■2012年02月

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■中山記念・短評

GⅡ・中山記念を制したのは3番人気のフェデラリスト。前走の中山金杯に続いて重賞連覇を成し遂げました。

フェデラリストについては『展望ブログ』の中で、これまでの連勝がいずれもスローの上がり勝負だったことから、「前半3Fのラップが36秒台になった場合、レースの流れに乗れるかどうか」という不安要素をあげました。
今回、大逃げを打ったシルポートの通過ラップは、前半3Fが36秒0、1000mが58秒7。シルポート以外の馬群はそれよりもかなり離れされたいたので、序盤はゆったりとした流れだったように見えました。フェデラリストにとっては、十分対応できるペースだったわけで、結果的に時計のかかる重馬場だったことが、この馬に味方したとも考えられます。
さらに、内目の枠順もプラスだったでしょう。馬場状態の回復が内から進んだこともあって、この日の芝レースの大半は、直線でインに入った馬に有利に働く結果。フェデラリストは直線で最内をこじあけて伸びてきましたが、道中で脚を溜めインを突ける内側のポジションをキープできたことも勝因だったと思います。
とはいえ、こうした有利な条件があったにせよ、最後の末脚は“強烈”のひとこと。重馬場でメンバー最速の上がり34秒4。次位の上がり(ネオヴァンドームの35秒0)に0.6秒差をつけたのですから、驚異的な数字と言えます。
今回は重馬場だったこともあり、「序盤からハイペースになった場合、同じ走りができるかどうか」という課題は残ったようにも思えますが、“確実に末脚を使える馬”と評価してもいいでしょう。今後の中距離戦線でどのような走りを見せてくれるか期待したいと思います。

2着にはシルポートが逃げ粘りました。
『展望ブログ』にも書いたように、松岡騎手の逃げ方に注目していましたが、今回は馬の気に任せて行かせる戦法でした。ペースそのものはこの馬にとって決して速すぎないものでしたし、差し脚が殺がれる馬場を考えれば、意図的に後続を引き寄せるような逃げ(途中でペースダウンさせる走り)よりも効果的だったと思います。
最後はさすがに脚色が鈍りましたが、それでもこの馬の持ち味を十分に発揮できた内容。フェデラリストの差し脚の次元が違っていただけで、勝ちに等しい競馬だったとも言えるでしょう。同型不在で馬場を味方につけた部分も大きいですが、単騎のマイペースで行けるレースならばまだまだ力が通用するところを見せてくれたと思います。近走見せたマイル戦での止まり方と比較すると、楽にハナを奪えてコーナーを4回通過する1800~2000mの方が適条件になりつつあるのかもしれません。

3着はリアルインパクト。
2着のシルポートから4馬身も離されたため、誉められる結果とは言い難いですが、最後にひと伸びしてくるあたりはGⅠ馬の地力かもしれません。
もっとも、馬群が縦長になり、直線も前が壁にならず、この馬の不安材料であった“ゴチャつき”が回避された以上、もっと際どい勝負になってもおかしくなかったはず(馬場的にも有利な好位のインにいただけになおさらです)。「仕上がっていない分、追ってからの反応が鈍かった」という岩田騎手のコメントの通り、今回はあくまで“使い出し”ということなのでしょう。次走、どれくらいの変わり身を見せてくれるか、注目したいと思います。

1番人気のトゥザグローリーは10着。
この馬の不安材料については、『展望ブログ』に書いた通り。福永騎手のコメントの中に「(敗因は)最近スローのレースばかりだったからなのか・・・」という言葉がありましたが、本来動かなければならないところでまったく動けなかったのは、やはり“中長距離仕様”の走りが向かなかったように思います。
ただし、不適距離、重馬場、外枠といった悪条件が重なったとはいえ(あくまでドバイへの叩き台だったとしても)、あまりにも負け過ぎ。敗因を特定するコメントは出されていないようですが、強さを見せる走りと惨敗の時の走りの差が大きすぎるのは、あるいは精神的にムラな面があるのかもしれません。「GⅠで好勝負できる器」であることはファンも認めるところなので、常に能力を発揮できる馬に成長してほしいと思います。

敗因がわからないという点は、レッドデイヴィス(2番人気・11着)も同じ。
単に馬場が合わなかったのかもしれませんが、某競馬評論家によれば「騙馬は気分屋」という意見も。個人的には、得意の距離に戻ってどのような走りを見せてくれるか期待していただけに、結果そのものよりも敗因不明という点が残念に思います。

終わってみれば、枠順の内から3頭による決着。
先にも述べたように、当日の馬場は内に入れた馬が結果を出し、枠の有利・不利があったことは否めません。
しかし、GⅡレースでも同じように“枠次第の結果”になるというのは、少なからず物足りなさを感じます。
不完全燃焼といった印象が残った一戦でした。


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■中山記念・展望

今週から競馬は中山と阪神での開催。日曜日の中山ではGⅡ・中山記念が行われます。

レースの中心と見なされるのは、土曜の前売り時点で抜けた1番人気に支持されているトゥザグローリー。
最強のメンバーが揃ったと評された昨年の有馬記念で3着。年明けの日経新春杯は58.5キロの背負いながら、力の違いを見せつけての完勝でした。実績的に格上の存在(GⅡクラスでは4戦3勝2着1回)であり、今回は他馬と差のない57キロでの出走。有力候補と認めざるを得ないでしょう。

ただし、不安材料がないとは言えません。
それは、1800m戦への出走が、一昨年の10月(カシオペアS)以来となること。
トゥザグローリーの戦歴を振り返ってみると、3歳時にカシオペアSを勝った後、マイルCSに挑戦して7着に敗れています。その後は2000m以上の中長距離路線に主戦場を移行しているのですが、マイルCSへの出走には、この馬の距離適性を測ろうとした陣営の意図があったようにも思えます。その結果、スピード勝負のマイル路線よりも、ゆったりとレースを運べる中長距離の方が向いているという結論に達したのではないでしょうか。つまり、トゥザグローリーは“中長距離仕様”の馬であり、これまでの実績についても、中長距離だからこそ能力を発揮できたとも考えられるわけです。

中山の1800mは1コーナーまでの距離が比較的短いため、スタート地点が坂の途中でありながらペースが上がりやすい特徴が見受けられます。この10年で中山記念を2度制した馬は3頭いますが、ローエングリン、カンパニーはマイルにも実績があった馬であり、バランスオブゲームは中山1800mのスペシャリストでした。いずれも、ある程度のスピードに乗ってレースの流れに乗れるタイプだったということです。前述したように、トゥザグローリーは“マイラー仕様”(もしくは“マイルにも対応できる仕様”)ではなく“中長距離仕様”の実績馬。1800mの距離で能力を発揮できるかという点が、少なからず気掛かりなところです。

さらに加えれば、このレースがドバイへの叩き台であることも減点材料かもしれません。
このレースを使ってドバイへ向かうというローテーションは、昨年の勝ち馬・ヴィクトワールピサと同じですが、ヴィクトワールピサの場合はその時点で〈3.0.0.0〉という圧倒的な中山実績を誇っていました。それゆえ、完調手前であっても、得意の中山コースで結果を残せたとも考えられます。
トゥザグローリーの中山実績は〈0.0.2.0〉で、いずれも有馬記念の結果。中山巧者と呼べる数字ではありませんし、ヴィクトワールピサのように、自分から動ける“小回り中山向きの脚質”であるかも若干疑問です。

今回は大外枠に入ったこともあり、おそらく後方からのレースになると予想されますが、開幕週だけに、脚の使い方次第では届かないケースがあるかもしれません。まして、ドバイへの叩き台ということで、仕上がりそのものが完調手前であるとしたら、なおさらでしょう。
もちろん、AJCCのルーラーシップのように、脚質的に不向きと思われた条件でも能力の違いでアッサリ勝ってしまうことも十分考えられます。競馬ファンもそうした“強さ”に期待しているに違いありません。適条件ではないレースでどのような走りを見せてくれるのか。注目したいと思います。

前走、有馬記念で0.5秒差の9着(トゥザグローリーからは0.4秒差)だったレッドデイヴィス。
この馬にとって、明らかに距離が長いレースで、しかも不利な大外枠だったことを思えば、大健闘の結果と評価できるでしょう。
今回は〈2.1.0.0〉と最も得意とする1800m戦で、他馬よりも軽い55キロの斤量と、条件は大きく好転します。さらに、暮れの有馬で関東への輸送を経験したことも強味でしょう。骨折に加え、騙馬であることからクラシック戦線を戦えなかったため、オルフェーヴルのようなインパクトの強い印象は残していませんが、明け4歳世代のトップクラスであることは確か。今後を期待する意味でも注目した1頭です。
課題は小回りコースに対応できるかどうか。
有馬記念で中山コースを経験してはいるものの、距離も長くペースも超スローでした。1800mの実績が高いとはいえ、勝った毎日杯も鳴尾記念も阪神外回りでの上がり勝負。中山1800mで、仮に平均以上のペースになった場合、流れに乗れるかどうかがカギかもしれません。

レッドデイヴィスと同じく明け4歳で、唯一のGⅠ馬でもあるリアルインパクト。
3歳で安田記念を制し、毎日王冠でもダークシャドウにクビ差の2着。重賞戦線でも互角以上に戦えるポテンシャルの高さは、すでに証明済みとも思えます。
ただし、1番人気に支持されたここ2戦の内容は今ひとつ。いずれも、勝ち負けになりそうな位置にいながら直線で行き場を失う競馬でした。前走後、福永騎手は「内枠が災いした」とコメントしましたが、あるいは馬込みがあまり得意ではないのかもしれません。実際、馬群がバラけやすい東京コースで〈2.2.1.0〉の良績を残しています。
今回の2枠2番は、開幕週という条件を考えれば、立ち回りやすい好枠と言えるでしょう。しかし、芝の良い内目に馬が密集するような展開になれば、リアルインパクトにとって、必ずしもプラスにはならないようにも思えます。それでなくても、目標は先で今回は多少の余裕残しという声も。少頭数で鞍上が“追える”岩田騎手に戻るのは好材料ですが、半信半疑な部分も否めません。

前走、中山金杯を制し、現在3連勝中のフェデラリスト。
〈3.0.0.0〉の実績を持つ中山巧者であり、前走でも向正面から自分で動く“中山向き”の走りを見せてくれました。重賞初挑戦の内容としては上々、まだまだ伸びしろがありそうな印象も受けました。
もっとも、今回に関しては不安要素もあります。
これまでの3連勝は、いずれも2000m戦。フェデラリストの前半3Fのラップは37秒5、37秒6、38秒2で、いずれもスローペースでした。6走前に中山1800mの500万を勝った時も37秒9。つまり、時計的な部分で限定されている走りしかしていないことになります。
過去10年、良馬場で行われた中山記念のレースラップ(前半3F)を見ると、一番遅いものでも2005年の36秒7。フェデラリストの数字とはかなりの開きがあります。
先にも書いたように、中山の1800m戦は1コーナーまでの距離が短いため、各馬が集中してペースが上がることがあります。そうなった場合、フェデラリストには流れに乗れず後方に置かれるリスクが伴うかもしれません。あるいは、流れに乗れたとしても、これまでとは違った速いラップを刻むことで、最後に失速するケースも考えられます。
中央所属となってから、ここまで7戦して4勝。「底を見せていない」という捉え方もできますが、同じようなラップでしか走っていないことを考えると、経験不足という見方もできるかもしれません。流れに対応できるかどうかがポイントでしょう。

経験値という点では、むしろ中山金杯2着のダイワファルコンの方が上かもしれません。
前走は先に抜け出した分、フェデラリストの目標になり、最後は差される結果となりましたが、クビ差以上は離されず渋太く粘ったとも言えるでしょう。陣営のコメントにもある通り、ブリンカーの効果があったとも考えられます。
中山の1800mは〈3.1.0.1〉の実績。好位に付けてレースを運べる脚質なので、開幕週の馬場への対応も難しくないように思えます。実績的には格下感が否めませんが、マークしておきたい1頭でしょう。
気をつけたいのは、当日の馬体重。
ベストの条件で1番人気に支持された2走前のディセンバーSは、プラス10キロの太め残りのために大敗したと言われています。念のため、直前の数字をチェックした方がいいかもしれません。

マイルCS2着以来のレースとなるフィフスペトル。
この馬も〈3.1.1.3〉という高い中山実績を持っています。昨年のスプリンターズSでも6着に健闘しているように、マイル以下の良績が目立ちますが、4走前には1800mのオープン・夏至Sを勝利。距離的には守備範囲と考えていいかもしれません。
ただし、夏至Sに関しては、1枠1番の好枠を活かして自分のペースで行けたことが何よりの勝因。マイルCS2着も同じく最内枠であったことから、インで巧く立ち回れるのがこの馬の何よりの強味であるようにも思えます。
今回は少頭数とはいえ、外目の枠。はたして、持ち味を活かせるポジションをキープできるかどうか。そのあたりがカギになるかもしれません。

その他、気をつけておきたいのは、最内枠に入ったシルポートの前残り。
近走は、平均以上のペースで逃げ粘るレースができなくなっているため、1Fでも距離が長くなるのは好材料かもしれません。
もっとも、コーナー4回の1800mには実績がないので、うまく息を入れられるかどうかが課題。テン乗りの松岡騎手がどのように馬を保たせるかに注目したいと思います。


阪神では、高松宮記念の前哨戦と言える阪急杯が行われます。
レースのカギになると思えるのは、メモリアルイヤー、オーセロワ、ヘッドライナーの逃げ馬3頭の出方。
前が競ってハイペースになるようだと、人気のサンカルロ、スプリングサンダー、オセアニアボスあたりの差しが決まりそうですが、早目に隊列が決まって流れが落ち着けば、開幕週の馬場を利して逃げ・先行馬が残るかもしれません。
人気薄で面白そうなのは、休み明け3戦目で条件ピッタリのタマモナイスプレイ(狙い過ぎなことはわかっていますが・・・笑)。


■フェブラリーS・短評

GⅠ・フェブラリーSを制したのは、7番人気のテスタマッタでした。
4コーナー後方3番手の大外から一気の差し切り。ゴール前で先行馬をギリギリ捉えたのではなく、抜け出してからさらに後続を2馬身突きはなす強い勝ち方を見せてくれました。

一番の勝因は、やはり、後方で折り合って脚を溜められたことでしょう。
『展望ブログ』の中で「岩田騎手が一旦後方まで下げるようなレースをすると、追い込んでくる可能性がある」と書きましたが、壁の作りにくい大外枠からのスタートでありながら、すぐにライブコンサートの後ろに潜り込んで折り合いに専念した岩田騎手の好騎乗だったと思います。
前半3F34秒7という近年の良馬場では最も速い流れになり、差し・追込馬に有利な展開ではありましたが、それを差し引いても最後の伸び脚は見事。道中で折り合えばという条件はつくものの、GⅠを勝てるだけの能力の持ち主と評価できるのではないでしょうか。
岩田騎手の「馬がひと回りもふた回りも良くなっていた」というコメントの通り、最終追い切りで初の併せ馬を試みるなどの陣営の工夫・努力も見逃せません。大一番で馬が能力を発揮できる状態を作り上げた、陣営の仕上げ方と騎手の乗り方が勝利に結びついたと言えるでしょう。

2着はシルクフォーチュン。
この馬なりにベストの競馬ができたとは思いますが、1400m戦と比べると最後のキレ味がいくぶん鈍るように思えます。さらに、今回はスタート後の芝の部分で置かれたこともあって、根岸Sの時ほど楽な追走ができなかった分、伸び脚に影響したとも考えられます。
それでも、異なる条件で連続好走を果したことは評価できるでしょう。
追い込み馬には“不発に終わるイメージ”がつきまとうため、この馬に関しても以前は“展開次第”“ハマれば”などの条件下で狙えるタイプに見えました。しかし、ここ2戦の内容から「確実に脚を使える馬」という印象も強くなったようにも思えます。充実期を迎えたと判断していいかもしれません。

3着は2番人気のワンダーアキュート。
道中は中団やや後ろを追走。『展望ブログ』に書いた通り、JCダートで見せた後方からの追い込みは窮余の策と判断していたので、ポジション的には問題なかったと思います(和田騎手も「いい位置に付けられた」とコメント)。
それでも、最後にキレ味の差が出たのは、久々のマイル戦で流れに戸惑った部分があったのかもしれません。4つのコーナーで息を入れながら、ゆったりとしたペースで脚を溜めた方がこの馬向きのように思えます。
もっとも(これはシルクフォーチュンにも言えることですが)、ベストの条件ではなくても、それなりの結果を残せたことは、地力の証明とも言えるでしょう。

圧倒的な1番人気に支持されたトランセンドは7着に敗れました。
この馬の不安材料については『展望ブログ』に書いた通りですが、結局のところ、自分の競馬が出来ないまま馬群に沈んだように見えました。今年のタイムは、昨年のトランセンドの勝ち時計よりも1秒早いもの。自分のペースでなかったことは明確です。

それにしても、今回の行きっぷりの悪さは、懸念していた以上のものでした。
1400mまでの短距離馬2頭(セイクリムズン、トウショウカズン)と芝で行き脚のついたグランプリボスがハイペースで引っ張ったとはいえ、向正面では一時は9番手まで後退。そこから盛り返しはしたものの、4コーナーは外を回らされる形になり、直線で内目に潜り込んだところでこの馬のレースは終了。まったく見せ場のない惨敗でした。
藤田騎手は「全然行けなかった」とコメントしていますが、行けなくなった根本的な原因については不明。距離なのか展開(ペース)なのか、あるいは体調面なのか、現時点ではわからないままです。近走の走りから“敗戦の予兆”が見えていたことを思えば、もしかしたら脚質的な限界なのかもしれません。いずれにしても、何らかの形で立て直しが必要なように思えました。

3番人気のエスポワールシチーは5着。
鞍上が武豊騎手に替わったことで、トランセンドを制してハナを奪いにいくのでは?とも思っていましたが、実際にはトランセンドをマークする競馬に徹していたように見えました。
マークする相手が脱落してしまうと、そこからギアを入れ直すのは至難の業。結果的には、“強い馬をマークする”という常套手段が、逆にこの馬の持ち味を消してしまったようにも思えます。乗り替わりのせいもあるのでしょうが、武豊騎手が慎重すぎた点が、少しばかり残念にも思えます。

今回のレース、波乱の結果と見る向きもあるかもしれませんが、「能力を発揮できた馬が勝ち、そうでない馬が負ける」という点では、順当だったのではないでしょうか。
それゆえ、テスタマッタの能力をレースで引き出した岩田騎手と陣営の努力は、賞賛されるべきものでしょうし、ベストの条件ではないレースで結果を残した2・3着馬についても、その力量を評価したいと思います。


■フェブラリーS・展望

本年度最初のGⅠレース、フェブラリーS。
土曜日午後の前売りでは、昨年の覇者・トランセンドが単勝1倍台の支持を受け、“一強”の様相を呈しています。
新聞各紙の予想を見ても、そのほとんどが「トランセンドの相手探し」「トランセンドの逆転候補」といった内容。昨年の南部杯を含めて、中央で行われたダートGⅠ4連勝中の実績を踏まえれば、やはり今回のレースの中心的存在と認めざるを得ないでしょう。

ただし、気掛かりな点がないわけではありません。
それは、近走におけるスタートからポジションをキープするまでのこの馬の走りです。
JCダートにしても、南部杯にしても、スタートからスンナリと位置取りが決まったわけではありません。むしろ、他の先行馬に比べるとダッシュが悪く、藤田騎手が最初の直線で強引に追ってようやく前に取り付いたという印象が残っています。JCダートは1コーナーでなんとかハナを奪えましたが、南部杯ではエスポワールシチーの2番手に付けるのがやっとのようにも見えました。
今回は短距離の逃げ馬・ケイアイテンジンの出走もあって、序盤からペースが上がることも予想されます。そうした中で、トランセンドがどのような形で自分のポジションを取りに行くか、「できればハナを切りたい」という陣営の思惑通りになるかどうか。そのあたりがポイントになるかもしれません。

トランセンドの強さは、序盤でかなりの脚を使いながらも勝ってしまうところであり、自分のポジションが決まって流れに乗れさえすれば、最後までスピードを持続できる点にあります。ドバイの逃げ粘りも、南部杯のゴール前での差し返しも、この馬の強さが十分発揮された場面でした。
しかし、どんなに強い馬であっても、序盤で必要以上に脚を使えば、ゴール前で失速する危険性がないとは言えません。自分の競馬に持ち込むまでに手間取るタイプなだけに、3コーナーまでのペースと位置取りがカギになるようにも思えます。

JCダート、東京大賞典と、2戦連続2着のワンダーアキュート。
3歳時に武蔵野Sを制するなど、素質の高さは認められていましたが、ここにきてようやく成熟期を迎えた感があります。GⅠタイトルに手が届くところまできたと言えるかもしれません。
この馬の場合、前述した武蔵野S以来となるマイル戦に対応できるかどうかがカギになるでしょう。
近走はコーナー4回の1800m以上のレースを使っていることもあって、前半3Fを35秒台後半から36秒台で通過するラップで走っています。一方、フェブラリーS(もしくは東京のマイル)では、前半3Fが34秒台になることもしばしば。武蔵野Sを勝った時は前半34秒6で押し切っていますが、現時点でそれと同じような競馬ができるかどうかは、正直疑問です。
前残りの流れだったJCダートでは後方からメンバー最速の脚で追い込んできましたが、あのレースはスタートで躓いたために、和田騎手の一か八かに賭けた乗り方だったようにも思えます。今回、追走に苦労するような展開になった場合、最後の伸び脚を欠く危険性があるかもしれません。

一昨年のこのレースの覇者・エスポワールシチー。
ここ2戦は馬券に絡んではいるものの、ゴール前で脚色が鈍り、“衰え”という声も聞こえています。特に、前走の平安Sは、斤量差があったとはいえ、前を行くヒラボクキングを捉えられず、3着のシルクシュナイダーにも詰め寄られる内容。正攻法の競馬をした上での敗戦だけに、深刻な部分があるようにも思えました。
ただし、ここ数戦で見せている番手マークの正攻法の競馬が、はたしてこの馬にとってベストなのかどうか。他馬との兼ね合いもあるでしょうが、ハナを切って後続に脚を使わせるレースをした方が、強い走りができるのではないかとも思えます。
前走後、主戦の佐藤哲騎手は「思い切った競馬をした方がいいかもしれない」とコメントしていましたが、今回の鞍上・武豊騎手がどのような乗り方をするかに注目です。

前走、根岸Sを制したシルクフォーチュン。
逃げたタイセイレジェンドが差のない4着に残れたように、前が有利な展開だったにもかかわらず、34秒9の強烈な末脚で見事に差し切りました。自分から動くような形で仕掛けどころを判断した藤岡康騎手の好騎乗もありますが、単なる追い込み一辺倒の馬ではないことを印象づけたように思います。
今回はベストの1400mよりも1F長くなりますが、流れに乗って外に出すタイミングがハマれば十分食い込みも可能なはず。3着に入った南部杯のように前半34秒台の速いペースになれば、より理想的でしょう。

根岸Sで1番人気に支持されたダノンカモン。
5着には敗れましたが、最後は0.3秒差まで詰め寄り、あくまで叩き台と考えればそれほど悲観する内容ではなかったと思います。
馬群に揉まれて頭を上げる仕草をしていたので、今回も内枠に入ると厳しいかもしれないと思っていましたが、6枠11番ならば外目を追走する形が取れるでしょう。ペースが速くなり、馬群がバラける展開になれば、よりスムーズな競馬が期待できそうです。
東京ダート1600mは〈1.3.1.1〉と良績を残していますが、相手なりに好走するタイプのようにも思え、GⅠで勝ち負けできるかというと微妙。抜け出してから他馬を突きはなすような強さがあれば面白い存在なのですが・・・。

根岸S2着のトウショウカズン。
内で脚を溜めて直線で渋太く粘るのが持ち味の馬なので、今回の外枠がどうかという不安があります。さらに、デビュー4戦目からは一貫して1400mを使ってきた馬(1戦だけ1200m)。距離も課題となるでしょう。
ただし、前走でも「実績のない左回り」と不安材料がありながら、しっかりと結果を残しただけに、あるいは予想以上に奥が深い馬かもしれません。それだけにノーマークにできない部分もあります。

根岸S3着のテスタマッタ。
1昨年の2着馬ですが、ここ数戦は折り合いが課題になっています。実際、1400mの前走でも掛かり気味の走り。それゆえ、前に壁を作りにくい大外枠はマイナス材料と思われます。
食い込みがあるとすれば、前走のようにシルクフォーチュンと併せる形で伸びてきた場合。岩田騎手が一旦後方まで下げるようなレースをすると、追い込んでくる可能性があるかもしれません。

今回が初ダートとなるグランプリボス。
鞍上が内田博騎手ということもあって穴人気を背負っているようですが、実際のところ、走ってみなければわからないといったところでしょう。
基本的には、“芝でのキレ味勝負に強い馬はスピードとパワーの持続力が要求されるダートは不適”と見るべきだと思うのですが・・・。

人気薄で気になるのは、ヤマニンキングリーとタガノロックオン。
ヤマニンキングリーは先行して粘り込みたいタイプだけに、芝スタートから行き脚をつけることができれば、ここ2戦とは違って持ち味が発揮できるのでは。
タガノロックオンは唯一の4歳馬なので、未知数に期待したい部分もあります。格下感は否めませんが、内枠を利して好位を追走する競馬ができれば面白いかもしれません。



■今週もお休みです

先週に引き続き、今週も都合によりブログをお休みします。

京都記念は9頭立ての少頭数ですが、メンバー的にはなかなか見ごたえがありそうです。
最強世代のヒルノダムール、ダークシャドウ。オルフェーヴルと好勝負を演じた、明け4歳のウインバリアシオン、トーセンラー。
目標は先かもしれませんが、どのような走りを見せてくれるか楽しみです。

共同通信杯はクラシック戦線を占う意味でも重要な一戦。
ディープブリランテ、ゴールドシップといった2歳重賞で結果を出した馬にも注目ですが、レース経験が少なくても本番で期待できるような素質を感じさせてくれる馬も判断できるようにしたいと思います。

それでは、皆様のご健闘をお祈りいたします。


■先週の競馬・短評

日曜に行われたマイルGⅢ・東京新聞杯。
勝ったのは8番人気のガルボでした。
逃げたコスモセンサーをマークする形で追走し、ゴール直前でクビ差の差し切り勝ち。見応えのある追い比べを見せてくれました。
鞍上の石橋脩騎手は「相手はコスモセンサーと思って乗った」とコメントしていますが、前が残れるスローペースを読み、ターゲットを絞って道中を進むなど(特に向正面で一旦馬を下げて脚を溜めたこと)、好騎乗が光ったレースだったと思います。
前走のニューイヤーSでも中山の外枠から好位を取れたように、この馬本来の行きっぷりの良さが戻ったことが何よりの勝因。ダッシュよく馬場の荒れていない内のポジションをキープできたことが大きかったと思います。元々、冬場を得意とするタイプ。それを考えると、人気の面では評価が低かった感もあります。

2着のコスモセンサーは絶妙なペースの逃げを見せてくれました。ただし、抜け出しが若干早かったため、勝ち馬の目標になってしまったようにも見えました。本来は番手マークの方が持ち味が活きるタイプ(蛯名騎手も「前に目標があった方がいい馬」とコメント)とも思えるので、ハナに立たされてしまったところが展開のアヤだったかもしれません。それでも、さほど得意ではない東京コースで、僅差の勝ち負けを演じたわけですから、今回の結果は評価に値すると思います。

3着は東京巧者のヒットジャポット。上位2頭には離されましたが、最後はこの馬の持ち味である伸び脚を見せてくれました。前が有利な条件・展開の中での3着確保は、他の差し馬よりも早めに仕掛けた後藤騎手の好判断だったと言えるでしょう。重賞ではもうひとつ決定力不足の感もありますが、東京マイルでは常に安定した脚を使ってくれる馬だと思います。

終わってみれば、ニューイヤーSの1~3着で決まったレース。
たしかに、「前走・ニューイヤーSでの好走は東京新聞杯につながる」というデータもあります。
しかし、今回のレースで問題視すべきは、京都金杯上位2頭(マイネルラクリマ・ダノンシャーク)にフレールジャック、サダムパテックを加えた4歳馬の不振かもしれません。
特に、ダービー2着馬のサダムパテックは、走りに覇気が感じられず、立て直しが必要のようにも思えました。
フレールジャックはレース間隔が空いた影響もあったかもしれませんが、距離を短縮しても相変わらず掛かり気味の走り。
いいポジションにいながら追って伸びなかったマイネルラクリマ(外枠から流れに乗るために脚を使い過ぎたのかもしれません)。
そして、自分で競馬を作れないダノンシャーク。(もっとも、この馬については、展開が向けば突き抜ける要素は秘めているようにも思えますが・・・)
それぞれに敗因はあるかと思いますが、これといった見所がなかったのは残念でした。

逆に、今後注目したいのは4着のフミノイマージン。
牡馬相手に56キロの斤量を背負いながら、最後は中を割るようにメンバー最速の脚を使って伸びてきました。春の最大目標はヴィクトリアマイルかと思われますが、このまま順調にいけば、本番でも有力候補の1頭に数えられる可能性があるでしょう。

京都のきさらぎ賞は、ディープ産駒のワン・ツー・スリー。いずれも、非凡なキレ味を見せてくれました。
特に勝ったワールドエースは大物感の漂う走り。クラシック候補にふさわしいスケールの大きさを感じました。
勝ち時計の1分47秒0はレースレコード。内容のある一戦だったと思います。
ラジオNIKKEIのアダムスピーク、東スポ杯のディープブリランテ・・・。もしかしたら、今年の3歳世代はディープ産駒一色に染まる予感もします。今後の活躍に期待しましょう。



■今週はお休みです

「競馬のツボ<ブログ版>」にお越しいただき
ありがとうございます。
都合により今週の更新は休ませていただきます。
申し訳ありません。

皆様のご健闘をお祈りいたします。


安東 裕章


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プロフィール

安東裕章

Author:安東裕章
東京都出身。2007年11月に書籍『競馬のツボ』、2008年7月に『競馬のツボ2』、2009年7月に『競馬のツボ3』を発表(いずれも総和社刊)。

このたび、拙著『競馬のツボ』を刊行していただいた出版社・総和社様の勧めもあって、ブログを始めることにしました。
競馬における一番の楽しみは、レースについて考えること。つまり予想です。
このブログを書くことで、自分でも週末のレースに向けてイメージを膨らませる訓練になるかと思います。
競馬について考えることが好きな皆様。レース予想に疲れて気分転換をしたい時など、よろしければフラッと遊びに来てください。

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