■スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

■天皇賞(秋)・予習

GⅠ馬9頭を含むフルゲート18頭が顔を揃えた天皇賞・秋。
このレースの検討に際しては、2つのポイントを着眼点として考えてみたい。
ひとつは、“勝負気配”。つまり、出走各馬にとって、天皇賞・秋が目標のレースかどうかということである。
秋のGⅠ・中長距離路線は“天皇賞・秋→ジャパンカップ→有馬記念”が王道のローテーションと呼ばれているが、距離・コース適性を考えて、天皇賞・秋よりもJC・有馬を目標にする馬も少なくない。実際、今回の出走馬にも、先のジャパンカップ・有馬記念を目標にしている馬(もしくは、ジャパンカップ・有馬記念の方が条件的に能力を発揮できる馬)が見受けられる。目標が先にある馬は馬券の対象外と決めつけることは危険だが、「JCでも有馬でもなく天皇賞・秋が目標」という“勝負気配”は重視すべき材料だろう。
もうひとつは、“時計勝負への対応”。
近年の天皇賞・秋は、2005年の2分0秒1(勝ち馬・ヘブンリーロマンス)を除けば、1分57~58秒台で決着している。傾向としては、スローの直線勝負ではなく、厳しい流れから最後の瞬発力の競い合いになる形が多い。加えて、芝のレースは今週から仮柵を移動して状態の良いBコースで行われる。おそらく、例年通りの速いタイムになるはずだ。となれば、要求されるものは“レースの流れに乗れるスピードと瞬発力”。ひとつの基準として頭に入れておきたい。

前売り1番人気は、昨年の優勝馬・ウオッカ(単勝2.4倍)。秋天連覇に加えて、シンボリルドルフ、ディープインパクト、テイエムオペラオーに並ぶGⅠ7勝に挑む一戦となる。
ウオッカの実績については、今さら言うまでもない。GⅠ6勝のうち5勝が東京コース(東京芝実績は〈5.3.1.1〉)。前哨戦の毎日王冠ではカンパニーに差されて2着に敗れたが、前に目標を置けない逃げのレースをしたために本来の走りができなかったことが敗因と考えられる。休み明けを叩いた上積みと1キロの斤量減。条件が好転する今回、昨年と同じように、本番でしっかりと結果を出す可能性は高い。
“本質的にはマイラー”という専門家の評価からもわかるように、目標は先のジャパンカップではなく秋天であることは明確。ここは落とせない一戦と言ってもいいだろう。
もっとも、週中のスポーツ紙を見ると、ウオッカの“衰え”を指摘する声も少なくない。毎日王冠の負け方があまりに無抵抗だったためだ。
たしかに、1000m通過が60秒という楽なペースで逃げながら押し切れなかった内容は不甲斐ない。しかし、あのレースでウオッカが全力を出して負けたとも考えづらい。武豊騎手の乗り方にケチをつけるつもりはないが、“逃げ”という作戦そのものがウオッカの能力を発揮できない状況に追いやったようにも思える。「前を捕らえにいく」「馬群をこじあける」といった闘争心に火が付かないままレースを終えたのではないだろうか。
仮に、毎日王冠が「好位追走から前を捕らえられずに負けた」「追い比べの展開で相手に突き放された」といった負け方であれば、闘争心そのものに“衰え”が見えたとも考えられ、深刻に捉えるべきだろう。そうではなく、ウオッカらしくないレースをしたことが敗因と考えれば、前走の負けについてはさほど気にする必要はないように思える。今回は逃げではなく自分のレースに徹するはず。能力通りの走りができれば、ここでは一枚上の存在。いろいろと不安要素も取り上げられているが、レースの中心はやはりこの馬であると考えたい。
ウオッカの不安点をあげるならば、“衰え”ではなく、予想に反してスローペースになった時の走り。
昨年のドバイ遠征以降、ウオッカの国内の戦績は〈4.3.1.0〉だが、勝った4レースは前半3Fが33秒4から35秒2、対して2着以下になった4レースは35秒7以上のタイム。逃げた毎日王冠でもそうだったが、ウオッカはスローペースになると掛かり気味に力んで走るクセが目立つ。レコード決着となった昨年の天皇賞・秋のように緩みのない流れになれば、ウオッカにとって走りやすい状況が出来上がるが、先行馬が残れるようなペースに落ち着いた場合には、100%の能力を発揮できないケースもあるかもしれない。
どの馬が逃げて、どのような流れになるか。ウオッカの取捨を考えるにあたっては、展開面についての慎重な検討が必要だろう。

前売り2番人気に支持されているシンゲン。東京芝実績〈6.0.0.2〉の府中巧者で、勝ち数ではウオッカを凌いでいる。陣営はかなり以前から秋天出走を意識したコメントを残していたし、主戦の藤田騎手も6月のエプソムCを勝った時点で「秋天が目標」と明言した。
前走は中山・オールカマーで3着だったが、これは結果云々よりもローテーションを重視した出走。間隔を空けて使った方が良いタイプだけに、中2週となる毎日王冠ではなくオールカマーで1走叩いたと考えるのが正解だろう。言いかえれば、“天皇賞・秋が目標”という陣営の強い姿勢の表われでもある。芝2000mの持ちタイムはメンバー1の1分56秒9。数字の上では時計勝負に対応できるという判断が成り立つ。
スポーツ紙・専門紙でも、この馬を“ウオッカの逆転候補”として推す声が多い。あとは、相手関係。適性も高く、“勝負気配”も申し分ないが、現状では実績面で他馬に大きく劣る。GⅠとなればこれまで戦ってきた相手とはレベルが違うし、場内の雰囲気も大きく異なる。好走の条件はひとつ。強豪の中で揉まれても“自分の競馬ができること”だろう。

シンゲンと並んで“ウオッカの逆転候補”と見られているのが、休み明けの京都大賞典を勝ったオウケンブルースリ。59キロの斤量を背負いながら差し切ったレースぶりは見事で、春先に判明した脚元の不安も解消されたと考えていい内容だった。
今回1キロ減となる斤量は有利。東京芝実績は〈0.0.0.1〉だが、その一戦も3歳時に出走したジャパンカップで0.3秒差の5着であるから、コース適性を気にする必要はないだろう。
問題は距離。菊花賞勝ちも含めて良績は長距離に集中している。音無調教師も「距離は長い方がいい。ジャパンカップ向き」とコメント。長くいい脚を使うタイプで府中向きと思えるだけに軽視はできないが、速い流れの時計勝負を前提に考えた場合、若干の不利は否めないだろう。差し脚のキレで勝負するためには、前半、レースの流れに乗れるかどうかがカギになる。

春のグランプリ・宝塚記念を制したドリームジャーニー。今年に入ってからの充実ぶりは素晴らしく、完全に“本格化”したと見ることができる。
この馬の弱点は左回りコースが苦手なこと。主戦の池添騎手も「左回りだとモタれるので修正しながら走らなければならない」と語っている。本格化した今ならばそれも克服できるかもしれないが、馬自身の走りは小回り向きのピッチ走法で一瞬の脚で勝負するタイプ。府中向きでないことは確かだ。
実績面ならばウオッカに次ぐ有力候補だが、「最大の目標は有馬、もしくは暮れの香港」という陣営の発言もある。能力は認めるが、今回の条件では多少の割引が必要かもしれない。

前走の毎日王冠でウオッカを敗ったカンパニー。8歳馬ながら衰えも見られず、ここでも侮れない存在だ。レコード決着となった昨年の天皇賞・秋でも、ハナ・クビ・ハナ差の4着。さらに、馬体重を戻すことを優先していた昨年と違って、今年は調整過程も順調。元来、マイル路線で活躍していた馬だけに、“時計勝負”はむしろ歓迎だろう。
もっとも、前走の勝利に関しては、この馬に有利な条件がすべて揃ったという見方もできる。特に、少頭数のレースがこの馬の勝因につながったことは、『毎日王冠・復習』の中でも書いた通り。今回はフルゲートの上、枠順も内の3番。インから抜け出すには理想的な枠かもしれないが、反面、前が詰まったり包まれたりするリスクも高い。前走のようにスムーズなレースができるかどうかは疑問である。道中の位置取りがポイント。横山典騎手の乗り方に注目したい。

昨年の皐月賞馬・キャプテントゥーレ。骨折で1年以上休んだが、夏の関屋記念で復帰(4着)。叩き2走目となる前走の朝日CCを勝って、復活を印象づけた。皐月賞の時は逃げ切りだったが、前走は好位に付けて抜け出す競馬。それも、ゴール前では2着のブレイクランアウトを差し返す脚を見せるなど、内容のある勝ち方だった。陣営いわく、「ここが目標で先のことは考えていない」。当然、目イチの仕上げで臨んでくるに違いない。
今回の課題は、初コースとなる直線の長い府中で同じ競馬ができるかどうかだろう。先行馬だけに自分のペースで行けるかということもカギになるはずだ。加えて、相手関係も一気に強力になる。この馬にとっては、試金石の一戦。ここで好走できれば、今後の中距離戦線での主役になる可能性も見えてくるはずだ。

前走、得意の中山でオールカマーを勝ったマツリダゴッホ。昨年末からスランプが続いていたが、横山典騎手の気分良く走らせる逃げが功を奏して、久々に結果を残すことができた。
とはいえ、今回も同じようなレースができるかどうかは疑問。昨年のジャパンカップでは4着と健闘したが、東京コースでは〈0.0.0.3〉。小回りの中山で自分のペースで走れれば能力を発揮する馬という見方が妥当のように思われる。
陣営も一度は「オールカマーの後は有馬へ直行」とコメントしていた。今回の出走は、自身が最も得意とする暮れの大舞台へ向けてのローテーションのつなぎと考えた方がいいかもしれない。

宝塚記念2着以来、4カ月の休み明けとなるサクラメガワンダー。前述のドリームジャーニー同様、この馬も今年に入って“本格化”が顕著な1頭である。
東京芝実績は〈0.0.0.6〉。数字だけを見ると手を出しにくい。しかし、この馬の場合は、中山実績も〈0.0.0.2〉であり、要するに、関東への輸送が苦手だったということだ。ドリームジャーニーの場合は、走法そのものが府中に不向きとも思えるが、サクラメガワンダーはそうではない。したがって、“本格化”によって心身ともにタフになり、輸送をクリアできるようであれば、実績のない東京コースでも好走できる可能性はある(実際、昨年の天皇賞・秋では0.3秒差の6着と健闘)。
今秋は、ジャパンカップ→有馬記念のローテーションが予定されているとのことだが、これまでの実績から見て距離が伸びて良いタイプのようには思えない。むしろ、ここが勝負と考えた方がいいのではないだろうか。
となれば、問題は仕上がり。鉄砲実績は〈2.1.0.3〉と悪くないが、苦手としていた輸送がある上にぶっつけでGⅠというのは、やはりリスクが高い。狙うとするならば、直前の状態をしっかりと確認した方がいいかもしれない。

他にも、スクリーンヒーローアサクサキングスといったGⅠ馬が出走するが、この2頭はいずれも休み明け。距離適性を考えても、ここを叩いてジャパンカップが目標という見方が正解のように思える(仮柵を移動した馬場を考えると、内枠の先行馬は有利には違いないが)。
GⅠ馬で気をつけたいのはエイシンデュピティ。1年3カ月の休養の後、前走オールカマーを使ってここに出走してきた。どこまで状態が回復しているかがカギになるだろうが、22キロ増えた馬体重も調教後にはマイナス12キロと順調に絞れているし、少なくとも“勝負気配”に関しては、スクリーン、アサクサよりも上と見てもいいだろう(「脚元に不安があるだけに1戦1戦が勝負」という陣営のコメントもひとつの裏付け)。鞍上は大井の戸崎圭騎手。外枠に入った不利はあるものの、先手を取ってペースを握る走りができれば、粘り込みがあるかもしれない。

人気薄で気になる馬は2頭。
まず、エアシェイディ。昨年は0.1秒差の5着。東京実績も〈4.4.0.4〉と高い。大外枠に入った今回は末脚勝負に徹すると予想できるが、流れに乗ってハマれば食い込みがあってもおかしくない。
もう1頭は、ヤマニンキングリー。前走の毎日王冠では2番人気に支持されながら大敗を喫したが、一番の敗因は長距離輸送によるイレ込み。2走前の札幌記念で20キロ減った馬体重も戻っていなかったことから、万全の体調でなかったと考えられる。それゆえ、前走では府中向きの長くいい脚を使えるかどうかも判断できなかった。
今回は調教後の軽量でプラス20キロの数字。イレ込みを考慮して輸送も1日早めたという。当日の気配次第ではあるが、万全の状態でレースを走ることができれば、想像以上の脚を使うかもしれない。4歳になってから4戦連続重賞連対、2000m実績〈3.2.1.0〉が“買い”の要素に見える。


競馬史上に残る一戦と言われた昨年の天皇賞・秋。今年も“名勝負”を期待したい。



スポンサーサイト

■コメント

■コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

 

カレンダー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

カテゴリ

プロフィール

安東裕章

Author:安東裕章
東京都出身。2007年11月に書籍『競馬のツボ』、2008年7月に『競馬のツボ2』、2009年7月に『競馬のツボ3』を発表(いずれも総和社刊)。

このたび、拙著『競馬のツボ』を刊行していただいた出版社・総和社様の勧めもあって、ブログを始めることにしました。
競馬における一番の楽しみは、レースについて考えること。つまり予想です。
このブログを書くことで、自分でも週末のレースに向けてイメージを膨らませる訓練になるかと思います。
競馬について考えることが好きな皆様。レース予想に疲れて気分転換をしたい時など、よろしければフラッと遊びに来てください。

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。