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■ダービー・復習

2010年度のダービー馬。その栄誉に輝いたのは7番人気のエイシンフラッシュだった。

今回のレースのポイントは“ペースの変化”。
1000m通過が61秒6。スローな展開になることは、ある程度考えられていたので、ここまでは想定内だったが、問題はその直後に1F13秒台のラップが2度続いたこと。この急激な“中だるみ”によって、馬群は一気に凝縮し、最終的に直線だけの究極の上がり勝負になった。
レースの上がりが33秒4。出走17頭中11頭が33秒台以下の上がり。
もっとも、キレ味勝負の明暗を分けたのは、各馬の脚質そのものではなく、瞬発力を発揮するための「道中の脚を溜め方」であり、極端に緩急のついたペースへの「対応力」もしくは「自在性」だった。

勝ったエイシンフラッシュは、中団のインで完璧な折り合いを見せていた。ペースが落ちた時にも動こうとはせず、3コーナーよりも4コーナーの通過順位が下がったこと(9位→11位)からもわかるように、“仕掛けを遅らせる”作戦をとっている。
前を行くヴィクトワールピサを目標にしていたとはいえ、このあたりは鞍上・内田博騎手の好判断。結果的に、ここで一呼吸待ったことが上がり3F・32秒7という末脚のキレに結びついたと考えていいだろう。
『予習』でも述べたように、この馬の強味は完成度の高さと立ち回りの巧さ。ペースの急激な変化に対応できたのは、そうした持ち味を発揮できたからに違いない。それにしても、最後の1Fの伸びは素晴らしかった。
休み明けの皐月賞で3着に入った能力。叩き2走目の上積み。それを考えれば、7番人気・単勝31.9倍という数字は、いわゆる“人気の盲点”だったと言えるだろう。
今後は、伏兵の1頭ではなく、世代の中心馬という見方がされるはず。今回のような“特異な流れ”ではなく、例えば平均ペースで進むような展開になった時に、どのような競馬を見せてくれるのか。完成度にさらに磨きがかかった走りに期待したい。

2着はローズキングダム。
もともと距離不安はなかったとはいえ、この馬もまた、道中きれいに折り合っていた。走りそのものも年明け3戦の中では最高のもの。朝日杯で見せたような躍動感にもあふれていた。上がり3Fは32秒9。最後はエイシンフラッシュに内をすくわれたが、これは仕掛けが早かった分のクビ差。惜しい2着である。
好走の理由は、前2走よりも条件が好転したことに尽きるだろう。『予習』でも書いたように、中山の2戦には明確な敗因があり、今回、良馬場の瞬発力勝負になったことで、この馬の末脚を発揮できる形になった。プラス体重で出走できたのもよかったはずだ。
2歳時の走りにかげりが出始め、中間にはアクシデント。今回はこの馬のマイナス材料だけが目についた。しかし、実際のレースでの走りは、そうした不安を一掃するもの。潜在能力の高さが久々にレースで発揮されたように見えた。
いずれにしても、ローズキングダムの復活はうれしい限り。馬場状態に左右される面はあるものの、再び中心馬としてこの世代を盛り上げていってほしい。

1番人気のヴィクトワールピサはローズキングダムから2馬身近く離された3着。残念ながら2冠を達成することはできなかった。
直前の気配も良く、ポジション的にもベストと思われるレース運びだったが、ペースが落ちた時に掛かり気味になった。岩田騎手も「馬が力んでしまった」とコメント。結果として、このわずかな折り合いの乱れが最後の伸びに影響したと思われる。もっとも、この馬自身も33秒1の脚を使っているだから、いかに1・2着馬の瞬発力が凄かったかということになるのだが・・・。
角居調教師は「皐月賞の時は一瞬の脚で勝つことができたが、長くキレる脚が使えなかった」と語ったが、この一戦でヴィクトワールピサの評価を下げる必要はないだろう。この馬の“強さ”は学習能力の高さによって積み重ねられていくもの。これまで経験したことのなかった33秒台の上がりの脚を使ったことで、もうワンランク上の走りへつなげることができるのではないだろうか。
昨年のロジユニヴァースやアンライバルドを例にあげて、ネオユニヴァース産駒を早熟と見る意見も出ているようだが、ヴィクトワールピサに関しては、このまま終わるような馬であってほしくない。

4着は12番人気のゲシュタルト。
『予習』の中で大駆けを期待した馬だが、流れに乗ったいい走りを見せてくれた。折り合いもつき先行勢の中では最先着。本来、キレ味で勝負するタイプではないので、今回の展開を考えれば大健闘と言えるだろう。
池添騎手は「まだまだ良くなるタイプ」とコメント。年明けデビューの7戦目でもここまでやれるのだから、かなりのスタミナの持ち主とも考えられる。さすがに使い詰めなので、ゆっくり休養をとって、秋にさらなる成長をした姿を見せてほしい。

5着はルーラーシップ。
内枠に入ったために若干窮屈な競馬。直線でも前が壁になったが、抜け出した後の脚はひときわ目を引いた。スムーズならば3着があったかもしれない。
経験値を考えた場合、GⅠは敷居が高いだろうと思っていたが、一線級とも十分に戦える内容。大跳びの馬にとって、スローペースのインというのは辛いポジションだったが、我慢のレースもできていた。
個人的には、今回のレースを見て最も今後を期待したいと思った馬。ただし、ストライドの大きさから、小回りコースは不向きのように思える。しっかりと賞金を加算して、天皇賞・秋やジャパンカップに出走することができたら、面白い存在になりそうだ。

2番人気のペルーサは6着。
スタートで出負けしたことも大きかったが、それによって、ペースが落ちた時に外々を動かざるを得なかったことが一番の敗因だろう。道中、他馬よりも脚を使ったのは、今回の展開では致命的だった。直線、ローズキングダムと併せて上がってきながら、呆気なく突き離されたのは、脚が残っていなかったからである。
横山典騎手は「ゲートばかりは仕方がない」とコメントしたが、これもある意味、不安点だった“経験不足”に因るものだろう。青葉賞の時とは反対に、“一番悪いペルーサ”が出てしまったようだ。
本番では残念な結果になってしまったが、トライアルで強い競馬をしたことも事実。この先の巻き返しに期待したい。

3番人気のヒルノダムールは9着。
皐月賞の内容から、ヴィクトワールピサの逆転候補と言われていたが、まったく見せ場のないレース。大外を回らされる展開の不利があったとはいえ、上位争いに加わることもできなかった。鞍上の藤田騎手も「だらしない!」とコメント。走りに納得がいかなかったのだろう。
敗因はおそらく状態面の問題。今回のパドックで、この馬はあまりに落ち着き過ぎていた。気配が悪いわけではないが、皐月賞の時に見せていた“凄み”を感じることはできなかった。
『予習』の中で、この馬の馬体重の推移を取り上げた上で、「前走が究極の仕上げだったという点は白紙」と書いたが、これについては訂正しなければならない。今回と比較すると、皐月賞の時は研ぎ澄まされたような究極の仕上げだったように思える。『予習』で書いた内容は、一部のスポーツ紙に載ったコラム記事からの引用だったが、真偽の定かでないものに惑わされた点は反省したい。


それにしても、今年のダービーは難しいレースだった。
ある程度のスローペースになることは予想できたものの、ここまでラップに緩急がつくとは思わなかった。
スローでありながら先行勢は残れず、瞬発力勝負でありながら後方一気の届かない競馬。展開のアヤと言ってしまえばそれまでだが、このような極端な流れになると、過去のレースで見せた各馬の走りは参考にならない。
1・2着馬が力のある馬であることは否定できないが、敗れた人気馬が力不足だったとも思えない。このレースが“激戦”だったのか“凡戦”だったのかの区別も難しい(時計的には条件戦レベルだが・・・)。
「2冠馬の誕生」「青葉賞馬の初載冠」といった、ファンの期待するドラマが完結しなかったことは、競馬である以上仕方のないことだとしても、どこか釈然としない気持ちになるのはなぜだろうか。“史上最強レベルの戦い”を過度に期待しすぎたからなのだろうか。
今回のダービーの位置付けが決まるのは、まだまだ先になるだろう。その時、「さすが“あのダービー”で上位に来た馬は違う!」と思うのか、あるいは「やっぱり“あのダービー”の結果は参考にならない」と思うのか。このレースは今回出走した馬の今後の走りによって検証されていくはずだ。



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■コメント

■Re: ダービー・復習 [ECO]

安東さん、、毎度です。
土日重賞は京都は取れましたが、東京10R,12Rで5着、4着の掲示板まででした。ダービーは差し勝負と見て、内枠先行できるであろうルーラーシップで挑みましたが、復習で回顧されている通り、もう少し前目で抜け出せたのではと残念です。しかし混沌とするクラシック牡馬は秋以降楽しみですね。新たなスターが出てきそうですね。

■ECOさんへ [安東 裕章]

毎度です。

ルーラーシップは先々楽しみな走りを見せてくれましたね。
牡馬戦線は評価が難しいです。
『復習』の中では思わず「釈然としない」と書いてしまいましたが、今回のダービーが実力で決まったものなのか、展開のアヤによる結果なのかが、どうにも判断できなくて・・・。
改めて、競馬は難しいなあと痛感した次第です。
おっしゃる通り、秋以降も新勢力が出てくるかもしれません。
楽しみにしたいと思います。



■またワイドのみ… [電気羊]

結果はヴィクトワールピサからのワイド2点的中でしたが、またも元返し。エイシンフラッシュの狙いを下げて3連複の買い目から外したのは残念。しかし、どちらかと言えばに救われた気分です。
エイシンについては、まずキングカメハメハやアパパネの例はあっても、父ミスプロ系が東京2400MのGIを走るイメージが持ちにくかったこと(今後改めます)。そして休み明け好走の次走ということへの懸念。
一方で、皐月賞3着の実績、スローペースが合いそうな点。そして先に述べたことと矛盾しますが、血統的な観点からは面白い一頭でした。
父母テディ系、母父がエクリプス系、母母がシャーペンアップ系。テディはサンデーの母系、シャーペンアップは昨年のダービー馬ロジユニヴァースの父母系。
そんなわけで、なんとか拾えました。

ローズキングダムは、東京向きというコメントはいくつか見ましたから、<予習>を読んでそれを確信したこと、そして春先に世代No.1を競った馬に敬意を払って買いました。昨年もそんな2頭で決まりましたから、ピサとのワンツーに期待して馬連も購入したんですけどね。

それにしても「休養明けの予習・復習」、ご負担ではありませんでしたか?反動など出ませんように(笑)

■電気羊さんへ [安東 裕章]

こんばんは。
ワイドの元返しとはいえ、的中は的中ですから!
おめでとうございます!

それにしても、電気羊さんは血統について、よく勉強されてますね。
素晴らしいと思います!
結果論のひとつとして言うならば、今回の1・2着馬は“皐月賞を叩いた馬”、つまり、皐月賞よりも体調面や条件面でプラス要素のあった馬だったという見方ができるかもしれませんね。
ただ、予習も復習も難しいレースでした~。

私に関しては、今のところ休み明けの反動はないようです。
一応、歩様にも異常はありませんし(笑)。
今週もまたまた難解な安田記念ですが、がんばって考えてみたいと思います。
(ちなみに、安田記念の狙い目はダンチヒ系・・・と某新聞に書いてありました)


■ダービー回顧(愚痴?) [うに]

安東さん、こんばんは。
穴馬好きな私が、エイシンフラッシュを単勝で狙えなかった事を、未だに悔やんでます。
というのも、私が購読している『スポーツH』の関西版で、ただひとりエイシンフラッシュに◎をつけている記者の見解を、「冒険しよるな〜」と、軽く読み流してしまったのです。
私は最初から2強は揺るがないと決めていたので。
その記者は見事に馬連・3連複を的中。ショックでした。(笑)

頑固でも優柔不断でも駄目なんですね。バランスが難しい…

以前なら私も、大胆な予想をして大当たりもしていたのに(たまーにですが)、最近は“守り”に入ってしかも的中できないとは情けないです。
でも、これがいい『起爆剤』になったような気がします。
次は攻めてみようと思います。(暴走しない程度に…笑)

そういえば今年のダービー馬は、その名の通り、まさに“閃光”でしたね!


■うにさんへ [安東 裕章]

こんばんは。

エイシンフラッシュは、たしかに“閃光”でしたね!(笑)
馬券に絡んでくる馬だと思っていましたが、アタマから狙うのは難しかったかもしれません。

うにさん、“守り”に入っているんですか?
うーん・・・、おそらく慎重に検討しているからだと思います。
だいたい予想というのは、考えれば考えるほど本命寄りに堅くなっていくものですからね。
私もそれでよく失敗します。
「この馬がきたらおもしろいだろうな!」くらいに気楽に考えた時の方が当たったりすることもありますよ(笑)。

大胆予想、楽しみにしています!
がんばっていきましょう!


■ありがとうございます。 [うに]

気楽な方が良い脳波が出ていそうですね。
頑張りすぎない程度にがんばります(笑)。
安田記念の枠順を見てゾクゾクしてきました。難しいけど、やりごたえがありそうで楽しみです。

■勉強なんて… [電気羊]

勉強なんて恐縮です(照)過去5年ほどの結果を調べてみただけですし、一つ間違えば「単なるデータにすぎない」わけで。
それにしても新世代のチャンピオンを決めるべくダービーに、エクリプスという伝説の名馬の血は脈々と流れ続けているのですね。
むろん遡れば大多数の競争馬の血はエクリプスから派生したものです。現在の競馬界における主流派と言えるロイヤルチャージャー(サンデー、ロベルト)、ノーザンダンサー、ナスルーラ、ミスタープロスペクター。
しかし一方、そうした血統にはつながらないリボー(ディープスカイの母母系)、ブランドフォード(ディープインパクトの母母系)、さらにフェアウェイやセントサイモン、ゲインズボローといった血が、主流派に伍してダービーで好走した馬たちの中に、繰り返し色濃く顕れてくるという事実。
競馬がブラッドスポーツたるゆえん、そしてダービーの本質、特質を今回感じてしまいました──なんて、大げさ過ぎる、あるいは今さら何をって言われるかも知れませんけどね(笑)

PS.安田記念は当たったためしがありません……

■うにさんへ [安東 裕章]

こんばんは。
私も枠順を見てゾクゾクしました!
む、難しすぎる・・・(笑)。
ともかく、いいレースを期待したいですね!

■電気羊さんへ [安東 裕章]

こんばんは。

ほんと、血統は奥が深いですよね。
ただ、私の場合、勉強不足のせいもあって、なかなか馬券には活用できずにいます。
決して“食わず嫌い”ではないのですが・・・。

う~ん、まだまだ学ぶことがたくさんありますね。

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安東裕章

Author:安東裕章
東京都出身。2007年11月に書籍『競馬のツボ』、2008年7月に『競馬のツボ2』、2009年7月に『競馬のツボ3』を発表(いずれも総和社刊)。

このたび、拙著『競馬のツボ』を刊行していただいた出版社・総和社様の勧めもあって、ブログを始めることにしました。
競馬における一番の楽しみは、レースについて考えること。つまり予想です。
このブログを書くことで、自分でも週末のレースに向けてイメージを膨らませる訓練になるかと思います。
競馬について考えることが好きな皆様。レース予想に疲れて気分転換をしたい時など、よろしければフラッと遊びに来てください。

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