■2010年08月

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■新潟記念・復習

9着までが0.3秒差以内というゴール前の大接戦。
サマー2000シリーズ最終戦・新潟記念は、5番人気のナリタクリスタルが重賞初勝利を上げ、シリーズチャンピオンの栄誉を手に入れた。

レースは前半1000mが60秒6で後半1000mが57秒8。前後半のラップに3秒近くの差があるスローペースは、好位で先行した馬には有利な流れとなり、逆に末脚で勝負するタイプには厳しい展開となった。
ナリタクリスタルは道中3番手でレースを運び、4コーナー手前あたりからロングスパートを開始。直線半ばで先頭に立つと、後続との長い追い比べをクビ差制した。最後まで他馬を抜かせない渋太さは、この馬の持ち味と評価していいはずだ。長くいい脚を使えた点も、このレースでの収穫だろう。
陣営は「本格化するのはまだまだ先」とコメントしている。成長の見込める4歳馬だけに、経験を積んでいけば“存在感のある強さ”も備わってくる可能性も大きい。現時点ではまだ「ハンデ重賞の勝ち負け候補」といった印象だが、今後の成長と活躍に期待したい。

2着は10番人気のトウショウシロッコ。
『予習』の中で「注意したい」と取り上げた馬だが、今回は別定GⅡでも好走できる能力を見せてくれた。状態も良かったのだろう。
中団で脚を溜め、外に持ち出すと前を交わすかのような勢いだったが、最後は同じ脚色。どうしても“詰めの甘さ”が出てしまうようだ。もっとも、中山に良績が多いように、どちらかと言えば一瞬の脚しか使えない馬。長い追い比べで2着に入った結果は、大健闘と言えるかもしれない。
次走は中山・オールカマーを予定しているとのこと。7歳馬ではあるが、まだまだ見限れない存在である。

3着はサンライズベガ。
不本意だった七夕賞、小倉記念と比べると、最高の走りができたのではないだろうか。道中は勝ったナリタクリスタルと並んで前を追走。直線では先に抜け出された分、あと一歩及ばなかった。
松岡騎手は「勝った馬よりも手応えが良かったのに差が詰まらなかった」とコメント。これについては、ナリタクリスタルの“抜かせない勝負根性”を誉めるべきなのだろうが、もしかしたら夏の重賞3戦目の疲れが影響したのかもしれない。同じローテーションを使ったバトルバニヤン(7着)の和田騎手とアルコセニョーラ(14着)の武士沢騎手は、どちらも「目に見えない疲れがあったのかもしれない」と発言しているからだ。
連戦の疲れをしっかりとって、この後も軽快な走りを見せてほしい。

外から追い込んだメイショウベルーガが4着。
3コーナーで一旦後退したことと、直線でなかなか外に持ち出せなかったことが敗因と考えられるが、それでも前が残りやすい展開(しかも56キロを背負って)で0.1秒差まで迫ってきたのは、能力の高さの証明とも言えるだろう。昨年のエアシェイディ(4着)もそうだったが、格上のグレードで好走している馬はそれなりの走りを見せてくれるということだ。残念な結果ではあったが、秋に向けての使い出しとしては上々の内容だったと思う。

同じ追込脚質でも、1番人気のスマートギア(6着)には課題の残ったレース。
展開が向かず、最後まで外に出せなかったとはいえ、4コーナー手前からの武豊騎手の仕掛けに対して反応が鈍かった点はいただけない。エンジンのかかり方が遅すぎるのだ。
長い直線はこの馬の差し脚向きだと思われていたが、一部の評論家からは「コースが変わってもこの馬は加速できる距離が限られている」という意見も出ている。もう少しがペースが速くなれば、結果も違っていたのだろうが、この馬の末脚については少々過大評価されていた感もある。自分でレースを作れるようになれるかどうかがカギである。

3番人気のスリーオリオンは5着。
重賞初挑戦としては上出来の結果だろう。やはり、相手なりの走れる堅実派である。あとは、この先どれだけの決め手を使えるようになるかだろう。




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■新潟記念・結果

2010年8月29日 3回新潟6日11R
第46回 新潟記念(GⅢ)
芝・2000m 晴・良

 1着 ナリタクリスタル   幸      1.58.4
 2着 トウショウシロッコ  吉田豊    クビ
 3着 サンライズベガ     松岡    アタマ

単勝 5  940円(5番人気)
馬連 6-8 11750円  馬単 8→6 16230円
3連複 5-6-8 24040円  3連単 8→6→5 134970円


■新潟記念・予習

サマー2000シリーズ最終戦・新潟記念。
近5年、1番人気が馬券に絡まず、ここ3年は2ケタ人気の馬が好走するなど、荒れるイメージの強いハンデ重賞である。

前日売りの時点で1番人気に支持されているのはスマートギア
前走の小倉記念は3着。末脚勝負のこの馬にとって、決して有利ではない直線の短い小回りコース(しかも最内枠)ではあったが、メンバー最速の上がり(34秒4)で馬券に絡んできた。新潟外回りへのコース替わりは、言うまでもなくプラス材料。同じ新潟外回り・2000mで行われた昨年夏の天の川Sでマークした上がりは32秒2。直線の追い比べ勝負になれば、この馬の能力が存分に発揮できるはずだ。
もっとも、スマートギア=頭鉄板とまで言い切れるかどうか。
昨年の5月にオープン入りしてから13戦、この馬は1勝も上げていない。GⅠに参戦していることもあって“実力上位”の印象が強いが、実はオープン勝ちのない馬なのである。
勝ち切れない理由は“差して届かず”のケースが多いこと。昨年夏から今年の年明けにかけて2着が5回があるが、1着馬は“スマートギアよりも早めに動いた差し馬”。仕掛けのタイミングの差が結果につながっている。
今回はこの馬の全5勝のうち4勝を上げている武豊騎手が鞍上。絶妙の追い出しからキッチリ差し切れるかどうか。ここで勝てばサマー2000シリーズ優勝となる一戦。名手の手綱さばきに注目したい。

宝塚記念(6着)以来の出走となる牝馬のメイショウベルーガ
年明けの日経新春杯を勝ち、阪神大賞典でも3着。牡馬混合の重賞でも遜色のない走りを見せている。この馬も末脚勝負のタイプで新潟外回りは歓迎。牝馬の56キロは楽ではないが、実績を考えれば妥当な斤量だろう。
取捨選択のポイントは、「このレースが目イチの勝負かどうか」の判断。春の実績を踏まえれば、目標は当然、秋のGⅠ戦線のはず。ここはあくまで使い出しという考え方もできる。函館からの長距離輸送も気になる材料のひとつ。状態面に関しての直前のチェックが必要になりそうだ。

重賞初挑戦のスリーオリオンも人気の一角。
前走、準オープンを勝ったばかりだが、上がり馬の勢いが買われているのだろう。新潟芝コースは〈2.2.0.1〉と好相性。鞍上の内田博騎手も〈2.2.1.1〉の騎乗実績を残している。
昨年の年明けから15戦連続で4着以内という堅実派だが、これについては“相手なりに走れる強味”と考えられる反面、条件クラス卒業までに時間を要したことから“今ひとつ決め手に欠ける”という見方もできる。そのあたりをどう評価するかが買い目のカギになるかもしれない。
ハンデの55キロも昇級初戦としては見込まれた感がある。凡走のイメージは涌きにくい馬ではあるが、初重賞でいきなり結果を残せるかどうか。この馬自身の今後を占う意味で重要な一戦だろう。

昨年の2着馬・サンライズベガ
前走の小倉記念は行き脚が付きすぎて直線で失速(7着)。外枠からポジションを取りにいったことが裏目に出たようだ。2走前の七夕賞は出遅れ。ここ2戦は好位で脚を溜めて抜け出す本来の競馬ができていない。それでも大きく負けていない点については、この馬の底力と評価できるかもしれない。持ち味を発揮できれば巻き返しが期待できるはずだ。勝てばシリーズ優勝となる。
問題はシリーズ3戦目となるローテーション。夏の間の重賞3連戦による疲労と消耗が気になる。
昨年のシリーズチャンピオンのホッコーパドゥシャは、同じ「七夕賞→小倉記念→新潟記念」というローテーションをクリアしたが、その後の成績不振をみると、夏場の無理がたたったのではないかと思いたくもなる。まして、今年は昨年とは比較にならない猛暑。はたして体調の維持ができているかどうか。陣営は「使いつつ良くなるタイプなので問題ない」とコメントしているが・・・。

七夕賞3着(同着)、小倉記念2着のバトルバニヤン
この馬に関しては、ローテーションの不安に加えて、良績が平坦小回りコースに集中している点も気になる。近走のマクリ気味の進出は直線勝負の新潟コースのイメージではない。0.5キロとはいえ斤量も増える。
もっとも、池江泰郎調教師が来年2月に勇退ということもあって、シリーズチャンピオンに向けての厩舎の勝負気配はかなり高いとのこと。元来、夏場に強い馬だけにノーマークは禁物かもしれない。

七夕賞の1・2着馬、ドモナラズアルコセニョーラは、小倉記念で11着・9着。ともにシリーズ優勝の可能性がありながら、今回はかなり人気を落としている。
ただし、どちらも8枠に入ったことで、直線勝負に徹することができるようになったのも事実。斤量は変わらず、ローテーション的にも厳しいものはあるが、展開次第では大外から突っ込んでくるかもしれない。
特に、アルコセニョーラに関しては、前走が「初コース+大幅な馬体増」。一昨年の勝ち馬だけに、得意コース(〈1.2.1.1〉)での一変には注意したい。

前走、小倉記念で2番人気に支持されたナリタクリスタル
2走前の釜山Sが圧巻だったために期待された前走だったが、直線で前が詰まりブレーキがかかったのが痛かった。その点、新潟コースは馬群が横に広がるので、スムーズに走りやすい。陣営もコース替わりを歓迎している。
ただし、この馬の場合、長い直線での追い比べに関しては未知数。東京コースは3歳時に1走経験しているが(エーデルワイズS4着)、新潟は初。脚の使いどころがポイントになりそうだ。

前走、重賞初挑戦の七夕賞で13着に敗れたダイワジェンヌ
陣営は「馬場の悪いインコースを走らされたこと」と敗因を分析しているが、1600万勝ちから連闘で使ったことで多少の疲れがあったのかもしれない。じっくり立て直した上で、今回は〈2.1.2.1〉の実績がある新潟コース。52キロの斤量ならば一発があってもおかしくない。鞍上が今開催乗れている北村宏騎手というのも心強い。
もっとも、実績面でいえば、まだまだ見劣りする。軽量の牝馬ということで、2年前のアルコセニョーラとイメージをだぶらせる声もあるが、アルコセニョーラの場合は3歳時にGⅢ・福島記念を制していたし、GⅠ・ヴィクトリアマイルにも出走していた。「夏・牝馬・軽量」という条件だけで“買い”という判断は危険かもしれない。

実績面で上位なのはトップハンデのアドマイヤオーラだが、近走は順調さを欠いているためアテにしづらい。福島TVオープンの3着にしても、走ろうとする気迫が感じられなかった。能力を発揮できれば、アッサリがあってもおかしくないのだが・・・。
むしろ注意したいのは、一昨年の3着馬・トウショウシロッコ。重賞勝ちこそないものの、別定GⅡでも好走歴があり、軽視はできないだろう。久々の前走・七夕賞でも5着に健闘。脚の使いどころの難しい馬だが、好位・中団あたりで流れに乗る競馬ができれば、面白い存在になるかもしれない。

スマートギア、メイショウベルーガといった有力馬が末脚で勝負するならば、人気薄の先行馬に注目するのも定石だ。

最内枠に入ったテイエムプリキュアにも注意したいが、2走前の目黒記念で2着に粘ったイケドラゴンも気になる1頭。
前走の七夕賞は6着だが、外差しの決まる馬場を考えれば0.2秒差の結果は評価できる。新潟芝は〈1.1.0.1〉の実績。テイエムプリキュアにハナを譲って、2番手からマイペースで行けるようならば、今回も粘り込みがあるかもしれない。
開催後半の新潟芝コースは“外差し有利”の印象が強いが、土曜の10レース(外回り・1800m)では逃げ馬と番手が1・3着。前半3Fが37秒1というスローではあったが、ペース次第では内でも残れるようだ。

有力馬よりも早めに抜け出す決め手のある馬も一考。候補はホワイトピルグリムスマートステージ
ホワイトピルグリムの前走(小倉記念8着)は、『小倉記念・復習』でも書いたように、北海道→栗東→小倉という強行軍が響いた結果。中間のリフレッシュ放牧がプラスに作用すれば、GⅡクラスでも好走できる力があるだけに怖い存在だ。
スマートステージは函館記念で14着と大敗したが、陣営によれば「洋芝が合わなかった」とのこと。2走前、3走前の東京コースでの走りを見る限りではキレ味勝負向きだ。斤量差を活かして有力馬を出し抜くような競馬ができれば面白いかもしれない。


札幌のキーンランドCは、スプリンターズSに向けてのローレルゲレイロ、ビービガルダンの走りに注目だが、それ以上に興味があるのは、ワンカラットとトウカイミステリーの2頭の4歳牝馬が本物かどうかという点。このレースで結果を残せれば、スプリント戦線に厚みが出て先々が楽しみになる。
馬券的には、立ち回りの巧いベストロケーションと大外強襲がありそうなトシギャングスターが気になる存在だ。




■札幌記念・復習

夏の頂上決戦・札幌記念は1番人気のアーネストリーが完勝。秋のGⅠへ向けて大きな弾みをつけた。

レースは、最初の3Fこそ34秒6という速いペースになったものの、トータルで見ると、前半1000m・59秒3→後半1000m・60秒1という緩みのない流れ。紛れの生じにくい“実力勝負”の一戦となった。
離れた3番手を楽な形で追走していたアーネストリーは、3コーナー手前で馬群が固まると、前を行くロジユニヴァースの外側へ。直線では並ぶ間もなく抜き去り、最後は2馬身近くの差をつける余裕の勝ち方を見せてくれた。
先行する馬をマークして直線で抜け出す競馬。“正攻法の勝ちパターン”でレースを制する“強さ”は、もはや本物と判断していいだろう。ウオッカ、カンパニーが引退した中距離戦線に、新たなGⅠ級の実力馬が台頭してきたことは、うれしい限りである。
次走は天皇賞・秋を予定しているとのこと。となれば、課題は「瞬発力勝負に対応できるかどうか」だろう。高速決着は得意としているものの、この馬自身は34秒を切る上がりの脚を使ったことがない。今後、GⅠ戦線で結果を残していくためには、そのあたりがポイントになるかもしれない。

2着はロジユニヴァース。久々にこの馬らしい“躍動感のある走り”を見せてくれた。
『予習』の中では「横山典騎手が極端な競馬を試みるかもしれない」と書いたが、実際には逃げるドリームサンデーを番手でマークする正攻法のレース。これは、ジョッキー自身が「普通に走っても十分勝負になる(奇策を使う必要はない)」と判断したからに違いない。つまり、それだけ状態が良くなっていた(騎手の感触として)ということだ。
もちろん、この1走だけでは“完全復活”とは呼べないだろうし、まずは、順調に使われていくことが先決だ。ともあれ、能力を発揮できれば結果を残せることを証明してくれたことには感謝したい。

3着のアクシオンも、状態面の良化が結果につながった。
戦前、陣営は「1週前の追い切りで馬が一変した」というコメントを出していたが、どうやら嘘ではなかったようだ。もとより、札幌は〈2.2.0.0〉の実績を持つ得意のコース。好走できる材料は揃っていた(『予習』では「まだ本調子ではない」と評価を下げたが・・・)。
岩田騎手の好騎乗も無視できない。道中は中団で脚を溜め、3コーナー過ぎから動き始めると、直線では勝ち馬の直後までポジションを上げていた。レースの流れを読み切った判断であり、同時に、馬の脚質を熟知した乗り方でもあった(騎乗実績は〈1.2.0.0〉)。

3歳馬のヒルノダムールは4着。
藤田騎手は「もっと前で競馬をしたかった」とコメントしたが、たしかにスタートで出遅れたのは痛かった。
最後はそれなりに伸びてきてはいたが、結果的にはアクシオンに“追い負け”。道中で脚を使った影響があったとはいえ、3キロ差の斤量を考えると、そのあたりは少なからず不満でもある。
もっとも、目標は先の菊花賞と考えれば、古馬相手の実力勝負で4着という結果は上々かもしれない。この敬経験が本番でプラスになることを期待したい。

5着のジャミールは外枠に入ったことで、終始外々を回らせる競馬になった。展開も向かなかったし、今回はある意味参考外だろう。
安藤勝騎手は「距離はもう少し欲しい」とコメント。これまで何度も述べたように、直線の長い広いコース向きの走りと思えるので、秋の京都大賞典あたりが狙いどころになるかもしれない。

サマー2000シリーズの優勝候補だったマイネルスターリー(3番人気)は6着。
『予習』で懸念していた通り、好位置がとれず、函館記念の時のような自分から動く競馬もできなかった。スタートで出負けしたこともあるが、最内枠の不利もあったようだ。

今年の札幌記念は、秋につながる内容の濃いレースだったと思う。
アーネストリーはGⅠでの走りを期待させてくれる勝ち方をしてくれたし、ロジユニヴァースとアクシオンは今後に向けての復調の兆しを示してくれた。
ヒルノダムール、ジャミールも同様。前者は「同世代が相手ならば」、後者は「舞台が変われば」という、次への期待につながる走りだったように思える。
フィールドベアー(9着)の秋山騎手とドリームサンデー(12着)の池添騎手は、レース後に同じコメントを残している。
「この馬の走りはできた。でも、今日はメンバーが強かった」
つまり、力通りの決着だったということ。
能力の高い馬がその能力を発揮して結果を出す。納得のいく一戦だった。



■札幌記念・結果

2010年8月22日 1回札幌4日9R
第46回 札幌記念(GⅡ)
芝・2000m 晴・良
 
 1着 アーネストリー     佐藤哲   1.59.4
 2着 ロジユニヴァース   横山典   1+3/4
 3着 アクシオン        岩田     1+1/4
 
単勝 6  240円(1番人気)
馬連 6-10 1610円  馬単 6→10 2900円
3連複 5-6-10 9560円  3連単 6→10→5 39100円


■札幌記念・予習

GⅡ・札幌記念。
サマー2000シリーズの第4戦という位置付けではあるが、その他のハンデGⅢとは明らかに“格”の違う一戦である。出走馬のレベルも高く、毎年のようにGⅠ馬が参戦。過去10年においても、連対馬20頭中16頭に芝1600m以上の重賞勝ちがあり、実績を軽視できない傾向がある。
一方で、前走で函館記念を走った馬が10年で7連対(近3年でも3着以内に4頭)。函館記念上位組ならば、シリーズチャンピオン狙いの勝負気配があるだろうし、負け組についても、洋芝適性や滞在効果などによる巻き返しがあるかもしれない。
多彩な顔ぶれが揃う注目のレースだが、予想に関しては、比較・検討の基準を見つけにくい難解な一戦と言えるだろう。

土曜日夕方の時点での前売り1番人気はアーネストリー
昨年秋からの充実ぶりは“完全本格化”を印象づけるものであり、初のGⅠ挑戦となった前走の宝塚記念でも3番人気の支持を集めて3着という結果を残した。5歳馬ながらキャリアはわずか16戦ということもあって、レースごとに走りの成長がうかがえる。ひとことで言えば、それは「自分の好走パターンに持ち込めるようになった」ということだろう。
好スタートから番手のポジションをキープして直線で抜け出す競馬。このパターンが確立されたことによって、この馬の強さに磨きがかけられたように思える。今回も“好相性の先導馬”であるドリームサンデーが出走。自分の形に持ち込めばおのずと結果はついてくるだろうし、秋のGⅠ戦線に向けての展望も開けるはずだ。
気がかりな点をあげるならば、予想以上に時計がかかった場合。
2000mの距離は〈5.1.0.2〉と最も得意としており、近5走でも3勝を上げているが、その勝ち時計は1分57秒~59秒台の速い決着。どちらかと言えば、高速馬場向きの走りというイメージがある。札幌にも勝ち鞍があるので、洋芝適性自体を不安視する必要はないかもしれないが、時計のかかる重い芝でこれまでのような“鋭い反応からの一瞬の抜け出し”ができるかどうか。

昨年のダービー馬・ロジユニヴァース
“レースレコード(札幌2歳S)を更新した舞台で復活”というファンの期待もあって、上位人気に支持されている。
この馬の場合、どれだけ走れる状態に戻っているかがポイントだろう。その意味では、現時点では半信半疑というのが正直なところだ。早めの札幌入厩による滞在効果によって、「状態に関しては前走以上」(陣営談)ということだが、その前走・宝塚記念の内容は本調子にはほど遠いもの。今回、一変を期待できるかというと、まだまだ難しいようにも思える。
とはいうものの、デビューから4連勝というのは、並の馬ではできない芸当であることも確か。潜在能力の高さまでは否定できない。主戦の横山典騎手が馬に走る気を起こさせるために、“極端な競馬(例えば大逃げなど)”を試みれば、結果に結びつく可能性もある。馬券的には買いづらいが、復活の実現性はゼロとは言い切れないだろう。

出走メンバー中、唯一の3歳馬であるヒルノダムール
このレース、過去10年で3歳馬は〈3.1.1.7〉という好成績を残しているが、その理由は古馬との斤量差にある。3キロ差の54キロで出走できるのは有利であることに間違いない。
洋芝適性は未知数だが、陣営によれば、「輸送減りしやすい馬なので滞在競馬はプラス」とのこと。大目標は秋の菊花賞と思われるものの、使い出しでも軽視できない1頭だろう。
問題は脚質。
若駒S(1着)、皐月賞(2着)でメンバー最速の上がりをマークしたように、この馬の持ち味は“末脚のキレ”にある。思い出されるのは、昨年2着に敗れたブエナビスタ。小回り平坦コースだけに、末脚のキレだけでは“差して届かず”のケースも考えられる。初の古馬との対戦で、どれだけ巧く立ち回れるかがポイントになりそうだ。

前走、函館記念を圧勝したマイネルスターリー
緩みのないレースを自分から動いて勝った内容は高く評価できる。札幌芝は7戦して5勝の得意コース。ここでも有力候補の1頭だ。
検討すべき点は「同じ競馬ができるかどうか?」だろう。
前走は道中好位の5~6番手からマクリ気味に進出して直線で抜け出す理想的なレースができたが、今回は2つの課題がある。
ひとつは、先行馬のレベルが高くなったこと。アーネストリー、ロジユニヴァースといった、言わばGⅠ級の先行馬を相手にしなければならない。厳しい流れのために失速した前回の先行勢とは力が違うということだ。
もうひとつは最内枠に入ったこと。スタートから1コーナーまでに距離があるとはいえ、好位のポジションをキープすることができるかどうか。さらに、マクっていくためには、外に出すタイミングも重要になる。
条件的にはベストであり、勢いのある馬ではあるが、クリアしなければならない課題があることも頭に入れておきたい。

函館記念2着のジャミール
この馬については、『函館記念・復習』の中で述べたように、「直線の短い小回りコースよりも広いコースで末脚を活かす競馬の方が持ち味を発揮できる」という見方ができるように思われる。
安藤勝騎手自身、「早めに動くと良くない馬」と評しているし、前走についても「もっと脚を溜めた方がよかった」とコメントしている。となれば、差し脚を活かせる展開になるかどうかがカギだろう。

函館記念3着のドリームサンデー
近走の内容を見る限りでは、堅実な先行馬というイメージが定着した感がある。前走にしても、力量が試される緩みのないペースを先行しながら、最後まで渋太く粘っていた。
ポイントは自分のペースで走れるかどうか。同型のベルモントルパンがどのような出方をするかで流れが変わりそうだ。前走のテイエムプリキュアのように大逃げをしてくれれば、離れた2番手でリズムを作れるが、絡まれるような展開になると厳しいレースになるかもしれない。

昨年春の天皇賞馬・マイネルキッツ
その後は不振に陥ったようにも思えたが、今年に入ってからは好調。前走の天皇賞・春でも2着に入った。
実績的には最上位と見なしてもよく、札幌芝も〈2.1.0.1〉と好相性。定量の57キロで出走できるのもプラス材料である。
ただし、国枝調教師によれば「仕上がりは八分程度」。調教も格下相手に手応えで見劣るなど、万全の出来とは言い難い。専門紙等でも、秋の海外遠征(豪・メルボルンC)に向けての叩き台という見方が多いようだ。
距離を延長したからこそGⅠ馬にまで昇り詰めた経緯を考えれば、2000mの距離も微妙。地力でカバーできる可能性もあるが、今回は割り引いて考えた方が無難かもしれない。

昨年の札幌記念を制したヤマニンキングリー
もっとも、その後は掲示板に載れないレースが続いており、逆に気性面の悪さが顔を出すようになってしまった。
昨年の場合、好位からロスなく立ち回ったことが勝因となったが、今年はポジション取りにも不利のある大外枠。海外遠征後の休み明けということで、状態面にも不安がありそうだ。鞍上の武豊騎手に期待する声もあるようだが、好調時の走りが見られるかどうか。

札幌芝適性という点から良績の目立つ馬は3頭。

北海道シリーズ3戦目となるエアジパングは札幌芝〈2.2.2.1〉。
ステイヤーズS勝ちがあるため、長距離馬の印象が強いが、函館記念4着の走りを見ると2000mにも対応できそうだ。ただし、以前ほどの先行力がなくなったことは気がかり。差して結果を出せるかどうか。函館から輸送して中1週という厳しいローテーションも不安材料だ。

年明けの中山金杯を勝ったアクシオン
札幌芝では〈2.2.0.0〉の実績がある。もっとも、休養明けの2戦を見ると、調子が戻っていない様子。今回も1週前追い切りでは2歳馬に遅れをとった。取捨選択については、状態面に注意を払う必要があるだろう。

昨年の3着馬・サクラオリオン
札幌芝は〈2.1.2.0〉。前走、休み明けの函館記念は12着と大敗したが、栗東→札幌→函館の輸送の影響でマイナス20キロの馬体減だった。滞在効果で状態が戻っていることが前提となるが、一変の余地があるかもしれない。

その他、人気薄で気になるのは2頭。

まず、一昨年のこのレースで3着に入ったフィールドベアー
短距離路線やダート戦線への転向を試みた経緯があるため、芝の中距離戦が適条件とは思えない部分もあった。
ところが、北海道シリーズでの2戦(1800m・2000m)は4着・5着。これは、洋芝適性が高さがもたらした好走と考えることもできる。
しかも、どちらのレースも外枠に入ったために後方から外を回る競馬。陣営も「枠順が内ならばもっと上位にこれた」とコメントしている。今回は4枠7番。厩舎コメントを額面通りに受け取るのは危険ではあるが、4走前の大阪杯の時のような“好位から早め先頭の競馬”でアッと言わせるシーンがあるかもしれない。

もう1頭はシャドウゲイト
今年に入ってAJCC2着、中京記念1着と結果を出している。前走10着は休み明けの上に出遅れ。それでもメンバー最速の上がりをマークしたのであるから、走り自体は素軽く衰えを感じさせるものではない。ゲートが最大の課題ではあるが、自分の競馬ができれば国際GⅠ勝ちの底力を発揮してもおかしくない。57キロの斤量も味方するはずだ。




■夏休みのお知らせ

「競馬のツボ<ブログ版>」にお越しいただき、ありがとうございます。
大変申し訳ありませんが、2週にわたってお休みをいただきたく存じます。

8月8日は仕事の都合(出張)、8月15日はお盆の法要のため、ブログを書く時間を作れそうにありません。(競馬も無理のようです・・・泣)

8月22日の札幌記念で復帰の予定です。
すみませんが、よろしくお願いいたします。

ちなみに、8日と15日に行われるレースについてですが、
関屋記念(新潟)も北九州記念(小倉)も、馬場状態の検討が重要ではないかと思います。
外差しが届くようになるのか、内が残れるのか。
開催も進んだので、芝の荒れ具合も微妙ではないでしょうか。
特に新潟は“上がりの競馬”になりやすいので、どの馬がどのようなコース取りをするかといった展開まで考えた方がいいかもしれません。
北九州記念は逃げ馬の質と量に注意。ペース次第で馬券に絡む馬が変わるような気がします。

皆様のご健闘を祈ります。


安東 裕章




■小倉記念・復習

GⅢ・小倉記念を制したのは、9番人気の伏兵・ニホンピロレガーロだった。

レースはオースミスパークが先導する形で、1000m通過58秒6の緩みのないペースで進み、1分57秒9の勝ち時計はレコードに0.1秒差の高速決着。1週前の函館記念同様、底力が問われる一戦だったと言えるだろう。

勝ったニホンピロレガーロは、道中中団を進み、3コーナー過ぎからマクリ気味に進出。直線で抜け出すと、外から並びかけたバトルバニヤンの追撃をハナ差凌ぎ切った。小回りコースにおいては理想的とも思えるレース運びであり、完璧な勝利と評価できる内容である。
もっとも、今回のニホンピロレガーロの走りを戦前に予想できたかというと、正直難しかった。
近走、この馬が結果を出しているのは、4コーナー10番手以降から追い込む競馬。直線の短い小回りコース向きとは思えなかった。しかも、休み明けの実績が乏しい。「ここを叩いて次走の新潟記念(得意コース)が勝負」との判断が妥当と思われたし、実際、陣営のコメントも「次につながるレースを期待したい」といった内容。『予習』でこの馬を取り上げなかったのは、それが理由である。
好騎乗を見せてくれた酒井学騎手は「小倉コースなので位置取りを考えた」と述べているが、従来の競馬とは違う形になっても結果を出せたのは、馬自身に“走りの対応力”があったということ。休養前のレース内容や走破時計から、この馬の“充実度”は読み取れるのであるから、「今ならば小倉向きの走りができるかもしれない」という考え方をしなければならなかったのかもしれない。
次走については、当初の予定通り8月29日の新潟記念が濃厚だが、今回の結果によって「休み明け激走の反動」「自分の競馬とは違う形で好走した反動」といった不安要素が生まれたのも事実。そのあたりは、陣営も「様子を見て何もなければ(新潟記念に)挑戦したい」と慎重な態度を見せている。状態面に問題がなければ、当然ながら有力候補の1頭。札幌記念に出走予定のマイネルスターリーと同じく、次走の走りに要注目である。

2着は4番人気のバトルバニヤン。
3コーナー過ぎからニホンピロレガーロと並ぶように進出し、最後の最後まで見応えのある競り合いを見せてくれた。実に惜しい2着である。
この馬もまた、小倉向きの理想的なレース運び。コース実績の高い馬なので、時計をクリアできれば好走の可能性は高いと考えていたが、その通りの結果になった。
これで、七夕賞に続いて馬券圏内の成績。次走、新潟記念に出走してくるのであれば、サマーシリーズ王者の目も残されているが、夏3戦目となるローテーションがどうか。状態面のチェックが必要になりそうだ。

武豊騎手が騎乗したスマートギアが3着。
メンバー最速の34秒4の脚で大外から追い込んできたが、1・2着馬には届かなかった。3コーナーから若干ポジションを上げていったものの、正味直線だけの競馬。脚質を考えれば、むしろ大健闘と言えるだろうし、同時に、この馬の底力を見ることができたレースだったと思われる。スローの瞬発力勝負向きの印象が強かっただけに、平均ペースの厳しい流れで結果を出せたことは収穫だろう。ただし、本質的には、直線の長い広いコース向きであることに変わりはないようだ。

クビ差の4着にはナリタクリスタル。
道中は好位でうまく立ち回っていたので、あとは“直線で抜け出すだけ”のようにも見えたが、馬群の中でつかえた分だけ遅れをとった(幸騎手は「馬込みに突っ込もうとする時に馬が躊躇した」とコメント)。
ハンデ重賞なので、勢いと出来の良さを活かせば勝てるチャンスもあるかと思われたが、今回のような厳しい流れになると、ある程度の経験値も必要とされるのだろう。まだまだ成長の見込める4歳馬なので今後に期待したい。

3番人気のサンライズベガは7着。
前走の七夕賞が後方からの競馬で敗れたために、今回は意識的に前に付けたのかもしれないが、逆に脚を溜めることができずに終わってしまった。
松岡騎手は「リズム良く行き過ぎた」とコメント。結果的には1・2着馬の目標にされた感がある。馬場状態と高速決着を前提に考えれば、前々のポジションは間違ってはいないのだが、反面、持ち味(好位からの差し脚)を活かせない競馬になった。斤量的には有利なレースだっただけに、残念な結果と言えるだろう。

8着のホワイトピリグリム(5番人気)は、「少し疲れがあったのかもしれない」という福永騎手のコメントの通り、短期間での輸送が影響したのかもしれない。走りを見ていても、ピリッとしたものが感じられなかった。
七夕賞の1・2着馬、ドモナラズとアルコセニョーラは、やはり斤量増と脚質がマイナスに作用したようだ。


それにしても・・・。
今週もまた、難しいレースだった。
「1分57秒~58秒の高速決着になるので時計的に対応できるかがカギ」「レースの上がりが35秒台の緩みないペースでは底力が必要」「直線の短いコースでは4コーナーである程度前に位置する馬が有利」。
こうした“基本的な要素”は予測できていながら、ニホンピロレガーロに注目しなかったのは大きな反省点。時計面と近走の内容に強調できる材料があった以上、“小回り向きのマクリの競馬ができれば”“休養明けでも状態が仕上がっていれば”という条件付きでも、検討の対象にすべきだった。




■小倉記念・結果

2010年8月1日 1回小倉6日10R
第46回 小倉記念(GⅢ)
芝・2000m 晴・良

 1着 ニホンピロレガーロ    酒井    1.57.9
 2着 バトルバニヤン       和田    ハナ
 3着 スマートギア         武豊    1+3/4

単勝 18  1970円(9番人気)
馬連 11-18 8960円  馬単 18→11 21410円
3連複 1-11-18 15830円  3連単 18→11→1 124130円


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安東裕章

Author:安東裕章
東京都出身。2007年11月に書籍『競馬のツボ』、2008年7月に『競馬のツボ2』、2009年7月に『競馬のツボ3』を発表(いずれも総和社刊)。

このたび、拙著『競馬のツボ』を刊行していただいた出版社・総和社様の勧めもあって、ブログを始めることにしました。
競馬における一番の楽しみは、レースについて考えること。つまり予想です。
このブログを書くことで、自分でも週末のレースに向けてイメージを膨らませる訓練になるかと思います。
競馬について考えることが好きな皆様。レース予想に疲れて気分転換をしたい時など、よろしければフラッと遊びに来てください。

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