■2011年02月

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■中山記念・復習

GⅡ・中山記念は、断然の1番人気・ヴィクトワールピサが力の違いを見せつけて完勝。目標のドバイWCへ向けて大きな弾みをつけた。

レースはキャプテントゥーレがペースを作り、3F・36秒3→1000m・60秒1のスローな流れ。そのため行きたがる馬が多く、また各ジョッキーが開幕週を意識したためか、先行集団に馬群が固まる展開となった。
ヴィクトワールピサは先行集団に加わらず、道中後方から3~4番手でしっかり折り合いをつけると、3コーナー手前からスパート。一気のマクりから直線へ向くと、外目から次元の違う脚で並ぶ間もなく馬群を抜き去った。2着のキャプテントゥーレに2馬身半差をつける圧勝である。
それしても強い競馬だった。
『予習』で述べたように、「どのような位置取りからどういう動き方をするか」に注目していたのだが、想像を上回る完璧なパフォーマンス。“内が有利な開幕週”も“前が残るスローな展開”も、この馬にはまったく問題にならなかった。メンバー最速の33秒9の上がり、勝ち時計1分46秒0。数字的にも文句のつけようがないだろう。
超一流と呼ばれる馬は、条件や展開に関係なく、自分の競馬に徹するだけで勝利を手にすることができる。ディープインパクトがそうだったように、1頭だけ違うレースを走っているように見えるのだ。今回のヴィクトワールピサは、その域に達しているような走りを見せてくれた。
まだまだ成長の見込める4歳馬。GⅠ戦線の中心として、そして、世界でも通用する“強い馬”になってほしい。

2着のキャプテントゥーレは、スタートで躓きながらも強引にハナを奪う形。しかし、結果的には、主導権を握ったことが好走につながった。
前3F・36秒3のスローペースながら、後半は11秒台のラップを連続させる“巧みな逃げ”。好位集団の馬たちは序盤で折り合いに苦労したため、ペースアップについて行くのがやっとだった。このあたりは、小牧太騎手の“技術”。好騎乗だったと思う。
『予習』では58キロの斤量を不安材料として取り上げたが、「自分のレースができれば問題なし」ということだったようだ。ヴィクトワールピサには完敗だったが、この馬なりの能力は示せたと評価していいだろう。
昨年の『安田記念・予習ブログ』でもふれたように、この馬は前半のペースが速くなると自分の走りができない。今回のように自分でレースを作れて、コーナーで息を入れることのできる展開になれば、この先もまだまだ力を発揮できそうだ。

リーチザクラウン(3着)は、ヴィクトワールピサよりも後ろからのレース。
前走の京都金杯で最速の上がりをマークしたとはいえ、差し脚質を自分のものにしたとは思えなかったので、個人的には「今回どのような競馬をするのか」に注目していた。
結果は、ヴィクトワールピサに次ぐ34.0秒の上がりで、キャプテントゥーレにハナ差まで迫る3着。開幕週の馬場とペースを考えれば合格点の内容と評価する声も多い。武豊騎手も「新しい面が出せて収穫があった」とコメントしている。
たしかに、折り合い面に関しては、進境があったと見るべきかもしれない。しかし、リーチザクラウンの走りに、強力な差し・追込馬が持つ“突き抜けてくるような凄み”があったかというと、決してそうとは思えない。スピード能力の高い馬という評価をしていただけに、逆に「ハナを切って逃げていたらどうだっただろう?」といった想像さえ働いた。
この先レースを使っていくうちに、この馬のスタイルが形成されていくに違いないだろうが、今回の結果だけで「差し馬としての新境地を切り開いた」とまでは言えないように思える。

4着には、『予習』の中で伏兵として期待したマルカボルト。
キャプテントゥーレにハナを奪われたため、好位のインで我慢する競馬を強いられたが、直線で一旦抜け出してきたように、今回も見せ場のある走りだった。馬場の良い内目を通れたアドバンテージはあるものの、他の先行馬たちが脱落していった中で、キャプテントゥーレから0.2秒差に粘ったことは評価してもいいだろう。なにより、前走のAJCCに続いて、馬込みを割ってきた根性は“買える要素”だと思える。
ベリー騎手は「これからまだまだ良くなる感じがする馬」とコメント。経験を積んでいけば、いずれは結果を出せる馬に成長してくれるかもしれない。

2番人気のリルダヴァルは6着に敗退。
スタート直後から番手につけたのは、ジョッキーが開幕週とスローペースを意識してのことだったのかもしれないが、先行集団が凝縮する形になったために、窮屈な競馬になってしまったようだ。
とはいえ、直線半ばで早々と後退してしまった走りには不満が残る。マイナス14キロの馬体減から察すると、万全の状態ではなかったとも思えるが、近走と同じように伸び切れずに終わったことは、現状での“決め手不足”が露呈された感もある。
GⅢでも勝ち切れないという実績を踏まえれば、今回はファンの期待値が高すぎたかもしれない。昨年秋からの使い詰めでもあるので、一度リフレッシュして成長した姿を見せてほしい。

次走、見直せるとすれば、アロマカフェとキョウエイストームの2頭。
アロマカフェは休養明けでプラス16キロの馬体重。4歳馬の成長分と考えられるにしても、実戦向きの仕上がりだったとは言えないだろう。加えて、内枠に入ったために、通常よりも前目での競馬。1走叩いた上積みは見込めるはずなので、自分のレースができる条件に替われば好走を期待できるかもしれない。
キョウエイストームも外目を先行する本来とは違う競馬になった。それでなくても相手強化の一戦。自分の走りができなければ惨敗もやむを得ない。今回だけでは見限れない“中山巧者”のはず。ダービー卿CTにそこそこのハンデで出走してくるようならば、まだまだ要注意の1頭だろう。



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■中山記念・結果

2011年2月27日 2回中山2日11R
第85回 中山記念(GⅡ)
芝・1800m 晴・良

 1着 ヴィクトワールピサ   デムーロ  1.46.0
 2着 キャプテントゥーレ   小牧太   2+1/4
 3着 リーチザクラウン    武豊     ハナ

単勝 9  140円(1番人気)
馬連 3-9 600円  馬単 9→3 810円
3連複 3-4-9 1520円  3連単 9→3→4 4210円



■中山記念・予習

GⅡ・中山記念。
当初、参戦が予定されていた3冠牝馬・アパパネは、残念ながら熱発のため回避となったが、昨年のグランプリホース・ヴィクトワールピサが本年の始動レースとして出走。他にも重賞好走実績のある馬が顔を揃え、12頭立ての少頭数ながら興味深い一戦となった。

土曜午後の時点で断然の1番人気に支持されているヴィクトワールピサ(単勝オッズ・1倍台前半)。
前走の有馬記念は、自分から動いてレースを作り、ブエナビスタを封じての勝利。能力の高さもさることながら、とりわけ“立ち回りの巧さ”が強調されたレースだった。
中山実績〈3.0.0.0〉という高い数字は、言うなれば、この馬の“立ち回りの巧さ”を証明するもの。小回りの中山では“自分から動けること”が大きな武器になる。今回はドバイ遠征に向けての壮行レースという位置付けで、先を見据えた上での参戦となるが、能力の高さとコース適性を基準に置けば、大崩れは考えにくい。明け4歳世代のトップレベルの走りが期待できるだろう。
あえて不安材料を取り上げるならば、1800mの距離。
昨年のダービー以降、この馬が走ったレースはすべて2400m以上。1800mは新馬戦(2着)以来となる。2000m戦を5連勝した実績を踏まえれば、距離に戸惑うことはないとも思うが、1コーナーまでの距離が短い中山の1800mでは、スタート直後のポジション争いが激化することも少なくない。特に、今回は内目の枠に先行勢が揃っている。レースの流れ、特に序盤の速さは、JCや有馬記念とは違うものになるはずだ。走りに影響が出るとすれば、そのあたりの要素だろう。
今回、ヴィクトワールピサがどのような位置取りからどういう動き方をするのか。有馬記念で絶妙の騎乗を見せてくれたデムーロ騎手の手綱さばきに注目したい。

中山芝では皐月賞の逃げ切り勝ちがあるキャプテントゥーレ
マイラーのイメージの強い馬だが、全5勝のうち3勝は2000mの距離。今回の条件は十分守備範囲であり、2走前の朝日CC勝ちの時のように自分のペースでレースを運べれば、渋太さを発揮するタイプだ。したがって、同型馬との兼ね合いがひとつのポイントになるだろう。
もっとも、この馬の場合、それ以上に気になるのが58キロの斤量。
この斤量を背負った時の成績は〈0.0.1.4〉で、古馬になってから掲示板を外したレース4戦はすべて58キロで走っている。4戦のうち3戦は苦手の東京コースでのGⅠとはいえ、450~460キロ台の馬格を考えると、「斤量泣きするタイプなのか?」と勘ぐりたくもなる。
まして、今回は4か月の休み明け。加えて、前述したように、好位を取るためには1コーナーまでのダッシュ力が要求されるコース。先手を奪ってマイペースでレースを運べたとしても、最後の直線で息が上がるかもしれない。実績上位であり条件的にも向いているとは思うが、不安要素も少なからず見受けられる。

引退する池江泰郎調教師が送りだす最後の重賞出走馬として注目されているリルダヴァル
デビュー2戦目・野路菊Sでの“圧巻の突きはなし”や、3走前の鳴尾記念におけるルーラーシップとの差のない競馬など、随所に素質の片鱗を見せてくれてはいるものの、ファンの期待に応えるだけの活躍には至っていないというのが正直な印象だ。
1番人気の支持を得た近2走も8着、3着。前走の小倉大賞典にしても、バトルバニヤンとの最後の追い比べで見劣るなど、直線で前が壁になったとはいえ歯痒い内容だった。
この馬に関しては、「走りに器用さがなく、それゆえゴチャつく展開では力が出せない」という意見が多い。となれば、今回の少頭数はこの馬にとってプラス材料と考えることもできるだろう。実際、出走馬が13頭以内ならば〈3.1.2.0〉の実績がある。もっとも、トリッキーな中山内回りコースだけに、過信は禁物だが・・・。
いずれにしても、現時点では“どのような条件ならば好走できるか”という基準が掴みづらい馬。一皮むけた走りを見せてくれるかどうか、注目したい。

ダービー2着の実績を持つリーチザクラウン
前売り段階では2番人気に推されているが、この馬に関しても、正直、評価が難しい。
3歳時は“ワンペースの逃げ馬”という印象だったが、古馬になってからは脚質転換。とはいえ、実際に結果を出したのは、昨年のマイラーズCだけであるから、脚質転換が成功したという判断はできない。前走の京都金杯(4着)に関して、前残りのレースで最速の上がりを見せたことを評価する声もあるが、そもそも控える競馬がこの馬向きなのかどうか。武豊騎手は「この馬の場合、まず自分との戦い」というコメントをしているが、ジョッキー自体が乗り方を迷っているようにも思える(それゆえ、今回はもしかしたら思い切った乗り方をするかもしれない)。
今回は〈0.1.0.4〉と結果の出ていない関東圏でのレース。気性面に課題のある馬だけに当日のテンションも気になる材料だ。好走しても決して不思議ではない馬だとは思うが、現状では信頼性の部分で疑問が残る。

前走、中山金杯で2着に入ったキョウエイストーム
2000mでは距離が長いと思われていたが、内枠を利してインをロスなく回り、最後は最内から末脚を伸ばしてきた。これで中山実績は〈3.4.2.0〉。恐るべき“中山巧者”である。
本質はマイラーなので、今回は1F長い距離。それゆえ、陣営も石橋脩騎手も内枠を希望していたが、残念ながら8枠11番に。ハンデ戦から別定GⅡになり、相手も強化されたため、枠順も含めて前走よりも条件は厳しくなった感は否めない。
ただし、軽視は禁物だろう。ヴィクトワールピサの項でも述べたように、中山は“立ち回りの巧さ”が要求されるコース。実績の高さはその証明でもある。展開に左右される面もあるが、前走と同じように道中内を回って直線で前を捌くことができれば、上位へ食い込む可能性も十分にあるはずだ。

前走、今回と同条件の中山芝1800m・ディセンバーSで2着のレッドシューター
昇級後はOP特別連続2着。今回は重賞初挑戦となるため実績面では見劣るが、近走の安定感を見る限り、簡単には軽視できない存在だ。
芝のレースは、デビュー以来〈5.3.5.1〉。馬券圏内を外したのはわずか1回(0.4秒差4着)で、複勝率・867は出走メンバー1の数字である。見方によっては“相手なりに走れるタイプ”。重賞常連の骨っぽいメンバーが相手になるが、流れに乗れれば好走も可能だろう。
ただし、前走、好位のポジションにいながら勝ったケイアイドウソジンをゴール前で差し切れなかったのは、この馬の決め手の甘さのようにも見えた(新馬戦を圧勝した時はもっとキレる馬になるように思えたのだが・・・)。センスの良さでそのあたりをどこまでカバーできるかだろう。

伏兵陣で注意したいのはマルカボルト
前走のAJCCは直線で一旦先頭に立ちながら、後続の交わされて6着(0.3秒差)。坂上で止まったところを見ると、微妙に距離が長かったのかもしれない。となれば、今回の距離短縮は好材料。同型との兼ね合いがカギだが、番手での競馬もできる馬。粘り込みの可能性もある。
昨年のこのレースのブログで推した12番人気のテイエムアンコールと共通する事柄だが、条件クラスを連勝してきた馬に関しては潜在能力自体は認められるので、オープンに上がって差のない競馬ができるようになれば要注意と考えたい。マルカボルトの場合、AJCC1戦だけでは何とも言えない部分もあるが、今回は距離短縮や馬場の良いところを通れる枠順などのプラス材料が見込める。一応、マークしておきたい。

他では、休み明けの4歳馬2頭。
アロマカフェは〈2.0.2.2〉の中山実績の持ち主。ラジオNIKKEI賞で見せたような道中でポジションを上げていく走りは、いかにも中山向きと思える。あとは、初の対戦となる古馬を含めての力関係かどうかだろう。
ミッキードリームは11か月の骨折放牧明けとなるため、強調しづらい部分もあるが、昨年春はダノンシャンティ、ゲシュタルト、レーヴドリアン、ネオヴァンドームを相手に勝ち負けを繰り返していた馬。長期休養があっても素質が高ければ、リディルのようにいきなりの好走もあり得る。個人的には、どのような走りを見せてくれるか楽しみな1頭。


阪神では、高松宮記念の前哨戦となるGⅢ・阪急杯。
こちらも好メンバーが揃って混戦模様の一戦だ。
近走の充実度からガルボが一歩抜けた人気になっているようだが、実績のあるワンカラット、サンカルロが本番に向けてどのような走りを見せてくれるか注目したい。
勢いのあるサワノパンサー、上積みが見込めそうなフラガラッハも有力候補。他では、スプリングソングの巻き返しにも注意が必要かもしれない。
伏兵をあげるならば、前走距離が長かったコスモセンサーとケイアイデイジーが面白そうだ。



■フェブラリーS・短評

GⅠ・フェブラリーS。
仕事の都合で『予習ブログ』は更新できませんでしたが、レースについての感想を簡単に書いておきたいと思います。

結果は1番人気のトランセンドの完勝に終わりましたが、事前にこの馬をどこまで信頼できたかというと、難しかったように思います。芝スタート、コーナー2回のコース形態、マイル戦の高速決着など、不安材料となる要素が多かったからです。
終わってみれば、これらの課題をすべてクリア。自分のペースに持ち込んだ時のこの馬の“強さ”を再認識させられました(特に最後の二の脚は見事でした)。
ただし、JCダートの走りからもわかるように、トランセンドにはコーナーを曲がりながら加速できる持ち味があるので、1800~2000mのコーナー4回のコースの方が、より強い走りができるように思います。

2着のフリオーソはスタートで置かれましたが、最後は35秒7の驚異的な上がりの脚。このあたりは、デムーロ騎手の瞬時の好判断が大きかったとはいえ、やはり“底力”と考えるべきでしょう。この馬が後方からの競馬になったことで、トランセンドも無理な競り合いをせずに済んだわけですが、「フリオーソは後ろから追い込んでくる」という展開はさすがに読めませんでした(笑)。

3着はJCダートでも見せ場のあった4歳馬のバーディバーディ。力をつけていることがはっきりわかる内容だったと思います。今後が楽しみな1頭と言っていいでしょう。

1~3着の馬には、「近走GⅠ(および交流GⅠ)での好走」という共通項があります。
『競馬のツボ3』の中で「クラスが上がるほど重視される“格”と“実績”」という項目をあげましたが、今回のレースはその通りの結果に終わった感もあります。その視点から見れば、セイクリムズンは、たとえ強い勝ち方だったとはいえ「距離の異なるGⅢを勝ち上がってきた馬」でしかなかったという捉え方もできるでしょう。
4・5着には、東京ダート・1600mに良績のある2頭。掲示板に載った5頭に関しては“順当”と考えられる結果だったと思います。


安東 裕章


■お詫び

「競馬のツボ<ブログ版>」にご訪問いただき、ありがとうございます。
都合により、今週末のブログは休載させていただきます。
今年初のGⅠだというのに、申し訳ありません。

レースのポイントはいろいろと考えられますが、次の2点については慎重に検討した方がいいかもしれません。

●週末に雨が降り脚抜きのいい馬場になった場合、「東京ダート1600mの時計勝負」への対応できるかどうか
●フリオーソの参戦がレース展開にどのような影響を与えるか

それでは、皆さまのご健闘をお祈りいたします。


安東 裕章

■京都記念・復習

伝統のGⅡ・京都記念は、1番人気のトゥザグローリーが快勝。今年の古馬重賞戦線の中心的存在になり得る“圧巻の走り”を見せてくれた。

レースはセラフィックロンプの先導で1000m通過が61秒8のスローペース。トゥザグローリーは好位のインできっちりと折り合い、手応え十分のまま、直線では馬場の良い外目へ。鞍上の指示に瞬時に反応すると、先に抜け出したヒルノダムールを力でねじ伏せるかのように外から差し切った。
近走の走りから「(好位から馬群を抜け出す)正攻法の競馬が持ち味」という評価をしていたが、その一方で「決め手勝負になるとどうか?」というイメージもあった。それだけに、今回の勝ち方は衝撃的。正直、ここまでキレる脚を持っているとは思わなかった。
ひとことで言うならば、この馬の“スケールの大きさ”を目の当たりにしたレース。デビュー(昨年3月)から1年足らずで、これだけの走りの自在性を身につけているとなれば、今後への期待はさらに大きい。次走はどのような競馬を見せてくれるのか。本当に楽しみである。

2着には、6歳牝馬のメイショウベルーガ。
メンバー最速の上がりで大外から伸びてきたが、勝ち馬にはあと一歩及ばなかった。とはいえ、成長著しい4歳牡馬を相手にこの結果は立派。得意の京都の外回りコースで、実績通りの走りを見せてくれた。完璧な競馬と思えただけに、今回は“相手が強すぎた”と判断すべきかもしれない。
そろそろ衰えが気になる年齢ではあるが、その印象はまったくなかった。コース適性がはっきりしている馬なので、狙えるレースが限定されてしまうが、無理をせずに使われていけば、今秋の京都大賞典やエリザベス女王杯でも要注意の存在になるだろう。

3着は2番人気のヒルノダムール。
道中はこれまでよりも前目の好位中団。3コーナー手前から進出して直線では外目先頭。最後は末脚のキレの差で1・2着馬に交わされたが、果敢に“勝ちに行く競馬”を見せてくれた。
個人的には、ここ数戦の中でベストとも思える走り。『予習』の中では「この馬の末脚がどれくらい信頼できるか」という書き方をしたが、後方待機の直線勝負ではなく、自分から動くレースをしたことは評価できるはずだ。
ただし、今回のような競馬をして負けたということは、現時点での実力差がそのまま結果に表われたという見方もできる。昆調教師のコメントは「相手が強かったのでしょう」と淡々としたもの。陣営にとってはショックの大きい敗戦だったのかもしれない。馬券圏内に入れるだけの安定感はあるとしても、勝ち切るためにはもうひとつ何かが欲しいといった印象だ。

4着のダノンシャンティは、向正面まで掛かりっぱなしのレースだった。
有馬記念の入場の際にも暴れたということだが、気性に難のある馬にとっては、折り合い重視の長距離戦は不向きと考えるべきだろう。
道中あれだけ折り合いを欠きながら、直線だけで差を詰めてきたのであるから、能力的に高いものがあることは認められるかもしれない。ただし、それを発揮できる条件は、やはりもっと短い距離のように思える(安藤勝騎手も「距離は短い方がいいかも」とコメント)。
次走、陣営がどのような条件のレースを使ってくるか。そこが最大のポイントになりそうだ。

昨年の菊花賞馬・ビッグウィークは6着。
プラス18キロの馬体は太め感こそなかったが、3コーナーあたりで手応えが怪しくなったのは、やはり休み明けで58キロの斤量の影響だろう。直線の止まり方にしても、いかにも“息切れ”といった印象だった。
もっとも、今回の敗戦はある程度“想定内”だったはず。スタート後のスピードの乗り方も決して悪くなかった。次走、どれだけ変わってくるかに注目。

一方、もう1頭の菊花賞馬・オウケンブルースリ(7着)は少々重症のようだ。
道中最後方はこの馬の定位置としても、3~4コーナーで馬群がスパートした時について行くことができなかった。勝ちパターンを使える条件でありながら、その形に持ち込めない。2着のメイショウベルーガと対比すれば、走りの不甲斐なさがより浮き彫りになる。
内田博騎手は「コンスタントにいい状態で使えれば」とコメントしているが、復活への道はかなり厳しくなりそうだ。

他では5着に入ったロードオブザリング。
後方から直線勝負に賭けただけのレースではあったが、最後までダノンシャンティに食い下がった根性は見逃せない。走破時計の2分14秒4は、昨年のブエナビスタの勝ち時計と同タイム。コース適性が高かったとはいえ、格上挑戦だったことを考えれば上々の結果だろう。
この馬も明け4歳。今後の伸びしろを考えれば、貴重な経験になったはずだ。




■京都記念・結果

2011年2月13日 2回京都6日11R
第104回 京都記念(GⅡ)
芝・2200m 晴・良

 1着 トゥザグローリー    リスポリ  2.13.9
 2着 メイショウベルーガ    池添    3/4
 3着 ヒルノダムール       藤田     1

単勝 2 240円(1番人気)
馬連 2-5 1120円  馬単 2→5 1650円
3連複 2-5-12 1020円  3連単 2→5→12 5390円



■京都記念・予習

今年で104回目を迎える伝統の重賞、GⅡ・京都記念。
天皇賞・春へ向けての使い出しの位置付けだったが、近年では、ドバイ遠征へのステップレースとして使われることも多くなったため、別定GⅡにふさわしい豪華の顔ぶれが揃うレースという印象が強まった。
今回もGⅠ馬が4頭、さらに“最強世代”と呼ばれる明け4歳の有力馬が参戦。今後を占う意味でも重要な一戦になりそうだ。

土曜午後の時点で単勝1番人気の支持を得ているのは、4歳馬のトゥザグローリー
前走の有馬記念では時計差なしの3着。11番人気の低評価を覆す好走で、一気に世代トップクラスの評価を得るに至った。道中は好位をキープして直線で抜け出す、言わば“正攻法の競馬”が持ち味。3走前のマイルCSこそ距離とペースが合わずに7着に敗退したものの、昨年秋の復帰以降のレースぶりを見る限りでは、良血が開花しさらに安定感が加わった印象もある。
同世代でGⅠ勝ちのあるダノンシャンティ、ビッグウィークと比較した場合、実績面では見劣りするが、今回はそれが2キロの斤量差という形でこの馬にとってはプラス材料になる。2月いっぱいで定年となる池江泰郎調教師の花道という意味でも、結果を残したい一戦だろう。
もっとも、気になる点がないというわけではない。
ひとつは、今回、近2走と同じような走りができるかということ。
2走前の小倉と前走の中山は小回りコース。スローペースも手伝って、固まった馬群の中で脚を溜める競馬ができた。今回の京都・外回りコースは、どちらかと言えば、馬群がバラけやすく、直線でも左右に広がることが多い。つまり、京都・外回りというコース形態が、この馬にとってプラスに働くかどうかということである。
有馬で6着に敗れた“跳びの大きい”ルーラーシップは、コース替わりをプラス材料にして日経新春杯を制したが、トゥザグローリーの場合はどうなのか。京都に勝ち鞍があり、広い東京でも好走歴があるので、それほど気にする必要はないのかもしれないが、条件的には近2走と大きく異なることは頭に入れておいた方がいいかもしれない。
もうひとつは、この馬の状態面。
前走の有馬記念でトゥザグローリーが11番人気という低い評価に留まった理由のひとつとして、中日新聞杯から中1週という厳しいローテーションが考えられた。しかも、10月に復帰してから有馬は5戦目。3歳馬(当時)とはいえ、疲れが出てもおかしくはなかった。
今回はそこから中6週になるが、この間に短期放牧に出されるなどのリフレッシュ休養があったかといえば、決してそうではない。陣営の「馬体は緩めていない」というコメントの通り、年明けの1月7日からプール調教を行い、翌週には時計を出し始めている。はたして、昨秋からの連戦による疲労は問題ないのだろうか。そのあたりが気になる点でもある。

前走、日経新春杯2着のヒルノダムール
いまだ重賞勝ち鞍はないものの、あと一歩の好走が続いているため、「今回こそは」という期待が大きいようだ。トゥザグローリーと同じく56キロでの出走は斤量的に有利。京都芝には〈2.1.0.1〉の実績があり、今回の外回りコースはこの馬の末脚を発揮する絶好の舞台という意見も多い。
ただし、この馬の末脚に対して、どれほどの信頼が置けるかというと、正直難しい。
『日経新春杯・復習』の中でもふれたように、前走後の藤田騎手のコメントは「もう少し前が速くなってくれれば」というものだった。しかし、日経新春杯がスローな展開だったかといえば、決してそうではない。今回のレースにしても、それほど速い流れにはなりそうもないメンバー構成のように思える。
たしかに、近2走は連続して連対しているが、今ひとつ“不完全燃焼”というイメージも拭い切れない。この馬の本当の持ち味はどこにあるのか、能力を発揮できる条件はどのようなものなのか。ヒルノダムールに関しては、馬券云々よりも、この馬の適性を頭に置きながら走りに注目してみたい。

昨年春のNHKマイルCを制したダノンシャンティ
4コーナー16番手から33秒5の上がりを駆使して1分31秒4のレコード勝ち。その衝撃は今でも鮮烈だ。
前走の有馬記念は9着だったが、骨折休養明けの上、脚質に不向きの中山のレースということで、度外視してもいいだろう。1走使った上積みが見込め、驚異的な末脚を発揮できる京都・外回りコースならば、有力候補の1頭という見方もできるはずだ。
もっとも、NHKマイルCの走りをそのまま今回のレースに結び付けて考えるのは、いささか短絡的すぎるのではないだろうか。
ハイペースのマイル戦とスローが見込まれる2200mのレースでは、当然ながら、要求される能力が違ってくる。前者に求められるのはスピードと瞬発力であり、後者ではスタミナと折り合いが重視される。潜在能力の高さは認めるにしても、有馬記念1走だけの長距離経験だけで対応できるかどうか。それでなくても、経験値の少なさ(デビューから7戦目)も気になる材料だ。まして、今回は58キロの斤量を背負ってのレースである。
まとめて一気に差し切る可能性もあるが、一部では「マイル戦線を使って安田記念を目指すと思われていた馬がなぜここへ?」という疑問の声も上がっている。この馬の今後の方向性を占う意味でも重要な一戦だろう。

菊花賞(1着)以来となるビッグウィーク
川田騎手の思い切りのいい騎乗があったとはいえ、早目にスパートをかけて後続を封じ込めた走りは見事だった。
昨年の夏は小回りの小倉で結果を残しているが、京都コースも〈1.3.0.0〉と好相性。菊花賞と同じように、坂の下りを利用して長くいい脚を使うレースができれば、好走の可能性も十分にある。
とはいうものの、この馬の最大目標は天皇賞・春。「京都記念で復帰した後もう1走使って本番へ」というローテーションは早い時期から決まっていたという。休み明けで58キロの斤量という条件を考えると、今回は“使い出し”“叩き台”と見た方が無難かもしれない。
加えて、中間には裂蹄を起こして順調さを欠いたとのこと。“最強世代”の頂点のひとつに輝いた馬とはいえ、今回は割引が必要とも思える。

2008年の菊花賞馬・オウケンブルースリ
前走の有馬記念は11着に敗れたが、これまでに経験したことのない先行策だったために、この馬本来の力を出せずに終わったという意見も多い。〈2.1.0.0〉の実績のある京都・外回りコースで、後方に控える自分の競馬ができれば、一変があってもおかしくないはずだ。過去8連対のうち5連対をあげている内田博騎手に手綱が戻るのも好材料だろう。
問題は、どこまで走れる状態に戻っているか。
3歳時には年間8戦を走った馬が、翌年(2009年)には4戦、昨年は3戦と一気にレース数が減少している。体質的なものがあるのかもしれないが、好調期を持続するのが難しいのかもしれない。特に、この馬に関しては、メンタル面の指摘が多い。レースへ行っても走る気持ちにならないというものだ。前走の先行策にしても、“馬に気分良く行かせる”ための横山典騎手ならではの作戦だったようにも思える(中山コースを意識したものでもあるだろうが)。
昨秋の京都大賞典(2着)から数えて4戦目となる今回、どのような走りを見せてくれるか。条件的にはベストとも思えるレース。復活をかける上での正念場とも言えるだろう。

オウケンブルースリに京都大賞典で先着したメイショウベルーガ
前走・有馬記念は脚質不向きの初コースということもあって12着に大敗。加えて、陣営からは「ジャパンC(0.2秒差の6着)がピークの出来で前走は疲れがあった」とのコメントも出ている。
京都コースは〈4.1.0.5〉の実績。特に外回りではGⅡ2勝、昨年のエリザベス女王杯でも2着の結果を残している。連戦の疲れが取れて、状態面が上がっているのであれば、ベストの条件だけに侮れない。
あとは展開だろう。
京都大賞典やエリザベス女王杯では中を突く競馬を見せてくれたが、外差しが決まるようになった今の京都の芝を過剰に意識すると、大外に持ち出して届かずというケースも考えられる(これはダノンシャンティやヒルノダムールにも共通するが)。この馬を熟知している池添騎手が、どのようなポジションからどういうコース取りをするかに注目してみたい。

伏兵陣に関しては、差し・追込型の有力馬が牽制し合う可能性を考えると、前に行ける牝馬2頭が面白いかもしれない。
プロヴィナージュは昨年秋、牡馬混合重賞の朝日CC2着、京都大賞典3着の実績。取消になったエリザベス女王杯も、出走してくればおそらく上位人気に支持されたはずだ。
京都芝は〈0.1.2.0〉。栗東に入って調整している関東馬ということからも、勝負気配がうかがえる。あとは、休み明けでどこまで仕上がっているかだろう。
昨年のこのレースでブエナビスタから0.5秒差の5着に入ったセラフィックロンプ
牝馬限定の重賞勝ちしかないため、実績面では見劣るものの、ここにきての地力強化は少なからず評価できる。ビッグウィークの出方次第だが、仮にこの馬がハナに立ってマイペースで行けるようならば、距離を克服して粘り込みがあるかもしれない。


東京では3歳GⅢの共同通信杯。
クラシック候補として期待される好メンバーが揃い、注目の一戦になりそうだ。
ダノンバラード、ペルシャザール、サトノオーなどの有力馬がどのような走りを見せてくれるか楽しみだが、コース経験・距離経験を基準にするとナカヤマナイトの信頼性も評価できるだろう。
あとは、前走中山コースで道中引っ張り通しだったディープサウンドと、ラジオNIKKEI杯で前が詰まったユニバーサルバンクの2頭が、広い東京コースで巻き返せるかどうかに注目。
馬場が渋って前が有利な展開になれば、前走の朝日杯よりもゆったり進めるタツミリュウやミヤビフェルネーゼあたりの残り目があるかもしれない。




■東京新聞杯・復習

0.3秒差の中に7頭がひしめく大接戦となったGⅢ・東京新聞を制したのは5番人気のスマイルジャック。マイル戦線実績馬の意地を見せてくれた。

シルポートとファイアーフロートが競り合うように先導したレースは、600m通過が34秒1、1000m通過が57秒5。もっとも、2番手グループで追走していた馬が1~3着に入ったことからもわかるように、後続にとっては必ずしも厳しい流れではなかったようだ。
スマイルジャックはスタートを決めて外目の4番手を追走。直線半ばで前を捕らえると、そのまま先頭に立ち、2着馬・キングストリートの追撃をハナ差抑え切った。
今回のレースで評価すべきは、好位先行策から結果を残したことだろう。折り合いに難があったために、後方待機の作戦に頼らざるを得なかった馬が、スムーズに流れに乗って正攻法の競馬ができたことには大きな価値がある。展開に左右されない自在の脚を使えるようになったのであれば、GⅠタイトル奪取へ向けての見通しもさらに開けてくるはずだ。
三浦騎手は「前走(マイルCS)で川田騎手がいい競馬をしてくれたので、それを無駄にしないように乗ろうと思った」とコメント。多少のリップサービスがあるとしても、前走で“前々を進んで最後まで粘れるレース”を経験したことが、結果として今回の走りにつながったに違いない。「この馬のリズムを大事にした」(三浦騎手)ということだが、いずれにしても、馬自身の力強さを感じさせてくれる“いいレース”だった。
今後の注目点は、スローの瞬発力勝負になった場合の走り。今回は好位で折り合いがついていたが、逃げ馬が作った緩みないペースが有利に働いた感も否めない。仮に、前3Fを36秒台で通過するような流れになった場合はどうなのか。今回と同じようなポジションから末脚を発揮することができるのか、あるいは、以前のような後方で脚を溜める競馬に徹するのか。この1戦だけで「脚質転換に成功」と論評する記者も少なくないようだが、展開に対応できる「走りの幅」があるかどうかを見極める必要があるだろう。

2着は7番人気の伏兵・キングストリート。
内枠を活かして好位をキープ。道中に行きっぷりはそれほど目立つものではなかったが、スマイルジャックに詰め寄った最後の伸び脚は見事だった。鞍上の内田騎手は「相手はスマイルジャックと思って乗っていた」とコメントしているが、常に勝ち馬をマークする位置取りでレースを運んだことも好走の一因。このあたりは、ジョッキーの“読み”の鋭さだろう。
課題と思われていた時計面もクリア。ロスのない競馬ができたことによって、馬自身の能力が発揮されたようにも思える。『予習』でもふれたことだが、昨年のGⅡ・中山記念では1番人気に支持された経歴の持ち主(それだけの実力評価を受けていたということ)。力で他馬をねし伏せるような強さは感じられないものの、条件次第では好走の可能性を秘めていそうなタイプだ。今後、どのような路線を使ってくるかに注目したい。

3着のゴールスキーについては、どう評価すべきか。
0.2秒差の3着(1分32秒7)という結果については、及第点を与えてもいいのかもしれないが、競馬ファンが期待していた通りの走りだったかといえば、決してそうではないだろう。
向正面では若干行きたがり、直線では舌を出してモタれ気味。“若さ”と言ってしまえばそれまでだが、本格化するまでにはもうしばらく時間がかかりそうな印象を受けた。
『予習』では「走りが完成されていないのでは?」という前提のもと、「(最内枠に入ったことで)馬群の外へ持ち出さなければならない状況になった時に、瞬時に対応できるのかという疑問も生まれる」と書いたが、実際にそうした懸念通りの内容だったように思える。
勝ち馬と同じように4~5番手を追走していたのだから、直線で突き抜けてきてもおかしくなかったはずなのに、前がわずかに窮屈になった途端にスローダウン(実際、勝ち馬から0.5秒以内でゴールした8頭のうち、上がり34秒を切れなかったのはこの馬と逃げたシルポートの2頭だけ)。そこから盛り返したものの、4着以降とはギリギリの着差で、下手をすれば掲示板にも載れなかったかもしれない。
レース後、リスポリ騎手は「1番枠に決まったのを知ってショックを受けた」「難しいレースを強いられるなと思った」といったコメントを残しているが、あるいは、リスポリ騎手はこの馬の走りの若さ・弱点を見抜いていたのではないだろうか。
もちろん、今後の可能性そのものが途絶えたということではない。今回のようなレースを経験することによって、さらに成長が見込めるはずだ。ただ、この1戦に限っては、ファンの期待が大きすぎたようにも思える。

キャプテンベガ(4着)とオーシャンエイプス(5着)は、流れに乗じて突っ込んできたパターンではあるが、どちらもいい脚を見せてくれた。特に、キャプテンベガは「もう少しポジションが前だったら・・・」と思わせる内容。8歳になるが、昨年の夏以降に減った馬体も回復しており、GⅢクラスまでなら今後も侮れない存在になりそうだ。

6着のシルポートは“負けて強し”のレースだったと思える。
58キロの斤量と競りかけられる展開(それゆえ、スローに落とせない流れ)という不利な条件下で、ゴール手前まで踏ん張っていたのは立派。
激走が続いただけに、今後は調子落ちが心配だが、この馬が出走すると、ある意味“レースが締まる”だけに、この先の活躍にも大いに期待したい。

1番人気のダノンヨーヨーは7着。
北村友騎手は「追い出してから長く脚が使えなかったのは久々の影響かも」とコメント。また、休養明けにもかかわらずマイナス8キロだった馬体については「急仕上げだったからこその馬体減り」と解説する評論家もいる。加えて、本来ならば使う予定ではなかったレース。敗因はやはり調整不足と考えていいだろう。それでいて0.3秒差の負けならば、さほど深刻に考える必要はないかもしれないし、メンバー最速の上がりの脚(33秒2)には“この馬らしさ”を見ることもできた。
とはいうものの、気になるのはゲートの悪さだ。マイルCSの時は偶発的なものと思っていたが、2走続けてとなると「もしかしたら次も・・・」という不安材料につながる。なにより、常に後方からの競馬を強いられるようになれば、展開に泣くケースも出てくる。『予習』では「自身にとって多少不利な状況になっても結果を残せる馬」と評したが、今回は事実として結果を出せなかったのであるから、それについては見直しが必要になりそうだ。
大目標の安田記念の前にどのレースを使うかかは未定だが、次走でのこの馬のポジション取りには特に注意したい。トップマイラーの座を狙う以上は、ある程度の自在性が不可欠のように思えるのだが・・・。

マイルCS2・3着馬が“2強”の支持を得たレースだったが、終わってみれば、「マイル戦線は未だ渾沌とした状態」であることを実感させられる結果となった。
ダノンヨーヨーにもゴールスキーにも、まだまだ課題があるということ。
本番の安田記念に向けて、名乗りをあげてくる有力馬もいるに違いない。予断を許さない状況が続きそうである。





■東京新聞杯・結果

2011年2月6日 1回東京4日11R
第61回 東京新聞杯(GⅢ)
芝・1600m 曇・良

 1着 スマイルジャック   三浦    1.32.5
 2着 キングストリート   内田博    ハナ
 3着 ゴールスキー      リスポリ    1

単勝 15  1150円(5番人気)
馬連 3-15 12090円  馬単 15→3 19310円
3連複 1-3-15 9760円  3連単 15→3→1 97600円



■東京新聞杯・予習

東京芝・1600mで行われるGⅢ・東京新聞杯。
当ブログでは、昨秋のGⅠ・マイルCSの『復習』の中で、「主役不在と言われたマイル路線に、主役に抜擢できそうな新しい顔ぶれが出てきた」と述べ、「今後、どのような勢力図が形成されていくかに注目」と結んだ。今回はそのマイルCSで2着・3着に好走した馬(前売りでは2強の人気)が参戦。春の大目標・安田記念へ向けてという意味も含めて、興味深い一戦になりそうだ。

マイルCSではクビ差の2着だったダノンヨーヨー
スタートで後手を踏んだために後方からの競馬を強いられた形になったが、メンバー最速の上がり(33秒6)で追い込んできた脚は高く評価できる。2走前の富士Sも同様。内枠の先行馬が2・3着に残る展開でありながら、直線外目から豪快に差し切った。言い換えれば、自身にとって多少不利な状況になっても結果を残せる馬だということ。展開に関係なく能力を発揮できるのは、実力馬の証明とも言えるだろう。
デビューから12戦して、馬券圏内を外したのはわずかに1戦(4着)という安定感。軸馬として考えた場合の信頼度も高い。
問題は、今回どれだけの勝負気配でレースに臨んでいるかという点。
前走の内容からGⅠで勝ち負けを期待できる馬とわかった以上、目標が安田記念であることは間違いない(マイルCS2着によって賞金的にも足りる)。当然、使い出しとなるこのレースでピークの状態に仕上げてくるとは考えづらい。実際、音無調教師も「春は4月のマイラーズCから始動すればいいと思っていたが・・・」とコメントしており、“馬主サイドの要望による出走”という見方をする夕刊紙の論評もある(事実関係は定かではないが)。
どこまで状態が上がっているかがカギ。たとえ馬体が仕上がっていたとしても、メンタル面が臨戦モードに入っていないケースもある。今回はそのあたりの気配の見極めが必要かもしれない。

マイルCS3着のゴールスキー
500万から3連勝の後、オープン入り初戦のGⅠでの3着は立派。“最強世代”と呼ばれる明け4歳ということもあって、今後の活躍を期待する声も多い。
この馬の場合、安田記念を目標に置くならば、出走可能のための賞金を加算しなければならない。ダノンヨーヨーと比較するならば、このレースに対する勝負モードははるかに強いはずだ。鞍上にリスポリ騎手を配したのも、必勝態勢の表れという見方もされている。
気になる点をあげるならば、前走(阪神C5着)の走り。
窮屈な内回りコースの外目を回ったせいもあって、3~4コーナーで外に膨らんだために直線で伸びを欠く結果となった。外へ膨らむクセはマイルCSでも見られたのだが、これをどう判断すべきか。
ゴールスキーを本命に指名している競馬記者の多くは、「今回、左回りの東京コースに替わることで、ヨレる走りは是正される」としている。4走前に新潟・豊栄特別を圧勝していることから、“サウスポー”と評価する声もある。
しかし、コーナーで膨らむクセについては、右利き・左利きといった判断ではなく、「走りそのものがしっかりと完成されていないのでは?」という見方もできる。つまり、スムーズなコーナリングを含めた“器用さ”がまだ備わっていないということだ。
仮に、そうであった場合、今回の最内枠はどうなのか。インをロスなく回って前が開く展開ならば問題ないが、馬群の外へ持ち出さなければならない状況になった時に、瞬時に対応できるのかという疑問も生まれる。
昨年夏以降の走りからも、潜在能力の高い馬であることは確かだろう。ただし、現時点では完成された馬という印象はない。今回、どのような競馬を見せてくれるのか。注目したい。

マイルCSでは6着だったスマイルジャック
三浦騎手の負傷によって急遽川田騎手への乗り替わり。そのせいもあってか、本来の末脚勝負ではなく前々での競馬になった。とはいうものの、先行勢に厳しい展開の中で0.3秒差に粘ったことは、この馬の底力の評価につながるものだっただろう。
これまでに使われてきたレースのグレードを考えれば、実績的にも上位の馬。新興勢力が相手でも軽視できない存在だ。
ただし、この馬も、ダノンヨーヨーと同じく目標は安田記念(昨年3着)。小桧山調教師も「年齢的にも今年は大きなところを狙える最後のチャンス」とコメントしている。したがって、仕上がり具合がカギになりそうだ。
あとは、8枠15番という枠順がどうか。昨年の安田記念の時のように、馬群の中で脚を溜めた方がいいタイプとも思えるだけに、前に壁を作りにくい外枠からの位置取りがポイントになるかもしれない。個人的には、前走騎乗できずに無念の思いをした三浦騎手の意地に期待したいのだが・・・。

暮れのファイナルS、年明けの京都金杯を2連勝中のシルポート
以前は“コーナー2回の1800m”を最も得意としていた馬だったが、ここ2走はマイル戦での逃げ切り勝ち。鞍上が小牧騎手に替わったことが大きな要因だろうが、逃げのスタイルが“行き切って粘る形”から“道中でペースを落として脚を溜める形”へ変化した印象がある。単騎に持ち込むと渋太さを発揮するタイプになったということだ。
今回のレース、同型馬はいるものの、マイネルレーニアは同厩舎ということから番手に控えることが予想され、ファイアーフロートは前走の京成杯AHで2番手の競馬で勝っていることから、やはりこの馬の単騎逃げが濃厚だ。
ポイントは58キロの斤量だろう。
前走の金杯でも最後は2着馬のガルボに詰め寄られていただけに、斤量増で府中の長い直線を押し切れるかどうか。マイペースに持ち込んで、どれだけ二の脚を使えるかがカギになりそうだ。

現在、3連勝中の明け4歳馬・フラガラッハ
今回は3ヵ月の休み明けとなるが、元々このレースを目標に定めた放牧であり、中間の乗り込みも豊富なことから力を出せる状態と考えていいようだ。
東京マイルは2走前・前走と連勝している条件。前走はハナを切る形になったが、本来は末脚を活かすタイプ。実際、3連勝のうち、逃げた前走以外はメンバー最速の上がりでレースを制している。
もっとも、この3連勝を額面通りに受け取っていいものか。
3走前と前走は時計のかかる稍重馬場。2走前は8頭立ての少頭数。ある意味、特異な条件下で行われたレースである。
今回は良馬場での16頭立て。言うなれば、力量が試される条件だ。勢いのある4歳馬とはいえ、休み明けの昇級戦は一般的には割引材料。まずは、今後に向けての真価が問われる一戦と見た方が無難かもしれない。

前走、牝馬限定のオープン・ターコイズSを制したカウアイレーン
ハンデ戦とはいえ、格上挑戦での勝利という点については評価できるだろう。東京芝のマイルは〈3.1.0.2〉の実績。ブラックホーク(安田記念勝ち馬)とピンクカメオ(NHKマイルC勝ち馬)の妹ということもあって、今回の条件がベストと評する声もある。
もっとも、近走に比べると、今回は相手関係が格段強化される。
さらに、この馬の好走パターンは「スローで折り合って瞬発力で抜け出す」というものがで、前3Fの通過は36~37秒台がほとんど。シルポートがいくらスローに落とす逃げにシフトチェンジしたとはいえ、3Fの通過は35秒台であるから、カウアイレーンにとっては厳しい流れになるはずだ。
ゴール前が混戦の団子状態になるようならば、牡馬との斤量差をいかしての食い込みがあるかもしれないが、底力勝負になった場合は分が悪いように思える。

昨年の安田記念馬・ショウワモダン
その後の成績を見る限りでは、スランプというよりもピークを過ぎた感もある。今回、陣営は復活をアピールをするようなコメントも残しているが、完調に戻りつつあったとしても60キロの斤量はさすがに厳しい材料だろう。再びマイル戦線の主役になれるかどうかを判断するレースかもしれない。

現在、2連勝中で、前走GⅢ・京成杯AHを勝ったファイアーフロート
以前は気性的にムラのあった馬だが、前走は番手で折り合って抜け出す競馬を見せ、精神面での成長を示した。東京マイル戦も2勝の実績がある。シルポートが後続を封じるような逃げを打ち、それをマークする形でレースを運べれば、あるいは前走の再現があるかもしれない。
ただし、今回は5ヵ月の休養明けで、中間の本数も2本と追い不足の印象。GⅠで好走しているメンバーを相手に、急仕上げでも通用するかといえば、少なからず不安である。

複勝圏内への食い込みならば、伏兵陣にも可能性があるかもしれない。
前走、京都金杯5着のネオヴァンドーム
菊花賞以来の久々のレースだったが、最後まで食らいつく走りを見せ、マイル前後の距離ならば伸びしろがあるかもと思わせる内容だった。きさらぎ賞の勝ち馬だけに、潜在能力にも期待できる。初の東京コース、速い上がりへの対応など課題も多いが、明け4歳の成長力と1走叩いた効果による前進が見込めるかもしれない。
京都金杯では11着に大敗したリクエストソング
陣営いわく、敗因は「休み明けを勝って中1週の競馬による2走ボケ」。たしかに、馬群を追い掛けるだけの集中力に欠ける走りだったようにも思える。今回は坂路調教からコース調教へ変更。入念に乗り込むことで馬に“気”を入れたようだ。マイルは短い印象もあるが、立ち回り次第では面白い存在。
前走、ニューイヤーS5着のキングストリート
オープン昇級後(再昇級だが)は今ひとつの成績だが、近2走を見る限りでは展開に恵まれない窮屈な競馬をしているようにも思える。その点では、馬群がバラけやすい東京へのコース替わりはプラスだろう。昨年のGⅡ・中山記念では1番人気に支持された馬。速い時計への対応が課題になるだろうが、きっかけひとつで大駆けも。
最後にもう1頭あげるならば、キャプテンベガ
昨年の夏以降は見所のないレースが続いたが、これは夏場に使い込んだのが原因と思われる。今回はリフレッシュ放牧明け。勝ち鞍こそないものの、東京芝は〈0.2.3.3〉の実績。昨年のエプソムCで見せたような内をすくう競馬ができれば、好走の可能性もあるだろう。




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安東裕章

Author:安東裕章
東京都出身。2007年11月に書籍『競馬のツボ』、2008年7月に『競馬のツボ2』、2009年7月に『競馬のツボ3』を発表(いずれも総和社刊)。

このたび、拙著『競馬のツボ』を刊行していただいた出版社・総和社様の勧めもあって、ブログを始めることにしました。
競馬における一番の楽しみは、レースについて考えること。つまり予想です。
このブログを書くことで、自分でも週末のレースに向けてイメージを膨らませる訓練になるかと思います。
競馬について考えることが好きな皆様。レース予想に疲れて気分転換をしたい時など、よろしければフラッと遊びに来てください。

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