■2010年11月

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■2周年の御礼+今週末のブログについて

いつも『競馬のツボ<ブログ版>』にご来訪いただき、ありがとうございます。
おかげさまで当ブログも開設から丸2年となりました。
毎週のようにコメントをくださる常連の方をはじめ、皆さまの応援には心より感謝しております。
ありがとうございました。

もっとも、今年に入ってからは仕事の都合で休載することも多くなってしまい、更新を楽しみにされている方には本当に申し訳なく思っています。
今週末のジャパンカップも、残念ながら、都合によりブログを書くことができない状況になってしまいました。
そこで、出張に出かける前に簡単な展望だけでも書いておきたいと思います。

レースの中心はやはりブエナビスタになるでしょう。前走の秋天は強い勝ち方でした。
ただし、あまりに完璧な走りだったので、「距離的には2000mがベスト」といった印象も強く残りました。
今回は400m延長。しかも外枠に入ったことで後方からの競馬を強いられるかもしれません。オークスで勝っている条件とはいえ、あの当時とは脚質的にも変わってきています。スミヨン騎手がどのようなポジションを取って、どのように脚を使わせるか。そのあたりがポイントになるように思います。

凱旋門賞で59.5キロを背負いながら2着に健闘したナカヤマフェスタ(今回は57キロ)。問題はやはり状態面でしょう。能力を発揮できれば勝つチャンスは十分あると思います。
内回り2200mの宝塚記念で見せた末脚が府中ではどうなのか? 走りに注目です。

巻き返しを期待する声が多いジャガーメイルは、条件的には前走の秋天よりもプラスであることは間違いありません。ただし、間隔をあけた方が走る印象の強い馬なので、中3週というローテーションが少なからず気になります。スローの瞬発力勝負を得意としているので、そのような流れになるかどうかもカギになりそうです。

昨年2着のオウケンブルースリは、同じローテーション(京都大賞典→秋天→JC)を使えなかったことが誤算でしょう。おそらく逆算して馬を仕上げる予定(レースで走ることも含めて)だったと思われるので、しっかりと調整されたかどうかの不安が残ります。

3歳馬の4頭にもチャンスがあるかもしれません。
東京・芝・2400mということで、ダービーの結果が重視されているようですが、今年のダービーは“極端な中だるみ”のレースだったので、それほど参考にはならないように思えます。
むしろ近走の走りと使い方がポイントになるでしょう。
エイシンフラッシュにとって菊花賞を走らなかったことはプラスなのかマイナスなのか。反対にローズキングダムは菊花賞を使ったことがどうなのか。ヴィクトワールピサの凱旋門賞参戦は経験値を重ねたと判断するか厳しいローテーションと判断するか。ペルーサは古馬混合GⅠを戦ったことが成長につながったかどうか。当然ながら、ダービー当時の力関係では測れないものがあると思います。

ヒモ穴的存在をあげるならば、シンゲンかもしれません。
近走は結果につながっていませんが、元来は“府中の鬼”と言われていた馬です。前走は道中で前に入られ後方からの競馬になりましたが、今回は内目の枠に入ったことで好位を取りやすくなりました。立ち回り次第では馬券圏内の可能性もあるかな?とも思います。

多数出走する外国馬については、実力的には日本馬よりもかなり見劣ると言われています。
ただし、日本の競馬に慣れていない馬やジョッキーが多く参戦することで、不確定要素が生まれやすくなったことは確かでしょう。
例えば、外国馬が主導権を握るために乱ペースになりやすい安田記念と同じように、前傾ラップが刻まれるハイペースのレースになるかもしれません。あるいは、外国馬の陣営が日本馬を牽制するようなレースになれば、前々で決着する可能性もあります。その場合には、実力はともかく単騎逃げになりそうなフィフティプルーフあたりの粘り込みにも注意が必要かもしれません。
展開については、いくつかのペースを想定して考えた方がいいように思えます。

個人的に参加できるかどうかは別として、とても楽しみなレースです。
皆さまのご健闘を心よりお祈り申し上げます。


安東 裕章



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■マイルCS・復習

1分31秒8のレコード勝ち!
秋のマイル王の座に輝いたのは、13番人気の伏兵・エーシンフォワードだった。

上位4頭の差はクビ・ハナ・ハナ。
横一線となったゴール前を制した一番のポイントは、“岩田騎手のイン差し”に尽きるだろう。
道中は先行グループの後ろで内ラチ沿いをキープ。直線を向いて有力馬が外へ持ち出す中、唯一インを突いたのがエーシンフォワードだった。最後のクビ差は結果的にはコース取りの差。皐月賞の時のヴィクトワールピサもそうだったが、岩田騎手のここ一番での判断力と大胆な騎乗には本当に驚かされる。素晴らしいとしか言いようがない。
Cコース変更で荒れ具合が少なくなった馬場の内目。そこを突ける馬に好走の可能性があることは『予習』でも述べた(ただし、候補はスマイルジャックだったが・・・)。しかし、エーシンフォワードをマークすることはできなかった。外目の枠に入ったからである。近走の成績を見ればわかるように、この馬は内枠に入って好位で脚を溜める競馬がベスト。7枠13番の今回はポジションが取れないだろうと判断した。
ところが、向正面の時点ですでに好位の内ラチ沿い。このあたりが岩田騎手の腕なのだろう。直線の“イン差し”よりも、脚を溜めてインに切れ込める位置を取れたことこそが今回の勝因。完璧なレース運びである。

さらに、エーシンフォワードには展開の後押しもあった。
ジョーカプチーノが刻んだペースは前3F・33秒7という超ハイペース。前半、坂の上りになる京都のマイル戦では異常な速さである。この流れを苦にしないのは、言うまでもなくスプリンター寄りの馬。したがって、高松宮記念3着の実績を持つエーシンフォワードにとっては、おあつらえ向きのレースになったとも考えられる。
マイルCSは距離短縮で臨んだ馬の方が好走することが多い。前走・毎日王冠、前走・秋天といったローテーションである。平均ペースの緩みない流れになりやすいため、中距離を走り切れる底力がモノを言うと考えられる。今回はまったく逆のパターン。何よりスピードに乗れるかどうかが試された一戦だった。掲示板に載った馬はすべて近3走マイル戦(あるいはそれ以下の距離)しか走っていない。ペースに対応できるかどうかがポイントだったように思える。
ともあれ、今回は岩田騎手の好騎乗を讃えたい。これからも我々競馬ファンを唸らせるレースを見せてほしい。

2着のダノンヨーヨーは若干の出遅れが最後まで響いた。
道中動こうにも、今回のような流れでは必要以上に脚を使うだけ。結果、後方17番手からの直線勝負になってしまったわけだが、それでもメンバー最速の上がりでクビ差まで詰め寄ってくるのであるから、やはりかなりの実力の持ち主である。今後のマイル戦線で十分主役になれる器だろう。楽しみだ。

3着のゴールスキーは近走よりも後方のポジション。ただし、福永騎手が「イメージ通り」とコメントしているように、先行策にこだわらなかったことが結果につながったようだ。
2着馬に0.7秒差をつけて圧勝した2走前の新潟の走りから、時計勝負にも対応できる可能性はあるとは思っていたが、3歳にしてここまでやれるのは立派。この馬もまた、将来的に楽しみな1頭である。

外国馬のサプレザは4着に敗れたが、陣営いわく「外枠が響いた」とのこと。もっとも、この馬の実力はある程度発揮できたのではないだろうか。ダノンヨーヨーに次ぐ2番目の上がり。着差を考えれば勝ちに等しい内容とも思える。

エーシンフォワードと同じく、スプリンター寄りの馬でありながら、キンシャサノキセキは結果が出せなかった(13着)。2頭の差はマイルへの対応力の差と言うべきだろうか。スプリンターの速さでマイルの距離をこなせるかどうかということだ。
懸念していた通り、外枠のせいもあって掛かり気味の競馬。馬込みに入って脚を溜めることができれば違っていたかもしれないが、外々を回らされる展開ではこの馬の持ち味は出せなかった。

スマイルジャックはスタートを決めて3番手のポジション。
乗り替わりの川田騎手は「思い通りの位置が取れた」とコメントしているが、個人的には前に行き過ぎたように思える。ベストはエーシンフォワードのいた位置だろう。末脚で勝負できる馬だけに、もったいないレースだったようにも感じるのだが・・・。とはいえ、最後まで粘っていたことに関しては、この馬の能力を見せたかもしれない。

今後のマイル戦線を考えると、ジョーカプチーノは侮れない1頭。
スピードの絶対値が並外れているようにも思えた。長期休養明けから1戦しか走っていなかったため、この馬の走りを正確に把握できていなかったのだが、正直「こんなに速い馬なのか」というのが実感。距離を短くしてスプリント路線に参入しても面白いかもしれない。

“先々が楽しみになった”
これが、今回のレースの感想である。
主役不在と言われたマイル路線に、主役に抜擢できそうな新しい顔ぶれが出てきたからだ。
今後、どのような勢力図が形成されていくのか。目が離せなくなりそうである。



■マイルCS・結果

2010年11月21日 6回京都6日11R
第27回 マイルチャンピオンシップ(GⅠ)
芝・1600m 晴・良

 1着 エーシンフォワード   岩田    1.31.8
 2着 ダノンヨーヨー      スミヨン   クビ
 3着 ゴールスキー       福永    ハナ

単勝 13  5240円(13番人気)
馬連 8-13 14240円  馬単 13→8 40970円
3連複 8-13-15 53970円  3連単 13→8→15 473970円


■マイルCS・予習

秋のマイル王の座を争うGⅠ・マイルCS。
昨年の優勝馬・カンパニーをはじめ、過去にはデュランダル、ダイワメジャーといった“マイル路線の中心的存在の馬たち”が王座に輝いたレースだが、今年の場合、ひとことで言えば「中心馬不在」。それゆえ、マイルGⅠ初挑戦の新興勢力が上位人気に支持され、春の安田記念を制した馬(本来ならばGⅠ馬として中心視されるべき馬)が単勝2ケタ人気に甘んじている。能力比較の手掛かりが見つけにくい難解な一戦。実績、勢い、適性、一変の可能性など、さまざまな角度からの検討が必要になるだろう。

土曜午後の時点で1番人気に支持されているのは、現在マイル戦4連勝中のダノンヨーヨー
前走の富士Sで初重賞勝ちを収めたが、前残りのレースで後方から一気に差し切った脚には一種の凄みさえ感じられた。好位からの競馬もできる馬なので、脚質の自在性が強調された感もある。このレースで芝1600mの持ち時計を更新。中心馬不在の状況を考えれば、上昇度顕著なこの馬が1番人気に支持されるのも納得がいく。
京都コースは〈2.2.0.1〉。鞍上には名手・スミヨン騎手。デビューから11戦走って、馬券圏を外したのはわずかに1走という安定感。今回のレースを制して“マイル路線の中心的存在”になる可能性も十分と考えてもいいだろう。
もっとも、陣営の発言はどちらかというと控えめだ。その中でも気になるのは「気の悪さを出す馬」という点。あえて不安材料をあげるとすればそのあたりだろうか。真の主役に躍り出れるかどうか、その走りに注目したい。

今年の高松宮記念を勝って春のスプリント王に輝いたキンシャサノキセキ
この馬の場合、言うまでもなく、問題は3年ぶりとなるマイル戦で力を発揮できるかどうか。
もともとはマイル路線を主戦場としていたが、掛かりやすい気性を考慮して距離短縮に至った経緯がある。近走では1400m戦でも連勝するなど、精神面の成長もうかがえるし、いい意味での“ズブさ”も出てきたようではあるが・・・。
仮に今回の距離延長がマイナスに作用する(以前の掛かり癖が出る)と推測するならば、前に馬を置きにくい外枠に入ったリスクも高いものになる。外々を回らされた上で、さらに脚を溜める競馬ができるかどうかがカギ。ムーア騎手の騎乗に期待したい。

昨年3着に入った外国馬・ザプレザも参戦。
先週のスノーフェアリーと同じくスペシャルボーナスのかかった一戦であり、加えて日本のマイル戦線のレベルを考えると、当然ながら軽視できない1頭だ(2週続けて外国馬に勝たれるというのも癪だが・・・)。昨年の経験を踏まえた上で、陣営も「勝ちに来た」と公言している。
この馬の取捨選択の基準となるのは、前走勝ちをどう考えるかかもしれない。
英国GⅠ・サンチャリオ賞を制しての参戦というのは、昨年とまったく同じだが、今年はコンディションが重馬場だったことに大きな違いがあり、コレ調教師は「柔らかい馬場でも強い勝ち方だった」と自信を深めたと伝えられている。
それを受けてザプレザを推す競馬記者は、重馬場での勝利を「昨年よりパワーアップした」と評価している。しかし、見方を変えれば「昨年よりも負担の大きいレースだった」という判断も成り立つ(しかも58キロを背負ったレースだった)。激走の反動と海外からの輸送。状態面が万全かどうかがカギになりそうだ。

このレースを目標にしたローテーションの組み立てという点で好感が持てるのはスマイルジャック
夏場の休み明けから叩き3走目。毎日王冠→秋天→マイルCSという流れは、ダイワメジャーやカンパニーが使った王道のローテとも言えるもの。ベストより長い距離で強豪相手に戦うのは、叩き台として意義のあるものに違いない。このレースがピークとすれば、安田記念3着の実績からも侮れない1頭だ。
あとは、どこまで脚を溜められるか。ここ2走は距離が長いことを意識したせいなのか、ポジション取りがやや前目。その分、反応が今ひとつ鈍かったようにも思える。
今週からCコースに変更。ラチ沿いをロスなく回ってギリギリまで脚をため、“荒れていないイン”を突く競馬が理想になるだろう。

500万クラスからマイル戦3連勝中の3歳馬・ゴールスキー
オープン初戦がGⅠになるが、3連勝のいずれも2着馬を突き離す強い勝ち方。今回のメンバーならば十分勝負になるという声も多い。たしかに、勢いは軽視できないだろう。ゴールドアリュールの半弟という“大物感”も少なからず魅力である。
もっとも、この3走はいずれも前3Fが35秒後半から36秒台の緩い流れ。それゆえ、無理なく好位につける競馬ができた。マイルCSは前3Fが34秒台になるレースになることが多く、これまでのようにポジションを取れるとは限らない(まして7枠15番)。自分の競馬ができなかった場合の不安要素はある。

前走、カシオペアSを制した、こちらも3歳馬のトゥザグローリー
夏場の休養を経て良血が目覚めたという見方をする競馬記者も少なくない。前走勝ちにしても53キロの斤量とはいえ抜け出してからの伸びは見事。実力そのものは評価できるだろう。
ただし、今回は過去に1走しか経験していないマイル戦。はたして流れに乗れるかどうか。専門家の指摘はないが、どちらかと言えば大跳びの印象。中長距離向きのようにも思えるのだが・・・。

同じ3歳馬ならば、マイル実績のある馬にも注目したい。
まず、桜花賞2着のオウケンサクラ
中1週で参戦した前走の天皇賞・秋で4着に好走。春のローテーションからもわかるように、使い込むほど良くなるタイプなのだろう。もっとも、1ヶ月の間にGⅠ3走目。どれだけタフな馬でもさすがに調子落ちはあるはず。直前の状態には注意が必要になりそうだ。

ローズSでアパパネに先着し、秋華賞でも4着に好走したワイルドラズベリー
もともと距離不安があった馬だけに、今回の距離短縮はプラスに働く(得意の距離に戻る)という評価が多い。エリザベス女王杯ではなくこのレースに照準を定めたのも、そのあたりを踏まえての陣営の判断に違いない。
あとは力関係。牡馬との対戦も古馬との対戦も今回が初。マイルの距離で特筆すべき実績があるわけでもないので、過信は禁物かもしれない。

むしろ面白そうなのは、3歳馬の中で最も人気のないガルボ
今思えば低調なメンバーだったとはいえ、今回と同じ舞台のシンザン記念の勝ち馬。休み明けの前走ではダノンヨーヨーに0.2秒差の3着と好走している。
先行あるいは好位で結果を出しているが、その一方で朝日杯で見せた追い込みの脚も印象的。走りのスタイルが明確でない分、不気味な存在感がある馬。個人的には気になる1頭だ。

複勝圏内という間口で考えれば、どの馬がきても驚けないレース。
注意すべきは逃げ・先行馬の前残り。スマイルジャックの項でも述べたように、今週からCコースに変更となったため、内が止まらない可能性も高くなるからだ。
長期休養明けで58キロの斤量ながら、前走のスワンSで3着に粘ったジョーカプチーノ。昨年の2着馬でこのレースを目標に1走叩いたマイネルファルケ。2連勝中で京都実績3戦3勝のテイエムオーロラ。このあたりは、どの馬が主導権を握るかを慎重に検討する必要があるだろう。

もう1頭あげるならば、アブソリュート
近走は東京コースでも結果が出せなくなり、年齢的にもピークを過ぎた感も強いが、今週の追い切りが全盛期を思わせるものがあったとのこと。カンパニーあたりと差のない競馬をしていた馬なので、一変の復活劇があっても驚けない。

最後に。
マイルCSはここ5年で1分32秒台の決着が4回(昨年は1分33秒2)。速い時計に対応できるかどうかというのも、ひとつのポイントになるだろう。
持ち時計よりも、近走どこの競馬場でどのくらいのタイムで走っているかについては、予想の参考にしておいた方がいいかもしれない。



■エリザベス女王杯・復習

4馬身差の圧勝!
GⅠ・エリザベス女王杯を制したのは、外国馬のスノーフェアリーだった。

1000m通過が1分0秒1、2000mが2分0秒7。1Fごとのラップにも大きな差はなく、レースは緩みのない平均ペースで進んだ。言うなれば、紛れの起きにくい流れ。各馬の実力がストレートに反映されたレースだったと考えていいだろう。
スノーフェアリーは道中6~7番手でアパパネをマークするような位置取り。4コーナーから直線を向くと、馬場の荒れていない外ではなく、ポッカリ空いたインへ。馬場が荒れていても問題のない手応えがあったからこそのムーア騎手の判断だろうが、そこからの伸びが凄かった。メンバー最速の上がりの脚で2着馬に4馬身差。まさに圧勝だった。
実力の差と言ってしまえばそれまでだが、あえて勝因をあげるとすれば、“勝負度合い”かもしれない。つまり、勝てるレースを勝ちにきたということ。賞金を稼ぎにきたということではなく、注目すべきは「3歳牝馬が日本まで遠征してくる」という点だったはず。斤量面の有利=勝てる可能性の拡大という考え方は、日本馬が凱旋門賞挑戦のたびに話題になったことでもある。自国でGⅠを連勝した実績。スノーフェアリーにとっての“海外挑戦”は、「3歳の今だから狙えるレース」であり必勝を期すものだったに違いない。
まして、日本の牝馬戦線は、牡馬混合GⅠでも勝ち負けできるブエナビスタやレッドディザイアを除けば、レベル的に高いとは言い難い(それゆえ重賞勝ち馬が次々に変わる)。ウルトラファンタジーにスプリンターズSを勝たれた時と同じ敗因が、迎え撃つ日本側にもあったと考えるべきだろう。
もっとも、強い競馬というのは見ていて胸がすくものである。「いいものを見せてもらった」というのが正直な実感でもある。

2着は外から追い込んだメイショウベルーガ。
3コーナーの手前から追っつけ通しだったが、これはいつものこと。勝ち馬には及ばなかったが、この馬の競馬はできていたし、最後の伸びも上々。改めて「京都外回りは走る」ことが確認できたレースだった。
重賞で牡馬相手に戦ってきたことが、実力という形で身についている印象。今回のメンバーに対しては“格の違い”を見せつけた部分もある。年明けの日経新春杯ではハンデを背負わされそうなので、京都記念あたりが次の狙いどころかもしれない。

3着のアパパネについては、陣営・蛯名騎手のレース後のコメントがすべてだろう。
「3冠を目標に仕上げてきた」
やはり、ピークは前走の秋華賞。先入観があったせいかもしれないが、直線での走りはかなり辛そうに見えた。それでも3着にきたのだから、むしろ健闘と評価すべきかもしれない。
次走は未定のようだが、できれば休ませてあげてほしい。今回は無理の上に無理を重ねた末の3着。秋華賞の走りを見る限りでは、牡馬混合重賞でも十分渡り合える素質の持ち主。常に万全の状態の走りを見せてもらいたい。

4着のリトルアマポーラは状態面がかなりよかったようだ。この馬の力を出せたと見ていいだろう。福永騎手も「本当にイメージ通りのレースができた」とコメントしている。
古馬になってから連続好走がないのでなかなか見極めが難しいが、調子が良ければ牝馬戦線では上位に入る力の持ち主と評価したい。

5着のヒカルアマランサスは最後のひと伸びで突っ込んできた。
じっくり脚を溜めれば距離は保つのかもしれないが、個人的にはマイル前後の速い流れの方が力を発揮できるタイプのように思える。

期待された3歳馬のアニメイトバイオは15着。
レース前の気配などは最高のようにも見えただけに不可解な負け方だったが、鼻出血だったことが判明。アクシデントがなければ、メイショウベルーガと併せる形で追い込んできたかもしれないが・・・。今回は残念な結果だった。

その他では、掲示板には載れなかったものの、コロンバスサークルとセラフィックロンプが見せ場十分の競馬。どちらも力をつけてきた印象が残った。
コロンバスサークルはもっと短い距離の方が良さそう。セラフィックロンプは2戦続けて番手でしっかり競馬ができたのが収穫。粘り込んだ後にもうひと伸びできるようになれば、いい意味で“嫌な先行馬”になれそうだ。




■エリザベス女王杯・結果

2010年11月14日 6回京都4日11R
第35回 エリザベス女王杯(GⅠ)
芝・2200m 曇・良

 1着 スノーフェアリー   ムーア  2.12.5
 2着 メイショウベルーガ  池添     4
 3着 アパパネ         蛯名   1+3/4

単勝 6  850円(4番人気)
馬連 6-9 1430円  馬単 6→9 3590円
3連複 5-6-9 1320円  3連単 6→9→5 10170円



■エリザベス女王杯・予習

牝馬No.1決定戦、GⅠ・エリザベス女王杯。
昨年のブログにも書いたように、近年このレースは“伸び盛りの3歳馬”対“歴戦の古馬”という構図が強く見られる。今年はその傾向に加えて、外国GⅠ馬2頭が参戦。好レースを期待できそうなメンバーが揃った。

前日売りの時点での単勝1番人気は、牝馬クラシック3冠馬のアパパネ
デビューから9戦して、馬券圏内を外したのは2走前のローズSのみ。GⅠ4勝を含む6勝は、昨年断然の1番人気に支持されたブエナビスタの当時の勝利数を上回る。
数ある勝ち鞍の中でも、前走の秋華賞は外目から馬群を抜き去る圧巻の競馬。展開やペースに左右されないこの馬の“強さ”がいかんなく発揮されたレースだった。名実ともに3歳世代のトップホースと評価していいだろう。
不安点をあげるとすれば、スポーツ紙等でも取り上げられている“調子落ち”。
「牝馬3冠」を目標にした夏から秋への調整過程を考えれば、前走がピークであったことは間違いない。それゆえ、秋華賞そのものの反動よりも、放牧に出さずに多くの追い切りを消化した夏場からの蓄積疲労の方が心配だ。
「完璧だった前走に比べると見劣りする」というのが、今回のアパパネの追い切りに関する大方の評価。もっとも、ウオッカやブエナビスタは、たとえ体調が万全でなくてもそれなりの結果を残して“名牝”の称号を手に入れた。アパパネがその域まで達しているかどうか。注目のレースでもある。

近2走、アパパネと好勝負をくりひろげているアニメイトバイオ
末脚のキレに関して言うならば、アパパネ以上という評価も多い。溜めれば溜めるだけキレる印象があり、陣営も後藤騎手も「京都の外回りコースはこの馬向き」とコメントしている。前走同様、栗東で調整。追い切り後の馬体重はプラス2キロではあったが、馬体を大きく見せているとのこと。秋以降の馬体減に不安要素があったことを思えば、いい傾向と考えられるだろう。実際、調教の状態はアパパネ以上と評価する声がほとんどだ。
課題は仕掛けのタイミングかもしれない。
陣営の言う通り、平坦で直線の長い京都の外回りコースは、たしかにこの馬の末脚を発揮しやすい条件だろう。ただし、このコースは“馬群がバラけやすい”のも特徴のひとつ。アニメイトバイオはここ2走、馬群の後ろで我慢して一気に突き抜けてくる走りを見せている。言い換えれば、前に壁を作って脚を溜めていたわけだ。馬群が横一線に広がった時に、馬がどこまで我慢できるか。後藤騎手の騎乗がカギになるようにも思える。

オークスをアパパネと分け合ったサンテミリオン
前走の秋華賞は2.3秒差のシンガリ負け。鞍上の藤岡佑騎手は「まったくハミをとらなかった」とコメントしていたが、実はゲートに顔をぶつけて口の中を切っていたというのが真相のようだ(出遅れもそれが原因)。
春の実績を考えれば、上位に食い込むだけの能力はあるとも思えるが、一変まではどうか。「1走叩いた今回が狙い目」という意見もあるが、前走は“叩いた”と呼べるだけの競馬をしているわけではない。鞍上のデムーロ騎手には、能力を最大に発揮させる騎乗を期待したいが・・・。

古馬勢の中で人気の筆頭格はメイショウベルーガ
前走の京都大賞典は、昨年の菊花賞馬・オーケンブルースリを退けて優勝。GⅡ2勝がいずれも京都外回りコースの牡馬混合戦ということで、この馬にとっては絶好の舞台と言えるだろう。何より、牡馬相手に戦ってきたという“経験値”は、3歳馬にはない貴重な財産だ。本来、このレースが目標であり、前走はプラス10キロの仕上げ。状態面での上積みも見込めそうである。
この馬に関しては〈4.0.0.5〉という京都芝実績をどう判断するかだろう。
全芝6勝のうち4勝をあげている以上、得意コースであることに疑う余地はない。ただし、2・3着がないために“勝つか負けるか”という極端な数字と見なすこともできる。有力候補の1頭であることは間違いないが、馬券の軸としてはリスクが高いのではないだろうか。近走に関しては、スローの上がり勝負よりもある程度のペースで流れたレースの方が好走の傾向にある。取捨選択については、当然、展開を想定する必要があるだろう。

ちなみに、「安定感ならば、むしろ京都大賞典3着のプロヴィナージュ・・・」と考えていたが、土曜日に出走取消。スローの朝日CCでもハイペースの京都大賞典でも粘り込める自在な先行力が面白そうに思えただけに残念だ。

外国馬2頭も軽視できない存在だ。
スノーフェアリーは英・愛オークスを連勝した実績馬。凱旋門賞やブリーダーズCへの出走も検討されたということだが、最終的に目標としたのがこのレース。ダンロップ調教師は過去にウィジャボードで日本のGⅠに参戦した経験もあり、“勝ちに来た”という判断もできる。3歳馬ながら地元では57キロを背負っていたこともあり、54キロでの出走はかなり有利と言えるだろう。
アーヴェイは前走がGⅠ初勝利。このレースでレッドディザイアを敗っていることがひとつの強調材料と見られている。この馬も、スノーフェアリーと同じく、勝てば9000万のボーナス獲得という資格を持っての参戦だ。
もっとも、2頭に共通する課題は、速い時計への対応。
芝2400mの持ち時計を基準にするならば、スノーフェアリーが2分31秒、アーヴェイは2分33秒4。日本の芝では2分24~25秒の決着になることを考えれば、時計の速い馬場に対応できる走りができるかどうか。加えて、フルゲート18頭という多頭数のレースで捌く競馬ができるかどうかもカギになりそうだ。

伏兵陣にも気になる馬が何頭かいる。
まず、一昨年の優勝馬・リトルアマポーラ
注目したいのは、前走の府中牝馬Sで見せたメンバー最速の上がりだ。前がつかえて後方に下げる競馬になったとはいえ、33秒0の脚はこの馬にとってもデビュー以来最速。走りに素軽さが出てきたという判断もできる。過去5勝はすべて11月~2月の寒い時期にあげたもの。状態面が良好ならば好走が期待できるかもしれない。
3走前のGⅠ・ヴィクトリアマイルでブエナビスタとハナ差の接戦を演じたヒカルアマランサス
その後に2戦は人気を裏切る凡走をしているが、GⅠでピークに仕上げられた後の調子落ちがあったようだ。3ヶ月の休み明けとなるが、リフレッシュされていれば好走も可能。あとは、距離をこなせるかどうか。ルメール騎手の腕の見せどころだろう。
ここにきて地力強化がうかがえるのがセラフィックロンプ
2走前のマーメイドSは軽ハンデの恩恵もあったが、前走の府中牝馬S2着は先行有利の上がりのレースとはいえ好位から伸びてくる味のある走り。実績のなかった東京コースで結果を出したことから“ひと皮むけた”印象もある。個人的には、今回が引退レースとなるテイエムプリキュアよりも粘り込みが見込めそうに思えるのだが・・・。
もう1頭あげるならば、レジネッタ
アニメイトバイオの項でも述べたように、京都外回りコースは馬群がバラけやすく、直線の入り口でラチ沿いのインに進路が空くことも多い。2枠3番の枠順をいかしてロスなく立ち回り、直線で最内を突く競馬ができれば面白いかもしれない。



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安東裕章

Author:安東裕章
東京都出身。2007年11月に書籍『競馬のツボ』、2008年7月に『競馬のツボ2』、2009年7月に『競馬のツボ3』を発表(いずれも総和社刊)。

このたび、拙著『競馬のツボ』を刊行していただいた出版社・総和社様の勧めもあって、ブログを始めることにしました。
競馬における一番の楽しみは、レースについて考えること。つまり予想です。
このブログを書くことで、自分でも週末のレースに向けてイメージを膨らませる訓練になるかと思います。
競馬について考えることが好きな皆様。レース予想に疲れて気分転換をしたい時など、よろしければフラッと遊びに来てください。

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