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■2012年03月

■今週はお休みです

いつも「競馬のツボ<ブログ版>」にお越しいただき、
ありがとうございます。

残念ながら、今週も仕事の都合により、
ブログを休ませていただきます。
申し訳ありません。

大阪杯もダービー卿も
なかなか面白いメンバーが揃ったレース。
参加したいなあ・・・(泣)

皆様のご健闘をお祈りいたします。


安東 裕章

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■高松宮記念・短評

春のスプリント王の座に輝いたのは、カレンチャン。昨年のスプリンターズSに続いて、GⅠ連覇を成し遂げました。
逃げるエーシンダックマンを番手でマークして、直線で抜け出す正攻法の競馬。最後はサンカルロにクビ差まで詰め寄られたものの、強い勝ち方を見せてくれました。
ブログで不安材料として取り上げた「ローテーションの反動」もなく、この馬の力を存分に発揮できたレースだったと思います。

惜しい2着はサンカルロ。
予想していたよりも馬場の内側が回復していたこともあって、結果的には前残りの展開になりましたが、その中で外から差してきた脚は見事。前走は大幅な馬体増がありましたが、今回はキッチリと絞れていた印象。この馬もまた、力を発揮できたのではないかと思います。

3着は1番人気のロードカナロア。
いつもながらの好スタートを切って、前目のポジションで競馬ができたことが好走要因でしょう。ブログでは「レースの形に対応できるか」という不安要素を取り上げましたが、一応は合格点。ただし、いくら5連勝中だったとはいえ、GⅠでぶっち切るだけの“経験値”はなかったように思えます。これまでのレースと比べて、戸惑った反応をしているようにも見えました。4歳馬なので、まだまだ伸びしろがありそうですし、今後の活躍に期待したいところです。

クビ差の4着はダッシャーゴーゴー。
横山典騎手も「最高の競馬ができた」とコメントしていますが、久々にこの馬らしい痛快な走りを見ることができました。最後はロードカナロアに競り負けましたが、このあたりはブログに書いたように「距離の融通性は1200mがギリギリ」といった感じで、新装・中京向きのプラスアルファの持続性が足りなかったようにも思えます。

5着はマジンプロスパー。
一線級との対戦経験がなかった分、力負けという印象があります。もっとも、この馬も現時点での力は出し切れたのではないでしょうか。上位4頭と比べると、上がりの脚(最後のひと伸び)で負けた感もあり、あるいは、1400m戦の方が適鞍なのかもしれません。

終わってみれば、人気馬による決着。
新しい中京コースということで、紛れがあるかとも思いましたが、上位馬が力を発揮した上での結果ですから、底力がモノをいったレースだったと評価できるでしょう。
勝ち時計の1分10秒3は1000万条件の基準タイムを0.1秒上回るだけのものですが、逆に言えば、GⅠ馬が走ってもそれだけ時計のかかるコースということ。それゆえ、能力の有無が問われるコースという見方ができるかもしれません。
ただし、ひとつだけ難癖をつけさせてもらうならば、前週までの外が有利の馬場が、一転して内が伸びる馬場に変わったこと。これについては、競馬評論家からも「GⅠの週になると馬場の傾向が変わることが多い」「馬場の管理・調整の詳細をきちんと発表してほしい」といった指摘が出ています。(実際、週中にジョッキーも「内が荒れて始めている」というコメントを残していました)
レースそのものは、有力馬がその力を存分に発揮できたいいレースだったと思いますが、その部分が釈然としなかったのも確かです。

■高松宮記念・展望

春のスプリント王を決定するGⅠ・高松宮記念。
今回のレースにあたって、最も検討が必要な項目は「新装・中京コースへの適性」かもしれません。
スプリント戦では、“スピードの絶対値”や“キレの鋭い末脚”といった馬自身の能力が結果に反映されることが多いのですが、その能力を発揮できるかどうかについては、コースの向き・不向きが重要なカギであることは言うまでもありません。まして今回は、どの馬にとっても初となる新しいコース。まずは、新装・中京コースの特徴を十分に考察する必要があるかと思います。

先週までに行われた中京芝1200mのレースは6鞍。最も高いクラスが1000万なので、GⅠ予想の参考にするには心もとない部分もありますが、それでも特徴らしきものは見受けられます。

●異常なほど時計がかかる馬場
これまでの最速タイムは良馬場で1分10秒4(3月4日の1000万クラス)。例年よりも2秒は遅い時計です。原因として考えられているのは、洋芝の丈が長く重いこと。さらに、直線に急坂が出来たことによって、ペースを握る逃げ馬が失速するため、上がりがかかる展開になっています。
このことから、「スピードで押し切るのは難しく、長く脚を使えるパワー型に向いているコース」という見方ができると思います。1200mがベストの生粋のスプリンターよりも、坂を上がってからもうひと伸びできるエンジンを備えているタイプ。持続力やスタミナを基準とするならば、1400m以上の距離での好走歴もひとつの判断材料になるかもしれません。

●後半よりも前半が速い前傾ラップ
以前の高松宮記念にも同様の傾向が見られましたが、新装・中京芝1200mで行われたレースも、6鞍すべてが前半が後半よりも速いラップで通過しています。これには、コース形態が大きく影響していると考えられます。
スタートから3コーナーまでの距離が短くなったため、主導権の奪い合いが激しくなったこと。さらに、3~4コーナーにかけての下り坂でスピードが上がること。そして、直線の坂でペースが落ちることなどが原因と言えるでしょう。
こうしたラップの形に適応できるのは、序盤に脚を溜めながらも無理なく追走でき、全体のペースが落ちたあたりで加速できるタイプ。後方から一気の追い込みも可能性がないとは言えませんが(実際に4角後方16番手からの差し切り勝ちもありました)、それよりも、好位・中団あたりから抜け出して伸びてくる走りの方が理想的かもしれません。

●外差しも要注意
新装・中京の芝のレースに関しては、基本的に「内枠有利」というデータが示されているようです。ただし、1200m戦に限れば、そのあたりは不問。枠順に関係なく、最後まで脚を使えるかどうかがポイントでしょう。外枠に入ったとしても、距離のロスを補って余りあるだけの持続力があれば、馬群の外から差し切れるケースもあると思います。
さらに、開催8日目のレースということで、馬場の内ラチ沿いが荒れてきたのも事実。内枠の馬については外に出せるかどうか、外枠の馬については直線でどのあたりにいるかといった、位置取りに関しての検討が必要かもしれません。


土曜日午後の時点で、前売り単勝1番人気に支持されているのは、“スプリント界の新星”との呼び声も高いロードカナロア。
現在5連勝中。とりわけ、前走のシルクロードS勝ちは圧巻で、届きそうもない位置から一気に差し切り、2着馬・エーシンダックマンに0.4秒差をつける完勝でした。以前は一本調子の先行型という印象もありましたが、ここにきて脚質に幅が出てきたように思います。
この馬の強味はスタートの速さ(最初の数完歩の速さ)。好位につけるスピードがあり、そこから一旦脚を溜めて、最後にもうひと伸びできる余裕のある走りができています。先行力と瞬発力を兼ね備えた資質の高いスプリンターと評価していいでしょう。
スポーツ紙等では、ロードカナロアの不安材料として、「初の左回り」「直線の坂」を挙げています。たしかに、それらは未経験の要素としての課題には違いありませんが、トップクラスのスプリンターであればクリアできる条件ではないでしょうか。多少の得意・不得意はあるにしても、GⅠレースで有力候補になるほどの能力を備えている馬ならば、「回り方」や「坂」が大きな壁になるとは思えません。

むしろ考えるべきは、ロードカナロアの走りが新装・中京コースに適しているかどうかという点でしょう。
近走の連勝は小倉・京都といった軽い芝の馬場でのもの。この馬の走りそのものも重厚なパワー型というよりも自在に脚を使えるスピード対応型というイメージがあり、今の中京芝に合うかというと、しっくりこないようにも思えます。
加えて、最内枠に入ったことで、荒れたインを走らなければならないリスクも生まれました。重馬場の坂路で1番時計を出せるのはパワーがある証拠という声もありますが、競走馬がせめぎ合うレースにおける重い馬場をどう克服するかが課題になるかもしれません。
また、ラップに関しても、前半よりも後半が速くなる上がり勝負の決着が目立ち、特に福永騎手に乗り替わってからの近3走は前半と後半のラップ差が大きくなっています。言い換えれば、中京芝1200mのレースの形とは逆のパターンで勝ちを重ねてきたということ。今回、レースのペースを握ると思われるエーシンダックマンは、重馬場のオーシャンSでも前半33秒台前半で通過した逃げ馬ですから、おそらく前傾型のラップになることが予想されます。スピードやペースではなく、レースの形に対応できるかどうか。これもまたひとつの課題になりそうです。

昨年のGⅠ・スプリンターズSを制したカレンチャン。
前走のオーシャンSは4着に敗れましたが、休養明けのうえ牝馬で56キロの斤量という条件。当日のテンションも上がり気味で、万全のコンディションではなかったという見方がされています。
1走叩いた今回は当然上積みが見込め、陣営も「前走でいいガス抜きができた」とコメント。実績面も踏まえて、能力を発揮できる状態にあるのならば、間違いなく有力候補でしょう。
新装・中京コースへの適性については、昨年夏に北海道で結果を残していることから、重目の馬場は得意と判断できると思います。また、ラップに関しては、函館SS、キーンランドC、そしてスプリンターズSも前傾ラップを刻んでの勝利。適応できる可能性は高いと考えていいかもしれません。

不安要素をあげるならば、ローテーション。
昨年のスプリンターズSは、夏場に調子を上げて連勝のピークを迎えた時点での勝利。夏の上がり馬の勢いがありました。一方、今回は休養明けの1戦を落としての参戦。上積みが見込めるとはいえ、昨年夏の状態に戻っているかどうかという懸念があります。
さらに、当初は高松宮記念直行と表明していながら、なぜ56キロの斤量を背負わなければならないオーシャンSをあえて使ったのかという点。額面通りに受け取れば、1走叩いて本番という図式になりますが、穿った見方をするならば、状態を戻すためには実戦を使わざるを得なかった(調教だけでは状態が上がらなかった)とも考えられます。となれば、心配なのは、56キロの斤量を背負って重馬場を走った反動。万全ではない状態に重い負荷がかかったことが、マイナスに作用する危険性も否めません。

昨年の高松宮記念2着馬のサンカルロ。
スプリントGⅠでの好走歴がありながら、1200m戦での勝ち鞍なし。適距離は1400mという判断もできます。
もっとも、新装・中京の特徴を考えれば、1400mでの良績はプラス材料とも思えます。直線半ばまで脚を溜めて、最後に伸びてくる脚質なので、坂を上ってからの勝負になるのが理想的かもしれません。
ただし、今回の枠順(8枠17番)はこの馬にとってはマイナス。キレる差し脚の持ち主なので、外から飛んでくるイメージもありますが、本来は前に馬を置いて脚を溜めた方がいいタイプ。「もう少し中の枠がよかった」という陣営の本音も聞こえています。
さらに、どちらかといえば、左回りよりも右回りの方が得意な馬。仮に、左回りの走りにスムーズさを欠く面があるのならば、外々を回らされるリスクのある外枠は、より不安材料になるかもしれません。

前走、阪急杯を制したマジンプロスパー。
押し出される形で直線先頭に立ち、そのまま押し切った内容は評価できると思います。ちなみに、このレースは前傾ラップを刻んでの勝利。重い馬場への適性は未知数ですが、1400mには〈3.0.0.1〉の良績あり。阪急杯の走りからは、パワー型という印象も受けました。重賞経験の少なさから、格下感は否めませんが、大駆けがあってもおかしくない面白い存在のようにも思えます。
あとは、展開。
基本的には前に行く馬なので、エーシンダックマンを深追いするような形になると、直線でおつりがなくなるかもしれません。それなりのポジションを取って無理なく追走できるかどうかがカギでしょう。

昨年の高松宮記念では1番人気の支持を受けたジョーカプチーノ(結果は10着)。
当時は、マイルからの距離短縮でスプリンターとしての素質が開花したようにも見えましたが、その後の戦績は今ひとつ。逃げ一辺倒の走りから差しに転じるレースも試みたようですが、現時点では自分の走りが確立されていないようにも見えます。
それゆえ、今回の注目は、連続騎乗となる内田博騎手がどのような乗り方という点。あてにならない面があるとはいえ、過去にはその潜在能力をレースで発揮した実績があることも確か。近走にしても、着差はそれほど離されていないこともあり、好走の可能性がゼロとは言い切れないと思います。

これまでのスプリントGⅠでは、常に上位人気に支持されてきたダッシャーゴーゴー。
度重なる降着や不利などにより、結果が伴わない形になっていますが、スプリンターとしての元値は高いと言えるでしょう。とにかく、この馬の場合は、スムーズな競馬ができるかどうかがポイント。そのあたりは、横山典騎手の手腕にかかっているかもしれません。
新装・中京への適性に関しては、2走前の交流ダートGⅠで3着に入ったことから、パワー型という見方もされているようですが、距離の融通性は1200mがギリギリという印象も。加えて、近走の勝ち鞍は、前半よりも後半が速い上がりのレース。微妙な部分があります。

前走、1600万の山城Sを勝って、昇級戦でGⅠに挑戦するアグネスウィッシュ。
末脚のキレが持ち味の馬で、後方から確実に脚を使ってくるタイプ。ハイペースで追い込みがきく展開になれば浮上してくるかもしれません。
もっとも、この馬もロードカナロア同様、近走の良績は小倉と京都。稍重馬場での連対が続いているため、重い中京の芝に適応するかのようにも見えますが、馬場の緩さと芝の重さは異質のもの。それほどの協調材料にはならないと思います。
後方10番手以降から追い込んでくる馬が内枠に入ったのも不安材料。馬場のいい外に出すタイミングがポイントになりそうです。上がり馬の勢いは認めますが、いきなりのGⅠというのは敷居が高いのではないでしょうか。

前走、前哨戦のオーシャンSで2着に入ったグランプリエンゼル。
道悪巧者ですが、函館SSの勝ち鞍もあり、重い馬場への適性はあるかもしれません。近4走で2着が3回。5着に敗れたシルクロードSも、それほど得意ではない上がりの勝負でロードカナロアから0.4秒差。一時期のスランプを脱したという見方もできると思います。
重賞実績や相手関係を考えると、厳しいレースになるとは思われますが、今回のブログで指摘している「新装・中京コースへの適性」がレースに大きな影響を及ぼすようであれば、この馬が圏内に入ってくる可能性があるかもしれません。

その他、穴っぽい馬も何頭かいますが、いずれも条件付き。
逃げ馬・エーシンダックマンは、仮にゴール前で失速しても、後続に対してのセーフティリードを持っていることが条件。
背が低く脚が短い、いかにもパワー型の体型をしているツルマルレオンは、スタートで出遅れないことが条件。
左回りに良績が集中している上がり馬のサクラゴスペルは、近走がいずれもスローの瞬発力勝負だったため、ハイペースの前傾ラップに対応できることが条件。
大穴はタマモナイスプレイ。ブリンカーで走りに集中できることが条件。



■先週のレース・短評

阪神大賞典の結果はご存知の通り。
単勝1.1倍という絶大な支持を受けたオルフェーヴルは、3コーナーで外ラチ寸前までふくれる“まさかの逸走”。その後、馬群に戻り、大外から猛然と追い込んだものの、先に抜け出したギュスターヴクライに半馬身届かず2着に敗れました。

今回のオルフェーヴルの走りについては、スポーツ新聞等でも大きく紙面が割かれていました(1面トップに記事を掲載したスポーツ紙も目立ちました)。
主な見解は2つ。
ひとつは、「折り合い面での不安が休み明けのレースで表面化した」というもの。これは、オルフェーヴルの弱点が浮き彫りになったという見方です。
もうひとつは、「あの状態から半馬身差まで詰め寄った能力は並大抵ではない」というもの。言い換えれば、「普通に走っていれば楽勝だった」という意見です。
2つの見解のどちらに対しても異論はありませんし、実際のところ、今回はオルフェーヴルの“強さ”と“弱さ”の両極が露見したレースだったと思います。もちろん、それ以前に「故障によるアクシデントではなくてよかった」というのが、正直な気持ちですが・・・。

ただし、今後について、特に凱旋門賞出走を考えた場合、今回の走りは大きな課題を残したように思えます。
“折り合いに不安がある”といっても、あそこまで制御不能に陥ってしまうことは、誰にも予想できなかったことでしょう。言い方は悪いですが、気性面に爆弾を抱えているのであれば、環境が大きく変わる海外の舞台で正常な状態でレースに臨めるかどうかという不安が生まれます。
今後、陣営がどのような工夫を施して、この馬の精神面を改善していくのか。そして、オルフェーヴル自身がどれだけ成長できるのか。そのあたりへの注目も必要かと思います。
今回に関しては、大外枠でスタートが良すぎたことが、結果的に折り合いを欠いた一因とも考えられます。次走の春天では、枠順と展開(道中の隊列・ペースなど)も検討要素として注意すべきかもしれません。

阪神大賞典のレースそのものは、おかしな言い方ですが、オルフェーヴルは出走していなかったものとして考えた方がわかりやすいと思います。
ギュスターヴクライは確実に力をつけていると評価できるでしょう。道中の立ち回りの巧さや加速の際の反応の鋭さには、勢いだけではなく堂々とした落ち着きさえも感じました。スローを見越して途中からレースを引っ張ったナムラクレセントは、和田騎手の好判断が結果につながった(=馬自身の能力を引き出せた)と思います。4着のヒルノダムールは、直線で不利を受けたとはいえ、正攻法の競馬ではもうひとつキレない印象。ブログにも書いた通り、この馬はGⅠ馬としての“強さ”や“信頼性”が物足りないように思います。
今回のレース、上位馬の着順(オルフェーヴルは抜きとして)に関しては順当だったのではないでしょうか。

スプリングSはグランデッツァの勝利。
重馬場の一戦ということで、判断が難しい部分もあります。
例えば、アルフレードの敗因を距離と考えていいのか。あるいは、マイネルロブストは道悪に泣いただけと言い切れるものなのか。次走に向けて検討する場合、“仮説”として考えなければならないかもしれません。

とはいえ、1・2着馬に関しては、ここでは抜けていたように思います。
ディープブリランテは小回りコースへの対応に関しては合格と見なせるでしょう。ただし、スタート直後は掛かっていましたし、直線の最後ではモタレ気味。中山2000mの皐月賞まではこなせるかしれませんが、それ以上距離が伸びると(ダービーや菊花賞では)少なからず不安に思います。
グランデッツァはディープブリランテをマークしたデムーロ騎手の作戦が光りましたが、交わした後の伸び脚は見事。重賞勝ちの実績を走りで証明できたのではないでしょうか。
3着は内目でうまく立ち回ったロジメジャー(馬場が良ければ、サトノギャラントが差し切っていたかな?とも思いますが・・・)。権利は獲れましたが、現時点では上位2頭との差はあるように見えました。
いずれにしても、レース前日のブログにも書いたように、道悪のトライアルの結果を本番の予想にどう生かせるかが大きな課題になると思います。



■今週はオルフェーヴル登場!

今週の日曜は、東西でそれぞれ注目度の高いGⅡレースが行われます。

阪神では阪神大賞典。4冠馬・オルフェーヴルがいよいよ始動します。
「今年はオルフェーヴルの1強時代」「もはや歴史的名馬の域に達している」といった声も聞かれていますが、たしかにオルフェーヴルの“強さ”は現役馬の中でも群を抜いていると思います。
レースのたびに与えられた課題(距離と折り合い・コース・展開など)を簡単にクリアしてしまう対応力。さらに、レースを重ねるごとに、勝ち方がより強くなる成長力。ありふれた言い方になりますが、「素晴らしい馬」というのが実感です。
昨年のブログでは、毎回この馬の不安要素を取り上げてきましたが、“いい意味”で裏切り続けられてきました。今回も「折り合いに不安がある馬の休み明け」「目標が先にある馬の叩き台」といったマイナス材料も見当たりますが、おそらく要らぬ懸念で終わるのではないでしょうか。どのような走りを見せてくれるか、期待したいと思います。

オルフェーヴルの相手としては、実績のヒルノダムールと勢いのギュスターヴクライが有力視されているようです。
ただし、ヒルノダムールはGⅠタイトルがあるとはいえ、勝った昨年の春天は極端に出入りの激しい、いわば“特殊なレース”。内々で我慢して脚を溜めていたことが結果的に功を奏したという見方もできます。正直、GⅠ馬にしては今ひとつ強さを感じられない部分もあり、圏内確実とまでは言い切れないようにも思えます。
一方のギュスターヴクライは、オープン昇級初戦の前走・ダイヤモンドSで2着の好走。前残りの展開で差してきた伸び脚には見所がありました。もっとも、今回はGⅠ級との初対戦。クラスの壁が立ち塞がることも考えられます。久々の関西圏のレース、阪神実績〈0.0.1.2〉といった不安要素もあります。伸び盛りの4歳馬だけに、ここで内容のある走りができれば、今後の展望も広がってくると思いますが・・・。
展開面を考えれば、昨年の覇者・ナムラクレセントも怖い存在。差し馬が揃ったメンバー構成のため、自分のペースで運べれば粘り込みも十分可能でしょう。
同様に、前でも競馬ができるビートブラック。結果は伴わないものの、近走は常に上位人気に支持される実力の持ち主。阪神巧者(〈3.0.1.1〉)ということもあり、多少なりともマークが必要かもしれません。

中山では皐月賞トライアルのスプリングS。こちらは混戦が予想されます。

東スポ杯1着、共同通信杯2着のディープブリランテは、1800mの距離は3戦3連対ながら、コーナー4回の中山は初。
GⅠ朝日杯を制したアルフレードは、デビューから3連勝(うち中山2勝)であっても、マイル以上の距離は初。
好メンバーだった札幌2歳Sを制したグランデッツァは、道悪の中山コースをこなせそうな持久力の持ち主のようにも思えますが、今回は休み明けで初の関東遠征。
新潟2歳Sの勝ち馬・モンストールは、初距離の上、今回はノドの手術の後の休養明け。

このように、重賞勝ち馬にはずれも不安な材料があるため、中心視できる存在を絞りにくいレースのように思えます。
中山実績が高く堅実な成績を残しているマイネルロブストが最も信頼性があるような印象も受けますが、勝ち切るとなるとどうか。
3連勝中のゼロス(前走でワイルドエースに先着)も有力候補ですが、今回は同型馬との兼ね合いが課題。特に、土曜の雨の影響で道悪になれば、各馬のジョッキーが好位のポジションを意識することもあるので、必要以上に前が競り合うケースも考えられます。

位置取りに関わらず最後はキッチリと脚を使うサトノギャラント。前走、直線で不利がなければ勝ち負けになっていたと言われているサトノプライマシー。一瞬の脚の使い方が東京よりも中山向きという評価もあるストローハット。こういった伏兵陣にも十分優先出走権獲得のチャンスがあるようにも思えます。

それにしても、今週もまた週末は雨。
パンパンの良馬場での競馬を久しく観ていないような気がします。
その週に行われるレースの予想はもとより、次走について考える場合、“前走・道悪”という条件は正確に実力を測りにくいものとなります。
今年の皐月賞。このままではすべてのトライアルが“道悪開催”となり、本番での馬券検討が難しくなりそうです。



■3歳クラシックは混戦模様?

先週の競馬は、土日で4つの重賞が行われましたが、いずれも1番人気馬が負ける波乱の決着。
クラシックトライアルのチューリップ賞と弥生賞では、今年の3歳馬の中心的存在と評価されていたジョワドヴィーブルとアダムスピークが人気に応えられませんでした。
この結果を受けて、「ディープ産駒の成長力に問題あり」といった論評を載せたスポーツ紙もありましたが、冷静に判断すれば、ジョワドヴィーブルもアダムスピークも連勝とはいえ2戦のレース経験しかなく、今回は休養明けの初戦。絶対的な信頼を寄せられたかというと、難しい部分もあったように思えます。むしろ、ファンの期待感が大きすぎたとも言えないでしょうか。

初めて内に潜り込む競馬を試みたジョワドヴィーブル。馬場状態が悪い上に超スローな展開で差し届かなかったアダムスピーク。負けたとはいえ、これまでになかった経験を積んだことは、決してマイナスとは思えませんし、本番での巻き返しの可能性はあると思います。
ただし、今回出走優先権を取った馬たちも、フロックではなくそれなりの実力を備えていることも確かでしょう。今後のトライアルで“抜けた存在”が現れるかどうかはわかりませんが、現時点では、桜花賞、皐月賞共に、混戦模様のように思えます。

先週の開催には、もうひとつ大きな注目点がありました。新装・中京競馬場のレース傾向です。
芝に関しては、直線が長く坂ができたこともあって、府中向きの長くいい脚を使える馬が持ち味を発揮できる印象を受けました。
新装の開幕週のため、内枠の逃げ・先行馬が有利かと思っていましたが、坂を登り終えた後さらに直線が続くせいか、ゴール手前で失速するケースも目立ちました。坂を登った後にもうひと伸びできる“持続性のある末脚”の有無が好走のポイントになるかもしれません。

もっとも、東京コースの適性があれば、そのまま新装・中京で通用するとは思えない部分もあります。3コーナーから4コーナーのカーブは小回りのままで、形態はむしろ新潟に近く、コーナリングがスムースにできるという要素も必要かもしれません。中日新聞杯を制したスマートギアは追って伸びる“持続性のある末脚”の持ち主であり、しかも小回りの小倉でも実績を残していました。タイプ的に新装・中京向きだったのではないでしょうか。
芝のレースは全体的に時計がかかっていました。「洋芝が長く、きれいに生え揃っていない」というのがその理由と見られているようですが、それに加えて、ジョッキーがコースを修得するためにペースを上げていなかったとも考えられます。したがって、今後開催が進み、ジョッキーが慣れてくるにつれ、時計は速くなるかもしれません。

ダートは現時点では逃げ・先行有利という印象。極端に言えば、先に坂を駆け上がった馬が勝ちというようなレースが目立ちました。後方の馬は坂で脚を使う分、そこから伸びあぐねるのかもしれません。
初日のメインに行われた1400m戦では、後続がかなり外に振られていました。形態は東京ダート1400mに近くても、コーナーが急なために、序盤の直線で乗ったスピードのままではコーナリングが難しいのかもしれません。逆に、内ラチを頼れる逃げ馬はその点で有利という見方もできます。今後は「どのようなタイプの馬が中京ダートで差し切れるか」という点に注目していきたいと思います。

今週はフィリーズレヴューと中山牝馬S。
どちらも楽しみな一戦なのですが・・・、残念ながら明日から出張のため、今週も競馬に参加できそうもありません。
ブログもお休み。申し訳ありません。
皆様のご健闘をお祈りいたします。


安東 裕章


■今週はお休みです

『競馬のツボ<ブログ版>』にお越しいただき、
ありがとうございます。

都合により今週末はブログの更新を休ませていただきます。
申し訳ありません。

今週は土日で4つの重賞。
クラシックのトライアルに高松宮記念の前哨戦、注目のレースが目白押しです。
さらに、新しくなった中京競馬場にもチェックが必要でしょう。

皆様が競馬を思いきり満喫できることを、
心よりお祈り申し上げます。


安東 裕章

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プロフィール

安東裕章

Author:安東裕章
東京都出身。2007年11月に書籍『競馬のツボ』、2008年7月に『競馬のツボ2』、2009年7月に『競馬のツボ3』を発表(いずれも総和社刊)。

このたび、拙著『競馬のツボ』を刊行していただいた出版社・総和社様の勧めもあって、ブログを始めることにしました。
競馬における一番の楽しみは、レースについて考えること。つまり予想です。
このブログを書くことで、自分でも週末のレースに向けてイメージを膨らませる訓練になるかと思います。
競馬について考えることが好きな皆様。レース予想に疲れて気分転換をしたい時など、よろしければフラッと遊びに来てください。

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