■2010年03月

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■高松宮記念・復習

掲示板に載った上位5頭の着差は、ハナ・クビ・クビ・ハナ。
ゴール前で横並びとなった激戦を制したのは1番人気のキンシャサノキセキ。7度目の挑戦にして初のGⅠタイトルを手に入れた。

レースは最内枠のセブンシークィーンが引っ張る形で、前半3Fを33秒5で通過。予想通りのハイペースとなった。
キンシャサノキセキは、序盤こそ掛かり気味の走りのようにも見えたが、向正面の中程あたりで折り合うと好位の後ろを追走。直線で馬群がバラけると内目から一気に抜け出して後続を振り切った。
ポイントとなったのは、4コーナーにおけるコーナリング。
先行馬群が外へ膨らみ内がポッカリと開いたところへ、見計らったように進路を取ったが、これによって、コースロスを最小限に抑えられ、直線でも早目に抜け出すことができた。道中前を走っていたビービーガルダンが、直線で外から追う展開になったのは、4コーナーでのコース取りの差がすべて。枠順の有利・不利も多分に影響したに違いないが、同時に、四位騎手の判断・好騎乗も評価すべきだろう。
これで重賞4連勝。気性面の成長によって、レースで常に能力を発揮できる馬になった。南半球産の遅生まれとはいえ、7歳にしてこの充実ぶりには頭が下がる。
今後の課題をあげるならば、“時計勝負”になった場合の走りだろう。
今回の勝ち時計・1分8秒6は荒れ馬場の影響もあって良馬場としてはかなり遅いタイム。レースの内容もスピードの絶対値の違いで押し切ったというものではなかった。1分7秒台で決着するようなレース・・・例えば、野芝で開催される阪神のセントウルSに出走してきた場合などは、取捨選択の検討を慎重に行う必要があるかもしれない。

ハナ差の2着はビービーガルダン。
ゴール前の勢いはこの馬の方があっただけに、実に惜しい結果だった。レースで見せた“馬自身の底力”という点では、キンシャサノキセキ以上という意見も出ている。
プラス8キロの馬体重。前走減っていた体は戻っていた。ハナを奪うかのようなスタートを決めて好位のポジション。コーナーでは外へ膨らみがちだったが、直線を向いてからは抜群の伸び脚。先にも述べたように、コース取りの差が勝敗の明暗を分けた形だ。
左回り、外枠という不利な条件ではあったが、スプリンターズS2着の実力は発揮できたと見てもいいだろう。好位から抜け出す競馬だけではなく、外から追い込みにも対応できたことも収穫だったに違いない。前走・阪急杯の負け方があまりに不甲斐なかったために「ピークは過ぎたかな?」とも思ったが、まだまだ第一線での活躍が期待できる内容だった。

3着のエーシンフォワードも枠順に泣いたクチだろう。
最後は大外から伸びてきてはいるものの、道中外々を回らされたために徐々にポジションが下がっていくレースになってしまった。岩田騎手も「もう少し内の枠だったら4角先頭の形がとれていたと思う」とコメント。自分の形の競馬はできなかったということだ。
結果こそ3着には入ったが、1200mの距離は少々忙しい印象。レースの流れに乗り切れなかったようにも見えたし、末脚もスプリンター向きのキレ味とは言えない。一方で、「自在性のある脚質」「大崩れのない堅実派」をさらに確認できたことも事実。陣営は安田記念が目標であることを口にしているが、次の大一番での走りに期待したい。

4着にはメンバー最速の上がり(34秒1)で追い込んだサンカルロ。
初の1200mということもあって、道中は追走に手いっぱいという感じだったが、直線では馬群を割って際どく迫ってきた。経験値を考えれば、大健闘と言える走り。吉田豊騎手も「一度でも1200mのレースを経験していればなあ・・・」と悔やんでいた。
以前は“大外一気の追込馬”という印象が強かっただけに、阪急杯に続いて中を突く競馬ができたことは大きなプラスだろう。まだまだ成長の見込める4歳馬。距離に慣れてくればスプリント戦線でも活躍できる可能性も大きい。この先、どのような走りを見せてくれるか楽しみだ。

アルティマトゥーレは有終の美を飾れず5着。
横山典騎手もコメントしている通り、スタートの躓きがすべて。直線ではキンシャサノキセキのすぐ後方まで差を詰めてきていたが、追走で脚を使った分だけ最後の伸びを欠いた。民放テレビの中継でも言われていたように、ピカピカの馬体はまさに“究極の仕上げ”。それだけに、今回の結果は残念だ。
『予習』では、「この馬の勝ちパターンは道中のラップと関係がある」という推理を行ったが、それについても証明できずに終わってしまった(前半で脚を使ったため最後に伸びなかったことは確かだが・・・)。
昨年の夏からスプリント路線の中心として、強い走りを見せてくれたことに感謝。フジキセキ×エアトゥーレの良血を後継に伝える優秀な繁殖馬として活躍してほしい。

5番人気のプレミアムボックスは13着に敗退。
今回に関しては後方一気が通用しない展開。しかも、出遅れ気味になったために、道中の追走に脚を使ったことも最後の伸びに影響したようだ。1週前の外差しが決まる馬場であれば、結果は違っていたかもしれない。

終わってみれば、順当な結果と思える今年の高松宮記念。現時点での能力を評価できる馬が上位にきたと考えていいだろう。
ただし、着差が示すように、抜けた馬がいたというわけではない。枠順や展開で勝ち馬が変わった可能性もある。言い換えれば、スプリント戦線の混戦状態は続いているということだ。
ローレルゲレイロが頭ひとつリードしているという見方もあるが、競馬ファンの願いはスプリント戦線の中心となる強い馬の出現。気の早い話になるが、秋のスプリンターズSに向けては、3歳馬と夏の上がり馬の台頭に期待したい。



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■高松宮記念・結果

2010年3月28日 2回中京8日11R
第40回 高松宮記念(GⅠ)
芝・1200m 曇・良

 1着 キンシャサノキセキ    四位     1.08.6
 2着 ビービーガルダン      安藤勝    ハナ
 3着 エーシンフォワード     岩田      クビ

単勝 6  370円(1番人気)
馬連 6-17 2690円  馬単 6→17 4450円
3連複 6-16-17 4230円  3連単 6→17→16 23750円


■高松宮記念・予習

春のスプリント王を決定するGⅠ・高松宮記念。改修前最後となる中京・芝・1200mのレースにフルゲート18頭が顔を揃えた。
もっとも、昨年の覇者・ローレルゲレイロはドバイゴールデンシャヒーン出走のため不在、香港No.1スプリンターのセイクリッドキングダムも回避となり、メンバー的には小粒。激戦の様相はあるものの、これまでのGⅡ・GⅢの延長線上といった印象は否めない。
スポーツ紙・専門紙の論評で目についたのは“馬場状態”の見極め。小倉の代替開催があったために例年よりも芝の悪化が進んでいるからだ。実際、ローレルゲレイロを管理する昆調教師は「当初はドバイと高松宮記念の両睨みだったが、荒れた馬場ではこの馬(ローレルゲレイロ)の持ち味を発揮できないのでドバイを優先した」とコメントしている。たしかに、先週行われた芝のレースでは外差しが決まる結果が多かった。
ただし、それに関しては、今週の月曜日に芝刈りが行われ、コースの内側にはローラーがかけられたとのこと。馬場の外側の方が傷みが少ないことは間違いないが、土曜日の芝・1200m戦(7R、12R)がいずれも逃げ切りという結果からもわかるように、「馬場の悪化」=「差し有利・先行不利」とまでは決めつけられないようだ。

前日売りの段階では単勝4倍台前後で2頭が人気になっている。
まず、現在重賞3連勝中のキンシャサノキセキ
一昨年のこのレースで2着、その年のスプリンターズSでも2着。その後、気性難が原因で、スランプに陥ったとのことだが、3走前のスワンSで復活。2走前の阪神Cは出遅れながら後方からの差しきり勝ち。前走のオーシャンSでは58キロの斤量を背負い、苦手の道悪条件でありながら、狭い最内をこじ開けるように伸びてきた。
もともと“GⅠで勝ち負けできる”と評価されていた馬。近走の充実ぶりを見る限り、悲願のGⅠ制覇に手が届く可能性も大きそうだ。
ただし、不安点がないとまでは言い切れない。それは、前走のオーシャンSの時にも一部の記者から指摘されていた「1200mよりも1400mのペースの方が向いているのではないか?」という点である。
1400m戦だったスワンSの前半3Fは35秒2、阪神Cは35秒1。キンシャサノキセキはそれぞれ33秒9、34秒7の上がりでまとめている。いわゆる“後傾ラップ”だ。前走のオーシャンSは前半34秒1、後半35秒7の前傾だったが、道悪だったために極端なペースにはならず勝ち時計も1分9秒8。つまり、重賞3連勝と言っても、前半3Fを33秒台で走るような“スプリント戦”の走りはしていないということである。
内目の枠に先行馬が揃った今回、レースは極端な“前傾ラップ”になる可能性もある。その場合に、この馬が自分のペースで競馬ができるかどうか。道中脚を溜めて、後方から一気に突き抜けてきても不思議ではないが、“ここ3走とは異なるレースに臨む”ということは頭に入れておいた方がいいかもしれない。

今回が引退レースとなるアルティマトゥーレ
2ヵ月ぶりの出走で調整途上と言われた前走・シルクロードSを完勝。昨年9月にはGⅡ・セントウルS勝ち。1番人気に支持された昨年のスプリンターズSは5着に敗れたが、それでも0.3秒差。実績の裏付けはある。
中京・芝・1200mは〈2.0.0.0〉の得意コース。0.5キロとはいえ、前走よりも斤量減。上積みの見込める今回は、前走以上の走りを期待できるかもしれない。
もっとも、この馬の場合も、キンシャサノキセキと同様、極端な“前傾ラップ”になった時の不安材料がある。
前走のシルクロードSは、番手で進んで直線抜け出しから後続を突き離した“正攻法の強い競馬”ではあったが、レースそのものはスプリント戦では珍しいスローペース。先行馬有利の流れで自身のラップは前半34秒6、後半33秒5だった。セントウルSにしても前後半とも33秒9のMペース。さらに遡って、1600万を勝ち上がった時も前後半34秒1のMペースだった。
対して、前半3Fを33秒台前半で走ったハイペースのレースでは5着(スプリンターズS)と8着(京阪杯)。つまり、緩い流れで逃げ馬を追走できるレースでこそ、この馬の勝ちパターンが生まれるという見方もできるわけだ。
2枠3番は好位につけるには申し分のない枠順ではあるが、先行激化によって序盤から速い脚を使わされるような展開になると、自分の競馬ができなくなる危険性もある。

前走、阪急杯を制したエイシンフォワード
近5走はいずれも複勝圏内という安定感。さらに、どんなペースにでも対応できる自在性が身につき、ここにきて“本格化”という評価を得ている。1200mは1戦して1着外という実績だが、マイルから距離を短縮した前走の走りを見る限りでは、十分対応できそうだ。
なにより、確固たる中心馬のいない近年のスプリント路線では、距離短縮のマイラーが結果を出すことが多い。現時点での充実ぶりを考えれば、マークが必要な1頭だろう。
気になる点をあげるならば、ここ3走がいずれも内枠に入っていること。当然、レース内容も「前に馬を置いて折り合い、ロスのないコース取りから直線で馬群を割る」というもの。馬込みが得意という印象が強い。
今回の8枠16番は、馬場の良い外目を進めるという点では有利だろうが、スムースに外から行き過ぎたり、馬群の外々に振られることも考えられる。“大外一気”というタイプではないだけに、そのあたりがどう影響するか。岩田騎手がどのようなポジションで競馬をするかに注目だ。

前哨戦の阪急杯で3着に入ったサンカルロ
58キロを背負いながらも、以前の後方・外差しの競馬ではなく中団から中を突くという“収穫の多い”内容だった。マイル路線から1F距離を短くしたのを機に、重賞で2着、3着。流れが速くなる方が持ち味を発揮できるとすれば、初距離となる1200mでも軽視できない存在だ。
とはいうものの、課題はやはりスプリント戦のペースに対応できるかどうかだろう。外目の枠に入ったことで、末脚を活かす競馬になるかもしれないが、平坦・小回りの中京コースでは、直線の追い込みだけでは届かないケースもある。

GⅢ3勝の実績を持つプレミアムボックス
近2走は馬券に絡めなかったが、前走のオーシャンSは道悪馬場の大外に持ち出す競馬で勝ち馬から0.1秒差の4着、スローペースで展開が向かなかったシルクロードSでも33秒4の上がりで6着、力負けというほどではない。逆にハイペースで差し脚を活かせた京阪杯と阪神Cでは連続連対。この馬の取捨選択に関しては、ペースをどう読むかがカギになるだろう。
中京・芝・1200mは昨年6月のCBC賞を勝っているが、この時は内が荒れて外差しが決まりやすい馬場だった。近5走中、4戦で最速の上がりをマーク。展開次第の馬ではあるが、決め手勝負になれば侮れない1頭だ。

昨年のスプリンターズSで2着に入ったビービーガルダン
前走の阪急杯は1番人気に支持されながら7着。休み明けで馬体が減っていたところをみると、本調子ではなかったようだ。昨年の高松宮記念では16着に敗退。主戦の安藤勝騎手が乗れなかったことも敗因だろうが、外々に膨れたことから左回りコースに課題を残した一戦でもあった。
加えて、今回は先行馬にとっては不利と思える8枠17番。能力的には上位ではあっても、このレースに限っては厳しい条件が揃った感もある。状態面が戻っているかどうかも心配だ。
もっとも、安藤勝騎手は「場合によっては後方からの競馬になるかもしれない」と脚質転換を示唆。外差しの作戦があるとなれば不気味な存在。名手・アンカツの騎乗に注目したい。

出走馬中、唯一GⅠ勝ちの実績を持つファイングレイン
3ヵ月半ぶりの前走・オーシャンSでは久々にこの馬らしい伸び脚を披露。“GⅠ馬復活”という声も聞こえてきた。叩き2走目となる今回は状態面もさらに上がってくるはず。一昨年にこのレースを勝った時の能力を発揮できるのであれば、好走も十分に可能だろう。
もっとも、一度はスプリント路線からマイルへ距離を伸ばした経緯を持つ馬。それは、陣営がスプリンターとしての限界を感じたからにほかならない。前走のオーシャンSにしても、道悪条件の特異なレース。良馬場の1200m戦の速さに対応できるかどうかは疑問である。ファイングレインの復活を期待したい気持ちもあるが、過信は禁物だろう。

前走・シルクロードSで1番人気に支持されたエイシンタイガー
結果は8着に沈んだが、スローペースの上、大外枠から終始外々を回らされる展開に泣かされたのが敗因。中間はこのレースに向けて順調に仕上げられたとのことで、前走からの巻き返しを期待できるかもしれない。
3歳だった昨年のCBC賞では2着。差し・追込馬が上位を独占する中、好位の3番手から粘り込んだ走りは高く評価された。戦績は安定していないが、スプリント戦では常に上位人気となる馬。素質・能力が評価されているからだろう。
問題は相手関係。人気になりながらもここまで重賞勝ちがないということは、絶対的な強さに欠けているという見方もできる。まして、初のGⅠ挑戦。今後のスプリント路線の中心になれるかという意味でも、ここは試金石の一戦だろう。

他にも何頭か気になる馬はいるが、いずれも好走には条件が付きそうだ。
2年連続で“サマースプリントチャンピオン”に輝いたカノヤザクラは、典型的な夏馬(6勝中5勝が夏場のもの)で今回は休み明け。状態面が万全なら食い込みの可能性もあるかもしれないが・・・。
決め手勝負のトウショウカレッジは、外に持ち出せれば面白いが、休み明けの2走を見る限りでは年齢的な衰えがあるようにも思える。
逃げ・先行馬では、前走重馬場に泣いたショウナンカザンの巻き返しを期待したいが、シルクロードS(2着)の時のように自分のペースに持ち込めるかどうか。
昨年夏の札幌で大活躍したグランプリエンゼルも、平坦小回りで時計のかかる馬場は向いているようにも思えるが、休み明けを2走使って状態面が大幅に良化していることが大前提になるだろう。


中山で行われるマーチSは、ハンデ戦ということもあって混戦模様。
実績ではトップハンデのマコトスパルビエロが一枚上だろうが、近走中央で走っていない点が不安。
前走、ダート替わりで結果を出したモンテクリスエスは、中山の小回りコースが課題。
フサイチピージェイは同型との兼ね合いがカギ。トーホウオルビス、バロズハート、中舘騎手を配してきたウォータクティクスもハナを主張するかもしれない。
穴候補としては、差しに転じても結果を残せたナニハトモアレと、先行脚質への転換で伸び伸びと走るようになったゲンパチタキオン。昇級初戦の軽量馬2頭が面白そうに見える。
GⅠクラスの馬が不在のメンバー構成だけに、こちらも難解なレースだ。




■スプリングS・復習

ローズキングダム、無傷の4連勝ならず!
単勝1.4倍の支持を受け、皐月賞へ向けて“どのような勝ち方をするか”が注目されていたローズキングダムだが、結果は3着。レースを制したのは、1コーナーから先頭に立ち、そのまま逃げ切ったアリゼオだった。

アリゼオの勝因は、気性面の悪さを見せずに自分の走りができたことだろう。言い換えれば、アリゼオの能力を引き出した横山典騎手の好騎乗が大きな要因だったということだ。
「馬込みが苦手」というルメール騎手のコメントについては、『予習』の中でも取り上げたが、横山典騎手も「他の馬を気にする面がある」というルメール騎手の言葉をヒントにしたという。一見、奇策のように思える“逃げの作戦”も、アリゼオの持ち味を発揮させるためには“正攻法”。折り合い面の不安を解消する二重の効果も生まれた。
ともあれ、今回の結果でこの馬の地力の高さが証明されたことは間違いないだろう。単騎の大逃げではなく、道中常にカワキタコマンドにマークされながらも振り切ったという内容も評価できる。
本番での課題は、今回と同様のレースができるかどうか。言い方は悪いが、今回は“すべてがうまくいったレース”という印象もある。ガス抜きのための強めの調教、ゲート裏までのメンコの装着、返し馬の先入れ、そして横山典騎手の逃げ作戦と絶妙なペース配分。これらがすべてプラスに働いたからだ。
1800mから2000mへと今回よりも距離が1F伸びる本番の皐月賞。いかに折り合って、いかに自分の走りができるかがカギになるだろう。

2着は10番人気の伏兵・ゲシュタルト。
キャリア3戦の1勝馬だけに、実績からの評価が難しかったが、内枠をいかした好位追走から最後もしっかりと末脚を伸ばしてきた。
この1戦に限っていえば、センスが高く(=立ち回りがうまく)、まだまだ奧がありそうな印象。父・マンハッタンカフェ、母父・エンドスウィープという配合から、スタミナとキレ味を兼ね備えるタイプという意見も出ている。本番でも楽しみな1頭かもしれない。
ただし、マイナス10キロという馬体重から判断すると、今回が目イチの仕上げ。デビューから26キロの馬体減となり、本番への余力という点が心配でもある。ベストの状態で出走してくることを望みたい。

1番人気のローズキングダムは3着。この敗戦をどう判断すべきだろうか。
たしかに、「無敗で皐月賞へ向かいヴィクトワールピサと再戦」というシナリオは、ファンやマスコミの過剰な期待だったかもしれない。実際、叩き台のトライアルで3着を確保したわけだし、メンバー最速タイの34秒9の上がりで最後は詰めてきている。外へ出せずに内を突くしかなかったという若干の不利もあった。
仕掛けてからの反応が鈍かったのは、陣営の言う通り、久々の分が応えたと見るべきだろう。小牧太騎手も「ステップレースとしては悪くないレースだった」とコメントしている。
しかし、あくまでステップレースとして臨んだとするならば、キッチリと仕上がっているようにも見えた“マイナス2キロの馬体重”はどういうことなのだろうか。
『予習』では「大幅な馬体増の場合は注意」と書いたが、そこには“トライアル仕様で太めが残っていた場合”という意味も含まれていた。個人的には、プラス4~8キロくらいで出走してくるだろうと想定。なぜなら、3歳馬の成長分を見込んでいたからである。
母・ローズバドが現役時代に420~430キロで走っていたように、家系的に小型の馬なのかもしれないが、それにしてもデビュー以来減り続ける馬体は気掛かりだ。言い換えれば、成長力に対しての懸念である。
もちろん、本番での巻き返しの可能性がないというわけではない。ただし、初の2000m、今回よりも荒れた馬場状態といった新たな課題が加わるのも事実。この馬に関しては、本番までに一から検討し直す必要があるかもしれない。

4着にはサンライズプリンス。
未知の可能性という部分から、ローズキングダムの逆転候補にあげていた競馬評論家も何人かいたが、スタートの悪さが最後まで響いてしまったようだ。
とはいえ、上がり3Fはローズキングダムと並んで最速。これまでのレースと違って後方からの競馬にも対応できたことは収穫だろう。課題と思われていた中山の急坂も問題なし。皐月賞の権利こそ獲れなかったが、この先も注目していきたい1頭だ。

バシレウスは好位から流れに乗るレースができたが5着まで。
「現状での力は出し切れた」という蛯名騎手のコメントの通り、今回の相手ではまだ力差があったということだろう。それでも、相手なりに走れる持ち味を印象付ける内容。遅生まれということなので、今後の成長に期待したい。

2歳時に高い評価を受けていたサンディエゴシチーとサクラエルドールは、ともに大敗。
サンディエゴシチーは復活途上、サクラエルドールは走りのスタイルが決まっていないという印象を受けた。

今回のレース結果によって、早くから“2強対決”と言われてきた本皐月賞の行方が渾沌としてきたのは事実。
弥生賞を制したヴィクトワールピサが一歩リードという見方が多いようだが、絶対とまで言い切れるかどうか。
ひとつのポイントになりそうなのは、当日の馬場状態。芝の荒れ具合によって、脚質や枠順の有利・不利がレースに影響するかもしれない。


■スプリングS・結果

2010年3月21日 2回中山8日11R
第59回 スプリングS(GⅡ)
芝・1800m 晴・良
 
 1着 アリゼオ         横山典   1.48.2
 2着 ゲシュタルト        勝浦     1
 3着 ローズキングダム     小牧太   アタマ

単勝 5  600円(2番人気)
馬連 2-5 18090円  馬単 5→2 36980円
3連複 2-3-5 4160円  3連単 5→2→3 64470円

■スプリングS・予習

2週前に行われた弥生賞と並んで、「皐月賞への重要なトライアル」と位置付けられているGⅡ・スプリングS。過去10年では、ネオユニヴァース、メイショウサムソン、アンライバルドの3頭がこのレースを勝って皐月賞を制している(ちなみに、弥生賞と皐月賞を連勝したのは、アグネスタキオンとディープインパクトの2頭)。
データから見た傾向としては、「1番人気の好走率が高いこと」と「2勝以上している馬が結果を出していること」が特徴。前者は過去10年で〈5.2.1.2〉の数字。後者は連対馬20頭のうち19頭があてはまる。基本的には“人気と実績が目安となるレース”と言えるかもしれない。

断然の1番人気はローズキングダム
デビューから3連勝中。しかも、負かした相手はいずれも一線級だ。
新馬戦ではヴィクトワールピサを退け、続く東スポ杯2歳Sでは、直線の追い比べで抜群の勝負根性を見せトーセンファントムにアタマ差勝ち。さらに、前走のGⅠ・朝日杯FSは先に抜け出したエイシンアポロンを一気に差し切る強い競馬。ヴィクトワールピサ、エイシンアポロンは弥生賞の1・2着馬。トーセンファントムも故障で戦列を離れたものの、クラシックでの活躍を期待されていた1頭だった。
レース内容も高く評価できる。スローペースでは無理なく好位で折り合い、ハイペースでは流れに乗りながら脚を溜める走り。経験値も豊富だ。何より特筆すべきは“仕掛けてからの反応の良さ”。鞍上の意のまま力を出せるということは、完成度の高さの裏付けとも考えられる。能力、実績ともに他馬より一枚も二枚も上。無傷の4連勝で皐月賞本番へ向かう可能性は高いと見てもいいだろう。
3ヶ月の休み明けを不安視する声もあるが、実際には短いリフレッシュ放牧で、1月28日にはすでに帰厩。その後は入念に乗り込まれており、3週続けてポリトラックで併せ馬を消化している。したがって、レースへ向けての調整に関しては、さほど問題とは思えない。
あえて気になる点をあげるならば、大幅に馬体重が増えて出走してきた場合。この馬には馬体増でレースを走った経験がないため、念のための注意は必要かもしれない(本当に強い馬には無用の心配かもしれないが)。
いずれにしても、本番の皐月賞への期待がさらに大きくなるような走りを見せてほしい。

前走の共同通信杯では単勝1.8倍の1番人気に支持されながら3着に敗れたアリゼオ
スローの上がり勝負になったために、道中折り合いを欠いた分だけ伸びなかった。陣営いわく「この馬の課題がわかった」という結果であり、それを踏まえて今回は、本馬場入場も先入れにするなどテンションを上げないように工夫を施すという。
折り合い面だけを考えた場合、東京の1800mよりも流れやすくなる中山1800mの方が競馬はしやすくなるだろう。新馬戦でヒルノダムールを敗った潜在能力の持ち主だけに、ペース次第では巻き返しがあってもおかしくない。
もっとも、精神面での課題という点では、他にも気になる材料がある。それは、前走・共同通信杯のレース後にルメール騎手が残した「馬込みが苦手なのかもしれない」というコメントに表れている。
馬群の形態から言えば、幅員の広い東京コースよりも小回りの中山コースの方がゴチャつきやすい。仮にアリゼオがルメール騎手の言うように“馬込みが苦手”であるならば、折り合い面では有利に思えるコース替わりも、全面的なプラス材料にはならないかもしれない。
まずは自分の競馬をすることが大前提。2走前のホープフルSで見せたような直線入口先頭から抜け出すレースができるかどうか。そのためには道中のポジションがカギになりそうだ。

デビューから2戦2勝で重賞に挑戦するサンライズプリンス
新馬戦が1.4秒、前走の500万が0.6秒。2着馬につけたタイム差は驚異的とも言えるもの。
3歳の一流どころとの対戦は初となるため、相手関係がどうかだが、好位から抜け出して後続を突きはなす競馬は“正攻法の醍醐味”。未知の魅力を存分に携えた1頭だ。
問題は、やはり中山コースを克服できるかどうか。2連勝はいずれも直線平坦な中京コース。右回りで直線の急坂をこなせるかどうかがカギになる。期待値の高さが人気につながっているようだが、条件的に初ものづくしが多いため、凡走の危険性も大きいことも確か。買い目を決めるにあたっては、そのあたりの判断がポイントになるだろう。

昨年9月の札幌2歳Sを制したサンディエゴシチー
重賞勝ちという実績でいえば、ローズキングダムに次ぐ存在でもある。
前走の東スポ杯はスロー流れで掛かり気味の走り。大外枠で前に馬を置けなかったこともあり、3コーナーから先頭に立つ形になり伸びを欠いた。レース後、藤岡佑騎手は「併せ馬の形になれば違っていた」とコメントしたが、自身の競馬ができなくても0.3秒差の4着に踏み止まったことは評価してもいいかもしれない。
その後、フレグモーネのために本来使いたかったレース(ラジオNIKKEI杯)に出走できず、今回が復帰戦。調整過程に関しては不安が残る。
とはいえ、デビューから3連勝で重賞を勝ったように、潜在能力は高いと判断できる馬。状態面が万全ならば好走できる可能性もあるはずだ。

前走、500万クラスのセントポーリア賞を勝ったバシレウス
そのセントポーリア賞は勝ち時計は、同開催のGⅢ・共同通信杯よりも0.9秒も上回るタイムだった。単純に数字の比較はできないにしても、この馬自身が時計に対応できることを証明するひとつの要素と見ることはできるだろう。
デビューから5戦して4連対。そのいずれも芝・1800mのレース。中山コースでも若竹賞2着があり、レース条件への適性は高い。加えて、デビュー時から前走までに24キロ増えた馬体重も、成長力という点から強調できる材料だ。
あとは、相手関係。ここでも結果を出せるようであれば、堅実に走れる馬として今後への期待が高まる。

新馬戦で1番人気になったように、デビュー前から素質の高さを評価されていたサクラエルドール
今回は3ヶ月の休み明けであることに加え、ラジオNIKKEI杯で大敗したこともあって人気を落としているようだ。
たしかに、デビューからの2連勝は11頭立と6頭立のレースで、楽な展開だったことは否めない。乗り慣れた福永騎手に手綱が戻り、立て直しの効果が期待できる今回は、その意味でも真価が問われる一戦になるだろう。

1勝馬で気になるのはアロマカフェ
前走、未勝利を勝ったばかりの馬だが、4戦中3戦で最速の上がりをマーク。さらに、近2走は道中でポジションを上げていく中山向きのマクリを見せている。
外差しが決まるようになってきた中山芝コース。末脚を発揮できる展開になれば、馬券圏内に突っ込んでくる可能性があるかもしれない。

他では、ダートのオープン・ヒヤシンスSの1・2着馬、バーディバーディソリタリーキングがそこそこ穴人気になっている。
特に、ヴァーミリアンの弟・ソリタリーキングは、“血統的に芝でも走れる”という意見もあるようだ(父・キングカメハメハ、母・スカーレットレディ、母父・サンデーサイレンス)。
もっとも、ダートで実績があるからといって、芝でも即通用と見なせるかどうか。バーディバーディには1800mの距離経験がなく、ソリタリーキングは先行するレースをしていない。
前走ダート戦という括りならば、むしろ最内枠に入ったアブラハムダービーの方が面白そうに思える。
新馬、未勝利で芝のレースで後方からの競馬だったが、ダート替わりの前走は一転して逃げ切り勝ち。陣営は今回も先行策をほのめかしている。鞍上の吉田豊騎手は、3月6日の1600万・スピカS(中山・芝・1800m)で、本来差し馬の人気薄・ショウナンライジンを最内枠から逃げ切り勝ちに導いている。枠順の利をいかして先手を取り、マイペースに持ち込むことができれば、残り目があるかもしれない。

多くのスポーツ紙・専門紙の見立て通り、今回のレースは「ローズキングダムの相手探し」というスタンスが正解と思われる。ただし、2・3着に関しては混戦。アリゼオには精神面での不安材料があり、サンライズプリンスには初物の課題がある。買い目をどのように絞り込んでいくかが、予想のポイントになりそうだ。


阪神では天皇賞・春の前哨戦となるGⅡ・阪神大賞典が行われる。
例年ならば、GⅠ戦線で活躍する馬が顔を揃えるレースだが、今年の場合、GⅠ馬はアサクサキングス1頭。しかも、アサクサ自身、格上とはいうものの休養前の2走がいずれも2ケタ着順ということで、今ひとつ信頼度に欠ける。ならば、同じく休み明けのイコピコや、昇級戦のジャミールが人気になるのも当然かもしれない。
メイショウベルーガは阪神内回りコースが課題。ホクトスルタンは同型のドリームフライトとの兼ね合いがカギ。ベルウッドローツェは斤量増をこなせるかどうか。
絶対的な有力馬が見当たらないのならば、近走で堅実な結果を残している8歳馬のトウカイトリックや10歳馬のゴールデンメインあたりにも注意を払った方がいいかもしれない。
穴はウィルビーキング。馬の能力というよりも、自分のお手馬(アサクサキングス、イコピコ)を他のジョッキーに乗られている四位騎手の意地に期待したい。



■フィリーズレビュー・復習

5頭横一線となったゴール前の叩き合い。
息詰まる大接戦を制したのは9番人気(単勝26.2倍)の伏兵・サウンドバリアーだった。

レースは大方の予想通り、ラブミーチャンがハナを奪い、エリモエポナ、ハニーメロンチャンなど“初芝組”がレースを作る展開。もっとも、先行激化というわけではなく、3F通過は35秒0。過去10年で最も遅いペースだった。
通常ならば、先行勢の残れる緩い流れでありながら、次々に馬群に沈んでしまったのは、やはり“芝適性の有無”が原因だろう。掲示板に載った5頭は、いずれも「芝1400mで連対実績のある馬」(しかも、連対実績があるのはこの5頭のみ)。レースに対応できる“経験値”が結果を左右したという見方もできる。
勝ったサウンドバリアーについては、外差しの利く馬場であったとはいえ、決め手勝負で他馬を封じ込めたのであるから、十分評価できる内容と言えるもの。前走のエルフィンSでは、前が塞がったために脚を余した形になったが、今回は馬群をうまくさばいて外へ持ち出せた。
本番の桜花賞も含め、今後のレースを検討する際には、「末脚をいかせる展開になるかどうか」がポイントになるだろう。折り合いに関しての不安はなさそうに思えるが、馬場状態や枠順などの影響を受けやすいタイプかもしれない。この先、どのような走りを見せてくれるかに注目したい。

ハナ差の2着には1番人気のラナンキュラス。
懸念された出遅れもなく、中団前のポジションをキープして、スムーズに流れに乗れていた。4コーナー手前から若干マクリ気味に進出し、直線半ばで先頭に立ったが、最後は外を通ったサウンドバリアーに競り負けた形。惜しい2着だった。
四位騎手は「本当はもう少し仕掛けを待ちたかった」とコメント。休み明けのせいもあって、いくぶん手応えが怪しかったため早目に動いたとのことだ。
たしかに、脚を溜めてキレ味勝負に出ていれば結果は違っていたかもしれない。しかし、見方を変えれば、今回のような“正攻法の競馬”ができたことは、この馬には収穫だったとも思える。個人的には、走りの幅が広がったという評価をしたい。
休養前と比べると、落ち着きが加わった印象。圧倒的な強さこそないものの、一戦一戦競馬が上手になっているようだ。今回1走叩いたことで、本番への上積みも見込めるはず。期待のつながるレースだったのではないだろうか。

さらにクビ差の3着に入ったレディアルバローザ。
『予習』では「内枠に入ったことでロスなく好位から競馬ができる」と書いたが、実際にはペースが遅く馬群がゴチャつく厳しい展開。それでも、最後は最内を突いて本番出走の権利を手に入れた。
1・2着馬が外目から伸びてきたことを考えれば、展開不利の状況で着差なしの結果は評価できるだろう。「この馬が一番強い競馬をした」と評する意見もある。
本番では1F距離が伸びるが、1600mでも〈1.0.1.0〉の実績のある馬。同型馬の兼ね合いや枠順次第にもなるが、スタートのいい馬なのでハナを切るレースをするかもしれない。あくまで仮定の話ではあるが、一応頭に入れておきたい。

アタマ差で惜しくも権利を獲れなかったロジフェローズとニシノモレッタ(4着同着)。
ロジフェローズは出遅れが響いた。最後は最速の上がり(34秒7)で伸びてきているだけに、もったいなかったように思える。一瞬ではあったが非凡さを感じさせる内容。キャリアの少ない馬なので、経験を積むことによって“粗さ”を解消していってほしい。
ニシノモレッタは太目残りこそなかったが、休み明けの分だけキレ負けした印象。ただし、レース運びそのものには見応えがあった。健闘の部類に入れてもいいだろう。

モトヒメ(0.3秒差・6着)は直線半ばまではいい感じの走りに見えたが、最後の競り合いについていけずに失速。現状では“直線平坦の1200m”がベストのようだ。
カレンチャン(0.4秒差・8着)も同様。鮫島騎手は距離延長を意識して、後方で脚を溜めることレースを試みたとのことだが、やはり1200mで先行する競馬がこの馬の持ち味に違いない。

3番人気のテイラーバートンは13着に敗退。
窮屈な展開になったとはいえ、あまりにも負け過ぎ。藤岡佑騎手は「4コーナーで行き場をなくしたのは、コース取りに失敗した自分の責任」とコメントしているが、力のある馬ならば、少なくとも馬込みを割ろうとする姿勢くらいは見せるはず。
『予習』でも指摘したように、目イチの仕上げで挑んだ関東遠征から中2週というローテーションの影響が、見えない反動として心身に影響を与えていたのかもしれない。

今回、一番の注目馬だったラブミーチャンは12着。残念ながら結果を出すことはできなかった。
浜口騎手は「4コーナーを回る時の反応がひと息。最後の坂もこたえた」とコメント。他馬に絡まれることもなく、マイペースで自身が残れる逃げでの失速ということは、やはり“ダートでこその馬”なのだろう。
とはいえ、今回、果敢に中央の芝レースに挑戦してきたことは、賞賛に値するもの。今後はダート路線に戻るとのことだが、交流戦はもちろん、中央のダート重賞にもチャンスがあれば挑んできてもらいたい。

初芝の馬が大敗を喫する中、ダート馬最先着のケイアイデイジーに関しては、芝でもメドの立つ走りができたと見てもいいかもしれない。ゴール前では力尽きた感じだったが、それでも0.3秒差の7着。サウンドバリアー、ラナンキュラスの2頭と体を併せるように上がってきた時などは、一瞬“オッ”と思わせるシーンでもあった。レース慣れしてくれば化けそうな予感もある。今後に注目してみたい1頭だ。

最後にレース全体の印象だが・・・。
個々の馬については評価できる部分はあるものの、桜花賞本番の有力候補が現われたかといえば、そのあたりは疑問である。いわゆる“圧倒的な強さ”を感じさせてくれる馬がいないからだ。
これは、今回のフィリーズレビューに限ったことではない。阪神JFの1・2着馬(アパパネ、アニメイトバイオ)が、叩き台とはいえトライアルで敗れる状況。昨年のブエナビスタのように抜けた馬がいない。
今週末に行われるフラワーCの結果にもよるが、少なくとも現時点では、「今年の桜花賞は混戦模様」。
本番の予想にあたっては、今一度各トライアルの徹底的な洗い直しが必要になってくるだろう。


■フィリーズレビュー・結果

2010年3月14日 1回阪神6日11R
第44回 フィリーズレビュー(GⅡ)
芝・1400m 晴・良

 1着 サウンドバリアー     渡辺   1.22.8
 2着 ラナンキュラス       四位    ハナ
 3着 レディアルバローザ    和田    クビ

単勝 5  2620円(9番人気)
馬連 5-15 4880円  馬単 5→15 14430円
3連複 3-5-15 11000円  3連単 5→15→3 86630円


■フィリーズレビュー・予習

桜花賞トライアル・フィリーズレビュー。
以前は1番人気の連対率が高く、大荒れの少ないレースという印象が強かったが、阪神競馬場の改修後に行われた2007年以降は一転して波乱の傾向。一昨年は11番人気→7番人気→4番人気、昨年は6番人気→3番人気→15番人気の順で決着し、3連単はそれぞれ46万、66万の高配当となった。
脚質に関しても、いわば“不問”。一昨年は4コーナー10番手以降の3頭で決まったのに対し、昨年は5番手以内の先行勢が馬券に絡んでいる。データ的には「前走・阪神JFもしくはエルフィンS」が結果を出しているが、2007年2着のアマノチェリーラン、2008年2着のベストオブミーのように、500万クラスのダート戦を勝ち上がってきた馬の好走もある。
今年もフルゲート16頭に34頭が大挙登録。“出走すれば桜花賞の権利を獲れるかもしれない”という意図を持った陣営が多いという見方もできる。どの馬にもチャンスがありそうな激戦の様相。軸馬の選択もさることながら、相手の絞り方も難しいレースになりそうだ。

昨年暮れの阪神JF4着以来の出走となるラナンキュラス
新馬、500万を好タイムで連勝。GⅢ・ファンタジーSは揉まれる競馬の経験不足を露呈して1番人気を裏切る結果となったが、続くGⅠ・阪神JFでは着順こそ4着と同じながら、馬群の内から抜け出す伸び脚を見せ、勝ち馬から0.3秒差。走りの成長を見せた。
スペシャルウィーク×ファレノプシスという良血。これまではその“素質”だけでレースをこなしている印象が強かったが、中身が伴ってくれば、さらに好走を期待できる逸材であることは間違いない。今回の休養が心身の成長に関してプラスに働く見込みもある。新馬勝ちと同じ舞台である阪神芝・内回り・1400mという条件を加味すれば、ここでは中心視できる存在と言ってもいいだろう。
もっとも、ラナンキュラスに絶対の信頼を置けるかというと、そのあたりの判断は微妙だ。
何より気掛かりなのは、デビューから4戦のうち3戦で見せた出遅れ癖。「末脚勝負に徹する馬だから関係ない」と思われがちだが、8枠15番という枠順で後手を踏むとなれば、外々を回らせることになり大きな不利にもなりかねない。ラブミーチャンをはじめとする先行型のダート馬が揃ったために、差し馬向きの流れになることも予想できるが、後方→外々の競馬では“差して届かず”というケースも考えられる。だからと言って、先団に取り付くために序盤から脚を使えば、ファンタジーSの時のように伸びを欠く不安も拭えない。
休養前と比べて、どれだけ成長してるかが楽しみな1頭ではあるが、このレースに試金石的な要素があることも、頭に入れておいた方がいいかもしれない。

デビューから5戦、すべて複勝圏内の結果を出しているテイラーバートン
重賞勝ちこそないものの、今年に入ってからはフェアリーS3着、クイーンC3着と好走。デビューからの3戦は牡馬混合戦を使われており、2戦目のOP・萩SではラジオNIKKEI2歳S2着のコスモファントムの2着、後に京成杯を勝つエイシンフラッシユに先着している。実績面では上位の評価を与えられる1頭だ。
1400mは初距離となるが、道中行きたがって最後の伸びを欠くここ2走の走りを見る限りでは、むしろ好材料。折り合いがつくことによって、より能力を発揮できる可能性がうかがえる。
問題はローテーション。
前走のクイーンCで桜花賞へ向けての賞金を加算できなかったのは、陣営も認める“誤算”。目イチの仕上げでの関東遠征から中2週の出走となる今回、状態面での不安は隠せない。加えて、デビュー以来減り続けている馬体重も気になる材料だ。
『競馬のツボ3』で取り上げた、昨年のこのレースの1番人気・ミクロコスモス(4着)と同じパターンだけに、直前の気配や体重の変動については、注意が必要だろう。

前日売りの段階で1番人気の支持を得ている笠松所属のラブミーチャン
単勝人気に関しては、スターホースの誕生に対する“期待値”ではあるものの(実際に馬連などの軸として支持されているのはラナンキュラス)、今回のレースにおける注目馬であることは間違いない。
デビューから6戦6勝。うち交流重賞2勝。昨年のNARグランプリ年度代表馬。条件を問わなければ、ここでは断然の実績の持ち主である。
言うまでもなく、今回のポイントは芝適性。
父・サウスヴィグラス、母父・アサティスという純然たるダート血統のこの馬が、はたして初となる芝のレースでどのような走りを見せてくれるのか。持ち味のスピードが通用するのであれば、残り目どころか逃げ切りのチャンスもあるかもしれないが、「走ってみなければわからない」というのが正直なところ。
さらに、気になる点をあげるならば、追い切りのやり方。
この馬は調教の後に筋肉に張りの出やすいために、通常は軽めの追い切りになるとのこと。ところが、今回は異例の強い調教を、レースまでの回復の時間を見込んで1日早い火曜に行っている。
勝負気配の表れと見ることもできるが、これまでのパターンを変えるリスクも大きいはず。馬自身へのマイナス面での影響も少なからず気掛かりだ。

現時点での勢いというものを物差しにするならば、前走500万条件を勝って権利獲りに挑戦してくる馬にも注目が必要だろう。

前走、同じ条件の阪神芝・内回り・1400mを勝ったレディアルバローザ
逃げ切れるだけの先行力を持つこの馬にとって、今回の2枠3番は絶好の枠順。ゲートの速い馬だけに、ロスなく好位から競馬ができるはずだ。デビューから5戦すべて同じ馬体重で出走していることも、体調面の変動が少ないと解釈すれば好材料と思える。先週のチューリップ賞で1~3着を独占したキングカメハメハ産駒というのも、人気の“追い風”になっているようだ。
難を言うならば、今年に入って4戦目となるローテーション。特に、ここ2走は平場とはいえ、牡馬混合のレース。目に見えない疲れがあると行き脚が鈍くなるケースも考えられる。

早目に栗東に入厩して調整を続けた関東馬のロジフェローズ
2走前のフェアリーSは出遅れが響いて6着に敗れたが、それでも0.4秒差。自己条件に戻った前走ではキッチリと結果を残している。
陣営のコメントによれば「折り合いが課題の馬なので、流れが速くなるこの条件向き」。これは専門家の意見とも一致している。反面、馬柱表を見る限りでは“スローの瞬発力向き”という感も強い。実際、芝・1400mの持ち時計は、他馬よりも見劣っている。
速い流れで折り合いがつく方が能力を発揮できるのか、掛かりながらも脚を溜めた方がいい馬なのか。このあたりの判断が取捨選択のカギになりそうだ。

ダートで未勝利戦を勝ち、芝替わりの前走で連勝を果たしたカレンチャン
その前走は、着差こそ0.2秒だが、追い出しまで余裕を見せる強い勝ち方だった。
今回の課題は距離。わずか1Fの違いとはいえ、1200mの距離経験しかないというのは、やはり心もとない。前走の内容から“距離は大丈夫”という意見も多いようだが、今後の選択肢を考える上でもここが試金石の一戦になるだろう。

昨年暮れに500万クラスを卒業し、3ヶ月の休養明けで出走するニシノモレッタ
間隔が開いたことが嫌われてか、人気はそれほど高くはないが、同条件の阪神芝・内回り・1400mでは2戦2連対の実績。特に、新馬勝ち後2戦目のOP・ききょうS(2着)では、アーリントンC勝ちのコスモセンサー、シンザン記念2着のシャインといった牡馬に先着。潜在能力の高さをうかがわせる結果を残している(もっとも、コスモにはその次走で0.1秒負けているが)。
その後の成長力と状態面次第ではあるが、ラナンキュラスと同じく休養がプラスに作用するのであれば、得意のコースで好走があっても不思議ではない。

年明けデビューで2連勝を飾ったハニーメロンチャン
2戦ともダートではあるが、同じ京都1400mを走って時計を1秒縮めたことは評価に値するだろう。
ラブミーチャンと同じサウスヴィグラス産駒。したがって、芝に対応できるかがポイント。武豊騎手は「ダートの方が向いている」とコメントしているので、半信半疑ではあるが・・・。

“芝に対応できれば”という条件つきならば、人気薄のケイアイデイジーも候補の1頭にあげられるかもしれない。
種牡馬だけで推し量るのは危険ではあるが、芝替わりでも結果を出したカレンチャンと同じクロフネ産駒(母父は芝・ダート兼用のウォーニング)。陣営は「オールダートのコースよりも芝スタートの方が走りがいい」とコメント。額面通りには受け取れないにしても、生粋のダート馬と決めつけることはできないだろう。昨年秋から使い詰めでもあり、強調できる要素は乏しいが、「ダートの500万を勝って今回が初芝」という括りで考えれば、人気上位のハニーメロンチャンと同等と見ることもできるはずだ。

その他の伏兵陣にもふれておこう。

前走、エルフィンSで9着に敗れたサウンドバリアー
専門紙の印と比較すると、かなりの穴人気になっているようにも思えるが、おそらく展開が向くと判断されているからだろう。
たしかに、エルフィンSは3番人気に支持されながら、直線行き場を失って差して届かずの結果。速い流れが予想される今回、巻き返しがあってもおかしくない。
もっとも、デビューから6戦中4戦が複勝圏内とはいえ、実質1勝馬。しかも、未勝利戦を勝ち上がるのに4戦を要しているだけに、格上挑戦の重賞でいきなり“勝ち負け”を期待できるかどうか。

逆に、OP勝ちの実績がありながら、距離に不安があるという理由から評価が低いのが、函館2歳S勝ちのステラリードと福島2歳Sの勝ち馬モトヒメ
ステラリードは重賞を勝った後の成績が頭打ち。気性難が原因との判断から、今回シャドウロールを着用するとのことだが、陣営のコメントからは「1200mの馬」「早熟」といった弱気な言葉も聞こえてきており、今回の条件で一変を期待するのは難しいかもしれない。
モトヒメについては、新潟2歳S14着、阪神JF10着という結果からもわかるように、マイルは距離が長い。それゆえ、桜花賞の権利獲り云々よりも、距離適性を考えた上で、ここが目イチの勝負になるはずだ。3ヶ月の休養がプラスに出るという保証はないし、直線の坂にも不安はあるが、1400mならば力を発揮できる可能性までは見限れないだろう。


中山ではGⅢの中山牝馬Sが行われるが、こちらも混線模様。
ブエナビスタやレッドディザイアといった一部のGⅠ級牝馬を除くと、現状の古馬牝馬戦線には抜けた存在が見当たらない。
上がり馬のコロンバスサークルや、ブエナ・レッドと競い合ったジェルミナルが人気になるのは妥当と思われる。
このレースのカギを握るのは、1枠2番に入ったウエスタンビーナス。短距離逃げ馬のこの馬がどのようなペースでレースを引っ張るかによって、展開が変わってくるはずだ。
もともと、“前へ行った馬だけ”“後方からの馬だけ”という決着にはなりにくいレース。基本的にはインを通れる馬が有利と言われている今の中山コースだが、このレースに限っては枠順や脚質にこだわらずに手広く狙う方が賢明かもしれない。
個人的には、実績の割に人気が上がらない(ハンデを嫌われたのだろう)ブラボーデイジーが“美味しい馬券候補”のようにも思えるのだが・・・。買い目は直前まで検討を要することになりそうだ。



■弥生賞・復習

ヴィクトワールピサ、完勝!

3着までに優先出走権が与えられる皐月賞トライアル・弥生賞は、1番人気のヴィクトワールピサが堂々の勝利。本番へ向けてしっかりと結果を出し、連勝を4に伸ばした。
レースはベストブルームが先導する形で1000m通過は63秒6。重馬場の影響もあって緩いスローペースで進んだ。
ヴィクトワールピサは中団のインでじっくり脚を溜める競馬。3~4コーナーで馬群が動き出しても、馬なりのまま余裕で追走し、直線で前が開くと同時に一気に加速すると、先行するエイシンアポロンを瞬時にして抜き去った。
着差こそわずか半馬身ではあったが、そこに見えたものは“圧倒的な強さ”。正味100mでレースを決着させたように、武豊騎手の騎乗にも自信(=馬に対する信頼)が表われていた。
初の輸送、初の中山、初の重馬場。今回のレースには課題も多かったが、それらをアッサリとクリア。加えて、“インから馬込みを抜けて差し切る”という、走りの上での大きな収穫もあった。皐月賞本番へ向けての展望が広がったことは言うまでもない。
欲を言うならば、良馬場で“小回りコース独特の厳しい流れの競馬”を経験してほしかったが、それでも『予習』の中で書いたような「皐月賞への期待が高まるような強い勝ち方」を見せてくれたことは間違いない。あとは、クラシックの有力候補として、最高の状態で本番を迎えてもらいたい。

2着のエイシンアポロンも完璧な競馬だった。
不安のあった2000mの距離もそつなくこなし、これまでと同じく直線で抜け出して後続を突きはなす“正攻法”のレースを見せてくれた。やはり、“センスのいい馬”“完成度の高い馬”である。
ただし、今回も朝日杯の時と同様、瞬発力の差が結果につながった。決め手勝負では分が悪いという印象が強まったことも確かだし、自身の勝ちパターンに持ち込んでも勝ち切れないというのは、ある意味ショックな敗戦だろう。
陣営は本番での巻き返しを口にしているが、現状でヴィクトワールピサ(もしくはローズキングダム)を逆転するためには、何かしらの“プラスアルファ”が必要のように思える。もちろん、本番でも馬券圏内候補の1頭になるとは思われるが・・・。
とはいえ、どのような条件でも確実に結果を残せる安定感は評価できるし、この馬自身の瞬発力が劣っているわけでもない。今後の方向性については何とも言えないが、現時点では速い流れの中で一瞬の脚を使えるマイル路線の方が持ち味を発揮できるような気がする。

3着には7番人気の伏兵・ダイワファルコン。
一番の好走要因はコース取りだろう。ロスなく内々を回り、ヴィクトワールピサが抜け出した後のスペースから伸びてきた。前に目標があったこともプラスに働いたようだが、それを走りにいかした北村宏騎手の騎乗も評価できる。
初の2000mで3着というのは十分な結果と思われるが、いくつかのスポーツ紙を見る限りでは、意見が真っ二つに分かれている。「まだまだ伸びしろがありそうで本番でも要注意」と「内枠に入ったことで展開が向いただけ」。たしかに、判断が難しいかもしれない。
もっとも、道中での脚を溜め方や追い出してからの反応に関しては、「おっ」と唸らせるものもあり、2000mが適距離かどうかは別として、個人的には、皐月賞本番でも“惑星候補の1頭”になるような印象を受けた。

『予習』の中で「巻き返しがあるかもしれない」と分析したダイワバーバリアンが4着。
3コーナーからマクリ気味に進出し、直線では先頭に立つ勢い。状態面での上積みが大きかったのかもしれないが、これまでよりも力強く、存在感のある走りを見せてくれた。最後は失速という形になったが、距離不安があった馬にしてみれば、大健闘の部類に入るのではないだろうか。自分から動く競馬ができたことも収穫であったに違いない。惜しくも出走権は取れなかったが、最内から伸びた上位3頭とのコース取りの差を考えれば、評価できる内容だったと思われる。
蛯名騎手は「距離が長いのでもう少し追い出しを待ちたかった」とコメント。最後の止まり方を見ても、やはり、2000mはこの馬には長いようだ。今後、どのような条件のレースを使ってくるか。注目したい。

5着以降は大きく離されたため、強調できる馬は見当たらないが、あえて1頭あげるならばコスモヘレノスだろうか。ハナを切る競馬はできなかったものの、自分のリズムで走れていたように見えたし、一旦は馬群に吸収されながらも盛り返して掲示板を確保する渋太さを見せた。単騎逃げが見込める中長距離のレースならば、粘り強い走りが期待できるかもしれない。

3番人気のアドマイヤテンクウは11着と大敗。
マイナス20キロという馬体減の影響もあったかもしれないが、それにしても釈然としない負け方。安藤勝騎手は「道悪が原因かな」とコメントしているが、馬自身にまったく覇気を感じられなかったのが気になる。いずれにしても、立て直しが必要だろう。

道悪得意のガリレオ産駒ということもあってか、休養明けでも4番人気に支持されたミッションモード。
結果は直線伸びきれずに9着。馬込みでゴチャついた不利も否めないが、馬群を割ってくるだけの力がついていなかったという見方もできる。内田博騎手も「一気の相手強化でスムーズさを欠いた」と力不足を認めている。
ただし、その一方で「素質の高い馬なので経験を積んでいけば楽しみ」(内田博騎手)ともコメント。『予習』では「毎日杯出走の予定を3週早めたことが気掛かり」と述べたが、もしかしたら藤沢和調教師は、早めに強豪と対戦させて、ミッションモードに貴重な経験を積ませようとしたのかもしれない。

勝ち時計やペース、あるいは枠順の有利・不利があったことには多少の不満があるにしても、能力の高い馬が強い勝ち方を見せてくれた今年の弥生賞。
ヴィクトワールピサが皐月賞の有力候補となった今、2週間後のスプリングSに出走予定のローズキングダムの走りももちろんだが、若葉S、毎日杯から本番へ向かう馬たちへの興味もこれまで以上に増した。
そういう意味では“クラシック戦線の幕開け”を意識できる一戦だったと言えるだろう。


■弥生賞・結果

2010年3月7日 2回中山4日11R
第47回 弥生賞(GⅡ)
芝・2000m 雨・重

 1着 ヴィクトワールピサ   武豊    2.06.1
 2着 エイシンアポロン     池添     1/2
 3着 ダイワファルコン     北村宏   1+3/4

単勝 1  170円(1番人気)
馬連 1-3 400円  馬単 1→3 600円
3連複 1-2-3 2010円  3連単 1→3→2 5050円

■弥生賞・予習

皐月賞トライアル・弥生賞。
本番と同距離・同コースで行われるため、トライアルの中でも特に注目される一戦であり、このレースでの各馬の走りについては、“本番での適性”を見極める上でも重要になる。
過去10年の傾向としては、連対馬20頭のうち“17頭が1~4番人気”(近5年は1番人気が連続連対中)、同じく“16頭が前走1着”という数字が示されている。
さらに、連対馬20頭中15頭には、“芝1600m以上の重賞で連対”“芝2000mのOPで連対”のいずれかの実績があった。データ的には「実績が評価されて人気になる馬が結果を出すレース」という見方ができるだろう。
その一方で、近年は馬券的に“ヒモ荒れ”の結果が多いのも特徴。それについては、今回、ローズキングダムがスプリングSに回ったように、有力馬が分散してトライアルを使うようになったため、実績のある人気馬以外は能力にそれほど差のないメンバーが出走することが原因と言われている。軸として信頼できる馬がいる場合であっても、相手の取捨選択については慎重な検討が必要になりそうだ。

前売り時点で断然の1番人気に支持されているヴィクトワールピサ
デビュー戦こそローズキングダム(朝日杯優勝馬)に敗れたものの、その後は未勝利、OP(京都2歳S)、GⅢ(ラジオNIKKEI杯)を3連勝。その3走とも今回と同じ2000mのレースであり、距離実績に関しては十分に評価できる。
武豊騎手はこの馬について「与えた課題を次々にクリアしてくれる」と語っているが、前走のラジオNIKKEI杯でそれまでとは違う中団からの競馬を試みて結果を出したことも、“課題→クリア”の証明と見ていいだろう。脚質の幅を広げる経験を積んだことは大きい。
今回の課題をあげるならば、初の長距離輸送と道悪の克服。
特に、道悪に関しては、大跳びの走りという見方をされているだけに、予想以上に難題になる可能性もある。ラジオNIKKEI杯では、武豊騎手が追い出しを抑えたことを割り引いても、わずかながら“エンジンのかかりが遅いかな?”と思わせる部分もあった。能力そのものに加えて“立ち回りの巧さ”も要求される中山コースで、この馬がどのような走りを見せてくれるのか。できれば、皐月賞への期待が高まるような強い勝ち方を見せてもらいたい(もちろん、勝つと決まったわけではないが)。

暮れの2歳GⅠ・朝日杯FS2着のエイシンアポロン
最後はローズキングダムのキレ味に屈したが、好位・中団で折り合って直線で抜け出すレースぶりを見る限り、“センスのいい馬”“完成度の高い馬”といった印象が強い。
すでに関東への輸送も経験しているし、道悪に関しても、稍重の京王杯2歳S勝ちの実績がある。近3走はいずれも重賞で3連対。「激戦の経験値」という点では、ヴィクトワールピサ以上と考えてもいいはずだ。
問題は距離。
2000mは初となるし、1400~1600mの実績が〈1.2.0.0〉にあるのに対し、1800mでは〈1.0.0.2〉。さらに、その2着外がいずれもスローペースであったことから、適度に流れが速くなるレースの方が力を発揮できているようだ。
血統や走り方から、「距離延長は問題ない」と評価する声も多いが、距離そのものを経験していないことは、不安材料に違いない。加えて、陣営のコメントも「距離がどうかな?」というニュアンス。賞金面ではすでに足りているので、レースの結果如何では、マイル路線に矛先を向けようという選択肢もあるのかもしれない。いずれにしても、今回の距離でこれまでと同じ走りができるかどうかがカギになるだろう。

前走、GⅢ・京成杯で2着に入ったアドマイヤテンクウ
今回と同じ、中山・芝・2000mで結果を残していることは、大きなアドバンテージと考えることもできる。と同時に、それまでとは一転して逃げの競馬をしたことで、脚質の幅が広がったという見方も多い。
もっとも、この馬の場合、前走の走りを額面通りに受け取っていいかというと、少なからず疑問が生まれる。京成杯の逃げは、スローペースを見越した上での“奇策”。言い換えれば、安藤勝騎手の好判断があったからこそ実を結んだ作戦だったということだ。その証拠に、勝ったエイシンフラッシュ(本来は差し馬)も道中3番手という前目の競馬。コスモヘレノスやスマートジェネシスといった“前を主張する馬”が出走する今回、同じレースができるとは限らない。
とはいうものの、アドマイヤテンクウが有力候補であることは否定するつもりはない。注目したいのは、3走前の未勝利勝ち。稍重馬場で道中ポジションを上げながらキッチリ差し切っている。展開的には、むしろこのレースの方が今回の流れにあてはまるようにも思える。少なくとも、「アドマイヤテンクウ=逃げ馬」という狭い視点でレース展開を予想するのは危険だろう。

3カ月の休み明けとなるミッションモード
新馬戦から1番人気の支持を受けていたように、デビュー前から素質を評価されていた馬である。その新馬戦で敗った相手が共同通信杯を制したハンソデバンド。単純な比較はできないにしても、潜在能力の高さを測る上ではひとつの材料を言えるだろう。
休養前に勝った葉牡丹賞は今回と同じ中山・芝・2000m。しかも、稍重の馬場だった。このあたりの経験値もプラス要素と判断できる。
あとは、どれだけ仕上がっているかだろう。
陣営は「弥生賞も視野に入れて調整した」とコメントしているが、本来の目標は3週間後の阪神・毎日杯だったはず。藤沢和厩舎は道悪の水仙賞を勝ったリリエンタールを連闘で使う予定だった。
“状態が良いからこそ使う”と考えるのが順当かもしれないが、週中に起きた厩舎サイドの“出走馬のさしかえ”は、少なからず気掛かりな材料でもある。

展開的に有利という見方が多いのが、逃げ馬のコスモヘレノス
前走の寒竹賞(中山・芝・2000m)では、絶妙のペース配分で逃げ切り、断然の1番人気馬・ダイワアセット(単勝1.8倍)を封じ込めた。道悪の巧拙は定かではないが、今回もマイペースで渋太さをいかせるようならば、残り目も十分考えられる。
気になる点は、熱発でローテーションが狂ったこと。本来使おうと思っていた共同通信杯の出走を見送ったことで、仕上げ→緩み→仕上げという二度手間がかかっている。馬自身(心身ともに)に影響がなければいいのだが・・・。

朝日杯FS3着のダイワバーバリアン
“距離不安”を指摘された前走のきさらぎ賞で5着に敗れたために、今回は人気を落としているようだ。
たしかに、この馬の場合、気性面に問題があるため、さらに1F距離が伸びる今回のレースでは、折り合いが課題になることは間違いない。
もっとも、前走と比較して見直せる要素があることも確か。短期放牧明けを1走叩いた上積み。苦手のキレ味勝負にはならないと思われる馬場状態。これらの点はプラス材料と判断してもいいはずだ。
距離を克服できればという条件付きにはなるが、巻き返しの可能性がないとまでは言い切れない。

今回のレースが初芝となるトーセンアレス
3歳馬の場合、デビュー時には脚元に不安があるためにダートを走り、その後、体質がしっかりとしてきたところで芝路線へ方向転換するケースも少なくない。もちろん、初芝で好走する馬もいる。
この馬に関しては、陣営いわく、血統的な理由からダートを使っていたということだが、主戦騎手の横山典騎手の進言があって、芝のレースに矛先を向けてきたようだ。
もっとも、新馬・500万を1番人気で勝ち上がってきたことから、ダート馬としての能力を評価されて結果を残してきたのは間違いない。芝で通用するかどうかは正直わからないが、過剰な期待は禁物だろう。
あえて、この馬の好走パターンを推理するならば、昨年の毎日杯で2着に入ったゴールデンチケットのように、パワー型の走りを見せて先行した場合かもしれない。同様のことは、北海道競馬で好成績を残してきたビッグバンにもあてはまると思われる。

先に述べたように“ヒモ荒れ”の傾向もあるこのレース、「複勝圏内ならばあるかもしれない」と思われる伏兵にもふれておきたい。
まず、マイル戦に限定されてはいるものの、デビューから3戦連続で馬券に絡んでいるダイワファルコン
母・ダイワルージュという血統からマイル色が強い印象だが、好位の内々をロスなく回ってくる競馬ができれば、粘り込みがあるかもしれない。ちなみに、前走は稍重馬場で2着の結果を残している。
次に、近2走、重賞で掲示板を確保しているアースステップ
瞬発力勝負になると分が悪い馬だけに、馬場が渋るのは好材料だろう。あとは立ち回りと仕掛けのタイミング。追ってからの反応が鈍い印象がある馬なので、乗り替わりの藤田騎手の騎乗に注目したい。
最後に、デビューから2戦連続で2000mを走ったスマートジェネシス
持ち時計の2分6秒0は決して強調できるものではないが、3カ月の休養によるリフレッシュ効果とその間の成長が期待の材料。先行できる脚があり、新馬戦で稍重を経験済み。ちなみに、この馬も新馬戦を1番人気で制した1頭だ。重賞で即通用する下地はないが、他馬が思った以上に伸びあぐねるようならば、残り目があるかもしれない。



■中山記念・復習

当日午後まで残った雨の影響で、不良のコンディションとなった芝コース。
悪条件の中で行われたGⅡ・中山記念は、13番人気→12番人気→5番人気の順に入線し、3連単は53万を超える波乱の結果となった。

レースは大方の予想通り、内枠のモエレビクトリーが主導権を握り、同型のドイームサンデー、サニーサンデー、マイネルグラシューがマークする形。1000m通過は60秒9で、馬場状態を考えれば多少速い流れで進んだ。
勝ったトーセンクラウンは、向正面では後方12番手に位置していたが、3コーナー過ぎからポジションを上げると、直線入り口ではインの6番手まで進出。最内をこじあけるように抜け出し、後続を一気に突きはなすと、最後は2着馬に5馬身をつけてゴール板を駆け抜けた。
時計勝負や瞬発力勝負になると分が悪い馬だけに、不良馬場を味方につけたことが一番の勝因だが、それにしても見事な勝ちっぷり。道中ロスのないラチ沿いを進んで、直線まで脚を溜めるレース運びを見せた江田照騎手の好騎乗も光った。
馬自身も〈3.4.1.4〉の中山実績通りの走りを見せてくれた。3コーナーから進出して直線で突き抜ける競馬。条件的に恵まれた部分があったとはいえ、コース適性の高さも好走要因のひとつだったと判断してもいいだろう。

2着には大外から伸びてきたテイエムアンコール。
3~4コーナーの中間で行き場を失ったため、一旦下げて外を回す競馬になったが、直線ではキレのある末脚を発揮した。マイナス12キロと馬体が絞れたことも好走要因だろう。
テイエムアンコールについては、『予習』の中で、「1000万・1600万をそれぞれ2着馬に0.3秒差をつけて連勝していることに注目」と書いたが、それは“高い潜在能力の持ち主”を証明する戦績だと考えたからである。不良馬場という特殊な条件だっただけに、今回の一戦だけでは評価できない部分も多いが、それでも能力の片鱗をうかがわせるレースだったように思える。
“道悪巧者”であることも確かだろうが、印象としては「良馬場でもキレるタイプ」。長くいい脚を使うというよりも一瞬のキレ味が持ち味のようにも思えるので、阪神の内回りコースやローカル向きかもしれない。気の早い話になるが、個人的には、今年のサマーシリーズに期待してみたい。

3着のショウワモダンは、誰もが認める“道悪の鬼”。レース直前、単勝5番人気にまでオッズが上がった理由は、馬場状態を考えた上でのファンの支持が集まったからに違いない。
「マイペースで行けるレースがベスト」「1800mは1F長い」といった理由から、『予習』ではこの馬を取り上げなかったが、今回はこれまでとは全く違う“後方からマクって先団に取り付くレース”を見せてくれた。
これは、鞍上・後藤騎手の“頭脳プレー”。前へ行っても同型と競り合って消耗するだけ。ならば、他馬が馬場を気にする中、自身は中山コースで勝てる走りに徹するといった判断があったのかもしれない。
「最後は距離がこたえた」という後藤騎手のコメントの通り、ベストの距離はマイルに違いないだろうが、今回のような馬場では多少の距離の差があってもマークの必要があるだろう。

4着は4歳馬のセイクリッドバレー。4ヶ月の休み明けということを考えれば、大健闘と言えるのではないだろうか。
最後は鋭い脚で伸びてきただけに、ポジションが後方すぎたのが残念だが、今後に向けて期待できる走りだったと評価してもいいだろう。掛かり気味だった菊花賞の内容と比較すると、2000m前後が適距離のように思える。
今後の課題は脚質に自在性を付けること。自分から動いていけるようになれば、幅広い決め手を使えるようになるかもしれない。

先行して粘ったドリームサンデーが5着。
モエレビクトリーにハナを奪われた時点では、「どうなるかな?」と思われたが、番手マークから直線で抜け出し先頭に立つ正攻法で、見せ場十分の内容だった。
鞍上の戸崎圭騎手は「坂をのぼってから踏ん張りがきかなくなった」とコメント。現状では、やはり“平坦向き”なのかもしれない。
とはいえ、今回の結果は、高く評価できるはずだ。モエレビクトリー、サニーサンデーなどの同型馬が馬場に脚を取られてスピードを出し切れないまま失速したの対し、渋太く粘ったこの馬には速さに対応できる自在性が見えた。条件次第では見直せる点も数多いし、重賞戦線でも馬券圏内に残れる逃げ・先行馬という印象が残った。

1番人気のキングストリートは7着。
先行馬の後ろのインという絶好のポジションでレースを進めたが、直線半ばで失速。「今回は馬場が敗因」という武豊騎手のコメントの通り、瞬発力とそこからの加速力が決め手のこの馬にとっては、厳しい条件だった。
『予習』の中では「経験不足が不安材料」と述べたが、道悪のレースを経験していないことがマイナスになったことも確か。ただし、今回の敗因が馬場状態だけに限られたものと言えるかどうかは次走の結果次第。良馬場で行われるオープンのレースでの走りに注目したい。

6着のシャドウゲイトはスタートで躓いたのがすべて。今回は参考外と言える。
それでも、最後方から6着まで追い込んできたのは、この馬の底力だろう。道悪も苦手ではないようだ。

3番人気のアブソリュートは、見せ場もなく10着。まったく流れに乗れないままレースを終えた。
コーナー4回の小回り中山コースで、東京マイルの走りを期待するのは無理だったということだろう。
さらに、田中勝騎手は「前走の疲れが残っていたのかもしれない」とコメント。体調面も万全ではなかったようだ。今後、陣営の青写真通りに安田記念を目標とするのならば、次走は状態も上がってくるはず。そこでも結果が出せないようであれば、この馬のピーク(あるいは衰え)というものを考える必要があるかもしれない。


終わってみれば、道悪の巧拙が順位に大きく反映した今回のレース。
極端な言い方をすれば、“参考外”の内容だった。
ただし、ここから学ばなければいけないこともある。「良馬場で行われていたらどのようなレースだったか」ということは考えなければならないはずだ。
1分46~47秒の決着であったならばどうだったか。馬場が良ければ先行馬のペースはどうなっていたか。
ただの推測にすぎないかもしれないが、仮定の検証を行うことで、今後、同様の条件のレースを予想する際のヒントを見つけられるようにしたい。



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プロフィール

安東裕章

Author:安東裕章
東京都出身。2007年11月に書籍『競馬のツボ』、2008年7月に『競馬のツボ2』、2009年7月に『競馬のツボ3』を発表(いずれも総和社刊)。

このたび、拙著『競馬のツボ』を刊行していただいた出版社・総和社様の勧めもあって、ブログを始めることにしました。
競馬における一番の楽しみは、レースについて考えること。つまり予想です。
このブログを書くことで、自分でも週末のレースに向けてイメージを膨らませる訓練になるかと思います。
競馬について考えることが好きな皆様。レース予想に疲れて気分転換をしたい時など、よろしければフラッと遊びに来てください。

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