■2010年04月

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■フローラS・復習

オークストライアル・フローラSを制したのは、断然の1番人気(単勝1.9倍)に支持されたサンテミリオン。
勝ち時計の2分0秒2はレースレコード。ラストの3Fはいずれも11秒台を刻む厳しい流れで、数字的にも評価できる一戦だった。

レースは大方の予想通り、アグネスワルツがマイペースの逃げで引っ張る展開で、1000mの通過が60秒6。スローに近い平均ペースで上がりの勝負になった。
外枠に不安材料があったサンテミリオンだったが、向正面では2番手のポジションをキープ。逃げ馬をマークして直線で抜け出す“勝ちパターン”に持ち込み、最後は内で粘るアグネスワルツに1馬身差をつけて振り切った。ひとことで言えば、完勝。この馬の能力を十分発揮できたレースと見ていいだろう。
横山典騎手は「こういう競馬ができれば本番でも楽しみ」とコメント。勝ちパターンを持っている馬の強味を言い表わしており、本番に向けて手応えをつかんだとも受け取れる。
今回の勝利によって、オークスの有力候補として期待できる1頭になったことは間違いない。強さのインパクトも大きく、「アパパネとの一騎討ち」といった見出しを載せるスポーツ紙もあった。
近年のオークス好走馬は桜花賞直行組が大半を占めており、別路線のフローラS組は、“桜花賞に出走できなかった第2グループ”のイメージが強い。はたして、この構図を逆転できるかどうか。
キャリアが浅く強い相手と戦っていないサンテミリオンが、桜花賞上位組を相手にどのような走りを見せてくれるかに注目したい。

2着は逃げ粘ったアグネスワルツ。
マイペースの展開になったとはいえ、力のある逃げ馬であることを再認識できる内容だった。休み明け、長距離輸送、初距離といった課題もクリア。終始、サンテミリオンにマークされながらも、最後の最後まで抜かせなかった勝負根性も評価できるだろう。
終盤でラップが速くなるところなどは、若干ではあるが、ダイワスカーレットの“匂い”を感じさせるものがあった。ゴール前で脚が止まったわけでもないので、距離が伸びても問題はないだろう。
本番での課題は状態面。骨折明けでレコード決着の激走となれば、やはり反動が気になる。強い逃げ馬がいるとレースが引き締まる。ぜひとも、万全の状態で出走してきてほしい。

3着は2番人気のブルーミングアレー。
上位2頭の後ろでレースを進めていたが、残り1Fあたりで大きく離された。
松岡騎手は「今回は権利獲りが第一の目標だったので前での競馬をしたが、実際は後ろからのレースの方が良さそう」とコメント。本番では作戦を変えてくることを示唆していた。となれば、今回の着差に関しては、あくまで“トライアルの結果”という判断が必要かもしれない。
この馬の場合、『予習』の中でも書いたように、アパパネやエイシンフラッシュと対戦して好走した経験値がある。松岡騎手の言うように、本来の持ち味を発揮できるレースができるならば、本番で見直せる要素もあるだろう。

アタマ差の4着で優先出走権を得られなかったアマファソン。
こちらは、ブルーミングアレーとは反対に、自分の競馬に徹した上での結果だった。最後はメンバー最速の34秒1の脚で伸びてきているが、開幕週の馬場で4コーナー15番手からの外差しでは、さすがに厳しい。
今後、どのような走りに変わっていくかはわからないが、現時点では展開に左右されるタイプ。条件次第では狙える馬だろうが、3歳のこの時期に脚質を限定してしまうのはもったいない気もする。

5着のアスカトップレディは、内枠を利してロスのない競馬をしたが、最後は伸び切れずに終わった。
初の長距離輸送で馬体重が減っていたことが原因(藤田騎手談)。もっとも、未勝利勝ちからの格上挑戦で掲示板に載ったことは大健闘とも言えるだろう。今後、経験を積んでいけば頭角を表わしてくるかもしれない。

3番人気のベストクルーズは7着。
直線で前が窮屈になる場面があったとはいえ、好位のポジションにいながらこの結果は案外だ。『予習』でもふれたように、能力を発揮できるだけの状態ではなかったのかもしれない。
距離に関しても、若干長い印象。折り合いに不安があるタイプではないようだが、昨年のレースぶりを見る限りでは、マイルの速い流れの方が向いているようにも思える。

終わってみれば、順当な決着。
出走メンバー中3頭の2勝馬がずべて4着以内に入ったのだから、実績通りと考えることもできるだろう。
ただし一方で、1~3着馬が4コーナー通過・3番手以内であることからもわかるように、展開が左右したレースだったのも事実。レースレベルは高かったという評価があるとはいえ、先行馬に有利な上がりの勝負だった点は否めない。
サンテミリオンとアグネスワルツが今回と同じ競馬ができるかどうか。本番の出走馬と枠順が決まった時点で、改めて展開面についての検討が必要になるだろう。




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■フローラS・結果

2010年4月25日 2回東京2日11R
第45回 フローラステークス(GⅡ)
芝・2000m 晴・良

 1着 サンテミリオン     横山典   2.00.2
 2着 アグネスワルツ     柴田善    1
 3着 ブルーミングアレー   松岡     1+3/4

単勝 15  190円(1番人気)
馬連 5-15 1070円  馬単 15→5 1580円
3連複 5-14-15 1660円  3連単 15→5→14 6830円


■フローラS・予習

3着までに優先出走権が与えられるオークストライアル・フローラS。
GⅠ2勝(阪神JF、桜花賞)のアパパネが“頭ひとつ抜けた存在”とは言われているものの、混戦続きの今年の3歳牝馬戦線。1ヶ月後のオークスに向けて、どんな有力候補が名乗りを上げてくるか、非常に楽しみな一戦だ。

前日売りの時点で1番人気に支持されているサンテミリオン
新馬戦、500万を連勝して臨んだ前走のフラワーCは3着(1番人気)に終わったが、上位2頭は桜花賞2着のオウケンサクラとフェアリーS勝ちのコスモネモシン。後ろから差を詰めての0.4秒差であれば、悲観する結果ではないだろう。むしろ、デビュー3戦目で初めて揉まれるレースを経験したことをプラスに評価すべき。芝・1800mの時計を短縮したことも強調材料だ。
2000mの距離は新馬戦で経験済み。これまで中山でしかレースをしていないが、跳びの大きい走法は東京向きという声も多い。
不安点をあげるならば、8枠15番という枠順。
開幕週の馬場は前と内が有利なため、馬群も内寄りに集中しやすい。スタートで好位を取れれば問題ないが、外々を回らされる競馬になると最後に伸び脚に影響するかもしれない。
距離経験のない馬が多数を占めるレースは、基本的に“折り合いを重視するスローの上がり勝負”になりやすい。道中でどれだけ脚を溜められるかがカギになりそうだ。

東京コース〈1.1.0.1〉の実績を持つブルーミングアレー
昨年11月の赤松賞ではアパパネの2着。続く、阪神・エリカ賞では牡馬のエイシンフラッシュ(京成杯勝ち・皐月賞3着)の2着。1勝馬ではあるが、強豪相手に好走している経験値は大きい。
この馬に関しては、2ヶ月空いたレース間隔をどう判断するかだろう。
フローラSの過去10年のデータを見ると、連対馬20頭のうち18頭が中4週以内のローテーションで臨んでいる。この時期の3歳馬は、レースを使うことによって成長していく面もあるため、順調さの有無は重要な要素に違いない。基本的には、休み明けは割引材料ということである。
ただし、ブルーミングアレーの場合は、そうとも言い切れない。一戦ごとに上がりの数字が悪くなっている戦績。前走、得意の東京・クイーンCで5着に敗れた結果についても、陣営は「連戦の疲れ」とコメントしている。したがって、使い込むよりも間隔を空けた方がいいタイプという見方もできるわけだ。
“使い出し”の新馬戦では2着馬に0.6秒差をつける圧勝。今回のリフレッシュ放牧がプラスの効果をもたらせば、サンテミリオンとの人気の差を逆転する可能性もあるだろう。

阪神JF3着のベストクルーズ
実績ではナンバー1の評価もあり、昨年の5戦に関してはすべて馬券圏内という安定感が持ち味だ。
休み明け初戦のチューリップ賞は重馬場条件も加わって9着。前走のフラワーCは中1週の関東遠征による馬体減もあり4着。結果、桜花賞には出走できなかった。オークスで巻き返しを図るのであれば、なんとしても権利を獲りたいところだろう。
フラワーCでは勝ったオウケンサクラから0.4秒差。そのオウケンが中2週の桜花賞で2着に入ったことを基準にして、この馬を有力と推す声もある。しかし、『桜花賞・復習』でも書いたように、中1週→中1週→中2週という強行ローテーションをこなしたオウケンサクラという馬は、ある意味“例外”なのだ。
中4週の間隔はとったものの、再度の関東遠征はやはり不安材料。前走はデビュー以来もっとも軽い馬体重。桜花賞出走(フラワーCでの賞金獲得)を目標に一度ピークに仕上げられたのであれば、今回は状態面が気になる。新聞によっては調教の採点がかなり低いものもあった。昨年の実績通りの力を出せるかどうかは、直前の気配を確認してから判断した方がいいかもしれない。

未勝利、500万を逃げ切りで連勝したアグネスワルツ
いずれも2着馬に0.3秒差をつける快勝で、とりわけ、2走前のレコード勝ちは、前半よりも後半の方がラップが速くなる非凡な勝ち方だった。
開幕週の馬場向きの脚質。ポジションを取りやすい内枠(3枠5番)。条件は有利である。
ただし、課題も多い。
5ヶ月の骨折休養明け、長距離輸送、初距離。他にハナを主張しそうな馬が見当たらないため、マイペースの展開にはなるはずだ。あとは、息が保つかどうかだろう。

サンテミリオン、アグネスサクラと同じく2勝馬のアマファソン
前走の君子蘭賞(阪神・芝・1800m)の勝ち時計(1分48秒2)はなかなか優秀。馬場差を無視すれば、フラワーCの勝ち時計よりも2秒1速い(前日の毎日杯と比べても1秒1速い)」。
近走はいずれも4コーナー10番手以降からの競馬。府中の長い直線向きとも思えるが、開幕週だけに前が残れば届かない可能性も高い。デビューから10戦目ということで上積みにも疑問。経験は侮れないが、今回は条件的には割引という見方もある。
むしろ、君子蘭賞で先に抜け出してクビ差2着に粘ったフラムドールの方が、脚質的には面白いかもしれない。東京初騎乗となる若手の国分恭騎手にも注目したい。

その君子蘭賞で1番人気に支持されたマシュケナーダ
2走前にはクラシック候補と言われた牡馬・ルーラーシップに0.4秒差の3着。3走前はエルフィンSで0.3秒差の4着(勝ち馬は桜花賞3着のエーシンリターンズ)という結果を残している。
君子蘭賞の敗戦(6着)が案外ではあるが、陣営によれば「馬込みを気にしていた」とのこと。スムーズなレースができれば巻き返しがあってもおかしくない。新馬勝ちの時に騎乗した福永騎手に手綱が戻るのも好材料だろう。

未勝利勝ちから権利獲りに挑戦するアスカトップレディメジロジェニファー
アスカトップレディの前走は、好位から抜け出し34秒0の脚を使った見所のある競馬。さらに、近3走はいずれも阪神の外回りコースということで、長い直線にも対応できそうだ。インで脚を溜めて内から抜け出してくるレースが理想だろう。
メジロジェニファーは2000mの持ち時計がメンバー1。ゲートが悪く位置取りが後ろになってしまうのが課題だが、3月デビューということもあり、走りにはまだまだ伸びしろがありそうだ。
この2頭に関しては、初の長距離輸送もあり、格上挑戦でいきなり重賞勝ちはどうかとも思われるが、馬券圏内の候補としてはマークが必要かもしれない。

人気薄で気になるのはディミータ
5ヶ月の休み明けだった前走の牡馬混合500万で3着と健闘。今回は2走目の上積みが期待できる。2ケタ着順となった2走は1600mと1400m戦。父・ダンスインザダークの血統、近親にダイレクトキャッチがいることから、距離が伸びた方がいいタイプかもしれない。あとは、相手関係がどうかだろう。



京都ではダートのGⅢ・アンタレスSが行われるが、こちらもなかなか面白そうなレースだ。
注目は“強い世代”と呼ばれる4歳馬の走り。
直前になってワンダーアキュートが回避したのは残念だが、それでも、トランセンド、シルクメビウス、フサイチセブンといった役者が揃った。
使われている強味があるのはフサイチセブンだが前走より3キロ増の58キロがどうか。斤量に関しては、休養明けでも56キロで出走できるトランセンドが有利に見える。
平安S2着で京都ダート〈3.2.2.0〉のダイシンオレンジ、近走の充実ぶりが顕著な4歳馬・ナニワトモアレも有力候補。先行馬が競り合う展開になれば、ダイショウジェットの末脚も侮れない。
人気薄で面白そうなのは、昇級初戦でもダートは〈3.3.2.0〉と底を見せていないロラパルーザと1走叩いたマルブツリード。初ダートのドリームサンデーも、血統(父・タイキシャトル、母父・ブライアンズタイム)と先行して粘り込む走りのスタイルから、大駆けがあってもおかしくない。




■皐月賞・復習

牡馬クラシック最初の1冠・皐月賞は、1番人気に支持されたヴィクトワールピサの完勝!

レースはバーディバーディが先手を奪い、1000m通過・60秒1の平均ペース。稍重馬場の緩みない流れは、結果的にスピードとスタミナを問われる“底力勝負”となった。
先行馬にとっては息の抜けない厳しい展開。ハンソデバンドやサンディエゴシチーなど好位に付けた馬が次々と脱落していったのは、道中で予想以上に脚を使わされたために、直線での余力が残っていなかったためだろう。
勝ったヴィクトワールピサは、1コーナーでインへ潜り込むと、向正面で徐々にポジションを上げ、直線でも最内を突いて一気に差し切った。岩田騎手は、このコースどりについて、「内も荒れていたが、外は芝が水を吸っているように感じた」とコメント。つまり、“内の方が伸びる”という判断があったわけだ。
レース中継を見て「そこを通るのか!?」と驚いた人も多かったはず。普通ならば、1番人気を背負った馬が、前が詰まりやすい内へ進路を取ることなど考えられない。あまりにリスクが高いからだ。にもかかわらず、あえて内を選んだ岩田騎手。この思い切った判断は、やはり“好騎乗”と評価すべきだろう。脱帽である。
もちろん、その裏には、ヴィクトワールピサの能力に対する信頼があったことは言うまでもない。並の馬ならば、狭い最内を突き抜けるだけの脚も勝負根性もない。弥生賞の時の武豊騎手にしても、馬の力を信じているからこそ、ワンテンポ遅らせた仕掛けができたのだろう。言い換えれば、「騎手の乗り方を見れば、その馬の能力がわかる」ということ。鞍上の意のままに動けるというのは、ヴィクトワールピサの“強さ”である。
今回の勝利でダービーの有力候補になったことは間違いない。折り合いに不安のない、ある意味、完成した走り。距離延長も問題なさそうだ。あとは、パンパンの良馬場で末脚勝負になった時にどうかだろう。

2着は外から伸びたヒルノダムール。
マイナス10キロの数字が示す通り、究極の仕上げ。外枠のために後方からの競馬になったが、今回はそれが有利に働き、道中脚を溜められたことが直線の末脚につながった。
本来はもう少し前目でレースをする馬だったが、大外一気にも対応。これについては、『予習』でも書いた「緩急それぞれのペースで好走した経験値」がモノを言ったと考えられる。
懸念された中山の坂も克服。位置取りを問わないレースを経験できたことも大きい。遅生まれの馬だけにまだまだ伸びしろがありそうで、今後が楽しみな1頭だ。
この馬に対しても“ダービーの有力候補”という声が上がっている。となれば、課題は体調面。マイナス10キロでの激走による反動もなく、万全の状態で出走してきてほしい。

3着は11番人気のエイシンフラッシュ。
予定していた若葉Sが使えず、京成杯からのぶっつけになったために人気にならなかったが、出来そのものは申し分なかった。このあたりは、管理する藤原英厩舎の技術だろう。しっかりと仕上げてきた陣営の努力には頭が下がる。
休み明けというマイナス点がなければ、馬券的にも狙える実績の持ち主。2000mは3戦3勝、中山芝2000mには重賞勝ち鞍がある。
桜花賞2着のオウケンサクラについても言えることだが、「ローテーション的に無理だろうという理由だけでは消せない馬がいる」ということを、肝に命じておく必要があるかもしれない。どのような走りをしていたか。どのような強い勝ち方をしたか。まずその点を考えるべきなのだ。
京成杯のエイシンフラッシュは番手マークの強い勝ち方だった。若葉Sを使えなくても、状態が万全ならばここでも好勝負になるという見方はできたはず。少なくとも、予習でそこそこの評価を与えたネオヴァンドームよりも、経験値などの買える材料は多かった。そのあたりは大いに反省したい。

2番人気のローズキングダムは、2着馬からハナ差・ハナ差の4着。
前走よりさらに6キロ減った馬体重。数字的にはより不安になる材料だったが、道中の走りに関しては、スプリングSよりも力強く見えた。やはり、1走使った効果が出たのだろう。
中団で折り合って直線では馬群を割って伸びてきたが、ヴィクトワールピサはその1馬身半先。一時は“2強”と呼ばれた2頭だが、今回ははっきりと明暗を分けた結果になった。
橋口調教師は「理想的なポジションだったし実力が出せた」とコメント。キレ味を殺がれ、パワーを要する馬場状態(軽量の馬には厳しい条件)を考えれば、好走と考えてもいいかもしれない。
4着に入ったことで、ダービーの優先出走権を得たわけだが、はたしてどうだろうか。折り合いに関しては距離不安のない馬だが、馬体や脚質を考えるとマイル路線の方が向いているという意見もある。
いずれにしても、次走は良馬場で走らせてあげたい。結論はその後でもいいかもしれない。

大外枠に入ったアリゼオは5着。
横山典騎手がどういう作戦をとるかに注目したが、今回は好位につける正攻法の競馬。ややマクリ気味にコーナーを回って直線で一旦先頭に立ったものの、最後は1~4着馬の差し脚に屈した。
内容も結果も一見すると地味だが、先にも述べたように「先行馬には厳しい流れ」だったことを考えれば、大健闘と評価したい。なにより、気性面に関しては、以前よりもはるかに成長しているように思えた。
「経験を積めば良くなる馬」(横山典騎手)。逃げにこだわらなかった今回のレースが、今後に活かされてくるはずだ。

6着のリルダヴァルはピカピカの馬体だった。最後の直線で脚が止まったが、距離に関係なく良馬場で見直してみたいタイプ。野路菊Sで見せてくれた圧巻の走りを期待するファンは多いはずだ。
7着のゲシュタルトも、先行してそこそこ粘ったが、もう少し短い距離の方がいいかもしれない。

4番人気のエイシンアポロンは11着。
好位での立ち回りの巧さが持ち味だけに、位置取りが後ろになったのは痛かった。しかも、道中は外々を回らされる距離損。弥生賞は内々の競馬で2000mを克服できたが、今回のコース取りでは厳しい。“最高の仕上がり”を活かすことができなかったのは残念だ。

ハンソデバンド(18着)はパドックでの気合乗りが乏しく、レースでは馬場を苦にしていた(蛯名騎手談)とのこと。間隔が空いたことの影響かもしれない。3連勝で重賞を制した実績があるだけに、次走の巻き返しに期待したい。

レーヴドリアンとレッドスパークルは、距離が伸びて末脚を活かせるレースの方が向きそうだ。





■皐月賞・結果

2010年4月18日 3回中山8日11R
第70回 皐月賞(GⅠ)
芝・2000m 晴・やや重

 1着 ヴィクトワールピサ    岩田    2.00.8
 2着 ヒルノダムール       藤田    1+1/2
 3着 エイシンフラッシュ      内田博   ハナ

単勝 13  230円(1番人気)
馬連 13-16 1260円  馬単 13→16 1920円
3連複 11-13-16 11410円  3連単 13→16→11 35220円


■皐月賞・予習

先週の桜花賞に続くクラシック第2弾、GⅠ・皐月賞。
トライアルが終了した時点では、一部から“ヴィクトワールピサ・1強”という声も上がっていたが、実際にはそれほど単純とは思えない。フルゲート18頭のうち半数の9頭が重賞勝ち馬。また、複勝率100%の戦績を持つ馬も8頭を数え、馬券的には絞り込みが難しいレースと言えそうだ。

前売り1番人気は、弥生賞を勝ったヴィクトワールピサ
新馬戦こそローズキングダムに先着を許したものの、その後は4連勝。2走前のラジオNIKKEI賞ではそれまでの先行策からマクリ差しに転じての勝利。前走の弥生賞では輸送と道悪、さらに最内枠を克服。武豊騎手が「レースごとに課題をクリアしていく馬」と述べているように、経験を積むことによって成長の跡を残している点は高く評価できる。
芝2000mは4戦4勝。一貫して2000mの距離を使われているのは、陣営が早くからクラシックを意識していた証拠。当然、ここは目標のレースである。
テン乗りの岩田騎手に相当のプレッシャーがかかるのではないかという指摘もあるが、GⅠの舞台を何度も経験し勝利もおさめている一流ジョッキーならば問題ないはず。1週前の追い切りから騎乗して、すでに好感触をつかんだと言われている。
ヴィクトワールピサの不安点をあげるならば、前傾ラップの緩みのないレースになった場合だろう。
道悪だった前走の弥生賞は別として、すべて「スローペース→上がり34秒台前半」という“後傾パターン”。時計にしても、大きく縮めてきているわけではない。
もちろん、ペースが上がった場合でも、それに対応できるだけの自在性と瞬発力を持ち合わせているとも考えられるが、スタート後のポジション取りなどで必要以上に脚を使わされるようだと、終いのキレに影響が出ることも考えられる。
スローの瞬発力勝負ならば、この馬の力が発揮される可能性は高い。しかし、道中で“好位をめぐるポジション争い”が激化するようだと、流れに乗り切れない、もしくは、流れに巻き込まれるといった“不測の競馬”を強いられるかもしれない。

2歳王者のローズキングダム
朝日杯FSを勝った時点では「皐月賞確定」とまで言われた馬だが、休養明けの前走・スプリングSでは3着に敗退。陣営は「休み明けの分、反応が悪かった」「荒れた馬場にキレ味に影響した」と敗因を分析しているが、朝日杯の時のような“走りの存在感”が見られなかったのは確かだ。当然、今回は、巻き返しがあるかどうかが注目されている。
順当に考えれば、1戦叩いた上積みは大きいはず。前走の3着にしても、インに閉じ込められて一瞬追い出しが遅れる不利があってのもの。デビュー戦以来となる坂路調教を行うなど、陣営の工夫を加味すれば、見直せる材料が少ないわけではない。
問題は状態面。
叩き台でありながら2キロ減の馬体重だったスプリングS。血統的なものとはいえ、デビュー以来減り続ける馬体重はやはり不安な材料だ。直前の気配等についてはチェックの必要があるだろう。
初距離となる2000m。週中の雨によって荒れた馬場。条件的には前走以上に厳しいと思われる。荒れ馬場ではこの馬の力が発揮できないという理由から、一度は「皐月賞回避」という陣営の方針が公表されたことも忘れてはならない。
能力の高さは朝日杯で立証されてはいるものの、今回に関しては、正直、半信半疑である。

トライアルのスプリングSを勝ったアリゼオ
中山芝は2戦2勝。2走前の共同通信杯では単勝1.8倍の1番人気に支持された能力の持ち主。今回も有力候補の1頭と考えていいだろう。
スプリングSの最大の勝因は横山典騎手の好騎乗。折り合いの不安と馬込みを嫌う性格を考えた上での“逃げの作戦”が、この馬の能力を引き出したと考えられる。
となれば、アリゼオの課題は、今回も同じ競馬ができるかどうかということ。逃げることができるかどうかではなく、前走のように気分よく走ることができるかがポイントだ。
枠順は大外枠。好位をキープするためには不利な枠には違いないが、逆に、馬込みを嫌う馬にとってはスムーズな競馬ができる点でプラスとも考えられる。このあたりは、名手・横山典騎手がどのような作戦に出るかに注目したい。
気掛かりな点をあげるならば、前走の勝ち方。
“逃げの作戦”は、アリゼオの能力を発揮させる上で効果的だったことは間違いないが、逃げ馬は自分でペースを作る分だけ負担が重くなり、消耗が激しくなることもある。つまり、特効薬としての効き目が大きいために、その反動も計り知れないということだ。調教では動いているものの、表に見えないストレスを抱えた状態だとすれば、思わぬ凡走があるかもしれない。

前走、弥生賞2着のエイシンアポロン
距離不安を指摘された2000mのレースで好走できたことは大きな収穫だった。さらに、有力馬の多くがトライアルレースをマイナス体重で出走してきたのに対し、この馬はプラス4キロの余裕残し。前走が本番を見据えた叩き台だったことは明らかだ。
スタートの反応が良く、ペースを問わず好位に付けられる脚が持ち味。ある程度前の位置に付けないと差しが届かない今の中山の馬場を考えると、この馬の脚質は有利に思える。
もっとも、好位から直線で抜け出す正攻法の競馬は、先に仕掛ける分だけ差し馬の目標にされてしまう。朝日杯も弥生賞も同じ負け方の2着。追い出しのタイミングがポイントになりそうだ。
ひとつ付け加えるならば、調教の時計についての見解。
追い切りで坂路・49秒8という素晴らしい時計をマークしているが、普通に考えれば「本番へ向けての究極の仕上げ」という判断が成り立つ。だが一方で、“短距離指向が強い馬ほど坂路で時計が出る”という意見も出ている。つまり、今回馬体が仕上げれたことによって、本来のマイラー色が強く出るのではないかという見方である。
一度は克服した2000mの距離であっても、馬の本質が覚醒されたことによって再び不安要素になる。穿った考え方かもしれないが、念のため記しておきたい。

若葉S2着で出走権利を獲ったヒルノダムール
3走前のラジオNIKKEI賞では、ヴィクトワールピサに0.2秒差(4着)。その後、東のトライアルには出走せず、若駒S→若葉Sというローテーションを選択したが、この2走の内容が光っている。
若駒Sはスローの上がり勝負を33秒1の脚で差し切り勝ち。若葉Sはハイペースの厳しい競馬で2着に敗れたものの2分0秒0の好タイムをマーク。緩急それぞれのペースで好走した経験値は大きい。
この馬もエイシンアポロン同様、プラス体重(6キロ)でトライアルを出走。上積みにも期待がかかる。
不安点は中山の急坂。
これまでの2勝はいずれも直線平坦の京都コースでのもの。前走の若葉S(阪神)にしても、ゴール直前でベルーサに競り負けたように、終いが若干甘くなるようだ。能力的には一級という評価があるだけに、コースを克服できるかどうかがカギになるだろう。

ディープインパクトの甥にあたるリルダヴァル
新馬戦、野路菊Sを連勝した時点では、世代トップクラスとの評価を得た馬。特に、2戦目の野路菊Sは時計も優秀で、ラジオNIKKEI賞2着のコスモファントムに0.4秒差(エイシンアポロンには1.1秒差)をつける圧勝だった。
前走は毎日杯3着。休養明けを叩いた上積みは大きいだろう。
もっとも、骨折で6ヶ月ぶりのレースを走った後の中2週、反動の不安もある。しかも、初の関東への遠征、距離経験も1800mのみと課題は多い。3戦のキャリアでフルゲートの最内枠というのも厳しい条件だろう。
将来的には世代の中心馬になり得る馬かもしれないが、今回は「一流どころと対戦して揉まれる経験を積もう」というのが、陣営の本音かもしれない。

共同通信杯勝ち以来となるハンソデバンド
過去10年、このローテーションで馬券に絡んだのは、2007年のフサイチホウオー1頭のみだが、3連勝で重賞を制した実績を考えれば侮れない存在だ。
共同通信杯は自分から動いて押し切った内容のある競馬。2着のダノンシャンティ、3着のアリゼオは次走で重賞を勝っており、単純な比較ではあるが、能力的に見劣るところはない。1枠2番という枠順も、前に馬を置いて折り合える点から絶好とも言えるだろう。
あとは、当日の気配。
元来、折り合いに不安があると言われていた馬。距離延長(初の2000m)に関しては、ロスなく進める内枠の利を活かせるかもしれないが、レース間隔の空いたことがマイナスに働けばイレ込みにもつながりやすい。そのあたりについては、直前のチェックが必要になりそうだ。

スプリングS2着のゲシュタルトと弥生賞3着のダイワファルコン
この2頭にはいくつかの共通点がある。
500万条件を勝たずに出走権を獲得したこと。前走はともにマイナス10キロの馬体減だったこと。そして、展開の向いた内枠に入って好走したこと。
つまり、トライアルの前走が目イチの仕上げであり、レースでは展開(枠順)に恵まれたという見方もできるわけだ。前走がフロックだったとまでは言わないが、実績面での格下感は否めない。
もっとも、だからと言って、軽視は禁物だろう。
特に、ゲシュタルトは3枠6番という先行力を活かせる枠に入った。初距離の2000mが課題となりそうだが、前走のような競馬ができれば好位からの粘りこみがあるかもしれない。
ダイワファルコンは枠順がどうか。末脚にキレのある馬だが、外々を回らされると届かないケースも考えられる。

きさらぎ賞の1・2着馬、ネオヴァンドームレーヴドリアン
両馬とも前走後は皐月賞を目標に調整されたとのことだが、中2ヶ月のレース間隔はやはり空き過ぎの感がある。有力馬と見なされている一流どころと対戦していないこともマイナス材料だ。
とは言うものの、対戦がなかった分だけ“未知の可能性”に期待がかかる点も否定できない(期待倒れに終わるケースも多いのだが・・・)。
ネオヴァンドームは、きさらぎ賞で手綱をとったデムーロ騎手が絶賛し、「できれば本番でも乗りたい」とまで言わせた馬。外人騎手特有のリップサービスではあるだろうが、それを割り引いても、馬込みを割って突き抜けたきたレースぶりには非凡なものを感じた。
調教で跨がった安藤勝騎手は「馬が幼いし、良くなるのはまだまだ先」とコメントしているが、今回も素質の片鱗を見せてくれるかもしれない(もちろん、距離と輸送の克服が前提となるが)。
一方のレーヴドリアンは、陣営が後方からの競馬を示唆。たしかに、末脚は一級品だが、中山の直線を考えると、展開頼みのレースになりそうだ。

中山芝2000mの京成杯を勝ったエイシンフラッシュは、予定していた若葉Sを使えなかったのが誤算。
シンザン記念勝ちのガルボも、スプリングSを使ってその結果から、皐月賞かNHKマイルCの目標を決める予定だった。
重賞を制した能力は評価できるものの、この2頭については順調さを欠いた点が大きなマイナスだろう。

桜花賞のエーシンリターンズ(3着)のように、混戦で浮上くるタイプをあげるならば、レッドスパークルが面白いかもしれない。
3走前の東スポ杯ではロースキングダムに0.3秒差の3着。2走前の京成杯は出遅れながらエイシンフラッシュに0.4秒差の3着。距離経験が豊富であり、2000mの距離では〈1.1.1.0〉の実績がある。脚質的には東京向きで、後方ままで終わる可能性もあるが、立ち回り方次第では食い込みがあるかもしれない。

最後に、馬場状態について。
週中の雨で芝コースはさらに傷みを増したと想像できる。だが、一方で、芝の内の部分にローラーがかけられたという情報(某夕刊紙)もある。だとすれば、高松宮記念の時のように、コース全体は荒れていながらも、内目の方が伸びる馬場と考えた方がいいかもしれない。
それでなくても、このところの中山芝のレースは先行馬と内枠の馬による決着が目立っている。これについては、昨年夏からコース内側の一部の区間で芝の品種が変わったことが原因と言われており、見た目は傷んでいても馬場そのものが大きく掘られることはなくなったとのことだ。
土曜日の馬場は不良のコンディションでスタート。本番までにどれだけ回復するかにもよるが、パンパンの良馬場にはならないはず。
以上のことを踏まえると、基本的には“好位のイン”がベストポジションと考えていいだろう。
(時間に余裕があるのならば、9レースに行われる芝2000mの鹿野山特別を参考にして、芝の状態を確認してみるのもいいかもしれない)

外を回った差し・追込馬が台頭するケースがあるとすれば、スタートから1コーナーまでの間に、好位の位置取りをめぐってポジション争いが激化した場合だろう。先行集団の出入りが激しくなりペースが上がるようだと、馬場状態に関わらず逃げ・先行馬は苦しくなるはずだ。昨年のレースはその典型とも呼べるもので、1000m通過が59秒1の厳しいペースになり、1着から7着までが4コーナー9番手以降の差し・追込馬という結果に終わった。

今回ははたしてどのような展開になるだろうか。
“どの馬が逃げるか(昨年のゴールデンチケットのようにダート馬のバーディバーディが行くかもしれない)”ということももちろんだが、大外枠のアリゼオやエイシンアポロンの出方もレースの流れを決定する上でのカギになりそうだ。



■桜花賞・復習

牝馬クラシック最初の1冠は、1番人気に支持されたアパパネの頭上に輝いた。

レースは前半3F・35秒6、上がり3F・34秒4という“スローペース→上がりの競馬”。3~4コーナーを5番手以内で通過した3頭で決着したことからもわかるように、道中の位置取りが大きく明暗を分けた。
例年とは違い、内が伸びて時計が出る馬場状態。そして、スローな展開。こうなると、外を回った差し・追込馬には出番がない。
もっとも、だからと言って、“凡戦”だったというわけではない。勝ち時計の1分33秒3は桜花賞のレースレコード。展開面での有利・不利はあったものの、底力を試される一戦だったと評価してもいいだろう。

勝ったアパパネは若干掛かり気味の走り。その勢いで早目に先頭に立つかとも思われたが、3コーナーを過ぎてから好位で折り合った。直線では追い出しを我慢してエーシンリターンズの外へ。残り1Fで仕掛けると1完歩ずつ脚を伸ばし、ゴール手前で粘るオウケンサクラを差し切った。
蛯名騎手は「前のレース(9R・芝1800m)の時計が速かったので、前へ出して流れに乗らないと駄目だと思った」とコメント。つまり、芝の状態を見極めた上での先行策だったということだ。前半掛かり気味になったのも、意識的に行かせたことが原因と考えていいだろう。いずれにしても、前々のポジションを取るために積極的に行ったのは、蛯名騎手の好判断だった。
もちろん、どのポジションからでも競馬ができるアパパネ自身の能力があってこそのもの。『予習』の中では「この馬の真価が問われる一戦」と書いたが、2歳女王の実力は本物だったと評価したい。終わってみれば“阪神JF勝ち→休養→トライアル叩き台→本番勝利”という定石通りの結果。派手な勝ち方ではないが、この馬の“強さ”を見れたレースだったように思える。

2着は逃げ粘ったオウケンサクラ。
逃げ馬が不在だけに、ハナを切った馬が残るという展開は想定内ではあったが、正直、この馬がレースを引っ張るという予想はできなかった。
これもまた、騎手の好判断。スタートの良さを活かして、他馬を牽制しながらマイペースに持ち込んだ安藤勝騎手の技術が光った。「普通ならば逃げ切れるペース配分だった」というスポーツ紙の記事もあったが、それは一方で、アパパネの脚(および蛯名騎手の騎乗)を評価する内容。実際、安藤勝騎手も「最後も止まっていないが、勝った馬にうまく乗られた」とコメントしている。
それにしても、タフな馬である。中1週→中1週→中2週という強行ローテーションでありながら、最後までバテずに2着に残ったのは見事としか言いようがない。普通に考えれば、前走のフラワーCで惨敗を喫してもおかしくない過酷な使われ方。“例外”と言ってしまえばそれまでだが、詰まったローテーションでも反動を見せない馬がいることは、ひとつの勉強になった。

3着は11番人気の伏兵・エーシンリターンズ。
『予習』では「好走しても人気にならない穴馬のタイプ」と書いたが、今回もまた、混戦で浮上してきた。
前々のポジションで流れに乗れたことが好走要因と言えるが、桜花賞実績のある福永騎手が乗ったこともプラスに働いたかもしれない。
印象としては、思っていた以上にセンスのある馬。相手なりに走れて上位に入ってくるタイプとも思える。この先もマークが必要だろう。

4着はショウリュウムーン。
最内枠で後方10番手からの競馬になったが、最後は外目から末脚を伸ばしてきた。結果的には、直線で外目に持ち出した分のロスが響いた感もある。佐藤哲騎手は「直線で内へ入れようとしたら頭を上げた。内枠を一度でも経験していれば違っていたと思う」とコメント。『予習』でふれた“枠順経験の有無”が少なからず影響したようだ。
とは言うものの、前残りの展開でこの結果は評価すべき。すでに“オークスに向けて最も可能性のある馬”という意見も出ている。チューリップ賞でアパパネを退けた脚は、決してフロックではなかったことは十分証明されたと見ていいだろう。

2番人気のアプリコットフィズは5着。
道中は3~4番手の最内で絶好のポジションにも思えたが、最後まで前との差は詰まらなかった。
横山典騎手は「いろいろな課題をクリアしてくれたし、悲観する内容ではない」とコメント。初の長距離輸送や経験の少なさを考えれば、合格点を与えられるということなのだろう。
新馬戦やクイーンCの“圧勝ぶり”を見る限り、素質はかなりのものであるはず。今後の成長に期待したい。

メンバー最速の33秒8の上がりをマークしたシンメイフジ(6着)。
「枠順のせいで行きたくても行けなかった」という岩田騎手のコメントの通り、外々を回って直線勝負に賭けるしかなかったようだ。展開に泣いた1頭だが、大外から伸びてきた脚には、一瞬「オッ」と唸らせるものがあった。信頼性という点では欠ける部分もあるが、展開次第ではこの先怖い存在になるかもしれない。

最後に、気の早い話ではあるが、オークスに向けての展望について。
今回の結果を見る限り、現時点ではアパパネの力が頭ひとつ抜けているように思える。距離が伸びた時の折り合い面にいくぶん不安な点もあるが、道中の位置取りを問わないタイプだけにさほど問題はなさそうだ。GⅠ2勝の実績を考えれば中心馬としての扱いが妥当だろう。
オウケンサクラに関しては、連戦を走り切った状態面がポイントになるが、それ以上にどういう脚質で勝負してくるかが注目。能力は認めるものの、今回に限っては、好騎乗と展開に恵まれた部分も大きい。
アプリコットフィズは今回の経験でどれだけ馬が成長できるかが楽しみ。得意の東京コースならば、当然侮れない存在だ。
スポーツ紙等では、ショウリュウムーンとシンメイフジが“オークスの有力候補”として取り上げられているようだが、個人的には“関東のゼンノロブロイ産駒”にも注目したい。今回20キロの馬体減だったアニメイトバイオ、直線最内に入って前を捌けなかったギンザボナンザ、中2週+長距離輸送で臨んだコスモネモシン。今回よりも条件が好転するとなれば、巻き返しがあるかもしれない。



■桜花賞・結果

2010年4月11日 2回阪神6日10R
第70回 桜花賞(GⅠ)
芝・1600m 晴・良
 
 1着 アパパネ          蛯名     1.33.3
 2着 オウケンサクラ       安藤勝     1/2
 3着 エーシンリターンズ     福永      クビ

単勝 9  280円(1番人気)
馬連 8-9 1440円  馬単 9→8 2430円
3連複 8-9-11 8500円  3連単 9→8→11 38520円


■桜花賞・予習

2010年のクラシック第1弾、GⅠ・桜花賞。
昨年はブエナビスタという“絶対的な存在(単勝1.2倍)”があったが、今年は一転して混戦模様。重賞2勝以上の馬が不在のため、能力の比較・検討が難しく、どの馬が馬券に絡んでもおかしくないレースになりそうだ。

前売り時点での1番人気は2歳女王のアパパネ
昨年暮れの阪神JF以来となった前走のチューリップ賞は、伏兵・ショウリュウムーンの強襲を受け2着に敗れたが、それでも0.1秒差。休み明けの前哨戦としては一応の結果は残せたと見なしてもいいだろう。
その後は栗東に滞在して調整。馬なり調教だった前回に比べて、坂路で自己ベストをマークするなど、本番へ向けて順調に仕上がっているようで、スポーツ各紙による追い切りの採点はいずれも高い。
デビューから5戦して複勝率100%という安定感。マイル戦は〈3.1.0.0〉で、今回の舞台となる阪神・芝1600mでも2戦2連対の実績。脚質に自在性があり、どのポジションからでも競馬ができることも強味だ。
この馬の場合、前2走のレースをどのように評価するかがポイントになるかもしれない。というのも、阪神JFとチューリップ賞は、展開や馬場状態による“紛れ”が存在したレースと思えるからである。
阪神JFは大きく外に膨らんだ馬群の内を突いたコース取りの勝利。チューリップ賞は各馬が道悪で苦労する中での2着。つまり、穿った見方をすれば、アパパネの近2走は「全馬が力を出し切れない条件における結果」「必ずしも力勝負で上位にきたわけではない」と捉えることもできるのだ。
GⅠ馬である以上、当然、能力上位と判断すべきだろう。ただし、この馬は“絶対的な強さ”で結果を残してきたとは言い切れない。3戦連続で大外枠を引いた馬が今回は5枠9番。前に馬を置ける絶好枠かもしれないが、反面、馬群に揉まれてスムーズな競馬ができないリスクもある。いずれにしても、今回はこの馬の真価が問われる一戦と言っていいだろう。

前走、クイーンCを制したアプリコットフィズ
好位を追走し、直線半ばから追い出して後続を突き離す強い勝ち方だった(時計も史上2位のレースタイム)。資質の高さ、スケールといった点では、今回の出走馬中ナンバー1という声も多い。ポジションを取りやすい内枠に入り、鞍上には名手・横山典騎手。“買い”の材料も目立つ。
ただし、問題点もある。
まず、中6週空いたローテーション。早目に賞金を確保し、目標に向けてじっくり調整されていることはプラスとも思えるが、心身ともに繊細で不安定な要素を備える3歳牝馬が体調を維持するのは決して容易ではないはずだ。
さらに、「輸送をクリアしてくれれば・・・」という陣営のコメントの通り、初の長距離輸送という課題もある。キャリア3戦はメンバー中最少。“底を見せていない”という言い方もできるだろうが、経験値の差が結果につながるケースも少なくない。今回はそのあたりがカギになるだろう。

阪神JF2着のアニメイトバイオ
前走のアネモネSは2着に敗れたが、休み明けでプラス14キロの馬体重が示すように、本番を見据えた叩き台の意味合いが強い。今回は調教後の計測でプラス2キロ。輸送を考慮すれば絞れてくるはずだ。もちろん、上積みも見込める。
未勝利勝ち以降、5戦連続連対。自在性のある脚質。安定感に関しては、アパパネと比較しても甲乙つけ難い。
不安点をあげるとすれば、極端なスローペースになった場合。ここ5戦はいずれもハイペースか平均(M)ペース。折り合いに難のあるタイプではないにしても、元々は1400mから距離を伸ばしてきた馬だけに、レースの流れに乗りきれないようだとキレ味に影響が出るかもしれない。確固たる逃げ馬が不在の一戦。アニメイトバイオの取捨に限らず、ペースや展開については慎重に検討した方がいいだろう。

昨年夏の新潟2歳Sの勝ち馬・シンメイフジ
阪神JFでは1番人気を裏切ったが、外差しが決まるようになった馬場状態に向いていると評価されたためか、今回も上位人気に支持されている。
前走は中山のフラワーCで5着。差しから一転して逃げのレースを見せたが、これは休み明けに加えてブリンカーの効果が大きすぎたのが原因のようだ。今回はブリンカーを外すということなので、従来通りの差しの競馬になるに違いない。
展開がハマれば一気に突き抜ける可能性もあるが、はたしてこの馬の末脚をどこまで信頼できるか。いまだに新潟2歳Sで見せた32秒9の上がりを評価する声もあるが、夏の新潟の大外強襲だからこそマークできたタイム。今開催の阪神の馬場で、そこまでの末脚を発揮できるとは限らない。

前走、フラワーCを勝って桜花賞出走にこぎつけたオウケンサクラ
末脚のキレで勝負するタイプかと思われたが、フラワーCでは好位から抜け出す“味のある”レース。脚質の幅が広がったという見方もできるだろう。
もっとも、この馬に関しては、スポーツ紙等で取り上げられているように、ローテーションが不安材料。中1週で出走したチューリップ賞から、再び中1週で関東への遠征。そして今回はそこから中2週。使うほど良くなるタイプなのかもしれないが、さすがに強行軍だ。
陣営も当初は「状態を見てから桜花賞へ行くかどうか決める」とコメントしていた。状態面で自信があるからこその出走と考えれば候補の1頭に違いないが、やはり直前の気配を確認した方がいいだろう。

前走、休み明けのフィリーズレビューで2着となったラナンキュラス
重賞勝ちこそないが、1戦ごとにレースぶりに進歩がうかがえるのは好材料だろう。将来性を期待されていた良血馬だけに、経験を重ねてきた今回あたり、結果を残しても決して不思議ではない。
問題は外回りコースの長い直線。過去に連対したレースはいずれも内回りコースで、外回りでは4着2回という成績。末脚が持続しないタイプで仕掛けどころが難しいのかもしれない。位置取り、コース取りを含めて、デビュー以来手綱をとっている四位騎手がどのように持ち味を発揮させるかに注目したい。

冒頭にも述べたように、今年は混戦模様の桜花賞。とりわけ、トライアルを勝った3頭の評価が難しい。
チューリップ賞を制したショウリュウムーン
未勝利勝ちからの格上挑戦だったが、アパパネをねじ伏せた脚は見事だった。今回、気掛かりなのは最内枠に入ったこと。デビュー以来2ケタ枠番しか経験していないこの馬にとって、包まれやすいこの枠はどうなのか。先行できる脚もあるが、内目が荒れてきた馬場も有利とは言えないだろう。
フィリーズレビュー勝ちのサウンドバリアー
こちらも格上挑戦での勝利。大外一気の勝ち方だったためにフロック視されている感もあるが、確実に脚を使えるタイプであることは確か。ただし、展開に左右される点は否めない。速いペースが理想だろう。
アナモネSでアニメイトバイオに先着したギンザボナンザ
2走前のクイーンCを除けば、芝1600mで3勝。早目に栗東に入厩して、直前輸送のリスクを回避する工夫も見られる。不安点は出遅れ癖。ある程度前で競馬をしたいタイプだけに後方から脚を使う形になると苦しいかもしれない。
この3頭に共通しているのは、「トライアルを馬体減で出走していること」。つまり、前走がピークであって、上積みは見込めないとも考えられる。そのあたりの判断がカギになりそうだ。

その他の伏兵陣も簡単には見限れない。
2走前のフェアリーSでアプリコットフィズに先着したコスモネモシン
マイルは若干距離が短いような印象もあるが、馬群を抜けてくる勝負根性は買える。重賞勝ち馬でありながら人気が低いようだが、輸送をクリアできれば好走があってもおかしくない。
ファンタジーSの勝ち馬・タガノエリザベート
阪神コースは3戦3着外と結果が出ていないが、こちらも重賞勝ちがあり、阪神JFでは3番人気に支持された馬。特に今回興味深く思えるのは、トライアルではなく牡馬混合のすみれS(阪神芝・2200m)を使ってきたこと。今回、距離短縮の効果がプラスに働くようであれば、末脚のキレで突き抜ける可能性もある。
フィリーズレビュー3着のレディアルバローザ
この馬については『フィリーズレビュー・復習』にも書いたように、外の差し馬向きの流れの中で内で食い下がった点を評価したい。スタートの良さと先行力が持ち味の馬。ハナに立つ可能性もある今回、自分のペースで競馬ができれば粘り込みがあるかもしれない。
チューリップ賞3着のエイシンリターンズ
“桜花賞トライアルのさらに前哨戦”とも言われるエルフィンSを勝ちながら、チューリップ賞では人気にならなかった。今回もアパパネとアタマ差の3着という結果でも人気薄。好走しながら人気にならない穴馬で、混戦では要注意のタイプ。前走で減っていた馬体重が気掛かりだが、軽視は禁物だろう。




■今週末のブログについて

いつも「競馬のツボ<ブログ版>」にご来訪いただき、ありがとうございます。
今週末(4月4日)のブログですが、仕事の都合により、休載させていただきます。
申し訳ありません。
また、コメントについても、1週間ほど留守にするため、すぐに返信ができませんので、何卒ご了承ください。

4月10日の『桜花賞・予習』までには戻ってきます。
すみませんが、よろしくお願いします。


安東 裕章


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プロフィール

安東裕章

Author:安東裕章
東京都出身。2007年11月に書籍『競馬のツボ』、2008年7月に『競馬のツボ2』、2009年7月に『競馬のツボ3』を発表(いずれも総和社刊)。

このたび、拙著『競馬のツボ』を刊行していただいた出版社・総和社様の勧めもあって、ブログを始めることにしました。
競馬における一番の楽しみは、レースについて考えること。つまり予想です。
このブログを書くことで、自分でも週末のレースに向けてイメージを膨らませる訓練になるかと思います。
競馬について考えることが好きな皆様。レース予想に疲れて気分転換をしたい時など、よろしければフラッと遊びに来てください。

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