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■ジャパンカップ・復習

史上初の牝馬7冠。そして、ジャパンカップ史上初となる日本牝馬の勝利。
壮絶な激戦をわずか2cm差で制したのは、世紀の名牝・ウオッカだった。

レースは2コーナー手前で先頭に立ったリーチザクラウンがペースを握り、1000mの通過が59秒0。
『予習』の中で、ウオッカの好走条件について、「“1000m通過が58~59秒台のペースで、ポジションは5・6番手のイン”が理想的」と書いたが、まさにその通り(コース取りがインではなく外目ではあったが)の展開になった。
さらに、前半の1200mが1分11秒2、後半もまったく同じ1分11秒2という緩みのない流れによって、課題の“折り合い”も克服することができた。
能力を発揮できる条件が揃ったレース。ウオッカは勝つべくして勝ったと言ってもいいだろう。
ルメール騎手の騎乗も大きな勝因となった。
ウオッカのコーナー通過順位を確認すると、「5→3→4→5」となっている。注目すべきは“4コーナーでポジションが下がっていること”。これは、ルメール騎手が他馬の動き出しよりもワンテンポ遅らせて仕掛けたからであり、結果的に、その“一瞬の溜め”が最後の踏ん張りにつながったと考えられる。
角居調教師は今回の乗り替わりについて、「“ウオッカは掛かる馬”というイメージを持っていないジョッキーに乗ってもらいたかった」とタネを明かしたが、それにしても見事な騎乗。道中のポジションと折り合い、4コーナーでの溜め、瞬時に馬群を抜け出すタイミング。いずれをとっても、一流ジョッキーの技術が光っていた。
レース後、鼻出血が判明したため、規定により有馬記念への出走はできなくなった。「今回のジャパンカップがラストランになるのでは」という観測記事も多い。もし、本当に引退ということになるのであれば、最後の最後まで劇的な感動を与えてくれたウオッカに向けて、どれだけの感謝の言葉を並べればいいのかわからない。
数々の記録を打ち立て、永遠の記憶に残る走りを見せてくれたウオッカ。
今はまだ、ジャパンカップの激走に対してだけ「ありがとう」と言うに留めたい。

惜しくも2着に敗れたオウケンブルースリ。メンバー最速の上がり34秒1の末脚を見せた直線の追い込みは実に素晴らしかった。改めて“能力の高い馬”であることが確認できたし、今後の中長距離戦線の中心となる1頭として、これまで以上に期待が高まった。
残念だったのは、道中で外に出せずに、4コーナーで一旦下げてから大外に持ち出す展開になったこと。音無調教師は内田騎手の乗り方に関して「馬の力を信じてインを突いてほしかった」と語ったというが、たしかにそれも一理ある。内に包まれたり前が詰まったりするリスクは、ある意味、差し・追込馬の宿命。この馬の今後の課題は、どのような位置取りからでも突き抜けてくる“強さ”を備えることだろう。
次走は有馬記念という見方が強い。今回の府中とは反対に、コースが狭く、直線が短く急坂のある中山で、どのような走りを見せてくれるのか。注目したい。

3着は3歳牝馬のレッドディザイア。53キロという斤量の恩恵があったとはいえ、この結果は大いに評価できる。今年の3歳牝馬のレベルの高さを証明したと同時に、この馬自身の底力を十分に示したレースだった。春のオークスは2分26秒1で走破したが、今回はその時計を3.5秒も縮めたのだから驚きだ。今後に大きな期待を寄せられる内容だった。
秋華賞よりもさらにマイナス2キロでの出走となった今回、体調面がなによりの不安ではあったが、馬体そのものはしっかり仕上がっていた。言うまでもなく、これは厩舎の力だろう。この松永幹厩舎をはじめ、本田厩舎、村山厩舎など、ついこの間まで騎手として活躍していた若手の調教師が台頭してきたことは頼もしい限り。競馬界にとっても明るい話題であるに違いない。

外国馬のコンデュイットは4着。最後は内から差を詰めてきてはいるものの、前評判に比べると今イチの印象だった。
ムーア騎手は「スタートも悪く、いつもの反応ではなかった。強行軍の疲れがあったのかもしれない」とコメント。やはり、本来の走りではなかったのだろう。
馬自身のコンディションが敗因であるとすれば、多頭数による高速レースという条件も、この馬には厳しかったはずだ。「時計的にも通用する」というのが戦前の評判ではあったが、前走のBCターフ(芝・2400m・2分23秒7)は7頭立ての少頭数。まわりの馬からプレッシャーを受けながらの淀みのないレースは、疲れの残った体にダメージを与えたかもしれない。

5着には最内を突いたエアシェイディが入った。先日引退したカンパニーと同期の8歳馬だが、真面目に一生懸命走る姿には本当に頭が下がる。
次走はおそらく有馬記念。昨年3着に入った得意の条件だけに、まだまだ侮れない存在だ。

連覇を目指したスクリーンヒーロー(4番人気)は13着に敗れた。
『予習』では「1コーナーまでに好位に付けられることが好走の条件」と書いたが、コーナー通過順位は「8→9→6→5」。昨年よりも3秒1速い勝ち時計となった今回の流れでは、やはり大外枠が不利だったようだ。外々を回らされて道中はなし崩しに脚を使わされる競馬になっては厳しい。
とはいえ、自分の好走パターンを持っている馬。「スローな流れが見込めて、内枠からスムーズに好位をキープできる」という条件が揃った時に、改めて狙ってみたい。

逃げたリーチザクラウンは、直線で失速して9着。馬そのものは落ち着きがあり、精神的な成長を窺わせてはいたが、走りに関しては課題が残った。
先にも述べたように、今回のレースは前半の1200mが1分11秒2、後半もまったく同じ1分11秒2という緩みのない流れ。この厳しいラップは、リーチザクラウンだからこそ刻めるものなのだが、自分自身が残れないようではまったく意味がなくなってしまう。
緩急をつけた逃げを打てるようになるか、あるいは、これまで以上のスピードで大逃げを試みるか。いずれにしても、後続に脚を使わせて最後に突き離すという競馬ができなければ、単なるペースメーカーで終わってしまうだろう。
武豊騎手は「この距離でも少し長いのかもしれない」とコメント。今後、どのような使われ方をするのか、注目していきたい。


今回のジャパンカップについて、「今年度のベストレース」という声も多く上がっている。
2分22秒4という歴代3位のタイムも素晴らしいが、それ以上に中身のある、“競馬ファンが納得できる一戦”だったと思う。
その一番の理由は、出走馬が力の限りを尽くしたからに違いない。
ウオッカも、オウケンブルースリも、レッドディザイアも、現状で持てる力をフルに発揮したように見えた。
だからこそ、レースに感動することができた。
今後も、このような“名勝負”と呼ばれるレースに出会えることを、心より願うばかりである。


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■コメント

■はじめまして [アラキ]

競馬のツボシリーズを読んで、感銘を受け、今回はじめてブログにコメントさせていただきます。
ジャパンカップはまさに熱戦でした。ここ2週はG1らしからぬレースが続いていただけに、改めて競馬の素晴らしさを感じた次第です。
それにしても、安東さんのブログはためになります。通過タイムや位置取りまで予想(予習ですか)されて、しかも実際にその通りの展開になったのですから驚きです。
秋天が終わったあと、ジャパンカップではウオッカを買わないと決めていましたが、安東さんのブログを読んで「実は今回こそ狙い目」と考えを改めました。おかげさまで、馬単2点買い(相手はオウケンとリーチ)で的中。ありがとうございました。
これからも我々にいろいろな観点からのヒントを授けていただければと思います。

■アラキさんへ [安東 裕章]

はじめまして。
コメントをいただき、ありがとうございます。

アラキさんのおっしゃるように、ジャパンカップは競馬の素晴らしさを感じることのできたレースでしたね。ウオッカだけではなく、好勝負を演じた他の馬たちも称えたいと思います。

このブログは予想を提供するサイトではなく、あくまで個人的なレースや出走馬に対する考えを書き綴ったものにすぎません。
ですから、あまり期待されても困るのですが・・・(笑)。
それでも、ブログの中から参考になるヒントを見つけていただけるのでしたら、うれしい限りです。

これからもがんばって続けていきたいと思っていますので、また遊びに来てください。

■復習 [ECO]

安東さま、毎度です。しかし強いダービー馬ですね。馬券的にはいつもは嫌うシマイが人気馬同型のレッドデザイアで難は免れましたが 脚質逃げ馬が残ることなくゴール前が面白かったです。できれば主演の彼女には来てほしくなかったです

■女王健在!でしたね♪ [うに]

ウオッカもルメール騎手も役者ですね。
少し評価を落としている時に、あんなに見事な競馬を魅せてくれて、「ニクいなぁ、かっこよすぎ!」と思いました。

最初の狙い通り、素直に牝馬2頭を軸にしていれば、当てられたのに…
武騎手が思いきった競馬をするのでは、と考えがよぎり、リーチザクラウンを軸にしてしまい、大失敗でした。
しかも、軸にしたことをすっかり忘れて、ウオッカが入った瞬間「やったあ!」と、喜んでいました。マヌケですよね…


このブログ、ちょうど1年になりますね。いつも、鋭い考察で感心してしまいます。私なんて、パドックや馬体重を確認していながら、外しまくっていて情けない限りです。

こんなヤツですが、これからも、よろしくお願いします!

■Re: ジャパンカップ・復習 [いつものへい]

安東先生こんばんわ。
久しぶりに、G1らしいレースを見せてもらった気がします。
私の本命はオウケンブルースリだったので、最後の直線は何ヶ月振りかでドキドキしてましたよ。(笑)

いよいよ、師走。
お体にお気を付けて、有馬まで突っ走って下さい。
来週も予習、楽しみにしております。

■Re: ジャパンカップ・復習 [参考になりました]

安藤さん、はじめまして。

今回はスクリーンヒーローに関する見解が同じだったので安心して(?)馬券から外しました。

去年も有馬でのマツリダゴッホのこともあり、比較的に苦手とするレースで好走すると反動が次に来ますね。

スクリーンは昨年は馬券を取らしてもらったので嫌いな馬ではなく、また次走では期待はしていますが。

いよいよラスト1カ月。

予想また参考にさせていただきます。

■ECOさんへ [安東 裕章]

毎度です!

ウオッカは強かったですね。
というよりも、強さを発揮できたレースだったと思います。
レッドディザイアもいい走りを見せてくれて、来年以降の楽しみが増えました。
ゴール前の大接戦。
これからもこういう競馬を見たいですね。

■うにさんへ [安東 裕章]

こんばんは。

たしかに今回はかっこよすぎるくらいのドラマでしたね。
ウオッカが勝ってレッドディザイアが3着に入ったので、
「あ、うにさん、当たったな♪」と思ったんですよ!
う~ん・・・残念です!

おっしゃる通り、今回のジャパンカップでこのブログも1年を迎えました。
(覚えていてくださってありがとうございます!)

こちらこそ、これからもよろしくお願いします。


■いつものへいさんへ [安東 裕章]

こんばんは。

おっしゃる通り、久しぶりにGⅠらしい好レースでしたね。
ウオッカとオウケンのゴール前は息をのむようなシーンでした。
でも、複勝はしっかりゲットされたんですよね?
(ブログを拝見させていただきましたよ!笑)

今年も残り4週。
大いに競馬を楽しんで気持ちよく年を越したいですね。
いろいろとお気遣いいただいて、ありがとうございます。

■参考になりました さんへ [安東 裕章]

はじめまして。
(お名前がタイトルになっているようですが、そのままお返事させていただきます)

スクリーンヒーローは反動もあったかもしれませんが、道中で脚を使わされる展開になってしまい。持ち味が活かせなかったように思います。
『復習』でも書いたように、自分の好走パターンのある馬なので、条件次第ではまた改めて狙えるでしょう。

まだまだ勉強不足のブログですが、
よろしかったら、また気軽に立ち寄ってください。

■納得、満足 [電気羊]

オウケンブルースリの単勝を買っていた私ですが、ウオッカの勝利には十分納得。悔しさはありません。むしろ彼女に対する不当とも思える低い評価が目立っただけに、厳しいレースを勝ってくれて溜飲の下がる思いです。
馬券はワイド3点的中。スクリーンヒーローは大外と<反動>を懸念し切りました。レッドディザィアは、以前ご質問した際の回答で言及されていた「器用さ」と「自在性」から、馬体減は気になったものの抑えました。
今回の的中も安東さんのおかげです。ありがとうございました。

■追伸です。 [うに]

スクリーンヒーローが今回、凡走した理由なんですけど、私にはどうみても“2走ボケ”にしか見えなかったです。
前走、叩き台だったレースで思いがけず(?)好走してしまったのが、今回響いたのかなぁと思っていたんですが、単にペースが向かなかっただけ(+大外枠)で、調子が悪かったわけではないのですね。


ウオッカに対する見解も、簡単に「衰え」と素人でもできそうな評価を『専門家』が しているのに対して、安東さんは、問題はペースだと見抜いていましたね。素晴らしいですっ!
あの激走を涼しい顔で制した彼女を、どんな風に見たんでしょうね(笑)。

私も、一瞬とはいえ疑ってしまって、女王様ゴメンナサイ!と反省しきりです。

■電気羊さんへ [安東 裕章]

こんばんは。
的中おめでとうございます♪

「厳しいレースを勝ってくれて溜飲の下がる思い」というのは、私も同感です。
ここ2戦は“らしくない”走りだったので、今回“強いウオッカ”を見ることができて、本当によかったと思います。
レッドディザイアもいい競馬をしましたね。

今年も残り1ヶ月。
心に残るようなレースに出会えるといいですね。

■うにさんへ [安東 裕章]

こんばんは。

スクリーンヒーローの凡走については、「○○が原因だ」と言い切ることまではできないと思います。
2走ボケ(好走の反動)もあったかもしれませんし、枠順とペースの影響も否定できません。
ただ、そのどちらも“不安材料”として予想できるものでしたから、ブログでは評価を下げるような書き方をしたわけです。

ウオッカに関しては、無印にした競馬記者も多かったですね。
でも、私は“自分の走りができなかった”ことが、ここ2戦の敗因だと思っていました。
ワンペースの逃げをするリーチが引っ張る今回はウオッカも走りやすいだろう、ならば“復活”は十分ありうるだろう、というのが結論でした。
まあ、たまたま、その通りの結果になっただけなんですけど・・・(笑)

今年もあとわずかです。
がんばっていきましょうね!

■ありがとうございます。 [うに]

疑問にお答え頂いて、ありがとうございます。
JCの私の狙い目を覚えていて下さったのには、感激しました!
今度こそ、的中のご報告ができるよう、頑張ります!

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プロフィール

安東裕章

Author:安東裕章
東京都出身。2007年11月に書籍『競馬のツボ』、2008年7月に『競馬のツボ2』、2009年7月に『競馬のツボ3』を発表(いずれも総和社刊)。

このたび、拙著『競馬のツボ』を刊行していただいた出版社・総和社様の勧めもあって、ブログを始めることにしました。
競馬における一番の楽しみは、レースについて考えること。つまり予想です。
このブログを書くことで、自分でも週末のレースに向けてイメージを膨らませる訓練になるかと思います。
競馬について考えることが好きな皆様。レース予想に疲れて気分転換をしたい時など、よろしければフラッと遊びに来てください。

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