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■秋華賞・予習

ブエナビスタの牝馬3冠達成なるか?
GⅠ・秋華賞。前売り時点での単勝人気は、ブエナビスタ(2.1倍)とレッドディザイア(3.3倍)の2頭に集中。競馬ファンの多くが、「桜花賞、オークスに続く3度目の対戦」に注目していることが数字に表われている。

まずはじめに、レースが行われる「京都芝・内回り・2000m」のポイントを検討しておきたい。
ひとつの特徴として重要と思えるのは、3~4コーナーにかけて馬群全体が加速する流れになりやすいということ。言うまでもなく、下り坂によって勢いがつくからである。
したがって、馬群の前に位置した馬には、直線でトップスピードからもうひと伸びできる脚が必要となり、後方に位置する馬に関しては、3~4コーナーで置かれることなく、さらに先行馬群を一気に差し切れる末脚が求められる。(過去の好走馬を例に取り上げるならば、前者はスティルインラブ、カワカミプリンセス、後者はスイープトウショウ、エアメサイア。)
つまり、ひとことで言うならば、“決め手”が問われるコースということ。直線の短い小回り形態ということから、“先行馬有利”という見方もされているようだが、実際にはそれほど単純ではなく、先行馬、差し馬ともに“プラスアルファの伸び脚”を使えるかどうかが勝負の分かれ目になりそうだ。

牝馬3冠に挑戦するブエナビスタ。前走は別定GⅡ・札幌記念で2着。その直後に“凱旋門賞回避”を表明したことから、このレースの走り(=差して届かず)に対してマイナスイメージが持たれているようだが、普通に考えれば、初の古馬・牡馬混合重賞でクビ差の2着という結果は上出来のはず。むしろ、マツリダゴッホに先に動かれたことで追い出しのタイミングが遅れ、重い洋芝でキレ味がそがれながらも1着馬を追い詰めた走りを高く評価すべきではないだろうか。
今回のレースに関しても、「直線の短いコースはブエナビスタには不向き」との声が多く聞かれるが、前述したように、このコースで求められるのは“決め手”。これまで通りの走りができれば、直線の短さがマイナス要素になるとは思えない。同世代牝馬を相手にした場合の“能力の差”はすでに証明済み。ツメの不安も問題ないのであれば、3冠達成の可能性は高いと言えそうだ。
ただし、ブエナビスタに死角がないわけではない。“これまで通りの走りができれば”という条件を付けた以上、“走りができないケース”というものも考えておかなければならない。
最も気になる点は、2枠3番という内枠に入ったこと。これによって、ブエナビスタにはいくつかの課題が生まれた。
ひとつは外に持ち出すタイミング。一旦後方に下げ、3コーナーを過ぎて馬群が動く時に外目に出して進出するのではないかと思われるが、その時に札幌記念のように他の馬が先に外からマクリ気味に動くと、ブエナビスタはさらに大外に持ち出すことにもなりかねない。
京都内回りコースの4コーナーはカーブがきついため、それでなくても馬は外に振られやすい。大外に持ち出したブエナビスタには、かなりのロスが生じるはずだ。仮にそうなった場合、末脚の決め手だけで差し切ることができるかどうか。先に「直線の短さはマイナス要素にはならない」と書いたが、それはあくまでスムーズに直線に入ることが前提。必要以上にロスが生まれれば、“決め手”を活かしきれないままレースを終えるケースも考えられる。
もうひとつの課題は、直線で外に持ち出せずに内を突いた場合の走り。ここまでブエナビスタは馬群をこじ開けるようにして勝つ競馬をしていない。道中インに包まれたまま直線に入るような展開になった時に、はたして外差しと同じだけの脚を使うことができるのか。
“決め手”そのものは十分通用することは間違いないが、今回内枠に入ったことで、展開面でのリスクが生じやすくなった。ブエナビスタが負けるとすれば、こうした展開のアヤが原因になるではないだろうか。

桜花賞、オークスとブエナビスタの2着に敗れたレッドディザイア。今回こそブエナビスタへの雪辱を果たすのではという期待も大きい。前走はローズS2着だったが、プラス10キロの馬体重が示すように、余裕残しのトライアル仕様。今回は前走とは比べものにならない強い追い切りで、調教後の馬体重計測の段階でマイナス4キロにまで仕上げられている。
この馬も内目の枠(3枠5番)に入ったが、オークスで見せたように、中団から馬群を抜け出してくる競馬が身上。ロスなく運べる内枠は、この馬にとって有利と見ていいはずだ。
ブエナビスタを逆転できる根拠として、専門紙等が上げているのは「馬体の成長」。札幌記念出走時のブエナビスタに対して、陣営自ら「思ったほど成長していない」と語ったのに対して、レッドディザイアは前走のローズSを見る限り、馬体も雰囲気(落ち着きなど)もひと回り大きくなったように思えた。「馬体の成長」がそのまま能力の逆転につながるわけではないが、春と比較した場合のプラス材料と考えることはできるだろう。
不安点を上げるならば、先に記した“調教の強さ”。余裕残しの状態でレコード決着(ローズS)の2着に入ったことで、当然、反動の心配が生まれる。完全に馬体が仕上がっていない状態で激走したのだからなおさらだ。そして、今回の強い調教。馬体そのものは前走以上だとしても、はたして中身はどうなのか。気力は燃え尽きていないか。あるいは、調教によってさらに反動が生まれていないか。
競走馬にとって、強い調教が必ずしもプラスの影響だけをもたらすとは限らない。レースの敗因、特に意味不明の凡走があった時には、「ハードに追いすぎた」「仕上げすぎた」といった陣営のコメントも少なくない。一応、直前の気配には注意を払うようにしたい。

前哨戦のローズSを制したブロードストリート。中団jから馬群を抜け出してきた走りには、この馬のセンスと能力の高さがうかがえた。冒頭で述べた「先行馬に求められる“決め手”」を持ち合わせた馬と評価していいだろう。春の時点から“素質馬”と期待されていたが、夏を越してそれが見事に開花した感もある。
この馬に関しても、気になるのはレコード決着の反動。加えて、上積みがあるかどうかもカギになりそうだ。ローズSの時点では、藤原英厩舎所属の3頭の中では最も評価が低く、調教師自身が「成長に疑問を感じていた」という馬。それがあれだけの走りを見せたのだから、言うなれば100点満点の走りだったということ。今回、前走以上の走りができるかどうか。陣営は「このレースがピークになるように仕上げた」とコメントとしているが・・・。

ローズS4着のミクロコスモス。春のクラシック出走が叶わなかった分、このレースにかける陣営の意気込みも強いはずだ。前走で武豊騎手がレッドディザイアよりも早めに動くレースをしたのは、本番のレースの流れを意識した騎乗にほかならない。
この馬もブエナビスタ同様、展開がポイント。2枠4番の内枠から、どのように外差しの“決め手”を活かすレースができるか。課題であった折り合いも含めて、レースでの立ち回り方が問われる一戦になりそうだ。

桜花賞、オークスともに3着に入ったジェルミナル。前走・ローズSでは好位につけながらも失速して11着の惨敗。本番に不安を残す結果となった。
ただし、アクシデントのために調整が狂い、さらにレース中にも外傷を負ったということで、原因ははっきりしている。ほとんど競馬をしていなかったこともあって回復も早く、今回の調教の初時計も、同厩のブロードストリート、ワイドサファイアよりも1週間近く先にマークしている。
鋭い決め手はないが、レースセンスの高い馬。春の実績を考えれば、今回巻き返しがあっても決して不思議ではない。

ローズSでは勝ったブロードストリートよりも高い評価(3番人気)を受けていたワイドサファイア(9着)。しかし、実戦では見所もなく、直線ではブロードと同じような位置にいながら、馬群を割って伸びてくることはなかった。おそらく、それだけの勝負根性が身についていない、あるいは馬込みが苦手なタイプなのかもしれない。
だとすれば、馬群の外目からスムーズな競馬ができる今回の外枠はこの馬にとって有利のはず。さらに、陣営は馬にやる気を出させるために、調教パターンを坂路に変更。これは、レッドディザイアとハナ差の接戦を演じたエルフィンS以来のことだ。岩田騎手は「強い馬の裏をかくような思い切った競馬をしたい」とコメント。一変の可能性があるかもしれない。

ローズSで3着に粘ったクーデグレイス。短距離実績しかない(=直線で失速する可能性の高い)メモリーパファイアをハナに行かせて番手でマークする競馬で、実質的にはこの馬がペースを握ることのできた展開だった。今回は最内枠のホクトグレインが逃げ宣言。したがって、それをマークする形になるだろう。
問題は番手マークの同型馬との兼ね合い。ヴィーヴァヴォドカ、デリキットピースあたりと競り合うことになった場合、ローズSのように自分のペースでレースを運べるかどうか。他にも、1Fの距離延長や夏場を使った疲労の蓄積なども課題になりそうだ。

上位とは人気の差はあるが、上がり馬のモルガナイトも注目を集めている。
500万、1000万を連勝。しかも、その着差は0.2秒、0.3秒と相手を突き放す強い勝ち方。春はスイートピーSで7着に敗れているが、ここにきての上昇度は魅力。実績馬との対戦でどのような走りを見せてくれるかが楽しみな馬である。
ただし、ローテーションはかなり厳しい。500万勝ちから中1週で1000万勝ち。体重を10キロ減らした上で、今回は中2週でGⅠ。さらに、前2走はいずれも11頭立ての少頭数。斤量も3キロ増。条件的には高いハードルが用意されていると言わざるを得ない。

人気薄で注目したいのはデリキットピース。前哨戦の紫苑Sでは1番人気に支持されたが、休み明けの上、先行馬には厳しい流れに巻き込まれて9着に敗退。もっとも、本番を見据えた上での叩き台と考えれば、見限るのは早いようにも思える。
デビュー2戦目でOP・忘れな草賞を勝った実績から、非凡な素質の持ち主であろうことは窺い知れるし、レース間隔の開いた3戦目のオークスでも6着に踏みとどまっている。特に、忘れな草賞は“強さ”の片鱗を見せる内容で、外差しの決まりやすい馬場で先行して後続を突き放す勝ち方だった(ちなみに、この時の2着はブロードストリート)。今回は大外枠から好ポジションを取れるかどうかがカギになるが、直線で早めに抜け出すような形になれば、馬券圏内への粘り込みがあるかもしれない。

もう1頭上げるならば、紫苑S2着のラインドリーム。6月デビューの馬でキャリアは浅いが、デビュー戦以外はすべて連対という成績。今年の紫苑Sは、メンバーのレベルも低く、時計的にも強調できないが、仮にこの馬が“レースのレベルが上がっても相手なりに走れる(常に上位に顔を出すタイプ)”というタイプならば、大駆けがあっても驚けない。なにより、前が詰まりながらも馬群をこじ開けるように割って連対を確保した紫苑Sの走りには、見るべきものがあった。


最後に、『競馬のツボⅢ』で述べた「クラシック・最後の1冠と出走レース数の相関性」についてふれておきたい。
本の中では「出走レース数が好走のひとつの目安」と書いたが、基本的には、その年のクラシックが混戦の場合(=どの馬にも勝つチャンスがある場合)を前提にしている。トライアルでも目イチの仕上げを施すケースが多く、レース数がそのまま疲労度につながるという見解に基づいているからだ。
今年の場合は、混戦とは言い難く、したがって、『ツボⅢ』の考え方がそのままあてはまるとは限らない。念のため、ご理解いただきたい。




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プロフィール

安東裕章

Author:安東裕章
東京都出身。2007年11月に書籍『競馬のツボ』、2008年7月に『競馬のツボ2』、2009年7月に『競馬のツボ3』を発表(いずれも総和社刊)。

このたび、拙著『競馬のツボ』を刊行していただいた出版社・総和社様の勧めもあって、ブログを始めることにしました。
競馬における一番の楽しみは、レースについて考えること。つまり予想です。
このブログを書くことで、自分でも週末のレースに向けてイメージを膨らませる訓練になるかと思います。
競馬について考えることが好きな皆様。レース予想に疲れて気分転換をしたい時など、よろしければフラッと遊びに来てください。

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