■2010年07月

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■小倉記念・予習

サマー2000シリーズ第3戦となるGⅢ・小倉記念。
七夕賞の上位馬が揃って参戦することもあって、シリーズの行方を占う意味でも重要な一戦になりそうだ。
開催3週目でそれほど荒れていない馬場状態を考えると、基本的には4コーナーで前にいる馬が有利かと思えるが、このレースに限ればはっきりとした傾向は出ていない。一昨年の勝ち馬・ドリームジャーニーのようにマクリ気味に進出して好位から突き抜けるケースもあれば、昨年のように横一線となったゴール前で脚を溜めていた差し馬(ダンスアジョイ)が抜け出す決着もある。展開に関しては“読みにくいレース”と言っていいだろう。
特徴として取り上げたいのは、近年の勝ち時計が1分57秒~58秒台であることと、レースの上がりが35秒以上かかっていること。言い換えれば、典型的な小回りコースの速い決着であり、スローの瞬発力勝負にはなりにくい。ちなみに、土曜日のメインに行われた1000万クラスの高千穂特別(芝・2000m)の勝ち時計は1分59秒2、上がりは35秒6だった。取捨選択のひとつのポイントとして、「ローカルの速い決着(=上がりのかかる速い時計)に対応できるかどうか」に注目した方がいいかもしれない。

土曜午後の時点で1番人気に支持されているのは、4歳馬のナリタクリスタル
前走の釜山Sは57.5キロの斤量を背負いながら、馬群の狭いところを抜け出しての差し切り勝ち。時計も優秀だった。中1週となる今回は小倉に滞在して調整(唯一の小倉滞在馬)。直前輸送がない分、状態面を維持してレースに臨むことができる。今回55キロまで減る斤量もプラス材料だ。
準オープンからの再昇級という形だが、2月には小倉大賞典2着の実績あり。デビューから17戦の成績は〈5.6.2.4〉。掲示板を外したのはわずかに2回であるから、安定感という点でも強調できるだろう。
課題は、前走より1F延長となる2000mの距離。〈3.2.0.0〉という距離実績が示すように、この馬が最も得意とするのは1800m。2000mでも〈2.1.1.2〉の戦績を残してはいるものの、時計の速い決着に対応できるかどうかは現時点では未知数だ。もっとも、同じ4歳馬のジャミールは、先週の函館記念でアッサリ課題(時計への対応)をクリアしてしまったが・・・。

七夕賞の上位馬では、馬場の良い大外から追い込んだ1・2着馬よりも、早めに動きながら踏み留まった3着同着の2頭の方が人気になっている。おそらく、「七夕賞は馬場状態と展開に左右された決着」と評価されているからだろう。

小倉芝では〈3.2.0.1〉の実績を持つバトルバニヤン
七夕賞では4コーナーで先頭に立つ果敢なマクリを見せた。3着に敗れたものの、自分から動いた強い競馬だったと評価する意見も多い。元来、夏に調子を上げてくる馬で、6~8月の戦績は〈4.2.1.3〉。叩き3走目のこのレースは“当初から狙っていたレース”という見方もできる。
もっとも、この馬がローカルの速い決着向きかというと、少々疑問ではある。1分58秒台の持ち時計はあるものの、これは直線の長い新潟での数字。昨年10月のアイルランドTでも1分58秒6のタイムを出しているが、これも前半より後半が速くなる東京のレースだった。平坦小回りコースで2分を切ったのは、2008年5月の中京・金鯱賞での1分59秒9。小倉での最高タイムは2分0秒5。
もちろん、持ち時計だけで馬の能力を判断することはできないが、小倉と夏に良績が集中している割には、時計的な裏付けが乏しいようにも思える。

前走、七夕賞でバトルバニヤンと同着3着のサンライズベガ
その敗因は出遅れで後方からの競馬になったこと。道中追い上げを見せたが、1・2着馬にはコース取りの差で0.1秒及ばなかった。この馬もバトルバニヤン同様、“負けて強し”と評価されている。
前走は休み明けの好走だったが、本質的には叩き良化型。中2週以内では〈3.2.6.6〉の結果を残しており、上積みが期待できそうだ。
過去6回の重賞挑戦で掲示板を外したの一度だけ。それを考えると、ハンデが55キロのまま据え置きというのは恵まれた感もある。
ただし、この馬に関しても、レースの流れが向くかどうかがカギになりそうだ。昨年夏の新潟記念の走りからもわかるように、スローペースを好位で進んで速い上がりの脚を使うのが持ち味。前々で粘り込む競馬もこなせないことはないが、速い決着となるとどうか。

七夕賞を勝ったドモナラズは、前述のように馬場状態と展開を味方につけた部分が大きい。今回は3キロの斤量増。小倉では2戦2勝という実績があるが、使い詰めの上に直前の輸送があることを考えると、不安材料も多い。
2着のアルコセニョーラも今回は55キロ。夏が得意の牝馬だけに激走があっても驚けないが、福島ではキレまくる追込一辺倒の競馬が、初の小倉コースで通用するかどうか。

武豊騎手の復帰ということもあって、人気の一角になっているスマートギア
重賞では2着が3回ある実績馬で、良馬場ならば確実に上がり32~33秒台の末脚で追い込んでくる。それゆえ、小回りコースへの対応が課題。小倉では2着2回の数字を残しているが、これは条件戦でのもの(時計も2分台)。追込脚質が定着した昨年の年明け以降は小倉コースを走っていない。
最内枠に入った今回、大外へ持ち出すのか、あるいは、インを突く競馬をするのか。このあたりについては、久々の武豊騎手の手綱さばきに注目したい。

小倉芝実績〈2.0.0.0〉のホワイトピリグリム
前走の巴賞では4着に敗れたが、これは予定していた七夕賞が除外になったため、直前になって急遽函館入りした輸送の影響があったと言われている。レース自体も超スローペースになり、最速の上がりを使いながら脚を余した内容。重賞でも上位に来る馬だけに、能力的には軽視できない。
問題は状態面。北海道から栗東へ戻り、中2週で小倉というのはさすがに強行軍だ。直前の気配はチェックしておきたい。

実績ならば、重賞3勝のアドマイヤオーラ
トップハンデの58キロは背負い慣れているので心配ないとしても、この馬の場合、どこまで良化しているかがカギになりそうだ。1年3ヶ月の休養明けから、着順こそ5着→3着と上がってきてはいるが、着差が大きく競った上での負けではないところに不満が残る。前走にしても、稍重の58キロで落鉄があったとはいえ、直線先頭からズルズル後退するレース。能力を発揮できればアッサリがあってもおかしくないが、そこまで調子が戻っているかどうか。

馬場状態を考えれば、先行馬にも一応の注意を払っておくべきだろう。

オースミスパークは小倉芝で〈1.1.0.1〉の実績。1000万クラスから3連勝で重賞・小倉大賞典を制したように、自分のペースで逃げる形になれば強い競馬を見せてくれる。前走(13着)は休み明けの上に58キロの斤量。さすがに息が保たなかったようだ。叩いた今回は行きっぷりも変わってくるだろう。
問題は距離。1800mまでは結果を残しているが、2000mになるとレース経験自体も1走のみ。陣営のコメントからもそのあたりの不安視が読み取れる。

距離実績でいえば、同型のメイショウレガーロの方が上だろう。昨年のサマーシリーズでも、函館記念と新潟記念で逃げて3着に粘り込んでいる。
ただし、このレースに関しては、函館記念を除外になったために急遽出走を決めた経緯がある。初コースに加えて美浦からの長距離輸送。そのあたりがどう影響するか。

人気薄で少々気になるのは2頭。いずれも好位で競馬ができる馬だ。
まず、前走長期休養明けを走ったシルクネクサス。稍重馬場で60キロを背負うレースだったため、大敗も当然である。1走使ってどこまで調子が上向いたかがカギになるが、過去には小倉大賞典での好走歴もある。常識的には一変は考えづらいものの、前々でレースを運べるようならば面白いかもしれない。
もう1頭はラインプレアー。前走のエプソムCは14キロの馬体増。リズム良く先行したが最後は脚が止まった。今回は意欲的な追い切りを試みたとのこと。小倉コース、2000mの距離ともに初となるが、逃げ馬2頭に引っ張られる形になれば、対応できる可能性もあるかもしれない。




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■函館記念・復習

GⅢ・函館記念を制したのは2番人気のマイネルスターリー。
勝ち時計は洋芝施行となった94年以降最速の1分58秒5。2着馬に3馬身半差をつける圧勝劇となった。

レースは1000m通過・57秒8のハイペース。もっとも、これは大逃げを打ったテイエムプリキュアが刻んだ数字であって、実質的には、離れた2番手を進んだドリームサンデーが作った緩みのない平均ペースの流れ。スピードの持続力をはじめとする“底力”が問われる一戦となり、結果として、有力と評価された馬が馬券に絡む順当な決着となった。

それにしても、マイネルスターリーは完璧なレースを見せてくれた。
道中は好位の6番手。3コーナー手前から進出すると、直線入り口では前を行くドリームサンデーを射程圏内に捕らえ、一気に抜き去った。「先頭に立つのが早いのでは?」という気もしたが、鞍上のホワイト騎手のコメントによれば「ズブさを考えた上での早仕掛け」。名手の好判断と言えるだろう。当然ながら“Bコースへの変更で前が止まらない馬場状態”についても考えの中にあったはずである。
『予習』では「同じ洋芝でも札幌と函館を一括りにしていいものか?」という疑問をあげたが、終わってみれば“無用の心配”。時計のかかる洋芝をこの時計で走れたということは、改めて適性の高さを証明した形でもある。
次走は札幌記念を予定しているとのこと。当然、有力候補の1頭になるだろう。

2着のジャミールは一気の距離短縮が不安視されたが、一応の格好はつけてくれた。
「早く動くと良くない馬」(安藤勝騎手)ということで、これまで通りの後方で脚を溜める競馬。4コーナーで前が詰まって追い出しが遅れたものの、最後は内を捌いて伸びてきた。馬群を割ってくる力強さは、能力の高さと評価してもいいかもしれない。
ただし、印象としては、直線の短い小回りコースには向いていないようにも思える。器用に立ち回れる一面も見せてくれたが、広いコースで末脚を活かす競馬の方が持ち味を発揮できそうだ。個人的には、勝ったマイネルスターリーよりも、秋のGⅠ戦線で期待したい1頭。

3着は5番人気のドリームサンデー。
ハナに立って逃げるのが理想ではあったが、離れた2番手とはいえ自分のペースで我慢できた点は高く評価したい。渋太い馬である。
目標にされるのは逃げ馬の宿命であるため、前走の金鯱賞同様、最後の直線で勝ち馬に交わされてしまったが、少なくともGⅢレベルならば馬券圏内への粘り込みを期待できるタイプ。特に、今回のように、内が止まりにくい馬場状態では今後も注意が必要な馬だろう。

4着は11番人気のエアジパング。
休み明けで久々の2000mということを考えれば、大健闘の内容だろう。もっとも、冒頭でも述べたように、このレースは“底力”が問われる一戦。天皇賞・春で5着という実績からすれば、決して驚けない結果だったかもしれない。

フィールドベアー(5着)、マンハッタンスカイ(6着)、マヤノライジン(8着)は、いずれも函館芝実績の高い馬だったが、各陣営に共通するのは「時計が速すぎた」というコメント。前日のラベンダー賞、日曜8Rの横津岳特別と、レコードタイムが続出した函館の芝。1分58秒台の決着を予想できたかどうかは別として、“時計のかかる函館での好走歴”は疑えたかもしれない。付け加えるならば、今回上位に入った馬が「函館よりも時計が少し速くなる札幌での実績が高かった」というのも偶然ではないように思える。

ひとことで言うならば、今回の函館記念は例年とは異質のレース。時計的な裏付けと底力がモノを言った一戦であり、それは馬券に絡んだ馬たちが“時計の速い新潟大賞典”“GⅠ天皇賞・春”“GⅠ宝塚記念の前哨戦となり金鯱賞”という近年にはないローテーションからの参戦だったことにも表れている。
函館といえば「洋芝で時計のかかる馬場」と思い込みがちだが、それ以上に“開催の傾向”をしっかり把握しておく必要があったということ。勉強になったレースである。





■函館記念・結果

2010年7月25日 2回函館4日9R
第46回 函館記念(GⅢ)
芝・2000m 晴・良

 1着 マイネルスターリー    ホワイト   1.58.5
 2着 ジャミール          安藤勝    3+1/2
 3着 ドリームサンデー       池添     クビ

単勝 6  570円(2番人気)
馬連 6-12 1540円  馬単 6→12 3190円
3連複 6-8-12 4080円  3連単 6→12→8 20350円


■函館記念・予習

サマー2000シリーズ第2戦、GⅢ・函館記念。
元々“荒れる重賞”というイメージが強いレースだが、今年の場合、傑出した馬が不在の上に、洋芝適性の高い馬が多く出走してきたこともあって、さらに難解な一戦になった感がある。実際、人気も割れ気味だ。

一昨年のこのレースで2着に入ったフィールドベアー
函館芝実績〈3.5.0.2〉という驚異的な数字を持つコース巧者。前走の函館競馬場グランドオープン記念では1番人気で4着に敗れたが、陣営はその敗因を「トップハンデで外々を回らされたし、太め残りもあった」と分析。もとより、グランドオープン→函館記念は予定のローテーションということで、万全の仕上げで臨む今回は、前走以上の走りを期待できるかもしれない。
ただし、前走で外々を回らされる競馬になった原因は7枠14番という枠順(陣営談)。1コーナーまでの直線距離が200m長くなるとはいえ、今回さらに外側の大外16番に入ったことは、ポジションを取りに行く上ではマイナス材料と見るべきだろう。
たしかにこの馬は、一昨年の北海道シリーズでは、巴賞1着、函館記念2着、札幌記念3着という結果を残した。しかしその後は、短距離路線やダートに参戦するなど、使い方に一貫性がなくなっている。つまり、陣営が「芝の中距離では限界がある」と判断したという見方もできるわけだ。
得意のコースではあるし、3走前の大阪杯4着では復調の兆しを見せているだけに軽視はできないが、絶対的な信頼という点ではどうだろうか。

札幌芝実績〈5.0.0.2〉のマイネルスターリー
全6勝中5勝が夏の札幌開催ということで、洋芝適性と同時にこの時期に調子を上げるタイプと考えられる。重賞未勝利ではあるが、常に差のない競馬。前走の新潟大賞典でも、得意としない上がりのレースでありながら、勝ち馬から0.3秒差の4着と健闘している。馬場適性のアドバンテージを活かせるようであれば、好レースが期待できそうだ。今週から参戦するホワイト騎手の手綱さばきにも注目だろう。
気になる点をあげるならば、函館が初出走であること。
札幌での実績から“洋芝適性”という括りだけが強調されているが、実際のところコース経験そのものはゼロ。北海道シリーズでの好走には“滞在効果”も大きな要因となるのだが、一昨年、昨年と札幌で2勝ずつ上げたマイネルスターリーは、いずれも「札幌滞在→札幌ダートコースでの調教」というパターン。「函館滞在→函館ダートコースでの調教」も初経験である。
同じ平坦小回りの洋芝コースではあるが、札幌で走るからといって函館も走るという裏付けはない。例えば、マンハッタンスカイは、函館〈2.0.2.3〉に対して札幌〈1.0.1.6〉という数字。マヤノライジンは、函館では〈2.1.1.5〉という実績だが札幌では〈0.1.0.3〉。洋芝適性とコース適性は別物と考えておいた方が無難かもしれない。

前走、天皇賞・春で3番人気に支持されたジャミール
GⅠではさすがに敷居が高かったものの、GⅡ・阪神大賞典2着という結果からは非凡な能力がうかがえる。洋芝に関しては札幌で1勝の実績。なにより、成長の見込める4歳馬であることが一番の魅力だろう。
問題は距離。
ここ5戦はいずれも2400m以上のレース。休み明けで一気の距離短縮がどう影響するか。加えて、近2走は3000m以上の距離ということもあって、4コーナー10番手以降の後方からの競馬になっている。言うまでもなく、直線の短いコースでは追い込みは届きにくい。2000m戦でも結果を残している馬ではあるが、今回はペースや位置取りなど課題の多いレースになるだろう。

函館競馬場グランドオープン記念を勝ったマンハッタンスカイ
逃げるベルモントルパンを番手から追走して抜け出すレースで、久々にこの馬らしい競馬を見せてくれた。リフレッシュ休養の効果とスタートで後手を踏まなかったことが勝因だろう。前に行きたいドリームサンデーとテイエムプリキュアが出走することで、前走と同様の展開が見込まれる今回、好走の可能性も高そうだ。
あとは、陣営や武幸騎手がコメントしている通り、発馬をクリアして好位を取れるかどうか。後ろからの競馬になるとこの馬の持ち味は活かせない。

トップハンデの58キロを背負うシャドウゲイト
国際GⅠ勝ちの実績を考えれば、この斤量は仕方ないだろう。函館芝は過去に〈1.0.1.0〉の実績。中山や中京での重賞勝ちがあるので小回りコースへの対応も問題ないはずだ。
前走のシンガポールインターナショナルCはゲート内で負傷して除外。実質的には3月の中京記念以来のレースとなるので、このあたりの状態面については直前のチェックが必要かもしれない。

前走、GⅡ・金鯱賞で2着に逃げ粘ったドリームサンデー
昨年の札幌開催では巴賞2着、函館記念5着という結果を残し、洋芝への対応力を示した。
今回は同型のテイエムプリキュアとの兼ね合いがどうかだろう。金鯱賞では1000m通過61秒のマイペースに持ち込めたが、同じレースをするのは難しそうだ。もっとも、速いペースで逃げることもできる馬なので、先手を取れるかどうかがカギになるかもしれない。

前哨戦の巴賞を制したメイショウクオリア
ダートからの参戦で人気にはならなかったが、ラジオNIKKEI杯3着、京都新聞杯勝ちというクラシック戦線での実績を踏まえれば、芝で走っても不思議ではなかった。加えて、レースに陣営がコメントしたように、洋芝適性があったということなのかもしれない。
過去3年、函館記念で3着までに入った9頭のうち8頭が巴賞組ということで、当然注目される1頭ではあるが、今年に限っては例年とは違った考え方をした方がいいだろう。というのも、函館競馬場グランドオープン記念という特別なレースが組まれたからだ。
中1週となる巴賞に対してグランドオープンは中4週のローテーション。函館記念を目標とするならば、グランドオープンを使った方が調整に余裕が持てる。実際、メンバー的にも前哨戦の意味合いが強かったのは後者の方だった。
さらに、今年の巴賞の勝ち時計は1分51秒7でレベル的に疑問。前述した巴賞組8頭のうち1分50秒台を超えたのは2007年のエリモハリアー1頭のみ(11着)で、それでも1分50秒1だった。
“洋芝で一変”というイメージを残したメイショウクオリアだが、連闘で中1週という自身のローテーションも含めて、強調材料は乏しいように思える。

前走、GⅡ・目黒記念で0.3秒差4着のスマートステージ
メンバーが手薄なハンデ戦とはいえ、オープン昇級初戦でそれなりの結果を出したことは評価すべきだろう。札幌芝で2着に入った実績もあり、ハンデ差を考えれば穴っぽい1頭という印象もある。
もっとも、ここ2戦の好走は上がり33秒台のキレ味勝負によるもの。上がりが35~36秒になる函館芝のレースに適しているとは思えない部分もある。
3・4走前に33秒台脚を使って連勝したスズカサンバも同様。この軽ハンデ馬2頭に関しては、「先行激化によるハイペースの展開になった時に台頭してくる差し馬」という考え方をした方がいいかもしれない。

札幌芝〈2.1.2.0〉の実績を持つサクラオリオンと、同じく〈2.2.2.1〉のエアジパング
洋芝適性という点では目を引く数字ではあるが、どちらも休み明け。しかも、2頭とも函館では結果を出していない。ここはあくまで使い出しで、目標は札幌開催という見方もできる。
2005年から函館記念3連覇を成し遂げたエリモハリアーも、さすがにもう厳しそうだ。中2週続きで函館と福島の連戦というのも、10歳馬には過酷だろう。

一変があるとすれば、マヤノライジンナムラマース
マヤノライジンの前走12着(グランドオープン)は出遅れがすべて。スタート後の直線で他馬に2秒近くの差をつけられていたのだからレースにはならない。函館芝実績〈2.1.1.5〉を買われて3番人気に支持された評価を思えば、巻き返しがあってもおかしくないだろう。9歳馬だけに上がり目には乏しいが、昨年の函館記念も55キロで2着に入っている。
ナムラマースの前走16着(巴賞)は1年半の休み明け。屈腱炎の放牧であるから無理はできなかったはずだ。1走叩いただけではそれほどの変わり身はないかもしれないが、重賞2勝を含む休養前の実績を考えると簡単には無視できない存在。函館芝は〈0.3.0.3〉。復調の度合いがカギ。

洋芝初経験となる2頭も一応マーク。
テイエムプリキュアは53キロの斤量を活かして“行き切る競馬”ができれば粘り込む可能性もある。
エイシンドーバーは近走マイルのペースに乗れないままの競馬が続いているので、時計のかかるレースがプラスに作用すれば好走があるかもしれない。





■アイビスSD・復習

アイビスサマーダッシュを制したのは8番人気のケイティラブ。今年もまた牝馬の勝利だった。

ケイティラブの勝因は、やはり「直線競馬の適性」に尽きるだろう。
新潟・直線芝1000m〈3.0.1.1〉の実績は無視できない数字であったし、『予習』でも述べたように、コーナーを通過する1200m戦ではしまいが甘くなる走りは、直線1000mでこそ活かされる能力と見なすことができた。
レコードに0.2秒差の逃げ切り勝ち。“スピードの絶対値”にモノを言わせた圧勝である。14年ぶりの重賞勝ちをマークした西田騎手にも拍手を送りたい。
もっとも、今回の勝利でこの馬がサマースプリントシリーズの主役に躍り出たかというと、そのあたりは微妙だ。コーナリングや瞬発力を要求される1200m戦で同じ競馬が通用するかどうか。“直線競馬のスペシャリスト”であることが証明された分だけ、今後の課題が明確になった一戦と言えるだろう。

2着には3番人気のジェイケイセラヴィ。
馬体重は戻っていなかったが、状態そのものは問題なかったようだ。スタートをうまく決めて外ラチ沿いを楽に追走。初の直線競馬ではあったものの、この馬の持ち味であるスピードを発揮できたレースだった。1200mでの実績を踏まえると、ケイティラブよりもサマースプリント向きという見方ができるかもしれない。今後の走りに注目したい。

3着以降は団子状態の大接戦となったが、ハナ差で馬券圏内に飛び込んできたのは、16番人気のマルブツイースター。
実は、この馬に関しては、昨年のアイビスSDのブログで“穴馬候補”として取り上げていたのだが、その時の走りに見所がなく、ここ数戦の内容からもスピード決着向きとは思えなかったために評価を下げてしまった。
結果論ではあるが、54秒台の持ち時計があり、1400~1600mからの距離短縮という要素を考えれば、一変の可能性を予想できたかもしれない。“狙っていた穴馬に裏切られると次は狙いづらくなる”とよく言われるが、正直「今年もどうせダメだろう」と切り捨てた部分もあった。大いに反省したい。

4着のアポロドルチェは開いた大外から凄い伸び脚(メンバー最速の31秒9)を見せた。休み明けではあったが、過去2年と同様に直線競馬の適性の高さを示したレースだった。
5着のシャウトラインももう一歩の競馬。こちらは久々の影響で最後の伸びを欠いたようである。

最終的に1番人気に支持されたメリッサは大差のシンガリ負け。
福永騎手は「適性の差が出てしまった」とコメントを残したが、『予習』でもふれたように“過剰人気”だった感は否めない。
もっとも、直線1000mで大敗したからといって、近走の好内容がフロックだったと判断するのは早計だろう。仮に、次走で北九州記念を使ってくるようであれば、得意の小倉コースだけに注意が必要。1200mならば巻き返しがあってもおかしくない。

3連覇を狙ったカノヤザクラは残念な結果に終わってしまった。
斤量を背負っていたため行きっぷりが悪く、故障の発生がなくても今回は馬券には絡めなかったとは思うが・・・。まだまだ活躍が期待できた馬だけに残念だ。冥福を祈りたい。

今回のレースは例年よりも「直線1000mの適性」と「スピード能力」が結果につながったように思える。
むしろ大事なことは、負けたメンバーについての分析・検証だろう。コーナーがあった方がスムーズに走れる馬(ウエスタンビーナス、ショウナンカザン)。時計のかかる決着に向いている馬(エーシンエフダンス、テイエムカゲムシャ)。次走の予想に活かせるようにしたい。



■アイビスSD・結果

2010年7月18日 2回新潟2日11R
第10回 アイビスサマーダッシュ(GⅢ)
芝・1000m 晴・良

 1着 ケイティラブ       西田     53.9
 2着 ジェイケイセラヴィ    江田照    3/4
 3着 マルブツイースター   柴田善     1

単勝 9  1300円(9番人気)
馬連 9-12 4800円  馬単 9→12 10410円
3連複 3-9-12 153890円  3連単 9→12→3 848340円


■アイビスSD・予習

直線・芝・1000mで行われる唯一の重賞・アイビスサマーダッシュ。
昨年のブログにも書いたように、このレースは「外枠」「牝馬・3歳馬」「ダート実績馬」という3つの要素が狙い目と考えられる。
「外枠」には、馬場の荒れていない所を通れることと、外ラチを頼ることで競走馬がまっすぐ走るようになる利点がある。
「牝馬・3歳馬」は、斤量差がアドバンテージとなり、特に“開幕週の軽い野芝”という今回の条件では、パワーよりもスピードが優先されるために軽量馬がより有利になる。
「ダート実績馬」は、ダートの短距離戦で問われる“一本調子のスピード勝負”への適性がプラスに働くケースが目立つ。言い換えれば、直線・芝・1000mのレースでは瞬発力は問われないということでもある。

前日売りの時点で1番人気に支持されているのは、当レース3連覇がかかるカノヤザクラ
アイビスSD2勝に加え、セントウルS勝ちがあり、昨年のGⅠ・スプリンターズSでは3着。実績面においては、抜けた存在と見なしていいだろう。
前走のCBC賞では10着に敗れているが、一昨年が5着、昨年が11着というように、CBC賞敗退から巻き返すのがこの馬のパターン。例年通りの叩き台と考えれば、今回も変わり身が見込めるはずだ。過去2年はいずれも有利な8枠に入ったが、今年の6枠11番も決して悪い枠順ではない。
問題は昨年よりも2キロ増となる57キロの斤量。馬格がある馬とはいえ、牝馬の57キロは間違いなく酷量であり、自身がこなせたとしても他馬との差を考えると不利な面は否めない。
さらに気になる点をあげるならば、前走の負け方。
「CBC賞敗退は例年通りのパターン」と述べてはみたが、過去2年が“後方から届かず”というレースだったのに対して、今年は“先行して粘れず”という結果だった。一昨年の年明けまで遡ってみて、この馬が4コーナーを5番手以内で通過して馬券に絡めなかったのは前走のみ。逆に近走では後方から追い込んで結果を出すレースに変わってきている(スプリンターズS・3着、阪神牝馬S・3着)。
あくまで推測ではあるが、仮にカノヤザクラに以前ほどの先行力(+持続力)がなくなっているとしたらどうなるだろうか。57キロの斤量を背負って後方からの競馬になれば、伸びを欠いて馬群に沈むケースも考えられる。

2番人気は、6歳牝馬のメリッサ
オープン昇格後、一度も馬券に絡んでいない実績を考えるといささか意外な人気ではある。もっとも、前走のCBC賞は地力強化を印象づける4着。平坦コースの小倉に良績があることから、スピード勝負向きであることは確かだし、折り合いに難のある馬となれば、距離短縮がプラスに働くかもしれない。
とは言うものの、初の直線競馬、初の新潟輸送と未知数な要素も多い。“牝馬が有利”“ダート実績馬が有利”(メリッサは4勝)というデータの後押しはあっても、信頼度に関しては疑問が残る。

昨年の2着馬・アポロドルチェ
一昨年も3着の結果を残しており、このレースとの相性は良い。ただし、今回は6ヶ月半の休み明け。陣営からも「できればひと叩きしたかった」というコメントが出ている。軽視はできないが、多少の割り引きは必要かもしれない。

前走、バーデンバーデンC5着のジェイケイセラヴィ
8ヶ月の休養明けだったこともあり、さすがに最後は脚が止まったが、ハイペースの3番手を楽に追走して5着に踏み留まった内容は評価できるだろう。ひと叩きした今回は息保ちも違ってくるはずだ。
直線1000mは初となるが、休養前の福島民友Cの勝ち時計1分7秒4が示すように、スピードの絶対値の高い馬。適性はあるかもしれない。
注意点は馬体重。休み明けの前走が14キロ減。気になるのは反動だ。直前の気配を確認した方がいいだろう。

2走前に直線1000mを勝ってオープン入りしたテイエムカゲムシャ
8枠17番という絶好枠に入ったことで、伏兵視する専門紙も少なくない。
この馬の場合は、時計勝負に対応できるかがカギだろう。前走のバーデンバーデンC10着について、陣営は「時計が速すぎた」とコメント。2走前の勝ち時計も55秒3(この馬の持ち時計)で優秀とは言い難い。

シルクロードS2着の実績を持つショウナンカザン
休養前の2戦はいずれも2ケタ着順だが、オーシャンS、高松宮記念ともに馬場コンディションの悪さが敗因だった。加えて、連戦の疲れもあったと言われている。
今回の休養がプラスに作用すれば、昨年秋のセプテンバーS(野芝の中山開催)で見せた快足が復活するかもしれない。直線競馬に対応できれば怖い存在だ。

一昨年のこのレースで2着に入ったシンボリグラン
短距離重賞では常に上位に入ってくる実力派タイプ。道悪で位置取りが後ろ過ぎた前走は6着に終わったが、それ以前の3走はいずれも馬券圏内。8歳馬ではあるが、衰えは感じられない。
58キロの斤量が嫌われているようだが、昨年も重馬場でありながら同じ斤量で勝ち馬のカノヤザクラから0.4秒差(6着)。良馬場が見込まれる今回、上位に食い込んできてもおかしくない。

新潟の直線芝1000mで〈3.0.1.1〉の実績を持つ、6歳牝馬のケイティラブ
準オープンからの格上挑戦となるが、適性を重視しれば侮れない1頭だ。
前走のテレビユー福島賞(芝1200m)は3着。逃げるだけ逃げて直線で差されるという結果は、いかにも“直線1000m向き”の負け方。むしろ、苦手の右回り芝コースで3着に入ったことは地力強化という見方もできる。相手関係は厳しくなるが、馬券圏内に入ってくる可能性もあるだろう。

バーデンバーデンCを好タイムで勝ったウエスタンビーナス
52キロの斤量に恵まれた感もあったが、逃げ切りではなく番手から抜け出す競馬ができたのは収穫だった。
今回は内枠に入り斤量増ということもあって人気を下げているようだが、7歳にして芝1200mの持ち時計を更新した勢いは軽視できない。2走続けてのブリンカー着用の効果があればなおさらだろう。右にモタれる面があるということなので、ダッシュを決めて外ラチ沿いにコースを取れるかどうかがポイントになるかもしれない。

人気薄で気をつけたいタイプは2通り。
ひとつは、前述のケイティラブのように、芝1200mのレースをハイペースで先行しながら最後の直線で差されて負けるタイプ。1000mならば行き切ってしまう可能性があるからだ。候補としては、エーシンエフダンス、シャウトライン、ショウナンラノビア
中でもエーシンエフダンスは昨年3着(8着降着)の函館スプリントSではなく、新潟に矛先を向けてきたローテーションが不気味。時計勝負に対応できれば面白いかもしれない(時計に関して言うならば、2走前に芝1400mの持ち時計を更新したショウナンラノビアも軽視できない)。
もうひとつのタイプは、馬群に揉まれるのを嫌う馬。横一線に広がる展開になれば自分の競馬に徹することができる。こちらの候補は直線芝1000mで2着に入ったこともあるメジロシリング



■今週末のブログについて

いつも「競馬のツボ<ブログ版>」にご来訪いただき、ありがとうございます。
急な出張が決まったため、土曜の朝から出かけなくてはならなくなりました。
大変申し訳ありませんが、今週のブログは休ませていただきます。

よろしくお願いします。


安東 裕章



■函館スプリントS・復習

サマースプリントシリーズ第1戦・函館スプリントSを制したのは4歳牝馬のワンカラット。2着馬に2馬身差をつける圧巻のレコード勝ちで、スプリント界の新星として名乗りを上げた。

レースは4頭が競り合う形で前半3F・33秒1のハイペース。前がやり合う典型的な“差し馬向き”の展開となった。
ワンカラットは中団後方のインから徐々にポジションを上げ、抜群の手応えで直線を向くと、一気に抜け出して後続を振り切った。
最内枠を活かして好位置を取れたこと、流れが速くなって折り合いがついたこと、懸念されていた状態面がキープできていたこと、そして、54キロの斤量。勝因を列挙してみると、勝つべくして勝ったという見方もできるだろう。メンバー中最速の上がり(34秒5)で差し切った点から、洋芝適性があると判断してもいいかもしれない。
今後の課題は、時計勝負のレースになった場合の走り。『予習』でも書いたように、この馬の好走は時計のかかる決着が多く、今回のレコードにしても1分8秒2。スプリンターの可能性は感じるものの、スピードそのもののレベルアップが必要だろう。まだまだ成長の見込める4歳馬なので、そのあたりの本格化に期待したい。

2着は1番人気に支持されたビービーガルダン。
ハナを奪うかのような好スタートを決めたが、競り合いを避けるために一旦下げて絶妙な位置取り。最後はワンカラットに突き離されたものの、貫禄すら感じさせるレース運びだった。59キロで休み明けという条件を考えれば、上出来の内容だったと言えるだろう。
気になるのは今後のローテーション。『予習』でもふれたように、「休養→1走叩く→GⅠ本番」というのがこれまでのこの馬のパターン。スプリンターズSへ向けてどのような使い方をするのか、そして、どのように仕上げていくのか。とりあえず、今回のレースに関しては、底力の違いを見せてくれたと思う。

3着はアポロフェニックス。
好走の部類に入れてもいいのかもしれないが、何とか馬券圏内に流れ込んだという印象も拭えない。それでも、展開が向いたとはいえ、あまり得意としない厳しい流れのレースで結果を出したのであるから、この馬なりに力を付けているという見方もできるだろう。
先行力もキレ味も及第点なのだが、重賞で勝ち負けするには、もうひとつインパクトが欲しい馬である。

3歳馬のキョウエイアシュラが4着。
「今回は仕掛けて出した」という吉田隼騎手のコメントの通り、近走に比べるとかなり前の位置での競馬。その分、最後の末脚が鈍った感もあるが、この仕掛けがきっかけになってスタート後に行き脚がつくようになれば、後方一気に頼っていた脚質の幅が広がる可能性もある(実際、吉田隼騎手も「次は違ってくるはず」と述べている)。
1200mでは若干忙しいような気もするので、今後の使い方に注目。距離を延ばして、新潟の関屋記念あたりに出走してくると面白いかもしれない。

3番人気のアーバニティは5着。
ダッシュが付かずに後方からの競馬。横山典騎手は「展開が向かなかった」とコメントしたが、『予習』でも指摘したように、前半が速くなるレースはこの馬向きではないのかもしれない。ある意味、今回は参考外。1400~1600mのスローペースの瞬発力勝負で持ち味を発揮するタイプという気もするのだが・・・。

総崩れとなった先行馬の中で見直せるとすればケイアイアストン(8着)。
内枠で引くに引けない展開になった上でのオーバーペース。好位でも競馬ができる馬なので、枠順や同型の有無によっては巻き返せる要素があるだろう。レコード決着を演出したスピード自体は評価できるのではないだろうか。


波乱の要素があるかとも思えた一戦だったが、終わってみれば1・2番人気での決着。勢いと実力のある馬が順当に結果を出したと言っていいだろう。
個人的な反省点を述べるならば、洋芝適性にとらわれすぎたこと。たとえ洋芝実績があっても能力に決定的な差があれば逆転できない。人気薄の激走を期待しすぎたかもしれない。


■函館スプリントS・結果

2010年7月4日 1回函館6日9R
第17回 函館スプリントS(GⅢ)
芝・1200m 曇・良

 1着 ワンカラット        藤岡佑   1.08.2
 2着 ビービーガルダン     安藤勝     2
 3着 アポロフェニックス     勝浦     クビ

単勝 1 420円(2番人気)
馬連 1-13 900円  馬単 1→13 1770円
3連複 1-5-13 3060円  3連単 1→13→5 13220円


■函館スプリントS・予習

2010年サマースプリントシリーズ第1戦となる函館スプリントS。
同シリーズの行方もさることながら、秋のGⅠ・スプリンターズSへ向けての勢力図を判断する意味でも、興味深い一戦である。

ポイントとして押さえておきたいのは2点。
ひとつは、洋芝適性。
近年の勝ち時計が1分8秒台半ばから1分9秒台ということからもわかるように、函館の芝は重く時計がかかるのが特徴。コース実績の有無はもちろんのこと、近走の好成績によって人気になっている馬については、どのような馬場を走ったかに注意したい。時計の出る軽い芝(東京・京都)に好走した馬が、力の要る洋芝馬場で凡走するケースも少なくない。
もうひとつは、牝馬と3歳馬が好成績を残していること。
これについては、『ツボ2』の中でも書いたように、牡馬・古馬との斤量差が大きな要因と考えられる。牝馬は過去10年で7勝、連対率33.3%という驚異的な数字。3歳馬に関しては、03年のアタゴタイショウ(3着)、05年のディープサマー(3着)、07年のサープラスシンガー(2着)のように、先行して粘り込む結果が目立っている。

出走馬中、断然の実績を持つビービーガルダン
一昨年のスプリンターズS3着、昨年の同レースで2着、そして、今年の高松宮記念で2着。ここでは抜けた存在である。
洋芝適性も高く、函館では〈2.1.1.0〉、札幌では〈3.2.0.1〉。今回は高松宮記念以来の休み明け(3ヶ月)となるが、鉄砲を苦にするタイプではない(実績は〈2.1.0.1〉)。
課題となるのは、言うまでもなく59キロの斤量。馬格のある馬なので、斤量自体は問題ないかもしれないが、他馬との差を考えた場合、やはり不利は否めない。
さらにもう1点気になるのが、GⅠへのローテーション。
夏の北海道シリーズを連勝してスプリンターズSへ駒を進めた一昨年は別として、この馬がGⅠへ出走する場合、「休養→1走叩く→本番」というのがこれまでのパターンだった。昨年もキーンランドCからスプリンターズSという使い方をしている。
今回、このレースを使って次走がスプリンターズSとなると、あまりにも間隔が開く。おそらくもう1戦使う予定ではないだろうか。となれば、どの程度まで仕上げてくるかという点がカギになる。GⅠという明確な目標があるがゆえに、ここは“あくまで使い出し”という見方もできるかもしれない。

前走、CBC賞で3着に入った4歳牝馬のワンカラット
4走前には牡馬混合のGⅢ・阪急杯で2着(ビービーガルダンは57キロで7着)。この時の斤量が55キロだったことを考えれば、今回の54キロは有利な材料だ。レベルが高いと言われる4歳牝馬の中で桜花賞4着の実績。能力的にも軽視はできないだろう。
もっとも、洋芝適性については未知数。これまでの好走が時計のかかる決着だったことや、牝馬で500キロ超のパワー型であることから、「洋芝向き」という意見も多いが・・・。
加えて、2走前にGⅠ・ヴィクトリアマイルを走っていることも、状態面に関しての不安要素のひとつ。GⅠともなれば、当然ピークの仕上げだったはず。その後に経験の少ない1200m(しかも力のいる稍重)を走り、中2週で長距離輸送を経て、初の滞在競馬。陣営も押せ押せのローテーションについては気にしているが、その中身は単なる使い詰めよりも過酷と考えることもできる。データ的には有利な牝馬だが、直前の状態には注意を払う必要があるだろう。

前走、レコード決着となった京王杯SCで3着に入ったアーバニティ
昨年のスプリンターズSでは7着ながら0.3秒差。近走は1400m戦で結果を出しているが、スプリンターとしての能力も決して侮れない。実際、陣営も「ベストは1200m」とコメントしている。今回、斤量が1キロ減となるのも好材料だろう(過去の1200m戦2勝はいずれも56キロ)。
洋芝に関しては、札幌の新馬戦で大敗を喫してはいるが、基本的には未知数。稍重の中山芝1200mで連勝していることから、時計のかかる重い芝向きと判断する声もあるが、前走のレコード決着好走から、軽い芝での時計勝負向きと見なすこともできる。一概にどちらとは言えない。
むしろ、考えるべきはペースである。
近走、この馬が馬券に絡んだレースは2回(5走前のオーロCと前走の京王杯)あるが、いずれも前3Fよりも後3Fの方が速くなる“上がりの競馬”だった。対して、函館スプリントSは過去10年、上がり3Fが前3Fより速くなったことは一度もない。はじめの600mを33秒台で通過するペースに対応できるかどうか。そのあたりがカギになるかもしれない。

洋芝では〈2.1.0.0〉の実績を持つ3歳馬のキョウエイアシュラ
昨年夏の札幌で3戦連続連対をマークした後は、精彩を欠く走りを続けていたが、2走前のニュージーランドT、前走のNHKマイルCあたりから持ち味の末脚に復活の兆しが見え始めた。
今回は得意とする洋芝で、しかも結果を出している1200m戦。一変の可能性も十分にあるし、古馬との斤量差を味方につければ、勝ち負けに加わってもおかしくない。
あとは展開次第だろう。流れが速くなって前崩れの競馬になるのが理想。マクり気味に進出するレースができれば問題ないが、近走のように直線だけの勝負になると、ハマるかどうかがポイントになりそうだ。

1200m戦では6勝の実績を持つアポロフェニックス
重賞でも通用すると言われ続けている馬で、今回もそこそこの人気になっている。ポジションを問わない自在性があり、上がりのかかるレース向きということもあって、重い洋芝をこなせれば馬券圏内に入ってくる可能性もあるだろう。
もっとも、オープン昇格から11戦して馬券に絡んだのは3回。重賞では一度も掲示板に載っていないというのは物足りない。上がりのかかるレース向きとはいえ、この馬の場合は、前半3F・34秒台の平均ペースでないと結果が出ていない。アーバニティと同様、ペースへの対応が課題になるだろう。

ダートの快速馬・笠松のラブミーチャン
父・サウスヴィグラス、母父・アサティスというダート血統ではあるが、初芝のフィリーズレビューでは見せ場十分の逃げを見せた。距離が1F短くなる今回は逃げ粘る可能性もあり、時計のかかる洋芝が血統的にもこの馬に味方するという意見も出ている。なにより、51キロの軽量が魅力だ。
とは言うものの、課題はやはり芝でどこまで走れるかだろう。同型のヘッドライナーが回避したことで、展開的にも有利になったという見方もできるが、ハナを切りたい馬は他にもいる。先手を取って後続に脚を使わせる競馬ができるかどうか。スピードだけで押し切れるかもしれないが、逃げ馬なりの器用さやかけひきも必要と思われる。

人気薄で注意したいのは、洋芝適性の高い馬の“一変”。

ケイアイアストンは札幌芝で〈2.1.0.0〉の実績。
前走(9着)は出遅れによって本来の先行策が取れなかったのが敗因だ。重賞実績はないものの、3走前のOP・尾張Sでは1番人気に評価された馬。叩き3走目となる今回、内枠を利した早めの競馬ができれば、休養前の走りを期待できるかもしれない。

札幌芝で〈2.3.1.2〉の数字を残しているランチボックス
前走(17着)は休み明けながら10キロの馬体減。体調面が万全ではなかったようだ。今回、滞在がプラスに働き状態面が整えば、一変する可能性もあるだろう。オープン昇級後3戦目でもあり、クラス慣れも見込めるはずだ。問題はスタート後の位置取り。あまり後方になるようだと、内に閉じ込められるリスクが生まれる。

昨年の勝ち馬・グランプリエンゼル
近走は見せ場すら作れない競馬が続いているが、洋芝においては函館〈0.1.0.0〉、札幌〈2.0.1.0〉。夏場と滞在競馬に向いているのであれば、激変があるかもしれない。しかも今回は、「自分から止めるところがあるので」(陣営談)ブリンカーを装着。あとは、休み明けでどれだけ仕上がっているかだろう。

ピサノパテック、シンボリウエスト、タニノマティーニの3頭も洋芝での実績はあるが、高齢馬だけに一変の要素があるかどうか。
好走があるとすれば、ピサノは差し馬台頭の展開になった場合、シンボリはすんなりと先手を取れた場合、タニノは休み明けでも力を出せる状態だった場合といった条件が付きそうだ。



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プロフィール

安東裕章

Author:安東裕章
東京都出身。2007年11月に書籍『競馬のツボ』、2008年7月に『競馬のツボ2』、2009年7月に『競馬のツボ3』を発表(いずれも総和社刊)。

このたび、拙著『競馬のツボ』を刊行していただいた出版社・総和社様の勧めもあって、ブログを始めることにしました。
競馬における一番の楽しみは、レースについて考えること。つまり予想です。
このブログを書くことで、自分でも週末のレースに向けてイメージを膨らませる訓練になるかと思います。
競馬について考えることが好きな皆様。レース予想に疲れて気分転換をしたい時など、よろしければフラッと遊びに来てください。

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