■2011年05月

■スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

■ダービー・復習

悪天候による不良馬場で行われた第78回・日本ダービー。
2008年生まれのサラブレッド7458頭の頂点に立ったのは、1番人気のオルフェーブル。皐月賞に続き、クラシック2冠を手中におさめた。

皐月賞は後続に3馬身差をつける強い勝ち方だったが、今回のレースもその強さが際立つ内容だった。
道中は後方でじっくり脚を溜め、直線を向くと外目からの追い出し。内のサダムパテックと外のナカヤマナイトに挟まれる格好になりながら、窮屈な隙間を割って抜け出した脚は実に見事だった。さらに、ゴール前でウインバリアシオンが外から迫ってくると、そこからもうひと伸び。卓越した瞬発力とともに、勝負根性=精神力の強さが光っていた。
『予習』には「皐月賞は何もかもうまくいったレース。多少の不利があった時に同じ走りができるかどうか」という不安点をあげたが、それに対する答えをキッチリと見せてくれたということだろう。他からマークされる立場になり、末脚のキレが殺がれる不良馬場という条件が加わっても、前走で見せた強さが本物であることを証明してくれたのである。
ダービージョッキーの仲間入りを果たした池添騎手にも敬意を表したい。変な小細工をせず、馬の力を信じる堂々とした乗り方だった。ダービーで1番人気馬に乗るというプレッシャーは相当のものだったはず。それゆえ、すべてを成し遂げた後インタビューで見せた涙は感動的に思えた。
スポーツ紙ではすでに「3冠の可能性大」という記事も出ている。期待できると思う。激戦の疲れを癒して、秋の大一番に備えてほしい。

メンバー最速の上がりをマークしたウインバリアシオンはあと一歩の2着。
安藤勝騎手は「ベストの競馬をして負けたのだから相手が強かったということ」とオルフェーブルを讃えたが、この馬の能力も十分発揮された一戦だった。
『予習』で書いたように、道悪をこなせるかどうかの疑問があったが、たとえ大跳びであっても走りのバランスがしっかりしていれば末脚を使うことができるということだろう。前日の金鯱賞を勝ったルーラーシップもそうだったように、馬体を沈ませながら重心を低くして直線を伸びてきた。
正直、過小評価だったと反省している。青葉賞で見せた近走とは別馬のような集中力にもっと注目すべきだったし、外差しが決まる馬場状態についての検討もおろそかだった。いずれにしても、菊花賞でオルフェーブルの好敵手となる期待が高まったのは事実。再戦が待ち遠しい。

2着に7馬身差をつけられた3着にはベルシャザール。
プラス16キロの馬体重はむしろ好材料。走りに気迫が感じられたし、最後はナカヤマナイトを差し返す勝負根性を見せてくれた。
先に述べた反省と重なるが、土曜日の目黒記念や8Rの青嵐賞の結果からもわかるように、今回は外の方が伸びる馬場状態(ウインバリアシオンの安藤勝騎手ははっきりとそれを意識した乗り方だった)。その条件下で好位・先行の正攻法で3着を確保したことは、評価してもいいだろう。皐月賞は状態が悪く大敗を喫したが、それ以前はオルフェーブルとも競い合っていた馬。本領を発揮できたレースだったと思う。

2番人気のサダムパテックは7着。
岩田騎手は「道中力んでいた」とコメントしているが、やはり馬場を気にしていたのかもしれない。最後の直線では余力になくなっていたように見え、おそらく距離も長いのだろう。今回は条件が向かなかったと考えたい。
皐月賞の時点では世代の中心馬として評価されていた存在である。良馬場の1800~2000m戦ならば、見限ることはできないはずだ。

デットーリ騎手騎乗のデボネアは12着に大敗。
前走では府中の長い直線向きの末脚を見せたが、今回は不発。陣営は「完成途上の大型馬なので緩い馬場が脚元にこたえた」とコメントしているが、道悪を苦にしないバランスの良い走りを見せたウインバリアシオンとは対照的に、鞍上が追ってももがくような走りになっていた。秋以降の成長と巻き返しに期待したい。

今年のダービーは、ある意味、現時点での完成度の高い馬が道悪を苦にせず力を発揮したレースだったようにも思える。不良馬場によって底力が問われたという見方である。。
ナカヤマナイトとトウセンラーは非力な部分がマイナスに働いたようにも思えるし、ユニバーサルバンク、ショウナンパルフェあたりは、ジョッキーのコメントからも「力の差」という言葉が聞かれた。
言い換えれば、負けた馬に関しても、今後の成長次第では差を詰めることができるということ。良血・トーセンレーヴにしても、現4歳のトゥザグローリーのようになる可能性を秘めているかもしれない。
秋を迎えた時、どの馬がどのくらいの変貌を遂げているか。そのあたりに大いに注目したい。



スポンサーサイト

■ダービー・結果

2011年5月29日 3回東京4日11R
第78回 日本ダービー(GⅠ)
芝・2400m 雨・不良

 1着 オルフェーブル    池添   2.30.5
 2着 ウインバリアシオン  安藤勝  1+3/4
 3着 ベルシャザール    後藤     7

単勝 5  300円(1番人気)
馬連 1-5 3390円  馬単 5→1 4540円
3連複 1-5-7 22950円  3連単 5→1→7 100300円



■ダービー予習

選ばれし18頭によって行われる、競馬の祭典・日本ダービー。今年、その歴史に名前を刻むのはどの馬か。競馬に携わる人間にとって一年で最も重要なレースと言われているが、我々競馬ファンにとっても、言うまでもなく特別な一戦である。

土曜日午後の時点で前売り単勝1番人気に支持されているのは、皐月賞馬・オルフェーブル
東京芝2000mで行われた今年の皐月賞の結果は、同じ舞台であることを考えれば、当然ながら重視されるべきだろう。
オルフェーブルが2着馬・サダムパテックにつけた着差は3馬身。ゴール前で後続をさらに突き離す強い勝ち方だった。言い換えれば、2Fの距離延長にも十分適応できることが予想される加速力であり、皐月賞翌日の新聞記事の中には「ダービーも確定」という見出しも目立っていた。なにより、それまでの追い込んで前を差す競馬ではなく、早目先頭から振り切る走りを見せたところに、この馬の大きな成長が感じられた。
もっとも、皐月賞があまりにも“完璧な競馬”であったため、今回、同等もしくはそれ以上のレースができるかどうかという不安点もある。
皐月賞のVTRを見直してみると、この馬は直線を向くと馬場の良い内に進路を取り、それからやや外目に出して馬群を抜けて出している。その一連の流れは、すべて前が開いている状態。つまり、何ひとつ不利のない、何もかもが上手くいったレースであり、だからこそ、あそこまで強い勝ち方ができたのである。多少の不利があっても同じような走りができるかどうか。もしかしたら、そのあたりがカギになるかもしれない。
そしてもうひとつ、きさらぎ賞以後、減り続けている馬体について。
東京は金曜から雨が降り続き、当日も雨予報。馬場は重か不良になる確率が高く、レースは道悪の持久力勝負になるという見方が多い。ちなみに、一昨年の不良馬場のダービーの時、1~3着はすべて馬体重500キロ以上の馬。馬体重があるほど重馬場向きというわけではないが、440キロ台の小柄なオルフェーブルが消耗戦に向いているかどうか。本来はキレ味勝負の馬だけに、少なからず気になる材料だ。

皐月賞2着のサダムパテック
ゲートの出が悪く、ポジションの取りやすい内枠に入りながら、道中は8番手。直線では前がつかえて追い出しが遅れ、先に抜け出したオルフェーブルとの差を縮めることはできなかった。
オルフェーブルの“完璧な競馬”に対して、こちらはマイナス材料の目立ったレース。それゆえ、巻き返しの可能性も十分あるだろう。スタートを決めることが前提にはなるが、1枠2番の枠順もポジション取りには好枠と考えられる。
ただし、この馬も、東スポ杯の上がり33秒7からもわかるように、末脚のキレで勝負するタイプ。必ずしも道悪がプラスとは思えない。そのあたりを踏まえた上で、岩田騎手がどのような乗り方を見せてくれるのか。イメージ的には得意の“イン急襲”なのだが・・・。注目したい。

皐月賞4着のデボネア
外枠で後方からのレースになりながら、最後は鋭い伸び脚で4着。ダービーへの出走権を獲るとともに、長い直線向きの末脚があることを周知させる内容だった。今回は鞍上にデットーリ騎手を迎えての一戦。そのせいもあってか、前売りでは上位人気になっている。
ポイントはどのような位置取りでレースを進めるかだろう。
皐月賞の追い込みが大きなインパクトを残したが、あの後方一気は、本来のこの馬の走りとは思えない。小倉コースに勝ち鞍があったり、中山の京成杯と弥生賞のレースぶりから、立ち回りの巧さが持ち味という見方もできるからだ。個人的には、今回この馬は前につける競馬をするように思える。オルフェーブル、サダムパテックのキレ味が鈍るとすれば、2頭よりも前でレースをするメリットもある。逆転の可能性はないとは言えないだろう。いずれにしても、世界の名手がどのような騎乗を見せてくれるかに期待したい。

皐月賞5着のナカヤマナイト
共同通信杯から間隔が空いたこともあって、最後は伸びを欠いたが、馬場の良い内ではなく外に出したコース取りの影響もあったかもしれない。傍目には、柴田善騎手がゴチャつく内を嫌って大事をとったようにも見えた。
上積みを考えた場合、1走使って中4週の今回はかなり期待できるだろう。もとより、この馬に関しては“最初からダービーを目標としたローテーション”という意見もある。実際、東京は〈2.1.0.1〉の得意コース。重賞勝ちの実績もあり、変わり身に関しては注目の1頭だ。
反面、前走での8キロの馬体減はどう判断するかという疑問もある。ダービーを目標とするならば、余裕残しでもよかったようにも思えるのだが・・・。
さらに、道悪をこなせるかどうかも気になる材料。
4走前のベゴニア賞での逃げ切り勝ちはあるものの、この馬の非凡な能力を見せつけたのは、共同通信杯の最内を抜けてきた一瞬の末脚。力のいる馬場になった場合、その持ち味を発揮できるかどうか。

今年の皐月賞は、開幕週の東京・芝・2000m。枠順の有利・不利を生んだレースでもあった。したがって、皐月賞で枠順に泣かされた馬についての検討も必要だろう。

皐月賞は8枠16番だったトーセンラー
レースは後方から外々を回らされて、結果7着。内が有利な馬場を考えれば、2着馬に0.5秒差ならば健闘の部類に入るかもしれない。
今回も外目の枠に入ったが、1コーナーまでに距離があるので、ポジション取りは前回よりは多少なりとも楽になるはず。ローテーション的にも、間隔が空き被災の影響のあった前回と比べて、今回は叩いた分の上積みが見込めそうだ。
もっとも、道悪はどうか。きさらぎ賞で見せたような末脚勝負は厳しいかもしれないし、オルフェーブル同様小柄な馬だけにパワー優先型の馬場になった場合の懸念はある。

皐月賞は7枠14番だったフェイトフルウォー
京成杯以来のレースという影響もあって、見せ場なく12着。陣営いわく「前に馬を置きたいタイプ」ということで、内の潜り込めなかったことも敗因と考えていいかもしれない。今回は4枠8番。レースのしやすさという点では、条件好転と判断していいだろう。
道悪は新馬戦勝ちの実績あり。先行力をいかせるレースができれば、上位進出の可能性もある。
気になるのは、ナカヤマナイトと同じく休養明けの前走が馬体減だったこと。田中勝騎手は前走に関して「デキは申し分なかった」とコメントしている。額面通りに叩いた上積みを見込めるかどうか。

個人的に気になるのはオールアズワン
皐月賞は大外。好位の競馬を得意とする馬が4コーナーでは14番手。レースにならなかった。
今回は内枠を引いて、先行策に出れるはず。道悪実績はないが、時計のかかる洋芝・札幌で2勝をあげていることから、パワー型という見方もできる。
あとは距離。弥生賞の時にはかなり行きたがっていたので、折り合いがつけられるかどうかがカギだろう。

皐月賞で3番人気に支持されたベルシャザールも見直せるかもしれない。
前走の敗因(11着)について、陣営は「1頭だけの輸送の影響でイレ込みが激しかった」とコメント。調教後からレースまでに体重が24キロ落ちたことで、まったく力を出せなかったという。今回は帯同馬を伴って体調面を管理するとのこと。力を出せる状態であるならば、先行して粘り込む可能性もあるだろう。当然ながら、直前の気配には注意しておきたい。

別路線組からの台頭はあるだろうか。

プリンシパルSを制したトーセンレーヴ
ブエナビスタの弟ということでデビュー時から注目されていた馬だが、念願のダービー出走が叶ったことはファンとしては嬉しいニュースだ。
ただし、青葉賞で権利が獲れず、連闘でプリンシパルSを使ったことは、やはり誤算だったはず。今回は中2週とはいえ、1ヶ月の間に3回も関東に遠征というローテーションは、疲労や消耗に関して不安がないとは言えないだろう。もちろん、どんなに厳しい条件でもレースになれば力を発揮できる馬はいるので、軽視はできないが・・・。

青葉賞を勝ったウインバリアシオン
スローで先行有利となったレースを、後方から差し切った脚は見事だった。デビューから2連勝した潜在能力を一気に開花させたという見方もある。
ただし、前走で見せた“跳びの大きさ”は東京コース向きであると同時に良馬場向き。馬場が悪化はマイナス材料のように思える。

むしろ、2着のショウナンパルフェの方が面白い存在かもしれない。
直線に入ったところで鞍上の蛯名騎手が後ろを確認していたことからもわかるように、レース終盤でも余裕の手応え。完全に勝ちパターンのようにも見えたが、最後はウインバリアシオンの末脚に屈した。今回はキレ味よりも持続力を必要とされる道悪条件。この馬の方が向いているのではないだろうか。

京都新聞杯を勝ったクレスコグランド
3連勝で重賞を制しての参戦となり、勢いがあるだけに怖い存在。巧拙はどうあれ、道悪の2400m戦を勝っていることも強調材料になるだろう。
走りそのものはまだまだ粗削りの感もあるが、前走で見せたような伴せ馬になった時の勝負根性には好感が持てる。
課題は初の関東への輸送だが、と同時に、年明けデビューで7戦目となるローテーションから、調子落ちの不安もある。状態が万全ならば侮れない存在。

京都新聞杯2着のユニバーサルバンク
前走や共同通信杯の走りを見る限り、好走の条件は好位でスムーズ流れに乗れることだろう。〈1.5.0.2〉の戦績からもわかるように、アタマでは狙いにくいが連下候補としては面白い存在。
ただし、今回は、同様に好位につけたい馬が他にもいる。外枠からポジションを取れるかどうかがポイントになりそうだ。

NHKマイルC2着から参戦するコティリオン
近3走の上がりはいすれも33秒台。キレ味勝負ならば怖い1頭だが、道悪になるとどうか。毎日杯からNHKマイルCを使ってダービーというのは、ディープスカイの例があるように有力なローテーションではあるのだが・・・。NHKマイルCにしても、実際には先行勢が止まったところを急襲しての2着。「レースの流れが味方すれば」という但し書きが付くかもしれない。


■オークス・復習

雨中の熱戦となったオークスを制したのは7番人気の伏兵・エリンコート。クラシック2冠に挑んだマルセリーナは4着に敗れた。

レースのポイントは2つ。
ひとつは、当日午後から降り出した雨によって滑りやすい馬場状態になっていたこと(発表は良馬場)。もうひとつは、逃げたピュアブリーゼが緩みのない平均ペースの流れを作ったこと。
それゆえ、長距離戦にありがちな“スローの瞬発力勝負”という形にはならず、持久力が試されるレースになり、後方で脚を溜めて直線勝負を狙った馬にとっては厳しい展開となった。

勝ったエリンコートは中団のインで流れに乗り、直線入り口から長くいい脚を使った。最後は審議の対象(スピードリッパーと接触)になるほど内にモタれていたが、後藤騎手の渾身の騎乗で2着馬を差し切った。
勝ちタイムの2分25秒7は過去10年で2番目に速い時計。紛れのないレースだったことを考えれば、評価できる一戦と言えるはずだ。
結果論にはなるが、エリンコートには買える要素があった。マルセリーナ、ホエールキャプチャと並ぶ3勝馬。1800mから2000mへと距離を伸ばしながらの連勝。人気馬に距離不安があった以上、2000mでの勝ち鞍があることには注目すべきだっただろう。
もっとも、近年の忘れな草賞の勝ち馬(あるいは好走馬)は、穴人気になりながらも結果を残すことができず、GⅠの激戦を経験している桜花賞組との差が歴然としていた。今年の場合も、桜花賞の内容が高く評価されていたため、実績・経験から低い評価になったのは仕方なかったかもしれない。

2着は逃げ粘ったピュアブリーゼ。
馬場を味方につけたとはいえ、平均ペースで2400mを走り切ったのであるから、スタミナ勝負を得意とする長距離適性の高い馬と考えていいだろう。今回の2強にしても、レーヴディソールにしても、差し脚で勝負するタイプなだけに、渋太い先行馬が現われたことは今後の3歳牝馬戦線においての楽しみにもなる。
課題はやはり、パンパンの良馬場でキレ味勝負になった場合。今回と同じように後続に脚を使わせる競馬ができるかどうか。瞬発力勝負に持ち込ませない逃げ・先行に期待したい。

3着は2番人気のホエールキャプチャ。
ゲートで伸び上がって痛恨の出遅れ。ただし、そこから内に潜り込んでロスのないコース取りをしたあたりは、池添騎手のファインプレイだろう。桜花賞と同じように、後方から外々を回るレースになっていれば、馬券圏内も怪しかったかもしれない。
上がり3Fはメンバー最速。馬群を割って追い込んできた伸び脚には非凡なものがあった。前回は枠順、今回は出遅れと、不運が重なってはいるものの、それでも結果を出している点については評価すべきだろう。個人的には最も強い競馬を見せてくれたという印象だ。

1番人気のマルセリーナは4着。
安藤勝騎手が直線で大外に持ち出した時には、2年前のブエナビスタと同じシーンを期待したファンも多かったのではないだろうか。
もうひと伸びできなかった敗因は、馬場とも距離とも考えられるが、いずれにしても、後方待機→折り合い専念→大外強襲という作戦には向かない流れだった。
それでも4着まで追い込んできたあたりは、並の差し馬ではない。条件が変われば見直せるはずだ。あとは、陣営がどういう距離を使ってくるかに注目したい。

5着は14番人気のスピードリッパー。
『予習』の中で「個人的に気になる馬」と書いたが、予想通り、距離が伸びて新味を見せてくれた。蛯名騎手が「一瞬、勝てると思った」と言うように、直線でも余力十分。キレる脚で勝負するタイプではないので、平均的なペースが向いたのだろう。
残念なのは追い出しと同時にエリンコートと接触したこと。そこからもうひと伸びする脚があったかどうかは定かではないにしても、ゴール前ではもう少し際どい勝負になったかもしれない。
今後の課題は、好位から抜け出す瞬発力を身につけることだろう。

はじめにも述べたように、今回のオークスは持久力が問われるレースであり、折り合って脚を溜めるだけではごまかしの利かない展開だったと思われる。距離適性の有無が結果に反映されたレースと言ってもいいだろう。実際、ハブルバブル、メデタシ、バウンシーチューンのジョッキーからは、「距離が長かった」というコメントが出されている。
そうした意味からも、今年のオークスは力量が試されたいいレースだったと思える。出遅れや不向きの展開でありながらも上位に食い込んだ桜花賞1・2着馬。この2頭についても、改めて高い能力の持ち主であることが確認されたのではないだろうか。




■オークス・結果

2011年5月22日 3回東京2日11R
第72回 オークス(GⅠ)
芝・2400m 雨・良

 1着 エリンコート       後藤    2.25.7
 2着 ピュアブリーゼ     柴田善   クビ
 3着 ホエールキャプチャ   池添    ハナ

単勝 4 3720円(7番人気)
馬連 4-18 42750円  馬単 4→18 104460円
3連複 4-12-18 45120円  3連単 4→18→18 548190円


■オークス・予習

今年のオークスは桜花賞1・2着馬の2強対決という声が多い。実際、土曜日午後の時点での前売り単勝オッズは、マルセリーナとホエールキャプチャが抜けた人気になっている。たしかに、この2頭は桜花賞で強い競馬を見せてくれたし、それ以前のレースからも能力の高さがうかがえる。
ただし、一方で“オークスは混戦”という見方もある。
「距離経験がマイルまでしかない馬が、東京2400mの舞台で同じ競馬ができるかどうか」「桜花賞自体がレーヴディソールという“主役”を欠いた混戦であったことから、1戦だけでは出走馬の能力差を評価できない」といった考え方だ。
桜花賞1・2着馬が力通りの走りができるかどうか。桜花賞で凡走した馬に巻き返しの可能性があるかどうか。別路線組に食い込む余地があるかどうか。
仮に“2強”で決まるレースになったとしても、馬券を絞り込む段階ではさまざまな検討が必要になりそうだ。

桜花賞を制したマルセリーナ
直線では前が詰まり行き場を失ったようにも見えたが、わずかな隙間から一気に抜け出した瞬発力は素晴らしかった。
4戦3勝。3着に敗れたシンザン記念にしても、先着を許したのは牡馬のレッドデイヴィスとオルフェーブル。皐月賞馬に0.1秒差という数字は、逆にこの馬の能力を評価する値と読むこともできる。
今回の課題はやはり距離。
冒頭でもふれたように、この馬はデビューからの4戦すべてマイル戦。折り合い面での不安がないとは言い切れない。道中、スムーズな走りができるかどうか。加えて、初の長距離輸送も克服材料。心身ともにベストの状態で出走できるかどうかもひとつのカギになるだろう。

桜花賞2着のホエールキャプチャ
外枠に入ったこともあって、レースは後方から外々を回らされる展開。4コーナーで大外に出して追い込んだものの、中を割って抜け出したマルセリーナには届かなかった。
この馬の本来の競馬は、クイーンCで見せたような中団から抜け出して後続を突き離す形。馬群を抜け出してからの加速力で勝負するタイプと思える。それを考えれば、自分の競馬が出来ないながらも勝ち馬に0.1秒差まで迫った内容は評価してもいいだろう。
今回は勝ち鞍のある東京コースだが、この馬に関しても距離延長が課題になる。マルセリーナ同様、道中でどれだけ脚を温存できるかがポイント。

桜花賞4着のメデタシ
2走前のチューリップ賞(3着)も前走の桜花賞も、ともに最後の最後に突っ込んでくる競馬。終いの脚は確実という見方もできるが、上位馬と競った形ではないので高い評価は与えられないだろう。
ただし、近走のレース内容から“エンジンの掛かりが遅いタイプ”という判断をするのならば、距離延長によってカバーできる可能性もある。
デビュー以来、体重が減り続けている馬なので、輸送による馬体減には一応注意しておきたい。

桜花賞6着のハブルバブル
連闘から中1週という厳しいローテーションだった桜花賞でも6着に健闘。中5週の今回は中間に短期放牧を挟んで順調に調整されている。状態面に関していえば、前走以上と判断する意見も目立ち、当然、巻き返しが期待できる1頭だ。乗れてるウィリアムズ騎手が騎乗することもあってか、そこそこ上位人気になっている。
もっとも、昨年のオウケンサクラのように、“使い込むほど力を発揮するタイプ”の馬もいる。ひと息入れたことが、必ずしもプラス材料にはならないケースもあるわけだ。馬体がリフレッシュされているか、レースに向けての集中力があるかどうか。このあたりについては、直前の気配を確認した方がいいかもしれない。

桜花賞10着のスピードリッパー
前哨戦のフィリーズレビューの2着馬でありながら、本番では人気が上がらず、実際のレースも見せ場なく終わった。
今回も人気薄だが、実は、馬券圏内を外したのは前走の桜花賞のみ。ヒモ候補を考えた場合、不気味な存在のようにも思える。
同じファルブラヴ産駒のワンカラットやワイルドラズベリーと違って、短距離戦で速い上がりをマークできない馬。もしかしたら、距離が伸ばして新味の出るタイプかもしれない。スローの瞬発力勝負になると分が悪いだろうが、個人的には気になる1頭だ。

桜花賞11着のデルマドゥルガー
前走は輸送の影響もあってマイナス16キロでの出走(調教後にはプラス12キロまで回復)。レース自体も内に包まれる形になり、道中でポジションを下げざるを得ない展開に泣いた感もある。
クイーンCではホエールキャプチャに0.2秒差の3着。力を発揮できれば巻き返しがあってもいいだろう。この馬もマイルまでの距離経験しかないので、道中の折り合いがカギ。外国人ジョッキーのピンナ騎手の手綱さばきに注目したい。

桜花賞12着のライステラス
前走はレース中にトモを捻るアクシデントがあったとのことで、ある意味参考外ととらえることもできる。中間は長めにコースで追っているので、ダメージの心配はないだろう。
京王2歳Sではグランプリボスに0.5秒差の4着。レーヴディソールが強さをみせつけた阪神JFとチューリップ賞では、それぞれ3着、2着。実績面を見れば侮れない1頭だ。
あとは、この馬の好走パターンでもある“好位で脚を溜めて抜け出す競馬”ができるかどうか。

父・ディープインパクト×母・エアグルーヴという超良血のグルヴェイグ
前走の500万・矢車賞では上がり33秒6で後続を突き離す強い競馬。2走前のエルフィンSではマルセリーナに0.4秒差・3着の結果を残している。
この馬の場合、大舞台で素質が開花するかどうかが一番の注目点だろう。
キャリア3戦・前走500万勝ちでのGⅠ挑戦。経験値を重視すれば正直難しい。実際、過去10年のデータを見ても、前走500万勝ちで5着以内に入った馬は1頭もいない。そうした“常識”を覆すだけの能力が、現時点でのこの馬にあるかどうか。前売りで上位人気に支持されている理由は、ファンがそれを期待しているからに違いないが・・・。

新潟2歳Sの勝ち馬・マイネイザベル
オークスから逆算したローテーションを組み、桜花賞はあえてパスしたとのこと。本来ならば、前走のフローラSで結果を出しておきたかったところだが、道悪でノメりながらの走りになり、思うような脚を使えなかったようだ。クイーンCでは2着の実績。直線で長くいい脚を使えるタイプと思われるので、軽視はできないだろう。
今回は8枠17番。それゆえ、序盤の位置取りがカギになるかもしれない。道中で前に壁を作る形に持ち込むのが理想。デビュー以来この馬に乗り続けている松岡騎手の乗り方に注目だろう。

トライアルレースは、いずれも“極端なレース”だった。
重馬場でハイペースになったフローラSとスローの上がり勝負となったスイートピーS。展開の向いた馬が好走したという見方もできるだろう。
もっとも、簡単に“消し”の判断ができるというわけではない。
バウンシーチューンアカンサスは、過去のレースでもメンバー最速の上がりをマークし続けている馬。瞬発力勝負になった場合は、台頭してくる余地は十分ある。
フローラ3着のピュアブリーゼも気になる1頭。ハイペースを先行しての前走3着は評価できるはずだ。大外枠の不利はあるが、マイペースで先行できるようならば残り目も。



■今週末のブログについて

「競馬のツボ<ブログ版>」にお越しいただき、ありがとうございます。
都合により、今週末のブログはお休みさせていただきます。
申し訳ありません。

今週はヴィクトリマイルが行われますが、下馬評では“2強対決”と言われています。
ブエナビスタとアパパネ。
どのような走りを見せてくれるか、楽しみな一戦だと思います。
(馬券的な妙味の少ないレースかもしれませんが・・・)

ブエナビスタは岩田騎手のテン乗りになりますが、
ポイントは“位置取り”でしょう。
マイルは5戦5勝の馬ですが、近走は中長距離での活躍が目立つブエナ。
速い流れで位置取りが後ろになるようだと、追い込んで届かずというケースがあるかもしれません。
もっとも、昨年はその展開から差し切ってしまいましたけど。

アパパネはマイラーズCを1走使っての参戦。
中山記念を回避した経緯があるだけに、順当に良化しているかどうかがカギになりそうです。
3冠牝馬としての実績は申し分ありませんが、古馬としても活躍できるかどうかを占う一戦。
注目したいと思います。

伏兵陣の取捨選択は難しいかもしれません。
ブエナ・アパパネの2頭以外は能力的にそれほど差がないようにも思えます。
中山牝馬S組にしても、震災で開催がずれた影響があるため、結果=力差とは捉えられない部分もあります。
福島牝馬S組も、例年ならば格下感がありますが、今年は新潟の1800mで行われており、左回りのコーナー2回というコース形態は、ヴィクトリアマイルにつながる前哨戦と考えられるかもしれません。

いずれにしても、2強に迫る馬が現れてくれると、今後の楽しみになるのですが・・・。
それでは、皆様のご健闘をお祈りします。


安東 裕章


■NHKマイルC・復習

GⅠ・NHKマイルカップを制したのは1番人気のグランプリボス。2歳王者の名に恥じない見事な走りで、世代マイル王の座に輝いた。

レースはフォーエバーマークが主導権を握り、前半3Fの通過が33秒9。もっとも、逃げ馬同士が過剰な競り合いを避けたこともあって、極端なハイペースにはならず、11秒台のラップを刻み続ける緩みのない流れになった。
言うなれば、これは底力の問われる展開。スピードの持続力に加えて、そこからの加速・瞬発力の優劣が結果に反映されたレースだったと考えていいだろう。

勝ったグランプリボスは、先行集団の後ろでじっくり脚を溜める競馬。向正面では若干掛かり気味にも見えたが、前2走に比べれば十分に折り合っていた。
直線残り1Fまで追い出しを我慢したウィリアムズ騎手の騎乗も光ったが、一瞬にして馬群を抜け出し後続を突き離した脚は“豪快”のひとこと。勝ち時計の1分32秒2は歴代2位にあたる立派な数字でもあり、この馬の能力の高さを示した一戦と評価したい。
次走について、陣営は英国GⅠ(セントジェームズパレスS)への挑戦を表明。早い時期から海外を経験することは大きなステップアップにつながる可能性がある(実際、ヴィクトワールピサは凱旋門賞のあと強くなった)。近年の日本のスプリント~マイル路線は“手薄”という印象が強いので、先々が楽しみになる走りを期待したい。

2着は大外からメンバー最速・33秒4の脚で追い込んだコティリオン。
折り合いに専念するために、小牧騎手が意図的に最後方からのレースを試みたのかと思ったが、実際にはフワッとなりすぎたとのこと。とはいえ、枠順を考えた場合、結果的にはベストだったに違いない。
東京コースで長くいい脚を使えたことは、次走のダービー参戦を見据えれば大きな収穫だったし、持ち味である末脚のキレは評価に値するだろう。
ただし、今回は極端な競馬であったことは事実。戦前に陣営が希望したような“内枠から馬群の後ろで脚を溜めるレース”をして結果を残していれば、次走についての信頼度も高まったかもしれないのだが・・・。能力の高さは示したとは思えるが、グランプリボスのように中団から馬群を割ってくる強さ(そういうレースができるかどうか)に関しては、今のところ未知数と判断した方がいいかもしれない。

3着のリアルインパクトは、内々をロスなく回る理想的な競馬を見せたが、最後は瞬発力の差が出たようだ。
内田博騎手は「馬の力を引き出せなかった」とコメントしているが、それよりも“現状では力の差がある”という印象が残った。
評論家の意見によれば、「完歩が大きい分、瞬時の加速ができない」とのことだが、ならば、立ち回りの巧さを必要とされる内枠からの競馬よりも、外目からロングスパートをかけるレースの方が向いているのかもしれない。
今回は1・2着馬のキレ味に屈した感もあるが、まだまだキャリアの浅い馬なので、今後どのような走りを見せてくれるかに期待したい。

前述したように、1分32秒2は歴代2位の勝ち時計。当然ながら、レースのレベルは高かったと考えられるし、上位に入線した馬については高く評価してもいいだろう。

先行グループの中で最先着のエイシンオスマン(4着)は、中1週続きの厳しいローテーションにもかかわらず、内容のある競馬を見せてくれた。馬体重が増えていたところをみると、今が一番の成長期にあるのかもしれない。まじめに渋太く走るという印象。ニュージーランドT勝ちがスローの前残りだっただけに、ペースに対応できたのは収穫だろう。
5着のプレイもマイルの流れに乗って健闘した。ただし、瞬発力勝負では分が悪いようだ。個人的には、2000m前後で自分のペースで走った方が持ち味を活かせるように思える。
6着のマイネルラクリマも休み明けのGⅠという条件を考えれば上々の内容だろう。2歳重賞勝ちの実績馬だけに、次走の変わり身に注目したい。
逃げたフォーエバーマークは、セーフティリードを作れる逃げ馬という印象が残った。1400mまでなら要注意の存在になりそうだ。

3番人気のエーシンジャッカルは9着に敗退。
岩田騎手は「ペースが落ち着きすぎた」とコメントしているが、位置取りが後ろ過ぎた感もある。速い時計とペースへの対応が今後の課題かもしれない。
ヘニーハウンドは直線で一瞬伸びたように見えたが、マイルは距離が長い印象。加えて、底力が試されるレースになったことで、経験不足も敗因に結びついたと考えていいだろう(アイヴィーリーグも同様)。
ダンスファンタジアは直線入り口で手応えなし。桜花賞→フローラSから中1週というローテーションは、牝馬には厳しかったかもしれない。

■NHKマイルC・結果

2011年5月8日 2回東京6日11R
第16回 NHKマイルカップ(GⅠ)
芝・1600m 晴・良

 1着 グランプリボス   ウィリアムズ 1.32.2
 2着 コティリオン     小牧      1+1/2
 3着 リアルインパクト   内田博     3/4

単勝 13  460円(1番人気)
馬連 13-17 1170円  馬単 13→17 2160円
3連複 1-13-17 2040円  3連単 13→17→1 7920円



■NHKマイルC・予習

3歳マイル王決定戦、GⅠ・NHKマイルカップ。
土曜日午後の時点で前売り単勝人気1ケタ台の馬が5頭。割れ気味の人気からもわかるように、力量の優劣を判断しづらい非常に難解な一戦になりそうだ。

暮れの朝日杯を制した2歳王者のグランプリボス
GⅡ・京王杯2歳Sの勝ち馬でもあり、実績面を基準に考えれば、圧倒的な支持を得てもおかしくない存在のはずだ。
評価を下げている理由は、年明け2戦の内容。
スプリングSは「結果次第では皐月賞へ」という陣営の思惑があったため、必ずしも適距離とは言えず、休み明けという条件も加味すれば、折り合いに苦労するのは想定内だったと解釈できるかもしれない。
しかし、続くニュージーランドTでも、スローな流れになったとはいえ、終始行きたがる面を見せていたのは不安材料。そもそも朝日杯の戦前評価でも「マイルは1F長い」と言われていた馬だけに、直線を向いてからが正念場となる東京のマイルを克服できるかが課題となりそうだ。
今回のレースは「行く馬が揃ったため流れは速くなる」というのが一般的な見解。折り合いに不安を残すグランプリボスにとって、その点は有利な材料と言えるだろう。ただし、勝ち鞍のある中山マイルと東京マイルとでは、求められる能力が違ってくる。長い直線を克服できるスピードの持続力があるかどうか。そのあたりの見極めが、この馬の取捨選択のポイントかもしれない。

前走、毎日杯2着のコティリオン
直線半ばまでは前が開かない状態だったが、最後はメンバー最速の33秒6の上がりで勝ったレッドデイヴィスをクビ差まで追い詰めた。1勝馬でありながら上位人気に支持されているのは、府中の長い直線向きの末脚が評価されているからだろう。速い流れが見込まれる展開ならばなおさらだ。
この馬の場合、外枠に入ったことが走りに影響を及ぼすかどうかがカギになるかもしれない。
陣営の希望は“前に壁を作れる内枠”。外々を気分良く行くと脚を溜められなくなるからだ。前走に関しても、直線で前が詰まっていたことが、逆に最後の瞬発力につながったという見方もできる。
「流れが速くなれば差し・追込馬が有利」と言われるが、それはあくまで後方で脚を溜めることができた上での話。先行馬につられる形で外目を追走すれば、脚を使い過ぎて不発で終わるケースもある。道中、どれだけ我慢できるか。小牧騎手のポジション取りに注目したい。

前走、1200mのファルコンSを勝ったヘニーハウンド
新馬勝ちの後、4ヶ月の休養を挟んで、2戦目で重賞勝ちというのは、そう簡単になせる業ではない。初戦と2戦目の勝ち方が違っているのも、非凡なレースセンスを感じさせる。新馬戦で東京コースを経験している(輸送を含めて)のも強調材料だろう。
問題は距離。
初のマイル戦であり、しかも持続力を問われる東京コース。1200m→1400mと距離を伸ばしてきたのではなく、逆のパターンであることも気掛かりな点だ。
ちなみに、過去において、前走で芝1200mを使って参戦した馬の成績は〈0.0.1.23〉。2~3歳馬にとっては距離経験が重要となることは言うまでもない。
ある意味、ここは試金石の一戦。今回の条件でも能力を発揮できるようであれば、今後が大いに楽しみになる。

フルゲート18頭のうち、ニュージーランドTを走った馬は8頭。
したがって、ニュージーランドTをどう評価するかが、馬券検討のひとつの糸口になるかもしれない。
グランプリボスのところでも述べたように、このレースはスローな展開。前半3Fは35秒9だった。一方、NHKマイルCの過去5年における前半3Fの平均は34秒1。行きたい馬が揃った今回はさらに速い通過になるかもしれない。
つまり、ニュージーランドTのレースの流れは、必ずしもNHKマイルCに直結するものではなく、見方を変えれば、ニュージーランドT凡走馬にも見直す余地があるとも考えられるわけだ。

ニュージーランドTの勝ち馬・エイシンオスマンは、4コーナー2番手からの抜け出し。スローペースが味方した部分が大きいとも考えられる。
前走の皐月賞ではハナを切る競馬を見せたが最後は失速。適距離のマイルに戻るのはプラス材料だろうが、前傾ラップが予想される流れに対応できるかどうか。何より、中1週続きの4戦目、連続での関西から輸送というローテーション的な問題が気になる。

2着のエーシンジャッカルは、先行有利の展開でありながら、後方から馬群を割って伸びてきた。内容的には1着馬より高く評価できるかもしれない。2枠4番という枠順は、外に持ち出すロスがなく、馬込みを苦にしないこの馬にとっては有利と思える。あとは、輸送と初の左回りをクリアできるかどうかだろう。

5着のロビンフットは、2歳時から重賞戦線で経験を積んできた馬。東京芝のマイルに勝ち鞍があるのも強味だろう。もっとも、勝ち負けになるには、もうひと押し足りない印象。ヒモの候補としては面白いかもしれないが・・・。

ニュージーランドT組で最も変わり身を期待されているのが、前売り3番人気のリアルインパクト
前走は3ヶ月の休み明け。しかも、震災の影響もあって急仕上げとなり、輸送で馬体重を減らしての参戦だった。
京王杯、朝日杯ともに、グランプリボスに0.1秒差の2着の実績。叩き2走目の今回は当然上積みが見込めるだろう。コースロスの少ない最内枠から巧く立ち回れば、直線で抜け出してくる可能性も見えてくる。

同様に、前走で体を減らしたオメガブレインも変わり身が期待できるかもしれないのだが、こちらには大外枠の不利がある。1400~1600mの距離しか使っていない馬だけに、外々を回らされる展開になると厳しいだろう。

人気薄ではあるが、16着に大敗したキョウエイバサラも気になる存在。
前走は大外枠からの出遅れ。スローな展開では致命傷であり、まったく競馬にならなかった。
注目したいのは、2走前のアーリントンC。相手関係もそれほど強くなく、インをうまく回ったとはいえ、初芝で2着に入った結果は評価してもいいはずだ。適性そのものに未知の部分も多いが、今回巻き返しがあっても不思議ではないだろう。

ニュージーランドTでハナを奪ったリキサンマックス
3走前のきさらぎ賞の走りと比較すると、無理にスローに落とさずにマイペースで飛ばした方がいいタイプのようにも思える。
今回は逃げにはうってつけの1枠2番に入ったが、やはり問題は同型馬の出方。
前半3Fを35秒台で走るリキサンマックスに対して、桜花賞で5着に粘ったフォーエバーマークは34秒台のスピードを持っている。クリアンサスも逃げて結果を残しているし、テイエムオオタカもスタートからの加速が鋭い。
このあたりのメンバーがどういう出方をするかによって、ペースや隊列が決まってくるだけに、展開面での検討はやはり必要になってくるだろう。
逃げ・先行型から1頭あげるならば、テイエムオオタカ
未勝利勝ち以降すべて馬券に絡んでいる戦績は、いわば“相手なり”に走れる渋太さとも評価できるし、距離に1200~1800mの幅があるのも、自在性という意味での強味ともとれる。あとは、番手に下がっても自分のリズムでレースができるかどうかだろう。

年明けのクラシック戦線の実績を考えれば、プレイも軽視できない。
前走の皐月賞は外枠からポジションを取りに行った分、最後は一杯になったようだが、流れに乗れば粘り込むタイプであることは、京成杯や弥生賞で立証済み。となれば、カギになるのは、マイルの流れに乗れるかどうか。個人的には、コーナーを4回通過して息の入れやすいコースの方が向いているようにも思えるのだが・・・。

デビューから2連勝でGⅠに挑戦するアイヴィーリーグ
前走500万条件の勝ち時計は、同日のニュージーランドTと0.2秒差。レース時が稍重馬場であったことを考えれば、上々のタイムであり、中から抜け出して後続に0.3秒差をつけた内容も評価できる。実際、この馬に本命を打つ専門紙・スポーツ紙の記者も少なくない。
とはいうものの、問題はやはり経験値だろう。
データをあげるならば、キャリア2戦でこのレースに挑んだ馬は、過去10年において馬券圏内はおろか掲示板にも載っていない(もっとも、データはあくまでデータにすぎないが)。
ヘニーハウンドにも言えることだが、キャリアの浅い馬ほど可能性は高く見えるもの。GⅠというグレードを考えつつ、そのあたりをどう判断するかがポイントになるだろう。

最後に、ダンスファンタジア
近走は結果が出ていないが、赤松賞とフェアリーSの勝ちっぷりが強い印象を残している。さらに、それ以外のレースについては、関西輸送と道悪という敗因も読み取れる。
桜花賞の後、フローラSを使って中1週が続くローテーションが気になるが、2000mを経験したことで距離短縮が難のある折り合い面にプラスに働く可能性もある。
良血馬として期待された部分が大きかった分、敗戦がマイナス要素としてとらわれがちだが、マイルの持ち時計はメンバー中トップ。ハマった時の破壊力は頭に入れておいた方がいいかもしれない。



■天皇賞(春)・復習

天皇賞・春を制したのはヒルノダムール。7番人気(単勝16.9倍)の低い評価を覆して、見事GⅠタイトルを手に入れた。

1000m通過が1分4秒2、2000mが2分8秒7という超スローペース。行きたがる馬が多いこともあってか、次から次へとポジションの奪い合いが続く出入りの激しいレースになった。
『予習』の中で「馬群の動きがこのレースのポイント」と書いたが、それはあくまで“馬群の隊列が決まってレースの流れが落ち着くこと”が前提。横山典騎手の言葉を借りれば「グチャグチャのレース」となった今回は、道中で動いた馬(あるいは動かざるを得なかった馬)ほど消耗が激しく、リズムを崩した無理な走りを強いられたように思われる。外からマクった馬は必要以上に脚を使い、マクられた内の馬はポジションが悪くなったことで前へ行こうとする。勝敗のカギとなったのは、そうした流れの中で、いかに自分の競馬に徹することができたかということだろう。

勝ったヒルノダムールは、インでじっと我慢の競馬。道中、出入りが激しくなっても、折り合いに専念するかのように動くことはなかった。
結果的に、じっくり脚を溜めたことが、直線の伸びにつながった。言うまでもなく、これは藤田騎手の好騎乗だろう。まわりの状況に惑わされず、馬の力を発揮させることだけを考えた乗り方。レースの流れに対する“読み”が素晴らしく、完璧と思える内容だった。
レコード決着の大阪杯に続いてのGⅠ制覇。今回に関しては“有力馬の自滅”という印象も少なからずあるものの、この馬自身、ひと皮むけた感がある。世代の脇役から主役へランクアップしたと評価してもいいのではないだろうか。

2着のエイシンフラッシュは、久々に豪快な末脚を披露してくれた。
『予習』でもふれたように、この馬は超スローの流れで脚を溜めることができるタイプ。今回は馬群の外目を回らされたために若干掛かり気味に見えたが、辛抱強く折り合って、4コーナー手前から動いて外から伸びてきた。半馬身差は枠順の差とも思えるだけに残念だったが、それでも、ダービー馬の面目躍如と言える内容だろう。
この馬に関しても、自分の競馬に徹したゆえの結果と評価できる。ヒルノダムールと同じく、道中で我慢をしたからこその好走だろう。3コーナー過ぎの仕掛けが「ワンテンポ遅いのでは?」とも思ったが、結果的には正解。脚の使いどころを熟知した内田博騎手の好騎乗である。いずれにしても、ダービー馬の復活は嬉しいニュース。層の厚さを増した最強4歳世代。今後の戦いをますます期待できそうだ。

3着は3コーナー手前から先頭に立ったナムラクレセント。
出遅れで中団からの競馬になったため、ポジションを上げるために脚を使った分、最後は一杯になったが、この馬のスタイルである“早目のロングスパート”は成功だったと思われる。マイネルキッツ(6着)も同様に自分の走りを見せてくれたが、今回の両馬の着差はもしかしたら年齢的なものがあるのかもしれない。
ともあれ、この馬もまた、自分の競馬で結果を残した1頭。前半から先行できなくても、4角先頭という自分のスタイルを貫いたことが、馬券圏内の着順につながったのではないだろうか。
6歳馬ではあるが、一時の低迷期を脱したようなので、長距離路線での古豪としての活躍を期待したい。

4着・5着は、マカニビスティー(17番人気)とトウカイトリック(18番人気)。2頭とも最内からゴール手前で伸びてきた。言い方は悪いが、勝負と関係なく自分のペースでレースを進めてきた結果の“タナボタ的な着順”と考えられる。つまり、それだけ「このレースは自分の競馬をできる馬が少なかった」「自分の競馬をするのが難しかった」ということだろう。
特に、1番人気のトゥザグローリー(13着)は、自分の競馬ができなかった典型である。
未知数の距離を走る場合、何より折り合いが重視されるものだが、今回の超スローペースで完全に掛かってしまった。ハナに立った四位騎手の騎乗に対して批判もあるようだが、馬の気に任せて走らせることを考えれば仕方なかっただろう。
不運に思えたのが、3コーナー手前でナムラクレセントに追いつかれて、再度行きたがる素振りを見せたこと。道中で脚を溜めることもできず、息も入らずでは、3200mのレースは厳しい。
今回はある意味“特殊”とも思えるペースなので、参考外という見方もできるかもしれないが、自分の走りができずに未経験の長距離を完走したダメージは大きいはずだ。
陣営は「次走については白紙」とコメントしているが、本来の自分のリズムを取り戻せるかどうかがポイントになるかもしれない。

ローズキングダムは掛かって自滅。『予習』では「脚の使いどころが課題」と書いたが、それ以前の問題として競馬になっていなかった(3コーナー過ぎでもう一杯だった)。
ペルーサは中団でスムーズな競馬をしているようにも見えたが、直線でまったく伸びてこなかった。距離が不向きという見方もあるようだが、初距離で次々と馬が入れ替わるレースに戸惑った部分もあるだろう。この馬に関しては、スタートが良くなった分キレ味の凄みがなくなった印象が強く、なんとなく“過渡期(脚質的な意味で)”に入っているようにも思える。レースを勝てるスタイルを身につけるのが今後の課題かもしれない。

終わってみれば、最強世代・4歳馬のワンツーであり、主役が増えたという意味では今後につながるレースだったかもしれない。
ただし、超スローペースで、あれだけ出入りの激しい競馬になるのは、ごく稀なパターン。特殊な一戦だったという印象も拭えない。
人気になった有力4歳馬の敗因をひとことで言うならば、自身の経験値にないレース展開になったからだろう。見方を変えれば、非常に貴重な経験を積んだことにもなるわけだ。
トゥザグローリーのところでも書いたように、次走の課題は「自分の競馬を取り戻すことができるかどうか」である。巻き返しを期待したい。



■天皇賞(春)・結果

2011年5月1日 3回京都4日11R
第143回 天皇賞・春(GⅠ)
芝・3200m 曇・やや重

 1着 ヒルノダムール     藤田   3.20.6
 2着 エイシンフラッシュ   内田博  1/2
 3着 ナムラクレセント     和田   1+1/2

単勝 2  1690円(7番人気)
馬連 2-15 6810円  馬単 2→15 15590円
3連複 2-3-15 25530円  3連単 2→15→3 189840円

カレンダー

04 | 2011/05 | 06
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

カテゴリ

プロフィール

安東裕章

Author:安東裕章
東京都出身。2007年11月に書籍『競馬のツボ』、2008年7月に『競馬のツボ2』、2009年7月に『競馬のツボ3』を発表(いずれも総和社刊)。

このたび、拙著『競馬のツボ』を刊行していただいた出版社・総和社様の勧めもあって、ブログを始めることにしました。
競馬における一番の楽しみは、レースについて考えること。つまり予想です。
このブログを書くことで、自分でも週末のレースに向けてイメージを膨らませる訓練になるかと思います。
競馬について考えることが好きな皆様。レース予想に疲れて気分転換をしたい時など、よろしければフラッと遊びに来てください。

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。