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■有馬記念・復習

2010年の有馬記念を制したのは3歳馬のヴィクトワールピサ。ブエナビスタの猛追をハナ差(わずか2cm!)凌いでグランプリホースの座に輝いた。

ヴィクトワールピサの勝因は“自分でレースを作った”ことだろう。言い換えれば、それはデムーロ騎手の“憎いばかりの”好騎乗によるものである。ポイントはふたつあった。
まず、向正面で果敢に動いたこと。
最初にポジションを上げていったのはルーラーシップだったが、それに続いたヴィクトワールピサは、ハナを奪うかのような勢いで一気に先頭を行くトーセンジョーダンに取り付いた。一瞬、「仕掛けが早いのでは?」と思わせたが、実はこれはデムーロ騎手の作戦。トーセンジョーダンにプレッシャーをかけることによって、馬群の流れを加速させるのが目的だったに違いない。
実際、レース序盤は1000m通過が62秒0の超スロー。先行馬に有利な展開ではあるものの、そのまま楽なペースで進めば、後ろの馬たちも簡単にポジションを上げることができる。つまり、3コーナー手前からの一気の加速は、後続にスパートのタイミングを与えず、追走に脚を使わせるための手段だったということ。ゴールまでの1000mは前半よりも4秒早い58秒1。この急激なラップの落差が、結果的に“ブエナ封じ(=好位に進出させなかったこと)”につながったと言っていいだろう。
もうひとつは、先頭に立つことができる位置にいながら、仕掛けのタイミングを遅らせてさらに脚を溜めたこと。
直線入口で抜け出してもおかしくない手応えでありながら、最後の瞬発力を温存させたことによって、ヴィクトワールピサ自身も34秒6の上がりの脚を使うことができた。仮に、デムーロ騎手が早目先頭から一気に押し切ろうとしたならば、ゴール前でブエナビスタに捉えられていたかもしれない。なんとも冷静な騎乗。レースを引っ張ったのはトーセンジョーダンだが、レースを操ったのは間違いなくヴィクトワールピサ(=デムーロ騎手)だった。
もちろん、馬自身の走りも素晴らしかった。海外遠征で結果を出せなかったために、1ランク落ちの印象を持たれたこともあったが、皐月賞1着・ダービー3着・JC3着という実績に偽りなし。むしろ、海外での経験によって心身ともに成長したという印象もある。改めて、世代のトップクラスと評価すべきだろう。
あえて課題をあげるならば、キレ味勝負になった時の対応。ダービーとJC(いずれも東京コース)は明らかにキレ負けのレース。現時点では、立ち回りの巧さを活かせるある程度時計がかかる馬場向きのようにも思える。

ブエナビスタは33秒8の上がりの脚で追い込んだものの、わずかに届かず2着。そして・・・今回もまた「負けて強し!」のレースだった(いったい何度この言葉が使われるのだろう)。
スミヨン騎手は「位置取りが後ろ過ぎたし、道中でポジションを修正できなかった」とコメント。ブエナビスタにとっては正攻法の競馬だったかもしれないが、展開とコースを味方につけることができなかった。言い方を変えれば、それだけヴィクトワールピサのデムーロ騎手に巧く乗られたということでもある。
とはいうものの、直線入り口では絶望的にも見えた位置から、写真判定の2着にまで追い込んできたのだから、やはりこの馬の能力は“別格”だ。この秋3戦の走りを見ていると、貫禄や風格すら感じられる。今回の敗戦でこの馬の評価を下げる必要もないだろう。「このまま無事にいけば来年もGⅠをいくつか勝つはず」というのが正直な感想でもある。

驚かされたのは3着のトゥザグローリー。
たしかに、近走の内容から“良血の開花”という印象も強かった。しかし、休養明けの10月16日から今回が5戦目で、決して有馬記念が目標という使い方ではなく、前走の中日新聞杯から中1週というローテーション。さすがに余力は残っていないだろうと思い、『予習』での検討対象とはしなかった。
ウィリアムズ騎手の最後まで気を抜かせない乗り方も光ったが、それにしても、恐ろしくタフな馬である。あるいは、ハードな使われ方をしてきたことで成長力が加速したという見方もできるかもしれない。
いずれにしても、「いい意味で予想を裏切られた」というのが実感。強い3歳世代にまた1頭“主役級”が現れたのであれば、来年以降がますます楽しみになる。

4着には、これもまた3歳のペルーサ。
この馬に関しては、結果はともかく多くの収穫があったレースだったと言えるはずだ。
課題とされていたゲートも今回はクリア。さらに、これまでは出遅れで外々を回るレースばかりだったペルーサにとって、好位のインで折り合う競馬を経験したことは大きい。馬込みに慣れていないせいもあって、末脚を発揮することはできなかったようだが、貴重な経験を積んだことは今後のレースに生きてくるのではないだろうか。次走、どのような走りを見せてくれるか注目したい。

逃げたトーセンジョーダンは5着。
前半スローペースに落とすところまでは作戦通りだったかもしれないが、生粋の逃げ馬ではないだけに、緩急をつけて突きはなすようなことまではできなかったようだ。ただし、ヴィクトワールピサに早目にこられて厳しい展開になりながらも、渋太く掲示板を確保したことは評価できるだろう。思っていた以上に底力を感じさせる内容だった。
ブエナビスタと同じ4歳だが、休養期間があるため今回がまだ12戦目。まだまだ良化の余地がありそうだ。強さを確認するためにも、逃げ馬の存在するレースで、本来の好位抜け出しの競馬を見てみたい。

有馬記念というレースは、1年の締めくくりという位置付けではあるが、今年の場合は「先々につながる一戦」「来年が楽しみになる一戦」という印象が強く残った。
その理由は、やはり、3歳馬がいい走りを見せてくれたからだろう。
勝ったヴィクトワールピサは3歳トップクラスの威厳を示してくれたし、3着のトゥザグローリーは将来性に大きな期待を持たせてくれた。ペルーサについては、今後どのように走りの幅が広がっていくかが楽しみであり、ルーラーシップ(6着)のスピード感やエイシンフラッシュ(7着)の最後の脚にも非凡なものを垣間見ることができた。
と同時に、ブエナビスタも走りの真骨頂を見せてくれた。展開やコースに若干左右される面があるとしても、その強さに翳りはなかった。
今回の上位馬たちが来年のGⅠ戦線で再び顔を揃えることを考えただけでも期待に胸が膨らむ。その時には、ローズキングダムも出走してくるだろうし、3冠牝馬のアパパネの参戦もあるだろう。今回はあくまで試走に徹したレッドディザイアにしても、このまま引き下がりはしないはずだ。
外国人ジョッキーの1~3着独占というミソはついたかもしれないが、内容そのものは「翌年の競馬が待ち遠しくなる有馬記念」。いいレースだったと思う。



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■コメント

■復習 [ECO]

安東さま、毎度です。
逃げ馬いなくて、一番先行馬、中山、月曜日の時点での予想では買うつもりの馬でしたが、日曜朝のオッズをみてしまい…。
また土曜の予想が一枠一番で購入、玉砕したのを引きずりました。
反省が反省でなく、安東さんの著書、このサイトにであうまで繰り返したパターンを発揮してしまいました。
本年は予想を書き込む事を許していただき、考えをまとめることができるようになった気がします。
次年も引き続き重賞における指標を提示いただき、ますますのご活躍お祈りいたします。
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プロフィール

安東裕章

Author:安東裕章
東京都出身。2007年11月に書籍『競馬のツボ』、2008年7月に『競馬のツボ2』、2009年7月に『競馬のツボ3』を発表(いずれも総和社刊)。

このたび、拙著『競馬のツボ』を刊行していただいた出版社・総和社様の勧めもあって、ブログを始めることにしました。
競馬における一番の楽しみは、レースについて考えること。つまり予想です。
このブログを書くことで、自分でも週末のレースに向けてイメージを膨らませる訓練になるかと思います。
競馬について考えることが好きな皆様。レース予想に疲れて気分転換をしたい時など、よろしければフラッと遊びに来てください。

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