、有馬記念と長距離戦での激走が続いた後、ひと息入れての出走となる今回、体調面がどこまで戻っているか。昨年のこのレースで1番人気に支持されたフローテーションも同じ使われ方で参戦して12着に大敗している。
もとより、この先、阪神大賞典から本番の春天に向かうというプランがある以上、ここで“目イチ”の仕上げをしてくるとも思えない。現時点での充実ぶりからして、ぶざまな競馬をするとは考えられないが、あくまで“使い出し”であるならば、思わぬ取りこぼしがあるかもしれない。
もうひとつは、初の東京コースという点。
フォゲッタブルの近2走のコーナー通過順を見てみると、7→7→4、13→10→5。3~4コーナーで進出して直線で前に取り付くレースをしている。
これは、言うなれば、直線の短い中山向きの走りであって、東京ではそれに加えて、長い直線でどれだけいい脚を使えるかがポイントになる。はたして、フォゲッタブルがどのような脚の使い方をするのか。仮に直線半ばで先頭に立ったとしても、そこから伸びる上がりの脚がなければ、他馬に出し抜かれる危険性もある。

昨春、4歳で天皇賞・春に出走(7着)したヒカルカザブエ
その後、6カ月の休養を取り、休み明け初戦となったのが、2走前のアルゼンチン共和国杯。ミヤビランベリとアーネストリーの“行った・行った”のレースで、展開は向かなかったものの、最速の上がり(33秒5)をくり出して3着に入った。この時の走りを見る限り、直線が長く広い東京コースはこの馬向き。実際、前走の中山金杯は窮屈な競馬といった印象で距離も短かった。今回、展開がスローの瞬発力勝負になるようであれば、フォゲッタブルよりも“ハマる”可能性が高いようにも思える。少なくとも、休み明けの2走前、距離・コース不向きの前走よりも、条件は大きく好転したことは間違いない。
問題は馬場が渋った場合。
土曜日は終日雨が降り続き、メインのバレンタインS(芝・1400m)の時点では稍重の馬場状態。当日まで雨が残るようであれば、さらに状態が悪化し、キレ味勝負のこの馬にとってはマイナスの条件になりそうだ。
重馬場の阪神大賞典で2着の実績はあるが、この時は番手に位置して前々での競馬。後方からの追い込みを見せた近2走のレースから一転した脚質を使えるかどうか。このあたりは、5週連続重賞勝ちのかかった名手・横山典騎手の乗り方に注目だろう。

昨年、このレースを制したモンテクリスエス
53キロの軽量、差し馬向きの先行激化の展開など、運が味方した部分もあったとはいえレコード勝ちは見事。斤量は前年より3キロ増の56キロになるが、得意の条件ということであれば、やはり侮れない1頭だ。
なにより、モンテクリスエスの場合、この時期に調子を上げる典型的な“冬馬”。5月~10月の成績が〈0.0.2.7〉であるのに対し、11月~4月は〈4.6.2.2〉。1月~2月に限れば〈2.4.0.0〉という数字が残されている。今回もステイヤーズS3着→万葉S2着と上り調子。前走のプラス8キロの馬体増を解消するために、中間もハードに追い切られているとのことだ。
難点をあげるならば、ジリっぽいところ。差し・追込馬でありながら、さほどキレ味が感じられない。それゆえ、最後の最後でもうひと伸びが足りず勝ち切れないレースも多い。
もっとも、馬場が悪化して時計がかかるようであれば、この馬にもチャンスはありそうだ。馬体重550キロ前後のパワー型の馬。スタミナ勝負の消耗戦は望むところだろう。

4年前に3着、3年前に1着と、このレースとの相性がいいトウカイトリック
元来、距離が長ければ長いほどいいタイプで、3000m以上のレースでは3勝2着3回という成績を残している。前走の万葉S勝ちは2年ぶりの勝利。ここしばらく不振が続いていたが、“8歳馬の復活の狼煙”となる可能性もあるかもしれない。
問題はハンデ。57キロで万葉Sを制したとはいえ、トップハンデの57.5キロは多少見込まれた印象。陣営も「GⅡ勝ちがあって有馬で4着の馬(フォゲッタブル)よりも重いのか」と不満を洩らしている。
加えて、騎乗を予定していた内田博騎手の復帰が遅れたことも誤算。長距離レースは騎手の技術に因る部分が大きいことは周知の事実。代役・大庭騎手には思いきりのいい競馬を期待したい。

軽ハンデ馬ではベルウッドローツェが人気になっている。
500万、1000万を連勝しての格上挑戦となるが、勢いのある4歳馬が52キロで出走となれば軽視はできないだろう。
鞍上の松岡騎手はこのレースと相性が良く、過去にはウイングランツ(2005年)、アドバンテージ(2007年)、スノークラッシャー(2009年)で馬券圏内を確保している。ある意味、特殊な条件のレースだけに、騎手の得手・不得手というのも馬の走りに影響するだろう。
ただし、この馬に関しては、これまでの軽ハンデ好走馬とは異なる点もある。
まず、52キロの軽量といっても、前走からは2キロ減に過ぎないこと。過去6年で52キロ以下で馬券に絡んだ馬は6頭いるが、前走からの斤量減は、6キロ、3キロ、4キロ、4キロ、7キロ、4キロ。大幅に軽くなったことが好走につながったのであれば、ベルウッドローツェはそれほどの恩恵を受けたとは言えない。
もうひとつは、前走(12月27日)からの間に短期放牧を挟んでいること。これに関しても過去6年のデータを見てみると、馬券圏内18頭のうち、年明けに1走もせずにこのレースに臨んだ馬は1頭しかいない。本来、「ステイヤーは使われつつ調子を上げる」と言われている。1番人気のフォゲッタブルのところでも述べたが、ひと息入れた後の体調面が少なからず心配だ。

1000万、1600万を連勝して重賞に挑戦するメインストリーム
勢いを考えると、この馬も注目の1頭だろう。ここ2走は2500m、2400mを使って、いずれも最速の上がりをマーク。特に、前走の松籟Sは、直線で先に抜け出した断然の1番人気馬・ヤマニンウイスカーを並ぶことなく差し切った強い競馬。地力強化の印象が強く、騎乗したルメール騎手も「能力の高いステイヤー」と絶賛していた。
東京実績は〈2.2.0.2〉。3000m以上の経験はないが、2400m〈4.2.0.2〉、2500m〈1.0.1.0〉の数字から、長距離適性があることははっきりとうかがえる。ハンデは前走から2キロ減の54キロ。あとは、相手関係だろう。

3走前に1600万クラスを卒業したメイショウドンタク
昇級初戦の中日新聞杯は小回りの2000mということもあって14着に惨敗したが、前走の万葉Sでは0.2秒差の3着に入った。1600万を勝ち上がったレース(京都・比叡S)が2400mだったことを考えると、この馬も長距離向きの可能性が高そうだ(実際、2400m以上のレースは2走しか走っていないので、あくまで推測ではあるが)。
この馬に関しては、明け4歳ということもあり、今後の方向性に注目してみたい。昨年の白百合S(芝・1800m)で33秒台の上がりを見せたように、中距離の差し馬という選択肢もあるからだ。今回のレースでそれなりの結果が出るようであれば、ステイヤーとしての可能性も広がる。いずれにしても、ここが試金石の一戦になるだろう。

人気薄で気になるのはポップロック
今年で9歳になるが、前走の万葉S(5着)が復調気配を感じさせる内容。JC2着の実績はさすがに過去のものだとしても、底力が必要とされる展開(緩みのない平均ペース)になれば、経験値がモノを言うかもしれない。


京都では3歳GⅢのきさらぎ賞が行われる。メンバー的には先週の共同通信杯よりも“有望株”が多いという意見が多い。
レーヴドリアンとインペリアルマーチが人気を分け合っているようだが、新馬勝ち2戦目のインペリアルについては慎重に考えたい。若駒Sのルーラーシップの例があるように、初戦だけでは測れない部分が多いからである。
レース経験という視点で見れば、4戦4連対のネオヴァンドームも有力候補。OP勝ち→重賞2着のシャインも人気にはならないが侮れない存在だ。
朝日杯3着のダイワバーバリアンは1400m戦を2勝して勝ち上がってきた馬だけに、1800mに距離を延ばした今回は“折り合い”が課題になるだろう。
面白そうなのは、休み明けを1走叩いたステージプレゼンス。休養が心身の成長にプラスの効果があったとすれば、定評のある末脚のキレがさらに磨かれているかもしれない。



■共同通信杯・復習

3歳GⅢ・共同通信杯は、3番人気のハンソデバンドが勝利。3連勝で重賞タイトルを手に入れた。

レースは1000m通過が61秒6の超スローペース。折り合いに難のあるハンソデバンドにとっては苦しい流れとなったが、ハナを切ったカワキタコマンドを番手でマークする形で落ちつかせた蛯名騎手の好騎乗もあり、直線で早めに先頭に立つとそのまま他馬の追撃をしのぎ切った。
勝因をあげるならば、「経験の差」だろうか。
アリゼオ、ダノンシャンティの2頭がデビューから3戦目であったのに対し、ハンソデバンドは5戦目。スタートの速さはさらに磨きがかかったようにも思えたし、道中の折り合いに関しても成長が感じられた。言うなれば、上位3頭の中で最も“レース慣れ”していたように見えたのがこの馬だったということだ。
もっとも、クラシック戦線の中心馬になれるかというと、現時点では微妙だろう。先行力や渋太さは評価できるものの、ローズキングダムやヴィクワールピサのような“強さ”を感じることはできなかった(超スローの上がりの競馬になると、大抵はそのような印象になりやすいのだが)。
今後の方向性について、陣営は「折り合い面を考えると、皐月賞よりもNHKマイルCを目標にした方がいいかもしれない」とコメントしている。ゴール前で後続を突き放したジュニアCの走りと今回の走りを比較してみる限りでは、“スピードを活かしたマイラー”として活躍の場を求めた方が期待できそうだ。

ハナ差の2着に敗れたダノンシャンティ。
最後は上がり3F・33秒5の脚で追い込んできたが、スタートで後手を踏んだ上に、道中行きたがっていた分、仕掛けに対しての反応が遅れたのかもしれない。
それでも、初の輸送と初の東京コース(レース前はかなりのイレ込みだった)ということを考えれば、まずまずの内容だったはず。流れが速くなれば、さらにキレそうな末脚で、「ハンソデバンドよりも今後に期待できる」と評するスポーツ記者も多い。今後、レース経験を重ねていくことで、どれくらい走りが研ぎすまされてくるかに注目したい。

1番人気のアリゼオ(3着)の評価は難しい。直線半ばでハンソデバンドを射程圏に入れた時は、そのまま突き抜けてくるかのようにも見えたが、追い出してもまったく伸びてこなかった。
道中の折り合いも欠いていたし、ルメール騎手は「馬込みが嫌いなのかもしれない」とコメント。精神的な理由で能力が発揮できないのであれば、今後の成長に望みを託すしかないのだが・・・。いずれにしても、完全な勝ちパターンになりながら負けたのであるから、信頼性という点では評価を下げざるを得ないだろう。
戦前には“クラシック級の器”とも言われていた馬。皐月賞、ダービーを盛り上げる意味でも、次走での雪辱を期待したい。

4着以降は上位3頭に2馬身差をつけられたが、その中から今後に注目したいのはタイセイレジェンド(6着)。
休み明けで反応が鈍く(三浦騎手談)、しかも直線で最内に入ったため伸びを欠いたが、道中もスムーズに流れに乗れていたし、状態が上がってくればもっと走りそうな馬に思えた。
三浦騎手は「外目から自分で動く形がいいかも知れない」ともコメント。次走は、そのあたりにも注目してみたい。
他には、距離を短くした時のカシマストロング、瞬発力が備わった時のアースステップあたりが楽しみだ。

終わってみれば、1~3番人気の3頭で決まったレース。順当な結果ではあった。
しかし、中身に関しては、正直、期待はずれの感もある。「メンバーが小粒だった」と言われればそれまでだが、クラシックへの展望が広がらなかったのは残念だ。
今週末のきさらぎ賞をはじめ、まだまだ前哨戦は残っている。“強豪”の出現を心待ちにしたい。


■共同通信杯・結果

2010年2月7日 1回東京4日11R
第44回 共同通信杯(GⅢ)
芝・1800m 晴・良

 1着 ハンソデバンド     蛯名     1.48.2
 2着 ダノンシャンティ    吉田豊     ハナ
 3着 アリゼオ          ルメール    クビ

単勝 6  740円(3番人気)
馬連 3-6 1440円  馬単 6→3 3230円
3連複 3-5-6 590円  3連単 6→3→5 6750円

■共同通信杯・予習

過去にはナリタブライアン、メジロブライト、ジャングルポケットといった勝ち馬を輩出し、クラシックを占う意味で重要な一戦と位置付けられている3歳GⅢ・共同通信杯。もっとも、今年の場合は、重賞連対実績のある馬の出走もなく、また、データ的にこのレースで良績を残している“GⅠ・朝日杯FS出走組”もいない。それゆえ、専門紙等でも評されているように、「メンバー的には小粒」といった印象も否めないが、見方を変えれば、これまでの実績に左右されずに“今後の可能性”を考えることもできるということ。その意味では楽しみなレースと言えるだろう。

前日売りの単勝1番人気はアリゼオ
新馬戦、オープン(ホープフルS)を連勝。しかも、初戦は後方からの差し切り、2戦目は好位からの突き離しと、自在の脚を使っている。言うなれば、レースの覚えが早いということで、ある程度完成された馬という判断も成り立つ。
距離に関しても、2000mで2戦2勝であるから、この時期に必要と言われる“距離経験”も十分だ。
「新馬戦で負かした相手がヒルノダムール(ラジオNIKKEI杯4着・若駒S1着)」ということも、この馬の評価を高めている要素のひとつ。単純に能力を比較できるかどうかは別としても、クラシック候補の1頭と戦って勝った経験値は大きいに違いない。
鞍上はルメール騎手。他の有力馬の乗り替わりが目立つ中で、騎乗実績のあるジョッキーが続けて乗ることはプラス材料と考えていいだろう(特に気性面が幼い若駒の場合)。
歴戦の古馬とは違って、不確定要素の多い3歳馬だけに、一本かぶりの単勝人気に応えるだけの信頼性があるとまでは言えないが、“レースの中心馬”であることは間違いない。したがって、他馬に関しては、「アリゼオに勝てる要素があるかどうか」が検討基準になりそうだ。

アリゼオの逆転候補として推す声が多いのは、前走でラジオNIKKEI杯の3着に入ったダノンシャンティ
「ヒルノダムール(4着)に先着」という括りで見ればアリゼオと同じであり、2000mの持ち時計に関しては、アリゼオよりも速いタイムを記録している。
しかし、それ以上に注目されているのは、今回のレースへ向けての仕上げ。松田国調教師は「前走はソエを心配しながらの調整だったが、今回はしっかり追い切った」とコメント。たしかに、中間の本数も多く、調教時計も大幅に短縮されている。軽めの調教でも重賞3着であるならば、大きな変わり身が見込めそうな今回は、それ以上の走りを期待できるかもしれない。
課題は、初の長距離輸送と初の東京コース。この2点をしっかりクリアして、結果を残せるようであれば、今後の展望は大きく広がるはずだ。

東京コース実績を基準にするならば、ハンソデバンドも有力候補。
デビューから4戦してすべて連対いう堅実な成績だが、そのうちの3戦が東京であげたもの。今回と同じ条件の芝1800mは勝ち鞍こそないが2着2回。新馬戦→未勝利の過程でタイムを2秒近く縮めているのも強調できる材料と思える。
不安点は折り合い。陣営も「前半の折り合いがカギ」と認めているし、1800mで2着2回、1600mに短縮して連勝という戦績からもそれは伺い知れる(特に前走のジュニアCはこの馬向きのハイペースだった)。スローペースが予想される今回、道中どれくらいスムーズな走りができるかがポイントになるだろう。

ハンソデバンドと同じく、東京・芝・1800mを経験しているダイワアセット
この馬もデビュー戦→2戦目で4秒以上も時計を短縮した。しかも、その2戦目はGⅢ・東京スポーツ杯2歳S。勝ち馬・ローズキングダム(朝日杯優勝馬)と0.3秒差の5着であれば評価に足りる結果と言えるはずだ。
近2走は中山の500万条件で差のないレースをしているが、内容的には「内にササって追えない競馬」(陣営談)。左回りコースに替わることで、それが解消されるようであれば、好走の可能性も十分ある。粗削りの部分も多いが、未知数の魅力も備えた1頭でもある。

夏の札幌以来、5カ月半ぶりのレースとなるタイセイレジェンド
新馬戦ではアドマイヤテンクウ(京成杯2着)に先着、未勝利戦ではレッドスパークル(同3着)に先着と、なかなか骨っぽい相手と対戦している。
“矢作厩舎の休み明け”といえば、先週のグロリアスノア(根岸S1着)が頭をよぎるが、今回はそれに加えて初の遠征。2週前に熱発があったことも公表されており、少なからず割り引きが必要かもしれない。

新馬戦を勝って重賞に挑戦するロジスプリング
この馬に関しては、能力云々よりも出走までの過程に「陣営に勝算があるのかな?」と思わせるものがある。
というのも、出馬登録の時点では、同じ〈萩原厩舎=久米田オーナー〉の所属馬(所有馬)でも、同じく登録のあったロジサイレンスの方が評価が高かったからだ(2000mの距離経験もあった)。当然、2頭のうちの1頭を出すのならロジサイレンスだろうと言われていた。
そのあたりの経緯については、いろいろな憶測があるようだが、「鞍上の柴田善騎手が“勝てると思う馬”を選んだ」という噂もある。
新馬勝ちの2戦目となれば、上積みも十分あるはず。少々気になる1頭だ。

他の伏兵陣に関しては、長い直線に向きそうな京成杯5着のアースステップ、1400m戦とはいえ東京コースで最速の上がりを2回マークしているカシマストロングなどの名前があげられているが、それ以上に面白そうなのがナシュワンヒーロー
距離経験は1600mまでだが、ここまで3戦3連対。しかも、すべて異なる競馬場で、関西馬ながらすでに関東への輸送もクリアしている。ハナを主張する馬が他に見当たらないことから、今回も前走同様に逃げの競馬が濃厚。単騎で自分のペースならば展開も向くだろう。残り目に注意したい。


京都では、GⅠ・高松宮記念へ向けての前哨戦、GⅢ・シルクロードSが行われる。
昨年秋以降、スプリント戦線で頭角を現わしてシノギを削っているエイシンタイガーとレディルージュ。さらに、GⅠ・スプリンターズSで1番人気に支持されたアルティマトゥーレが人気になっているが、できれば好位で競馬をしたいこの3頭がいずれも外目の枠に入ったことで、難しいレースになった感がある。
スタート後のポジション取りという視点で見れば、2枠3番のショウナンカザンが有利。近2走の1400m戦から〈3.2.1.0〉の実績を持つ1200m戦に戻ったこともプラスだろう。
デムーロ騎手が手綱を取る1枠2番のシンボリグランも同様。前走の京阪杯からマイナス4キロとなる斤量も恵まれたように思える。
開催が進んで馬場が荒れてきたことを念頭に置くならば、差し馬の台頭も大いに考えられる。特に、ドラゴンウェルズ、アーバンストリートといった淀短距離Sで差しが届かなかった組には注意を払いたい。ただし、ドラゴンには“前走プラス18キロだった馬体が絞れた場合”、アーバンは“夏負けで落とした調子が大幅に良化された場合”という但し書きが付くが・・・。
京阪杯を強烈な末脚で制したプレミアムボックスはハンデ差がどう出るか。さらに、後方一気の脚質で勝負するこの馬にとって、外へ持ち出すロスが生まれやすい内枠は少なからず不利に違いない。
穴候補をあげるならば、フィールドベアーとトウショウカレッジ。
前者は、初の1200m戦になるが、前走の京都金杯の行きたがるような走りを見ると、さらなる距離短縮がプラスに働くかもしれない。
後者は、外に持ち出さなくても馬群を割って突き抜けてくる末脚が脅威だ。



■根岸S・復習

GⅢ・根岸Sを制したのは、11番人気の伏兵・4歳馬のグロリアスノアだった。

大方の予想通り、レースはケイアイテンジンが引っ張る形で進み、前半3Fを35秒6で通過。同日の500万条件(5R・ダート1400m戦)の前半3Fが35秒3であるから、重賞クラスとしてはかなり楽な流れ(勝ち時計も1分23秒7)。言い換えれば、前が残りやすい展開だったということだ。
そうした中で、中団から一気の差し切り勝ちを決めたグロリアスノア。これは“強い勝ち方”と言わざるを得ない。
たしかに、JCダート2着のシルクメビウスと好勝負を演じたり(ユニコーンS)、交流GⅠ・ジャパンダートダービーでは今回人気だったスーニに先着するなど、レベルの高い“4歳世代”のトップクラスに位置する1頭であることは周知の事実だった。さらに、東京ダートは3戦3連対と、得意の条件であることもわかっていた。
しかし、にもかかわらず、評価が上がらなかったのは、今回のレースが「4カ月半の休み明け」であったからにほかならない。しかも、昨年暮れの開催を使った馬が中間4本の追い切りを消化しているのに対して、9月以来の出走となるこの馬は3本止まり。実際、レースにあたって、陣営も「もうひと追いほしかった」とコメントしていたのである。
ということは、8~9分の出来でも、能力を出し切れたということ。グロリアスノアの潜在能力の高さもさることながら、先週のネヴァブション同様、“目標のレースに出走させる以上は能力を発揮できる状態に仕上げる”という厩舎(矢作厩舎)の力を評価しなければならないだろう。
デビュー11年目で初の重賞制覇となった小林慎騎手の騎乗も見事だった。スタートが良く、はじめは好位のポジションになったが、道中では中団まで下げて脚を溜めることに専念。直線での末脚を信じているからこそできた乗り方だろう。騎乗数が少なく、お手馬と呼べる馬も所属厩舎のグロリアスノア以外は見当たらないといった状況の中で、チャンスを確実にモノにした小林慎騎手には素直に拍手を送りたい。

1番人気のサマーウインドは2着。番手マークから直線抜け出しという正攻法の競馬を見せてくれたが、最後は勝ち馬の末脚に屈した。
もっとも、重賞初挑戦で初の東京コースという条件を考えれば、上出来の内容だろう。武豊騎手は「コーナリングでスムーズさを欠いた」とコメントしているが、最後まで折り合いを保ち集中して走っていたように見えた。
今後の課題は距離。現状ではスピード能力を活かして走れる1200mがベストで、長くても1400mまでといった印象。ペースに関しても、今回のように時計がかかるレースでは、“脚を溜めて後続を突きはなす競馬”も必要とされてくる。まだまだ伸びしろがありそうな馬だけに、この先どのような走りを見せてくれるか楽しみだ。

3着はオーロマイスター。レースの流れを考えれば、この馬もよく走っている。これで、ダート転向後、8戦して〈3.3.1.1〉。折り合いのつきやすい1400~1600mのダート戦ならば、重賞戦線でも十分活躍できるように思えた。
欲を言えば、もう一段階上のキレ味がほしい。今回は4コーナー12番手から外に出して追い込んできたが、これからも同様の脚質で勝負するのならば、先に抜け出した馬よりも速い上がりをマークできなければ勝ち切るまでには至らないだろう。状況に応じて位置取りを変えられる自在性のある走りを見せてくれるのか、あるいは、末脚に磨きをかけて後方一気の競馬を身上としていくのか。そのあたりに注目していきたい。

4着のスーニは、大外枠に入ったことで前に馬を置けず、序盤から掛かり気味の走り。それでも、失速せずにこの着順に踏み止まったのだから、力のある馬であることは証明された結果とも思える。58キロの斤量についても、影響はなかったようだ。
気性面での課題が残ったという声もあるが、本番のフェブラリーSへ向けての叩き台としては上々の内容と言ってもいいだろう。

5着に入ったのは、最後に内から伸びたワンダーポデリオ。
「前がなかなか開かなかった」という柴山騎手のコメントの通り、内枠に入ったことがマイナスに作用したようだ。同じく内に進路をとったセイクリムズン(7着)にも言えることだが、直線でつかえた分、脚を余した感がある。
もっとも、最後のひと伸びを見る限り、「やはり、この条件では走る」と改めて認識できたのも確か。東京ダート・1400~1600mのレースでは、今後もマークが必要だろう。

反対に、左回りで走りが不器用になったように見えたのが、ミリオンディスク(6着)。
抜群の手応えで集中していた前走のカペラSと違って、終始フワフワしているような走りだった。鞍上の村田騎手も「左回りは向いていないようだ」とコメント。条件替わり(コース替わり)で見直すことにしたい。

2番人気に支持されたケイアイテンジンは13着に敗退。
先手を奪うと楽なペースに落として、自身も残れる展開に持ち込んだが、サマーウインドとスーニに並びかけられるとそのまま失速。『予習』の中で懸念したように、有力馬からプレッシャーを受け続けたことによって消耗してしまったようだ。
脆さの出た逃げ馬は立ち直り(精神的な部分も含めて)がポイント。次走、今回の敗戦を引きずっていないかどうかに気をつけたい。

今後につながる走りを見せてくれた馬を1頭あげるならば、グリフィンゲート。
グロリアスノアと一緒に上がってきた時は、一瞬「オッ」と思わせる脚。結果的には振り切られ、外から来たオーロマイスターにも交わされてしまったが、レース運びそのものは悪くなかったように思える。
『予習』でも述べたように、現時点では時計面が課題。まだまだ成長の見込める4歳馬なので、今後、レース毎にタイムを更新してくるようであれば、いずれは頭角を表すかもしれない。

終わってみれば、「また1頭、強い4歳ダート馬が現れた」というのが正直な感想。グロリアスノア、スーニ、シルクメビウス。さらには、リーチザクラウン、レッドスパーダの参戦も噂されているGⅠ・フェブラリーS。エスポワールシチーやサクセスブロッケンら5歳馬との、“最強世代”の名を賭けた対決も注目されるに違いない。層の厚いダート戦線からますます目が離せなくなりそうだ。


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安東裕章

Author:安東裕章
東京都出身。2007年11月に書籍『競馬のツボ』、2008年7月に『競馬のツボ2』、2009年7月に『競馬のツボ3』を発表(いずれも総和社刊)。

このたび、拙著『競馬のツボ』を刊行していただいた出版社・総和社様の勧めもあって、ブログを始めることにしました。
競馬における一番の楽しみは、レースについて考えること。つまり予想です。
このブログを書くことで、自分でも週末のレースに向けてイメージを膨らませる訓練になるかと思います。
競馬について考えることが好きな皆様。レース予想に疲れて気分転換をしたい時など、よろしければフラッと遊びに来てください。

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