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■有馬記念・復習

37年ぶりとなる牝馬のグランプリ制覇。
2008年の有馬記念はダイワスカーレットの優勝で幕を閉じた。
スタートから先頭に立つと、そのまま後続を寄せつけずに逃げ切り勝ち。“強い競馬”とは、まさにこのことだろう。他馬との力の差をまざまざと見せつける圧巻の走りでGⅠ4勝目を飾った。

ダイワスカーレットに勝負を挑んだ馬はすべて返り討ちにあった。
最初に仕掛けたのはカワカミプリンセス。
最内枠から絶妙のスタートを切ってダイワの出方を牽制した。横山典騎手によれば「ハナへ行こうと思った」とのこと。ダイワスカーレットより前で競馬をするというイチかバチかの作戦だったのだろう。結果的には2番手に控える形になり直線の手前で突き離されてしまったが、勝ち馬に果敢に挑んでいく姿には好感が持てた。

道中は中団で脚を溜め、4コーナーからダイワに迫ったスクリーンヒーロー。
馬体を合わせるように一瞬伸びかけた時には、直線で2頭のマッチレースになるかとも思われたが、坂の途中で力尽きた。とはいえ、脚色がいっぱいになりながらも掲示板に残ったことは評価すべきだろう。今年急成長した4歳馬。この先が楽しみと思わせてくれる走りだった。

そして、メイショウサムソン。
ダイワスカーレットの後ろで食らいつくかのような渾身の走り。力の衰えは隠せないものの、引退レースで再びこの馬の勝負根性を見ることができたのは、正直うれしかった。高橋成調教師も「ダイワを追いかけて負けたのだから本望」というコメントを残している。最後の花を咲かせることはできなかったが、立派に有終の美は飾ったと思う。

2番人気に支持されたマツリダゴッホは12着。
道中の位置取りは後ろ過ぎたし、常に外々を回る展開。これまでの勝ちパターンとはまったく違うレースをしていた。蛯名騎手は「内枠ならば結果が違ったはず」と語っていたが、凡走の原因ははたしてそれだけだろうか。
『有馬記念・予習』のブログにも書いたように、ジャパンカップの激走によって馬自身に目に見えない変調が起きていたのかもしれない。それくらい“らしくない”走りだった。
直線でダイワスカーレットを追い詰めるシーンを期待していたファンにとっては、不甲斐なく残念な結果だったに違いない。

2、3着には人気薄の差し・追込馬が入った。
アドマイヤモナークとエアシェイディ。
この2頭の共通点を見出すならば、どちらも中山芝実績があること。そして、自分の競馬に徹したということだろう(これは4着のドリームジャーニーにもあてはまる)。
強い逃げ馬がレースを作った場合、先行集団が逃げ馬のペースについていけず総崩れとなり、差し・追込馬が馬券に絡むケースもよくある。今回の有馬記念も同様の展開になったと見ることもできる。
「ダイワスカーレットを負かしに行かなかった馬が2、3着の順位を手にすることができた」と皮肉めいた言い方をした競馬評論家もいたが、たしかにその通りかもしれない。しかし、有馬記念という大舞台でその力を発揮できたのだから、両馬の走りに対しては素直に賞賛を送りたいと思う。

配当的には大荒れとなったが、昨年のように人気馬の総崩れによって起こった不可解な波乱とは意味がまったく違う。
強い競馬をして堂々と勝利を手にした馬と、それに挑んでいった馬たちとの攻防。レースの中で光った“勝負の輝き”を随所に見ることができたのだから、今年は納得のいく結果と呼べるものなのだ。
ダイワスカーレットはグランプリホースの称号にふさわしい強い馬だった。その一点だけでも、今年の有馬記念は素晴らしいレースだったと言い切ることができるだろう。

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安東裕章

Author:安東裕章
東京都出身。2007年11月に書籍『競馬のツボ』、2008年7月に『競馬のツボ2』、2009年7月に『競馬のツボ3』を発表(いずれも総和社刊)。

このたび、拙著『競馬のツボ』を刊行していただいた出版社・総和社様の勧めもあって、ブログを始めることにしました。
競馬における一番の楽しみは、レースについて考えること。つまり予想です。
このブログを書くことで、自分でも週末のレースに向けてイメージを膨らませる訓練になるかと思います。
競馬について考えることが好きな皆様。レース予想に疲れて気分転換をしたい時など、よろしければフラッと遊びに来てください。

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